【市場調査会社ミンテル】2026年:世界の食品・飲料トレンド予測を発表-企業が注目すべき「食の多様性×個別化」「伝統的な食文化の尊重」「感覚を科学的に商品開発に取り入れる必要性」

世界の食品・飲料業界の来年の動向をアナリストが提示

株式会社ミンテルジャパン

ロンドンに本社を置く、グローバルな市場調査会社であるミンテルは「2026年:グローバル食品・飲料トレンド予測」を本日発表しました。

本トレンド予測は、日本市場にとっても示唆に富む内容となっています。近年の「ポリクライシス*」による生活不安、円安や物価高の継続、高齢化と人口減少、そしてテクノロジー依存の進展は、日本の消費者心理を複雑に揺さぶり続けています。こうした中でブランドが果たすべき役割は、単に製品を提供することではなく、生活者の不安や孤立感に寄り添い、未来に対するレジリエンス(回復力)を共に育む存在へと進化することです。

*ポリクライシスとは、複数の危機が同時進行し、相互に複雑に絡み合い、全体として影響を増幅させる状況を指します。例:気候変動 x 食料供給不安 x 地政学​ 

本レポートの無料版は、こちらからダウンロードが可能

https://www.mintel.com/jp/2026-Global-FD-trends-predictions

日本の消費者は「多様性」「伝統」「感覚」という3つの軸を通じて、食を生活の安心・楽しみ・自己表現に結びつけています。ブランドに求められるのは、単なるトレンド追随ではなく、これらの価値観を組み合わせ、生活者の「レジリエンス(回復力)」を支える伴走者となることです。2030年を見据えると、日本市場では「続けられる健康」「備える暮らし」「感覚で楽しむ食」がさらに深化し、ブランドにとっては文化的背景と科学的根拠を両立させる力が問われることになるでしょう。

ミンテルが予測する2026年の食品・飲料業界でトレンドとなる動向は、以下のとおり:

「最大化」が終わり、多様性が始まる​:

消費者は、たんぱく質や食物繊維などの栄養を摂ることだけでなく、食の選択肢そのものをもっと広げたいと考えるようになるでしょう。また、「多様性・公平性・包摂性(DEI)」という考え方が食の分野にも広がり、みんなが同じものを食べることに安心感を求める時代から、一人ひとりの違いを尊重する「食のDEI」へと価値観が変わっていくと予想されます。

レトロの復活:

各企業やブランドは、食べ物やその背景にある環境と、より深く心でつながりたいという消費者の思いに応えるために、伝統的な知恵を生かしながら新しい発想で進化していくようになるでしょう。

その結果、企業やブランドは「文化を守り、未来へ受け継ぐ存在」としての役割を担うようになると考えられます。

意図的な感覚体験:

味以外の感覚的な要素は、これまでのような「演出的で気まぐれなもの」から、「実際に役立つ、実用的なもの」へと進化していくでしょう。

食感・香り・見た目といった要素を、創造的かつ科学的な根拠に基づいて活用することで、これまで十分にサービスが届いていなかった消費者にも、より包み込むような体験を提供できる新しいイノベーションが生まれると考えられます。

「最大化」が終わり、多様性が始まる​

現代は健康に関する情報があふれていますが、2026年にはその中でもたんぱく質と食物繊維が注目を集め、誰にでも分かりやすく、手軽に摂れる「基本の栄養素」として定着していくでしょう。

そして2030年頃には、消費者の意識が「厳しい栄養管理」から「より幅広くバランスの取れた食生活」へと移行していくと考えられます。

食の価値は、「栄養を最大化すること」から「全体の調和を取ること」へ、そして「特定の栄養素だけに注目する食事」から「文化や多様性を反映した食の組み合わせ」へと進化していくでしょう。

また、親たちは子どもに必要な栄養を与えて成長や発達を支えるだけでなく、健康な腸内環境を育てることにも関心を持つようになります。種子やハーブ、スパイスなどを自分好みに組み合わせるなど、より多様で楽しめる食事の形を追求する動きも広がるでしょう。

さらに、健康志向の人々はAIを活用し、デジタル音楽の「シャッフル再生」のように、毎週の食事メニューを入れ替えて多様性を楽しむようになります。

AIは「これが好きなら、きっとこれも気に入るはず」といった提案を通じて、新しいけれどどこか馴染みのある食材や味との出会いを促してくれるでしょう。こうした流れの中で、文化的な背景を理解し、先を見据えた発想で革新を続けるブランドこそが、これからの消費者の期待に応えられる存在になると考えられます。

【根拠となるミンテルのデータ】

71%の昼食を食べるアメリカの消費者が、昼食を選ぶ際にはバラエティの豊富さ(異なるフレーバーがあるなど)が重要な要素だと回答

調査対象:米国:ランチを食べる18歳以上のインターネットユーザー1,904人​

出典:Mintel、2024年11月

レトロの復活

2026年の消費者にとって、「懐かしさ(ノスタルジア)」とは、特定の年や時代に戻りたいという意味ではありません。むしろ、AIが当たり前になり、不安定さを感じる現代社会の中で、「昔の生活はもっとシンプルで穏やかだった」という理想化された過去のイメージに安らぎを求めているのです。

近年の「ポリクライシス」の中で、人々はストレスを和らげ、心を整え、プレッシャーから解放されながら充実感を得る手段として、古代の知恵や伝統的な薬草に惹かれるようになっています。こうした傾向は特に、ミレニアル世代の間で強く見られます。彼らは「延びた中年期」とも言える人生の段階で、より深い意味や目的を求めています。

2030年までに起こるであろうさまざまな衝撃や災害の経験は、消費者に「どんな出来事にも備えられるようにしたい」という意識を芽生えさせ、自分自身や家庭の備蓄(食料庫)を整える行動につながるでしょう。伝統的な食材や調理法を大切にするブランドは、消費者が「昔ながらの知恵や歴史」に信頼を寄せる流れの中で、支持を集めると考えられます。

2030年頃には、旬の食材を使った食事、発酵や自然保存といった伝統的な食文化が、一部の人の関心事にとどまらず、「サスティナブルでレジリエンス(回復力)のある生活」のための主流な選択肢となるでしょう。

企業やブランドもまた、漬物・乾燥・発酵といった技術を単なる環境配慮ではなく、食品ロス削減・保存性向上・腸内環境の改善といった文化的な価値を持つ解決策として再評価していくでしょう。さらに、「工夫された保存食品」への新しい関心も高まり、缶詰、パウチ、フリーズドライ、冷凍食品など、長期保存ができる食品が新たな魅力を持つようになります。

【根拠となるミンテルのデータ】

35%の日本の消費者が、日常生活と災害時の両方で使用できる製品を備蓄しておきたいと回答

調査対象:日本:18歳以上のインターネットユーザー2,000人​

出典:Mintel、2024年3月

意図的な感覚体験

「ダーティソーダ」や「ドバイチョコレート」に代表されるように、近年は五感を刺激する“多感覚的な”商品が、遊び心や新しさ、そしてSNSで話題になるトレンドの象徴となっています。今後、ブランドは色・質感・香りといった要素をこれまで以上に意識的に活用し、五感を通して体験できる食の楽しさやブランドの世界観を作り出していくでしょう。

こうした多感覚に訴えるイノベーションは、仮想的で単調になりがちな現代の日常から抜け出す“解毒剤”のような役割を果たすようになります。2030年に向けては、高齢者や神経多様性のある人々、GLP-1薬の使用者など、これまで十分に配慮されてこなかった消費者層の感覚的ニーズに寄り添いながら、同時に一般の人々も魅了するような商品が生まれていくでしょう。

ブランドは、伝統的な食品や飲料そのものだけでなく、それを楽しむシーンや機会の再定義にも取り組むようになります。これは、Z世代やアルファ世代にとってブランドが「自分ごと」として感じられる新しい接点を作るチャンスでもあります。たとえば、かつては夜通し行われていた社交イベントが、朝のカフェでコーヒーや紅茶を片手に楽しむDJダンスパーティーへと姿を変えるかもしれません。

食品・飲料ブランドにとって、香り・音・映像といった多感覚的な要素を取り入れ、過去の世代にとって象徴的だった“食の体験”を現代的に再構築する機会が広がるのです。最終的に、食感・香り・感情的な満足感といった感覚面での期待をどれだけ理解できるかが、消費者の共感を呼ぶ製品を生み出す鍵になるでしょう。

【根拠となるミンテルのデータ】

48%のチップス、ナッツ、ポップコーン、ミートスナックを購入した韓国の消費者が、気分を高めるためにこうしたスナックを購入したと回答

調査対象:韓国:2025年1月までの3か月にポテトチップス/チップス系スナック、ナッツ、ポップコーン、ミートスナックを購入した18歳以上のインターネットユーザー902人​

出典:Mintel、2025年1月


■市場調査会社ミンテルの強み

ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、GNPDに蓄積されたデータや独自の消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しています。

■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)

ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。

■会社概要

企業名    :株式会社ミンテルジャパン

本社所在地 :東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 

       丸の内ビルディング18階

代表    :リチャード・カー

設立日   :2008年03月

事業概要    :トレンドレポートの販売、市場調査、市場分析等

WEBサイト:https://japan.mintel.com/ 

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株式会社ミンテルジャパン

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URL
https://www.mintel.com/jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 丸の内ビルディング18階
電話番号
03-6228-6595
代表者名
リチャード・カー
上場
未上場
資本金
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設立
2008年03月