AIで仕事は速くなった。なのに、なぜ現場は忙しいままで、新規事業へ人を移せないのか

AIで生まれた「作業余力」が既存業務へ戻る構造を図解。新しい価値を生む仕事の3つの状態と、「戦略余力」への転換を確認する9問・約3分(1人あたり)のセルフチェックを公開

組織行動科学®︎

組織行動科学®に基づく研究・教育開発を行うリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は、AI活用によって一つひとつの業務が速くなったにもかかわらず、現場の忙しさが変わらず、新規事業や事業変革へ人材を移せない状態を整理した7点の図解と、本リリース内で回答できる9問・約3分(1人あたり)のセルフチェックを公開しました。

全図解とセルフチェックのダウンロード

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図解では、AIで生まれた時間が既存業務へ戻る構造と、新しい価値を形にするために必要な「曖昧さを前に進めるクリエイティブ」を含む、仕事の3つの状態を整理しています。

AIで生まれた時間は、目的・責任・評価・所属が変わらない限り、現在の仕事の品質向上や、これまで手をつけられなかった改善へ戻ります。

これは、AI活用が進んでいない企業だけの問題ではありません。AI活用が進み、社員が主体的に改善している企業でも起きます。

責任感があり、自ら仕事を見つけて動ける人は、AIで生まれた時間を顧客対応、分析、品質向上、積み残していた改善へ使います。仕事が速くなっても、新しい事業へ人が動くとは限りません。

本リリースでは、次の3点を確認できます

  • AIで生まれた時間が、実際には何に使われているか

  • 新しい価値をつくる仕事が、既存業務の改善に置き換わっていないか

  • 人材を新しい目的へ移せる責任・評価・役割になっているか

まず30秒で、AIで生まれた時間の行き先を確認してください

次の状態に、心当たりはありませんか。

  • AIによって、一つひとつの業務は明らかに速くなった

  • 以前はできなかった分析や改善にも取り組めるようになった

  • 現場の品質や生産性は高まっている

  • それでも、現場から「余裕ができた」という声は出てこない

  • 新規事業へ移す予定だった人が、現在の仕事に残っている

  • 優秀な人ほど、既存事業から外しにくい

  • 人を送り出すと、元の部門や管理職が不利になる

複数に当てはまる場合、最初に確認すべきは、社員の意欲や主体性ではありません。

責任感があり、自ら仕事を見つけて動ける人は、AIで生まれた時間を使って、現在の仕事をさらに良くしようとします。

  • 顧客対応を、さらに丁寧にする

  • 分析を、さらに深める

  • 品質を、さらに高める

  • これまで手をつけられなかった改善に取り組む

どれも必要で、価値のある仕事です。

だからこそ、作業時間が短くなっても、自然に人を別の目的へ移せる状態にはなりません。

仕事が速くなることと、人が別の事業へ動けることは、同じではありません。

AIが生むのは「作業余力」。組織が移して初めて「戦略余力」になる

本リリースでは、作業時間の短縮によって生まれた余力を「作業余力」と呼びます。

一方、その余力を人・役割・予算として別の目的へ移せる状態を「戦略余力」と呼びます。

  • 作業余力:個人の作業時間が短くなった状態

  • 戦略余力:人・役割・予算を新しい目的へ移せる状態

作業余力が生まれただけでは、戦略余力にはなりません。

目的・責任・評価・所属が変わらなければ、作業余力は現在の仕事へ戻ります。人・役割・予算を別の目的へ移す組織判断によって、初めて戦略余力になります。

時間が生まれても、現在の目的・責任・評価・所属は残っている

AIによって同じ仕事を短時間で終えられるようになっても、社員には引き続き、次の責任が残っています。

  • 現在の顧客に応える責任

  • 現在の事業目標を達成する責任

  • 現在の品質を守る責任

  • 現在の部門で成果を出す責任

この状態で時間だけが生まれれば、社員が余力を現在の仕事へ戻すのは合理的です。

一方、人材を新しい事業へ移すには、組織として次のことを決めなければなりません。

  • 現在の仕事を、どこまでで止めるか

  • 何をやめてもよいか

  • 誰を、現在の責任から外すか

  • 人材を送り出した部門の目標を、どう変えるか

  • 新しいテーマの初期段階を、何によって評価するか

これらは、現場社員が「空いた時間をどう使うか」として決められることではありません。

人材を新しい目的へ移すためには、空いた時間を渡すだけでなく、現在の責任を外し、送り出す部門の目標や評価も変える必要があります。

さらに、新規事業では、移動先の仕事の目的自体が十分に定まっていないことがあります。

「新規事業をつくる」という方針はあっても、

  • 誰の、どの状態を変えるのか

  • 何を問題として扱うのか

  • 何を新しい価値とみなすのか

が定まっていなければ、人を移しただけでは仕事は始まりません。

ここで不足しやすいのは、目的に向かって動く人ではありません。

目的そのものがまだ明確ではない状態を、前に進める仕事です。

新しい事業の入口には、「改善」の前に「目的を形成する仕事」がある

この課題を考えるため、仕事を3つの状態に整理します。これは、人を3種類に分類したり、能力を初級・中級・上級に分けたりする考え方ではありません。同じ人であっても、仕事を始める時点で何が決まっているかによって、必要な働き方は変わります。

「曖昧さを前に進める」「改善」「正解実行」は、能力の序列ではありません。仕事を始める時点で何が決まっているかが異なり、同じ人が3つの状態を行き来します。

「曖昧さを前に進めるクリエイティブ」とは 

新規事業や事業変革では、「新しいことを始める」という方針があっても、誰のどの状態を変えるのか、何を問題として扱うのか、何を価値とするのかが、まだ定まっていないことがあります。

私たちは、現場の事実や相手の反応、言葉になっていない違和感を手がかりに、対象・目的・問題・価値基準を仮置きし、小さく確かめながら形にする仕事を、「曖昧さを前に進めるクリエイティブ」と呼びます。

 ここでいうクリエイティブとは、自由にアイデアを出し続けることではありません。まだ明確ではない現実から、次に確かめるべき仮説と判断材料をつくる仕事です。

 目的と問題が見えれば、仕事は「改善」へ移ります。有効な方法や基準が定まれば、「正解実行」として安定的に再現できるようになります。

AIは、目的や問題が定義された後の改善や正解実行を大きく速めます。一方、新しい事業の入口には、その前段にある目的を形成する仕事が必要です。

 問題は、改善や正解実行があることではありません。顧客、技術、競争環境、社会が変わっているのに、目的や価値基準を見直す上流の仕事へ戻れないことです。

では、自社ではこの3つの仕事を分け、AIで生まれた余力を新しい目的へ移せる状態になっているでしょうか。次の9問で確認します。

AIで生まれた余力は、新しい目的へ移っているか

9問・約3分(1人あたり)セルフチェック

このセルフチェックは、組織を統計的に判定したり、個人の能力や意欲を評価したりするものではありません。経営層、事業責任者、管理職、現場社員の回答差から、最初に確認すべき事実を見つけるためのものです。点数は、現在地を考える目安として使用してください。

回答方法

  1. 同じ事業・部門・テーマを一つ決める

  2. 経営層、事業責任者、管理職、現場社員が、相談せずに別々に回答する

  3. 合計点ではなく、A・B・Cそれぞれの点数と、設問ごとの回答差を見る

対象を揃え、相談せずに回答することで、立場による認識の違いが見えてきます。

  • はい:2点

  • 一部そうである:1点

  • いいえ:0点

A「作業余力」、B「目的形成」、C「人材移動」の3領域を別々に採点します。点数の高さだけでなく、立場によってどの設問の回答が分かれたかを確認します。

セルフチェックシートのダウンロード

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9問は、A・B・Cを別々に確認する 

図版4の9問は、同じ事業・部門・テーマについて、経営層、事業責任者、管理職、現場社員が別々に回答します。確認するのは、9問の合計点ではありません。次の3領域が、それぞれどの状態にあるかです。

 A|作業余力

AIで何が減ったかを把握し、やめる仕事を決め、生まれた余力を人・役割・予算として別の目的へ移せているか。

 B|目的形成

現在の目的をより良くする「改善」と、誰の何を変えるかから考える「目的を形成する仕事」を分けられているか。 

C|人材移動

人を新しいテーマへ移すだけでなく、元の担当・会議・目標・責任や、送り出す部門の目標・評価も変えられているか。 

各領域は6点満点です

  • 5~6点 :その領域の条件は、比較的整っています。ただし、立場による回答差がある設問は確認が必要です

  • 3~4点:一部は整っていますが、人・部門・場面によって運用に差があります

  • 0~2点:個人の努力や意欲ではなく、責任・役割・評価など、組織の構造から確認する必要があります

重要なのは、点数の高低だけではありません。

A・B・Cのどこで止まっているか、また、どの設問で立場による回答差が生じたかによって、最初に確認すべき事実が変わります。

次に、A・B・Cそれぞれで、何から確認すべきかを整理します。

Aが低ければ「余力の行き先」、Bが低ければ「改善と目的形成の混同」、Cが低ければ「現在の責任が残っていないか」を確認します。

点数は、原因を断定するためではなく、事実を確認する場所を絞るために使う 

A・B・Cの点数が低いからといって、すぐに「AI活用が不足している」「新規事業を担う人材がいない」「管理職が人を出したがらない」と結論づける必要はありません。

点数は、最初にどの事実を見るべきかを示す目印です。同じ事業・部門・テーマについて、実際に減った仕事、生まれた時間の使い道、残っている責任、適用されている評価基準を確認します。

特に、A「作業余力」は高い一方で、B「目的形成」またはC「人材移動」が低い場合、AI導入や業務効率化が失敗しているわけではありません。課題は、生まれた余力を新しい目的へ移すための組織判断が追いついていないことにあります。

ただし、同じ組織を対象にしても、経営層、事業責任者、管理職、現場社員では、見えている事実と負っている責任が異なります。そのため、点数の低さだけでなく、どの設問で回答が分かれたかを確認することが重要です。

どちらかの認識が間違っているとは限りません。認識を揃えようとする前に、それぞれが見ている事実と、負っている責任を確認します。

回答差は、事実確認の入口になる 

回答が分かれたときは、どちらが正しいかを決めたり、すぐに認識を揃えたりする必要はありません。

まず、回答差が大きい設問を一つ選び、それぞれに次の3点を確認します。

  •  何を見て、その回答を選んだのか

  • 現在、どの目標や責任を負っているのか

  • 何が変われば、回答が変わるのか 

重要なのは、意見を一致させることではありません。

 回答の違いを生んでいる事実と、残っている責任を明らかにすることです。

 ここから、問題が「AIで生まれた余力の把握」にあるのか、「目的を形成する仕事」にあるのか、「人と責任の移動」にあるのかを切り分けます。

セルフチェック後、最初に行うこと

結果が出ても、すぐに制度や研修を検討する必要はありません。まず、回答差の大きい設問を一つ選び、関係者が見ている事実を確認します。

Aで回答が分かれた場合

  • どの業務時間が、実際に減ったか

  • 減った時間に、何の仕事が追加されたか

  • 実際にやめた仕事は何か 

Bで回答が分かれた場合

  •  そのテーマの目的は、すでに決まっているか

  • 「誰の何を変えるのか」は、誰の言葉になっているか

  • 何を価値とみなすかを、既存KPI以外で確認しているか 

Cで回答が分かれた場合

  • 移動した人に残っている会議、顧客、目標、責任は何か

  • 人材を送り出した部門の目標は変更されたか

  • 新しいテーマの初期段階を、何によって評価しているか 

ここまで確認すると、問題が社員の意欲にあるのか、仕事や組織の構造にあるのかを区別できます。

どの事実から確認すべきか定まらない場合

次のような状態では、立場の違いによる議論が社内で繰り返されます。

  • 何をやめれば人を動かせるのか、誰も決められない

  • 人材を送り出す必要性は共有しているが、送り出した部門の目標を変えられない

  • 新しいテーマを、既存事業のKPIで評価している

  • 新規事業担当者が、現在の仕事を兼務したままになっている

  • 回答差は見えたが、どの事実から確認すべきか決められない 

結論が出ていない段階で構いません。むしろ、回答が分かれている状態が、整理の出発点です。

立場ごとの点数、回答が分かれた設問番号、人を動かしたい事業・テーマの3点から、最初に確認すべき事実を整理します。個人名や機密情報は必要ありません。

どの事実から確認すべきか定まらない場合

回答差が見えても、どこから事実確認を始めるべきか定まらない場合は、図版7の3点をメール本文に記載してお送りください。個人名、顧客名、機密情報は必要ありません。

「作業余力」「目的形成」「人材移動」のどこから確認を始めるべきかを整理します。

件名:9問セルフチェックの読み解き

  • 回答者の立場ごとのA・B・Cの点数:

  • 回答が分かれた設問番号:

  • 現在、人を動かしたい事業・テーマ: 

リクエスト株式会社
判断デザインラボラトリー
E-mail:request@requestgroup.jp


代表取締役・甲畑智康 コメント

AIは、対象と目的が定義された仕事を大きく速めます。

しかし、新しい事業の起点になるのは、まだ名前のない顧客の困りごとや価値を、仕事として形にすることです。

現在の責任を残したまま、空いた時間だけを渡せば、責任感があり、自ら仕事を見つけて動ける人は、現在の仕事をさらに良くします。

人が動かないのではなく、人が動ける状態がつくられていないのです。

必要なのは、曖昧な現実から新しい目的を形成する仕事、形成した目的をより良く実現する仕事、有効性が確認されたものを正確に再現する仕事を分け、つなぐことです。

人に挑戦を求める前に、人が新しい目的へ移れる状態を、仕事と組織の中につくる。

新しい価値は、曖昧さを前に進めるところから始まります。

この9問が、自社で人材を移せない理由を、個人の意欲ではなく、仕事の構造から見直すきっかけになればと考えています。


リクエスト株式会社について

リクエスト株式会社は、「より善くを目的に」を掲げ、累計980社・33.8万人(2026年6月時点)の働く人の業務経験データに基づく組織行動科学®を基盤に、8つの研究機関を擁する企業です。

組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境・歴史・経験から解明し、より善く再現するための研究と教育開発を行っています。

会社名:リクエスト株式会社

代表取締役:甲畑 智康

所在地:東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目

本件に関するお問い合わせ:
リクエスト株式会社 判断デザインラボラトリー
E-mail:request@requestgroup.jp

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会社概要

URL
https://requestgroup.jp
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
電話番号
090-4183-2525
代表者名
甲畑智康
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年10月