DroR、人的資本開示調査「DOCI 2026」の追加分析を公表 文字数と因果の深さ、長いほど深い傾向は確かめられず

ドロア

株式会社DroR(ドロア)は10月19日、人的資本開示調査「DOCI 2026」の因果の深さ(D4)について、文字数との関係を検定した追加分析の結果をDOCIの公開ページで公表しました。文字数の4群で、施策と成果の間の変化(媒介)まで書いた企業の割合を比べると、違いは偶然だけでは説明しにくい一方、長いほど割合が上がる傾向は確かめられませんでした。数値はAI支援の一次コーディングによる暫定値で、因果は主張しません。

追加分析2の結果:文字数で分けた4群の差は偶然だけでは説明しにくいが、長いほど深い傾向は確かめられない(DroRの計算)

DroRは、DOCI 2026のD4(構造・因果記述)について、レポートにある文字数4群別の到達率(帯2以上の割合)と帯3の出現数、DOCIの集計データ(各群の社数)をもとに追加分析を行い、10月19日にDOCIの公開ページに「追加分析2」として掲載しました。主な結果は次のとおりです。

  • 文字数で99社を4つに分けた群(各24〜25社)の到達率(短い順に20%、44%、62%、36%。レポート図表27)の違いは、並べ替えによるカイ二乗検定でp値約0.02で、偶然だけでは説明しにくい大きさでした。

  • 一方、短い順に上がり続ける傾向は確かめられず(並べ替えによる傾向の検定でp値約0.15。山型の並びは捉えにくい検定で、長さと無関係という意味ではありません)、最も長い群での低下も偶然でも起こりうる大きさでした(フィッシャーの正確検定・両側でp値約0.09。結果を見てから選んだ2群の比較)。

  • 多段の因果(帯3)はFY2025に99社中1社(レポート図表11)で、TOPIX100の全社を数えた値のため、1社の判定で0%にも2%にもなります。

検定の値(p値)と、1社の判定で割合が動く幅は、レポート(第1.0版)にはない値です。

結果の掲載先(DOCI公開ページ「追加分析」):https://dror.co.jp/lab/doci

詳しい読み方(DroR Lab の解説記事「人的資本開示の「なぜ効くのか」は、どこで一段深くなるのか:DOCI 2026の因果の深さ(D4)から」):https://dror.co.jp/lab/articles/doci-2026-causal-depth

追加分析のもとにしたD4の集計(2026年7月公開のDOCI 2026から)

株式会社DroR(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:山中真琴)と臨床組織科学研究会が2026年7月5日に公開した年次調査レポート『DOCI 2026 — 人的資本開示の構造分析:施策列挙から、構造設計へ』(PDF・56ページ・登録不要・無料)から、追加分析の前提として、人的資本開示が因果をどの深さまで語っているかの分布と、その判定の中身を以下に紹介します。公開ページ:https://dror.co.jp/lab/doci

DOCIは、TOPIX100の有価証券報告書3期分(FY2023〜2025、299書類・296テキスト)の人的資本開示を4つの次元で評価する年次調査です(本文テキストの一次判定はAIが行い、企業名・年度は伏せていません)。本稿は、レポートが「本分析の心臓」と位置づける次元D4(構造・因果記述:「いかにして成果を生むか」の因果の仕組みが語られているか)を扱います。帯の判定はAI支援の一次コーディングによる暫定値で、今後、複数の人による独立の再評価と一致度(信頼性係数κ)の報告をもって確定します。また、因果の記述が深い開示が組織の成果を生んでいると主張するものではなく、帯の分類は臨床組織科学(COS)という一つの枠組みによる読みで、開示や組織の優劣を判定するものではありません。

因果の深さの4段階:何を見て、どう分けたか

DOCIは、D4を次の4段階で評価しています。以下の例文は、レポートが判定基準の説明のために示した作例(合成)で、実在の企業の開示文ではありません。

  • 帯0「命名のみ」:概念の名前だけが書かれ、因果は語られていない(作例:「心理的安全性を重視しています。」)

  • 帯1「一段の因果」:X→Yの素朴な一段の因果(作例:「対話を増やすことで、組織が活性化すると考えています。」)

  • 帯2「媒介の明示」:X→Y→Zのように、施策と成果のあいだをつなぐ中間の段階が明示されている

  • 帯3「多段・自己強化」:因果が多段に連なり、成果が再び起点を強めるループや習慣化まで語られている(作例:「安全な対話が習慣化する → 失敗の共有が増える → 改善が生まれる → 成功体験がさらに対話を強化する。」)

判定の中心は、概念の名前が出てくるかどうかではなく、因果の語り方です。レポートは「概念語の登場回数では判定しない」としており、迷った場合は低い方の帯をつけ、開示がない(NA)ことと語っていない(0)ことを区別しています。帯2以上を、因果の記述への「到達」としています。

結果1:FY2025の分布は、帯0が11社、帯1が48社、帯2が39社、帯3が1社

DroRの分析では、FY2025の有価証券報告書(99社)のD4の帯は次のとおりでした。

  • 帯0(命名のみ):11社

  • 帯1(一段の因果):48社

  • 帯2(媒介の明示):39社

  • 帯3(多段・自己強化):1社

帯0と帯1をあわせた59社、約6割の開示は、因果を語らないか、一段の因果にとどまっていました。最も多かったのは帯1で、「施策をすれば良くなる」という一段の因果は書かれていても、その間で何が起きるのかまでは書かれていない開示が中心でした。

結果2:多段の因果は、3期296件の開示で4件、2社のみ

帯3(多段・フィードバック・習慣化の因果)に当たる開示は、FY2023〜2025の3期・296テキストを通じて4件で、該当したのは2社だけでした。レポートは、この高い帯の空白を、TOPIX100の開示が組織を構造として語る段階にまだないという観察の裏付けと位置づけ、空白が埋まるかを以後の年次で追跡するとしています。この値はTOPIX100の全社を数えたもので、1社の判定でFY2025の帯3の割合が0%にも2%にもなります(本稿冒頭の「追加分析2の結果」)。また、迷ったときに低い方の帯をつける判定の規則は、帯3を少なめに出す方向に働きうると、DroRは読んでいます。

結果3:ほかの次元が明確でも、因果だけが帯1にとどまる型が上位2つ

4つの次元の帯の組み合わせ(D1-D2-D3-D4)を見ると、上位2つの型(18社・17社、計35社)はいずれも、施策・方針・指標は帯2以上で明確に記述されているのに、D4だけが帯1にとどまる型でした。DroRの分析では、上位5つの型のうちD4が帯2に届いていたのは、3番目の「D1:3/D2:2/D3:2/D4:2」(14社)と4番目の「D1:3/D2:2/D3:3/D4:2」(9社)でした。

結果4:文章の長さだけでは、因果の深さは決まらない

レポートでは、開示テキストの文字数で99社を4つの群に分けると、D4到達率は短い群から順に、Q1(約7千字)20%、Q2(約11千字)44%、Q3(約16千字)62%、最も長いQ4(約22千字)36%でした(括弧内は各群の文字数の中央値)。レポートは、文字数は無視できない要因である一方、「長く書けば構造的」ではないと読んでいます(記述的な比較)。DroRの追加分析では、4群の違いは偶然だけでは説明しにくい一方、短い順に上がり続ける傾向も、Q3からQ4への低下も、偶然と見分けられませんでした(数値は本稿冒頭の「追加分析2の結果」)。

因果の深さをどう読むか

帯の違いは、使われている言葉の違いではなく、施策と成果のあいだで何が起きるのかを書いているかどうかの違いです。レポートは、構造を語れることは、その企業が自組織の力学をある程度まで理解していることの表れかもしれないとする一方で、開示は組織の実態と等しくなく、上手に語れることが優れた組織であることを保証しないとしています。そのうえで、語りと実態のあいだの差分が、組織を構造として設計し直す余地を示すと述べています。

人的資本経営の実装と組織開発の伴走支援

DroRは、人的資本経営の施策が「なぜ成果につながるのか」を、意思決定・役割・情報の流れといった組織の構造から捉え直し、日々の運用に実装する組織開発・組織変革を、研究に基づいて伴走支援しています(主な対象は、事業の拡大で組織が複雑になり始めた成長企業です)。施策を替えても同じ問題が繰り返される組織に向いており、まず数週間〜2ヶ月の観察フェーズから始めることもできます(本格的な伴走は6ヶ月以上が目安)。短期の研修だけで即時の成果を求める場合や、意思決定者が関与できない場合には、別の支援形態をご提案しています。初回相談は無料です。匿名の支援事例3件を https://dror.co.jp/case で公開しています。

調査概要

  • 調査名:『DOCI 2026 — 人的資本開示の構造分析:施策列挙から、構造設計へ』

  • 発行:株式会社DroR/臨床組織科学研究会

  • 公開日:2026年7月5日(PDF・56ページ・無料・登録不要)

  • 追加分析:株式会社DroR(レポート第1.0版の公開後に、レポートの集計とDOCIの集計データをもとに実施。検定の値と1社の判定で動く幅はレポートにない)

  • 追加分析2の公表:2026年10月19日(DOCI公開ページ「追加分析」)

  • 調査対象:TOPIX100構成企業(FY2025は有価証券報告書を提出した99社。残る1社は当該年度の未提出を確認)

  • 分析データ:EDINETに提出された有価証券報告書3期分(FY2023〜2025)。910営業日の提出情報を全数走査して299/300件を特定(299書類・296テキスト)

  • 本稿の範囲:D4(構造・因果記述)の帯分布(FY2025・99社)、帯3の出現(3期・296テキスト)、帯の組み合わせ上位5型(FY2025)、文字数4群別のD4到達率(FY2025)。1社の判定で動く幅と、文字数4群の到達率の差の検定(並べ替えによるカイ二乗検定・並べ替えによる傾向の検定、フィッシャーの正確検定)は、DroRの追加分析の値で、レポートにはない

  • 分析方法:4次元コーディング(施策記述・方針表明・指標連動・構造/因果記述、各0〜3の帯)。本文テキストの一次判定はAI(企業名・年度は伏せていない)。人による独立評定は、企業名などの表記を伏せたテキストで行う予定。定性評価はAI支援の一次コーディングに基づく暫定値で、複数の人による独立検証と信頼性係数(κ)の報告をもって確定

  • 分析の枠組み:臨床組織科学(COS)。Yamanaka, M., & Nakamori, M. (2026). Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations. Frontiers in Psychology, 17.

  • 引用時の表記例:株式会社DroR/臨床組織科学研究会(2026)『DOCI 2026 — 人的資本開示の構造分析:施策列挙から、構造設計へ』https://dror.co.jp/lab/doci

株式会社DroRについて

株式会社DroR(ドロア)は、臨床組織科学(Clinical Organizational Science, COS)に基づいて、成長企業の組織開発・組織変革を伴走支援する研究実践ファームです(東京・恵比寿)。会議・役割・意思決定・情報の流れなど、日々の行動を生み出している組織の構造を現場で観察し、手を入れる場所を絞って、変化が日常に残るまで伴走します(組織ディープテック)。財務経理・補助金などの実務を担う高度専門BPOも提供しています。COS の理論は査読論文(Frontiers in Psychology, 2026)として公表しています。

会社名:株式会社DroR(ドロア)/DroR Corporation

所在地:〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-4-8 ウィンド恵比寿ビル8F

代表:代表取締役 山中真琴

設立:2023年8月

資本金:10,000,000円

URL:https://dror.co.jp

事業内容:

  • 組織ディープテック:臨床組織科学(COS)に基づく組織開発・組織変革の伴走支援

  • 高度専門BPO:財務経理・補助金、SNS運用、マーケティングPM

  • M&A・PMI支援

研究・公開:臨床組織科学研究会(事務局)、人的資本開示の年次調査 DOCI、働く人の心理学・組織研究ナビ(research.dror.co.jp)

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会社概要

URL
https://dror.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区恵比寿西2丁目4番8号 ウィンド恵比寿ビル8F
電話番号
-
代表者名
山中真琴
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2023年08月