Job総研による『2024年 転職条件の実態調査』を実施 9割が”ゆるさ”選択 40代で顕著 風土はキャリアに影響
〜 転職で給料上がるわけじゃない だったら「働き方」優先7割 〜
同調査は転職時に優先することや、現代におけるキャリアと企業風土の関係有無とその理由、また社会人が考える職場のゆるさ/厳しさの定義、さらに転職先に選ぶ企業風土とその年代別・転職回数別の回答、そして転職先にゆるさ/厳しさを選ぶ理由などを調査しました。
【転職先の企業風土】
厚生労働省の調査では、令和5年上半期の入職者率が9.7%と、前年同期と比べて0.4ポイント上昇したことがわかっています。また2024年4月には労働条件の明示ルールの変更や特定の職種での時間外労働規制がされるなど、働く環境への見直しに注目が集まっています。さらに過去のJob総研調査(※3)では、半数がゆるすぎる労働環境に嫌気がさしており、厳しさを求め転職することがわかっています。このような状況で、社会人は転職をする際どのような環境を選ぶのでしょうか。また、企業風土とキャリアの関係性についてどのような意識を持っているのでしょうか。
そこでJob総研では603人の社会人男女を対象に、転職時に優先することや、現代におけるキャリアと企業風土の関係有無とその理由、また社会人が考える職場のゆるさ/厳しさの定義、さらに転職先に選ぶ企業風土とその年代別・転職回数別の回答、そして転職先にゆるさ/厳しさを選ぶ理由などを調査した「2024年 転職条件の実態調査」を実施しました。
【調査概要】 調査対象者 :現在職を持つすべての社会人 JobQ Town(ジョブキュータウン)登録者 調査条件 :全国 / 男女 / 20~50代 調査期間 :2024年2月7日~2月13日 有効回答数 :603人 調査方法 :インターネット調査 |
【TOPICS】 ・全体の65.8%が転職先には給料より「働き方」を選ぶと回答 年代別では20代が最多 ・全体の83.6%がキャリアは企業風土に「左右される」理由は「ゆるさ/厳しさは変えられないから」 ・ゆるさの定義は「出退勤時間・働き方が自由」 厳しさの定義は「失敗への厳しさや批判がある」 ・全体の86.7%が転職先に「ゆるさ」求む 年代別では40代・転職回数別では5回以上の回答が最多 ・ゆるさ選ぶ理由は「プレッシャーやストレスの軽減」 厳しさ選ぶ理由は「報酬への期待」が1位 |
【転職時に優先すること】
回答者全体の603人に転職先を決める際、働き方と給料どちらを優先するかを聞くと、「働き方派」が65.8%で過半数を占め、内訳は「断然働き方」15.4%、「働き方」19.4%、「どちらかといえば働き方」31.0%でした。年代別の回答では20代の「働き方優先派」が71.1%で最多となり、次いで40代が70.3%、30代が62.3%、50代が58.6%の結果になりました。
【キャリアと企業風土の関係】
回答者全体の603人にキャリアは企業風土に左右されるかを聞くと、「左右されると思う」が83.6%で過半数を占め、内訳は「とても左右されると思う」22.4%、「左右されると思う」31.0%、「どちらかといえば左右されると思う」30.2%でした。左右されると回答した504人にその理由聞くと、「会社の厳しさ/ゆるさは自分で変えられない」が52.0%で最多となり、次いで「成長へのサポート体制が会社によって異なる」が46.6%、「職務やプロジェクトへの参加機会が会社毎異なる」が44.2%と、上位3つの回答となりました。
【職場のゆるさ/厳しさの定義】
回答者全体の603人に「職場のゆるさ」の定義を聞くと、「出退勤時間・働き方が自由」が55.4%で最多となり、次いで「服装や髪型などの自由度がある」が45.1%、「ワークライフバランスが保たれている」が44.6%と、上位3つの回答となりました。同回答者に「職場の厳しさ」の定義を聞くと、「失敗への厳しい対応や批判がある」が50.7%で最多となり、次いで「業務への高い要求とプレッシャーがある」が50.6%、「強い成果主義」が48.8%と、上位3つの回答となりました。
※更に詳細な集計データは別紙の「2024年 転職条件の実態調査 報告書」をご参照ください(※4)
【転職先の企業風土】
回答者全体の603人にキャリアアップのために転職は必要かを聞くと、「必要だと思う派」が81.7%で過半数を占め、内訳は「とても必要だと思う」23.2%、「必要だと思う」21.4%、「どちらかといえば必要だと思う」37.1%でした。同回答者に転職する際に求める企業風土を聞くと、「ゆるさを求める派」が86.7%で過半数を占め、内訳は「断然ゆるさを求める」23.7%、「ゆるさを求める」22.1%、「どちらかといえばゆるさを求める」40.9%でした。
【年代・転職回数別の回答】
転職する際に企業に求める風土の年代別回答では、「ゆるさを求める派」の40代が89.6%で最多となり、次いで20代が89.0%、30代が87.2%、50代が77.8%の結果になりました。転職回数別の回答では、5回以上の「ゆるさを求める派」が93.0%で最多となり、次いで0回が88.5%、1~2回が87.2%、3~4回が81.4%の結果になりました。
【ゆるさ/厳しさを選ぶ理由】
転職先にゆるさを求めると回答した523人にその理由を聞くと、「プレッシャーやストレスが軽減される」が65.1%で最多となり、次いで「ワークライフバランスが確保できる」が61.9%、「転職時に必ずしも給料が上がるわけではない」が41.5%と、上位3つの回答となりました。厳しさを求めると回答した80人にその理由を聞くと、「報酬とキャリアアップの可能性がある」が46.4%で最多となり、次いで「高い目標に挑戦できると思う」が40.9%、「常にレベルアップを意識できる」が35.5%と、上位3つの回答となりました。
※更に詳細な集計データは別紙の「2024年 転職条件の実態調査 報告書」をご参照ください(※4)
【回答者自由記述コメント】
転職で給料が必ず上がるわけではないので「ゆるさ」を優先する趣旨のコメントが顕著でした
・転職を何回かしてみて給料への期待は下がった。だから働き方を優先して自分に使う時間を作りたい ・転職で年収アップが保証されるわけではない。ゆるく働いて副業をするのも年収を上げる手だと思う ・過去転職で事前に伝えられた給与水準にならなかった。であればゆるく働く方がメンタル的にも良い ・以前転職で年収が下がったが、ゆるい職場の方がやりたいことに挑戦しやすかったため結果よかった ・転職をしてみたら年収が下がっていた。もう給与への期待は高く持たず、次はゆるく働ける方を選ぶ |
※その他、転職条件に関するコメントは下記「JobQ Town」にて確認いただけます。
【調査まとめ】
今回実施した「2024年 転職条件の実態調査」では、全体の約7割が働き方と給料では「働き方」を優先し、年代別では20代の「働き方優先派」が最多の結果となりました。
また、全体の8割がキャリアは企業風土に「左右されると思う」と回答しており、その理由として「会社の厳しさ/ゆるさは自分で変えられない」や、会社によって「成長へのサポート体制」や「職務やプロジェクトへの参加機会」が異なる点が挙げられました。そこで、職場のゆるさ/厳しさの定義を聞くと、職場のゆるさは「出退勤時間・働き方」「服装・髪型」などの自由度や、「ワークライフバランスの維持」など、企業の制度や規定が関係する項目が挙げられました。一方職場の厳しさは「失敗への厳しい批判」や「高い要求とプレッシャー」「強い成果主義」など、一緒に働く人の雰囲気に関連する項目が多数挙げられました。
このような状況の中、全体の8割がキャリアアップのために「転職は必要」と回答しており、全体の約9割が転職先の企業風土には「ゆるさを求める」と回答しています。「ゆるさを求める派」の年代別では40代、転職回数別では5回以上が最多となっていることから、社会人経験や転職経験を「厳しい環境」で積んだ場合、転職時の企業風土にゆるさを求める傾向があると考えられます。
転職先にゆるさを選ぶ理由では、「ストレスの軽減」や「ワークライフバランスの確保」など、プライベートの優先度を高めている様子が窺えただけでなく、「必ずしも転職で給料が上がるわけではない」など、給料への期待値を下げている意見も挙がりました。一方厳しさを選ぶ理由では、「報酬とキャリアアップの可能性」や「高い目標への挑戦」、「日常的なレベルアップ」など、キャリアに対する向上心が窺える回答が上位となりました。
働き方を優先する思考が20代で高まる中、厳しさよりも「ゆるさを求める派」は40代が最多であるものの、50代が最少であることから、昭和の働き方を経験した世代でも、転職時の企業風土の理想が異なることがわかりました。「いかにストレスフリーな環境で仕事をしながら、プライベートの時間を確保するか」を重視する社会人が多いことを踏まえると、今後社会人が定義する「厳しさ」の要素を持つ企業への転職者が減少していく可能性も考えられる調査結果となりました。
Job総研では今後も働き方に関連する様々な調査を実施し、リアルで透明度の高い情報を発信することで個が活躍する社会の実現を目指してまいります。
株式会社ライボ コミュニケーション戦略部 部長
広報グループ長兼「Job総研室長」
堀 雅一(ほり まさかず)
2021年にJob総研を立ち上げ、その後”働く社会人や就活生”を中心に様々な観点から意識や行動などについて調査研究を実施。市場の現状と未来を分析し、社会へ発信することで働く社会人や就活生の選択機会に貢献する事を目的としている。
またJob総研の調査をもとに各大学で「キャリア設計」の授業を実施する他、多くのメディアでキャリアや働き方など社会との関連などを解説している。
※取材についてのお問い合わせはプレスリリース最下部にある連絡先からお願いします
【(※4) 2024年 転職条件の実態調査 報告書】
報告書では同調査の属性やその他設問の回答結果をより詳細にご確認いただけます。
https://job-q.me/articles/15548
【(※3) 2023年 働く環境の実態調査 報告書】
https://job-q.me/articles/14729
【(※2)Job総研について】
Job総研は就職・転職やキャリア全般に関する研究や各種調査の実施により、市場の現状と未来を分析し、社会へ発信することで就転職関連市場に貢献する事を目的とし立ち上げられました。
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