カット野菜の加工・販売を行う健食が「過熱蒸煎機」を導入 1日約3トンの野菜端材のアップサイクルに挑戦
キャベツ、玉ねぎ、にんじん、ごぼう、大根など1台で複数品目をアップサイクルする初の取り組みを実施。
「サステナブルな社会の実現」をミッションに掲げるフードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN 株式会社（埼玉県富士見市、代表取締役社長：加納 千裕 以下「ASTRA FOOD PLAN」）は、カット野菜の加工・販売を行う株式会社健食（栃木県宇都宮市、代表取締役社長：野口 庸晴 以下「健食」）が、「過熱蒸煎機」を導入したことをお知らせします。
「過熱蒸煎機」は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながらわずか10秒で乾燥と殺菌を行うASTRA FOOD PLANの食品加工装置です。今回の導入は、複数品目の食品端材を1台の「過熱蒸煎機」でアップサイクルできる事例としては初となり、カット野菜の工程で発生する玉ねぎやキャベツなど、1日約3tの野菜端材のアップサイクルを目指します。
導入背景
日本では、まだ食べられるにもかかわらず廃棄される食品ロスが年間約462万トン（令和5年度推計）存在します。そのうち、食品の製造や加工段階などで発生する「かくれフードロス」はさらに多く、年間約2,000万トン以上にも上ると推計されています。
健食では、カット野菜を製造する過程で、キャベツ、玉ねぎ、にんじん、ごぼう、大根などから、1日約3tのまだ食べられる端材が発生していました。これまでは主に、野菜端材は産業廃棄物として扱っており、かくれフードロスの問題や廃棄コスト、野菜の価格高騰による利益率の圧迫などに課題を抱えていました。
また、カット野菜の生産に限らず、より付加価値の高い商品開発を模索していたことから、野菜端材を高付加価値パウダー『ぐるりこ®』にアップサイクルする「過熱蒸煎機」の導入が決定いたしました。
複数品目を1台の「過熱蒸煎機」でアップサイクル
これまで「過熱蒸煎機」は、吉野家ホールディングスでタマネギ端材のアップサイクルを行うなど、1台あたり1品目での運用が中心でしたが、健食では、キャベツ、玉ねぎ、にんじん、ごぼう、大根など複数の野菜端材を同一設備でアップサイクルします。
「過熱蒸煎機」は、水洗いで簡単に洗浄できる設計となっており、日々異なる品目でも効率よく稼働できるのが特長です。これにより、より現場に適した柔軟な体制の構築が実現しました。
『ぐるりこ®』の用途開発や販路開拓を継続的に支援し、実用化を加速
今回の導入では、吉野家への導入の際に採用された「過熱蒸煎機レンタル＆ぐるりこ買い取りモデル（※1）」とは異なり、過熱蒸煎機の「売り切りモデル（購入）」が採用されました。ただし、機械の販売のみで終わるのではなく、導入後もサポート体制を強化し、『ぐるりこ®』の用途開発や販路開拓の継続的な支援を実施予定です。これにより、アップサイクル原料の実用化を加速してまいります。
（※1）𠮷野家セントラル工場に『過熱蒸煎機』の本格導入が決定。年間約250トンの玉ねぎ端材の「かくれフードロス」ゼロを目指して
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000099210.html
『過熱蒸煎機』について
『過熱蒸煎機』は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことが可能な装置です。野菜の不可食部分や、米ぬか、果物の搾りかす、飲料ざんさにいたるまで、高付加価値化した食材にアップサイクルすることが可能です。
１．食材の風味の劣化と酸化を防止
数百度の高温スチーム 過熱水蒸気を用いることで食材の酸化を抑え、栄養価の損失と風味の劣化を防ぎます。食材によっては旨味成分が増加し、ビタミンE、β-カロテンや葉酸などの栄養価が、熱風乾燥を用いた場合と比較して高いことも分かっています。
２．低コスト、高い生産効率を実現
ボイラーレスの過熱水蒸気発生装置を開発し、熱風と併用することでエネルギー効率が極めて高い乾燥・殺菌技術を実現。連続式で生産効率が高く、従来型乾燥技術のコストの課題をクリアしました。
３．スピード殺菌乾燥
過熱蒸煎機での食材への加熱時間はわずか5～10秒。短時間加熱で食材の劣化を抑えながらも、過熱水蒸気の効果でしっかりと殺菌ができるので安全に加工できます。
◎『過熱蒸煎機』のカタログ・お問い合わせはこちら
https://www.astra-fp.com/contact/
今後の展開
健食では、今後、今回の導入によって得られるカット野菜の端材をもとにした『キャベツぐるりこ』などの『ぐるりこ®』活用した新商品開発を実施予定です。
具体的には、『ぐるりこ®』の“香りや栄養価の高さ”を活かしたベジタリアン・ヴィーガン向けの新たな食品原料や、宇都宮という地域特性を活かし、餃子の原料としての活用提案なども行っていく予定です。
関係者コメント
株式会社健食 取締役 野口知江子
健食では、これまで廃棄されることの多かった野菜の外葉や皮などの非可食部を過熱水蒸気による乾燥・殺菌処理装置「過熱蒸煎機」でパウダー化し、健康志向の新商品として活用する取り組みを開始しました。この技術により、従来は価値を生まなかった部位を栄養を逃さず活かす「まるごと野菜」の原料へと再定義し、フードロス削減・高栄養パウダー商品・だし素材（ベジブロス）など、新しい商品開発が可能になります。
本プロジェクトは、単なる副産物利用ではなく、「野菜を通して健康寿命を応援する」という当社の経営姿勢を体現するものです。資源循環型社会の実現、環境負荷低減、地域農産物の付加価値向上を見据え、持続可能な食品ビジネスへのシフトを力強く推進してまいります。
『ぐるりこ®』について
『ぐるりこ®』は規格外農作物や、食品工場で出る端材など、これまで捨てられてしまっていた食材を『過熱蒸煎機』で乾燥してアップサイクルした食品パウダーの総称です。循環型を表す「ぐるり」と、粉の「こ」を組み合わせた造語で、ASTRA FOOD PLANの商標です。
『過熱蒸煎機』によってわずか10秒で乾燥・殺菌されて製造される『ぐるりこ®』は、熱によるダメージが極めて少ないことから栄養価が高く、風味が非常に強いのが特徴です。
2025年2月に“かおりを食べる 新感覚クラフト調味料『ぐるりこ®』”としてブランド化し、家庭向けにECでの販売をスタートしました。
◎ブランドサイトはこちら
ASTRA FOOD PLAN採用情報
ASTRA FOOD PLANは一緒に働く仲間を募集しています。カジュアル面談も行っていますので、詳しくは下記URLをご参照ください。
◎採用情報はこちら
https://herp.careers/v1/astrafp
「株式会社健食」について
株式会社健食は、カネイチホールディングス株式会社のカット野菜加工センターとして、カット野菜・果物の製造を中心に、全国の惣菜メーカー・量販店・外食チェーン様へ安定供給を行う企業です。
私たちは 「野菜と果物のオールマイティ企業」 を掲げ、生産・仕入・加工・物流まで一貫体制 を整えながら、鮮度・品質・衛生管理の徹底と お客様の期待に応える商品づくりを追求しています。
また、FSSC22000認証を取得した衛生管理体制のもと、安全で高品質な製品供給に取り組んでいます。
いちご王国・栃木県が誇る「とちあいか」をはじめとした冷凍加工品の展開、食品ロス削減と健康価値向上を両立するベジブロス（野菜だし）の開発など、新たな食の価値創出にも挑戦。食と健康の未来に貢献する企業として進化を続けています。
■会社概要
循環型フードサイクル構築を目指す「ASTRA FOOD PLAN」について
ASTRA FOOD PLANは、わずか10秒で食品を乾燥・殺菌する装置『過熱蒸煎機』を開発したフードテックベンチャーです。
『過熱蒸煎機』は、高い生産効率と低エネルギーコストを実現したことから、従来コストの問題で有効活用できなかった食品工場で発生する野菜類の端材や、規格外品などの未利用農作物、飲料ざんさ等を、付加価値の高い食品パウダーにアップサイクルすることができます。食品ざんさ廃棄の課題を抱える事業者に『過熱蒸煎機』を販売すると同時に、本装置で作られる新たな食品原料『ぐるりこ®』の販売を行うことで、「かくれフードロス」問題の解決を目指しています。
■会社概要
ASTRA FOOD PLAN株式会社
本社所在地：埼玉県富士見市鶴瀬東1-10-26
代表取締役：加納千裕
設立：2020年8月
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