内定者の8割以上が「不安・心配」な気持ちを抱えているなか、「期待感」は昨年よりも24.3pt増加!【期待】と【不安】が交差する結果に!両方の気持ちに寄り添うサポートが必要
内定者意識調査
株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション株式会社、本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所では、2022年10月3日~12月1日の期間で、2023年度入社予定の内定者623人を対象に「内定者意識調査」を実施し、その結果を公表いたします。
背景
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて低迷していた企業の採用活動は、経済再開や人手不足を受けて回復しつつあります。日本経済新聞社の2023年度の採用状況調査*1によると、主要企業の大卒内定者(23年春入社)は22年春入社数と比べて5.7%増え、4年ぶりに増加したという結果もでています。また同調査によると、採用計画に対する内定者の充足率(内定者数/募集人数)は過去10年で最低となるなど、人材の獲得競争は激しさを増し争奪戦が今後も続いていくでしょう。一方で、人材獲得だけではなく、若手社員の早期離職も近年問題視されています。当社の実施した調査*2でも、新入社員の約3割が入社半年も経たない中で離職を検討しており、若手社員の早期離職は経営課題のひとつとして多くの企業が対策をとり始めています。このような状況下で、新入社員が最初に直面する壁ともいえる、学生から社会人になるトランジション(移行期)のタイミングに、企業側はどのようなサポートをするべきか明らかにすべく、本調査では2023年度に入社する内定者に向けて、意識調査を実施しました。(*1*2まとめ参照)
調査結果の概要
・「不安・心配な気持ち」を抱えている内定者が初の8割超。一方で「期待感」は昨年よりも2割以上増加
・内定者の約7割が「自分の能力」に不安。上司との関係や職場風土を上回る
・社会人になるにあたり、「自身が成長する」「新しい経験」に期待を感じている内定者が約7割
・「この会社で頑張ろう!」という気持ちが100%の内定者は約半数
・「この会社で頑張ろう!」という気持ち、100%の人と100%以外の人で「不安」や「会社に求めるサポート」で意識差あり
調査結果の詳細
1. 「不安・心配な気持ち」を抱えている内定者が初の8割超。一方で「期待感」は昨年よりも2割以上増加
本調査では、2023年度春に入社予定の内定者に対し、これから社会人になるにあたりどのような気持ちが強いか、「不安、心配な気持ち」「嬉しさ、楽しみな気持ち」「さみしさ、悲しさ」など、8つの項目について質問しました。
結果、「不安、心配な気持ち」が最も高く、85.1%となりました。2020年度、2021年度に実施した同様の調査結果と比較すると、約8ポイント前後増加し、初めて8割を超える結果となりました。
次に、「嬉しさ、楽しみな気持ち」が66.9%、「期待感」が66.0%と続き、こちらも2020年度、2021年度と比較すると増加しました。特に、「期待感」は昨年は10ポイント以上減少していましたが、今年は昨年より24.3ポイントと大幅に増加する結果となりました。(図1)
2.内定者の約7割が「自分の能力」に不安。上司との関係や職場風土を上回る
8割以上の内定者が「不安、心配な気持ち」を抱えていることがわかりましたが、一体どのような不安があるのでしょうか。入社に向けての不安を質問したところ、1位に「自分の能力で仕事についていけるか(68.5%)」、2位に「しっかりと成果を出せるか(56.5%)」という結果となりました。
次に高くなった項目に「生活リズムの変化、社会人としての考え方に慣れることができるか」が45.6%、「上司とうまくやっていけるか」が43.3%、仕事内容や職場の風土については33%前後が不安を抱える結果となりました。上司との人間関係や職場環境よりも、自分の能力に関することに不安が集まりました。(図2)
3.社会人になるにあたり、「自身が成長する」「新しい経験」に期待を感じている内定者が約7割
次に、昨年より大幅に増加した「期待」についても見ていきます。入社に向けてどのような「期待」があるかを質問した結果、「色々と学び成長できる」が71.7%と最も高い割合となりました。次に「新しい経験ができる」が67.1%、「給料がもらえる」は55.5%、「誰かの役に立てる」が53.9%と続きました。内定者は社会に出ることに対して不安を抱えながらも、自身の成長や新たな経験へ、前向きに期待していることがわかりました。(図3)
4.「この会社で頑張ろう!」という気持ちが100%の内定者は約半数
不安と期待が入り混じる内定者ですが、内定時代に『この会社で頑張ろう!』という気持ちをどの程度持っているかについて質問をしたところ、「100%」と回答した人は54.3%と約半数という結果でした。残りの約半数の内定者の多くは、頑張ろうという気持ちは90~70%以上と高くあるものの、100%とは言い切れない不安や迷いなどが生じていると考えられます。(図4)
5.「この会社で頑張ろう!」という気持ち、100%の人と100%以外の人で「不安」や「会社に求めるサポート」で意識差あり
ここからは、「この会社で頑張ろう!」という気持ちが100%の内定者(以下、『100%内定者』と記載)と、それ以外の内定者(以下、『100%以外内定者』と記載)に分け、「入社に向けての不安」や「内定期間中にスキルアップのために取り組んでいること」、また「会社からの期待するサポート」に違いがあるかを見ていきます。
まず、「入社に向けての不安」について結果を見ていきます。100%内定者と100%以外内定者、どちらも最も高い割合となったのは「自分の能力で仕事についていけるか」でしたが、100%内定者のほうが7.3ポイント高い結果となりました。
それ以降の項目においても差があり、100%内定者の2位には「しっかりと成果を出せるか」が入りましたが、100%以外内定者では「生活リズムの変化、社会人としての考え方に慣れることができるか」が入り、100%内定者よりも13.7ポイント高く、違いが見られました。半数以上の項目において、100%以外内定者の方が割合が高く、100%内定者よりも様々な不安を感じている結果となりました。(図5)
次に、スキルアップのために個人的に取り組んでいることを見ていきます。100%内定者は、「スマートフォン、タブレット上で学習アプリを使って勉強をしている(32.5%)」が最も高く、100%以外内定者よりも10.7ポイント高い結果となりました。一方、100%以外内定者は「インターネット等で提供されるサービスを使って勉強をしている(26.7%)」と「スキルアップしたいが何をどう学べばいいかわからない(26.0%)」がほぼ同数となり、「スキルアップしたいが何をどう学べばいいかわからない」は100%内定者よりも高い結果となりました。(図6)
最後に、内定期間中、会社からどのようなサポートが欲しいか質問してみました。両者最も高い割合となったのは「先輩社員との人間関係を築く機会が欲しい」となり、6割以上の内定者が求めていました。100%内定者の2位には「業界の専門知識や専門スキルを教えてほしい」が入り、100%以外内定者よりも8.3ポイント高い結果でした。一方、100%以外内定者では「マナーや仕事の進め方など、社会人としての基礎を教えてほしい」が2位となりました。100%以外内定者が抱える不安の2位である「社会人としての考え方に慣れることができるか」といった気持ちの裏返しと思われます。(図7)
まとめ
今回の調査では、2023年春に入社予定の内定者に対し、今どのような不安や期待、考えを持っているか調査しました。結果、8割以上が『不安・心配な気持ち』、6割以上が『期待』を抱えるという、不安と期待が交錯する様子が顕著にみられました。
『不安・心配な気持ち』に関しては「自分の能力で仕事についていけるか」「成果が出せるか」と自分自身の能力に対する不安を抱える内定者が多い結果でした。2023年入社の内定者は、大学生活のほとんどがコロナ禍に過ごした世代です。採用面接や内定式もオンラインが多く、内定企業との縦のつながりや、同期間の横のつながりも少ないこと、また現在の経済状況の不安定さも相まって、自分が社会で通用していけるのかといった自身のスキルに対する漠然とした不安につながっていると推察できます。一方で、やっと経済回復の兆しが見えてきたことからも、コロナ禍での大学生活を脱し、新しい環境における新しい経験や自身の成長に期待をしている内定者が多いこともわかりました。
また、半数近くが「生活リズムの変化、社会人としての考え方」に不安を感じていたことも見逃せません。当社で2022年7月に実施した若手社員の意識調査*3では、「生活リズムや社会人としての考え方の習得」は入社前後のギャップとして最も高い項目となり、さらに離職意向に影響している結果も明らかになりました。内定期間中に感じている「生活リズムの変化、社会人としての考え方」の不安が、そのまま入社時に直面するネガティブなギャップに繋がらないように、企業側としては「学生と社会人の違い」を内定期間中にサポートしてあげることが重要であるといえるでしょう。
さらに、「この会社で頑張ろう」という気持ちが100%の内定者が半数しかいないという実態も明らかに。この会社で頑張ろうという気持ちが100%もある意欲の高い内定者は、自分の能力に関して不安を感じつつも、スマートフォンなどで学びを深め、スキルアップに取り組んでいる傾向にありました。一方、100%の気持ちではない内定者は、インターネット等で勉強している割合が最も高くなりましたが、ほぼ同数の割合で「スキルアップしたいが何をどう学べばいいかわからない」と感じている結果となりました。また、100%の気持ちではない人は、自分の能力だけでなく、生活リズムの変化や社会人としての考え方に慣れるかどうかにおいても半数以上が不安を感じていることがわかりました。
*1 日本経済新聞社「2023年度採用状況調査」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC170XT0X11C22A0000000/
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65452000W2A021C2MM8000/
*2 ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(社会人2~4年目の直面する壁 特別編 離職意向別)」
https://www.learningagency.co.jp/topics/20221128
*3 ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(入社前後のギャップ編ー社会人1年目ー)
https://www.learningagency.co.jp/topics/20220819
ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(入社前後のギャップ編ー社会人1年目ー)離職意向別
https://www.learningagency.co.jp/topics/20220831
調査概要
調査対象者 | 当社が提供する内定者向け研修の受講者(2023年卒業予定) |
調査時期 | 2022年10月3日~2022年12月1日 |
調査方法 | Web・マークシート記入式でのアンケート調査 |
サンプル数 | 623人 |
属性 | (1)業種 情報通信業 215人(34.5%) 製造業 65人(10.4%) 卸売業,小売業 50人(8.0%) 建設業 45人(7.2%) サービス業(他に分類されないもの) 41人(6.6%) 運輸業,郵便業 27人(4.3%) 学術研究,専門,技術サービス業 26人(4.2%) 生活関連サービス業,娯楽業 17人(2.7%) 電気,ガス,熱供給,水道業 13人(2.1%) 複合サービス事業 11人(1.8%) 教育,学習支援業 7人(1.1%) 金融業,保険業 6人(1.0%) 不動産業,物品賃貸業 4人(0.6%) 医療,福祉 2人(0.3%) その他 94人(15.1%) (2)企業規模 1~50人 78人(12.5%) 51~100人 119人(19.1%) 101~300人 282人(45.3%) 301~1,000人 82人(13.2%) 1,001~5,000人 14人(2.2%) 5,001人~ 1人(0.2%) 分からない 47人(7.5%) |
*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「内定者意識調査」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
株式会社ラーニングエージェンシー 当社は、設立以来、定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」、ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」、ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」、10万人以上が受検するビジネススキル診断テスト 「Biz SCORE Basic」など、人と組織の成長を支援する業界初*、特許取得のサービスを多数開発・提供しています。「LEARNING」の可能性を探求し続け、「人と組織の未来創り」を真にリードできる伴走者、ラーニングコアパートナーとして、お客様に長く貢献してまいります。 *Biz CAMPUS Basic、Mobile Knowledge(For Freshers)は東京商工リサーチ調べ、Biz SCORE Basicはシタシオンジャパン調べ ラーニングイノベーション総合研究所 ラーニングエージェンシーの研究機関であるラーニングイノベーション総合研究所(以下、LI総研)は、人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っています。LI総研はデータに基づいた最適な解決策もご提供し、お客様の組織開発をサポートしています。 代表取締役社長 眞﨑 大輔 事業内容 人材育成・教育研修 本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町 2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー18F URL https://www.learningagency.co.jp/ |
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