【調査結果】AI時代に成果を出す上位1%は、AIに詳しい人ではなく「まだ言葉になっていない価値」を見つけている

33.8万人・980社の行動観察で見えた兆候。生成AIがHow=手段を担うほど、成果差はAIに入れる前のWhat=目的とWhy=背景に生まれる

組織行動科学®︎

組織行動科学®を企業へ提供するリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は、33.8万人・980社の働く人の行動観察をもとに、AI時代に成果を出す上位1%の人の特徴について、新たな調査結果を整理しました。

※ 本調査結果の図解資料集は、本リリース下部よりダウンロードできます。

今回の調査から見えてきたのは、生成AIを詳しく操作できるかどうかだけでは、成果差を説明しきれないということです。生成AIによって、文章作成、要約、比較、資料化、図解、アイデア出しなどのHow=手段は、短時間で生成しやすくなりました。

一方で、正解がない仕事、正解が一つではない仕事では、何を目的にするのか、なぜそれが必要なのか、誰のどの状態を変えるのかというWhat=目的Why=背景がなければ、AIの出力は成果につながりにくくなります。

33.8万人・980社の行動観察の中で、仕事を前に進める上位1%に見えはじめていたのは、AIに詳しいことそのものではありませんでした。現場や相手との関わりの中で得た事実から、背景にある前提や因果関係を読み取り、まだ言葉になっていない困りごとや価値を見つけ、それを目的として描き、AIに渡せる言葉にしていることです。

今回の調査結果では、AI時代に働く人の価値が、作業をこなす力から、経験から得た事実を目的と背景に変える力へ移り始めている兆候を整理します。

調査結果の要点

本調査では、33.8万人・980社の行動観察・分析から、上位1%に共通する兆候として、次の5点を整理しました。

① 生成AIによって、How=手段は短時間で生成しやすくなった

文章、資料、要約、比較、図解、案出しなどは、AIによって一定以上の品質で速く作れるようになっています。

② 成果差は、AIを使う場面ではなく「AIに入れる前」に移り始めている

AIに何を頼むかより前に、何のために頼むのか、誰のどの状態を変えるのか、どの事実を背景にするのかが成果を左右します。

③ 正解がない仕事・正解が一つではない仕事では、What=目的とWhy=背景が必要になる

選択肢が複数ある仕事、問いそのものがまだ決まっていない仕事では、AIが出した手段を選ぶ基準を人間がつくる必要があります。

④ 上位1%は、経験をそのまま使うのではなく、経験から得た事実を目的と背景に変えている

現場で見たこと、相手と話したこと、違和感、判断、失敗、反応を、AIに渡せる言葉に変えています。

⑤ 企業に必要なのは、AI研修だけではなく「必要経験設計」である

AIに渡す目的と背景をつくる経験を、仕事の中で意図的に増やす必要があります。

本リリースでいう「上位1%」とは

本リリースでいう「上位1%」とは、AI操作に詳しい人の順位ではありません。

33.8万人・980社の行動観察において、確認の往復が少ない、手戻りが少ない、相手の判断を前に進める、曖昧な仕事を形にする、周囲の行動を動かすといった観点から、仕事を前に進める行動が特に強く観察された層を指します。

この層に共通していたのは、作業の速さだけではありませんでした。作業に入る前に、何を見て、誰と対話し、どの事実を確認し、何を目的にすべきかを見立てる行動でした。

背景:生成AIによって、How=手段は生成しやすくなった

生成AIは、How=手段を短時間で生み出します。文章を整える。資料を分かりやすくする。情報を要約する。比較表をつくる。論点を整理する。図解案を出す。メール文面を整える。提案のたたき台をつくる。これらは、以前よりも速く、一定以上の高品質で実行しやすくなりました。

しかし、作業が速くなることと、成果が出ることは同じではありません。AIで作業時間が短くなっても、その時間が現在の仕事の追加改善へ戻るだけであれば、新しい価値を生む仕事へは移りません。AIが生むのは、まず「作業余力」です。その余力が「戦略余力」になるためには、組織が目的・役割・責任・評価・人の動かし方を設計し直す必要があります。

今回の調査結果では、そのさらに上流にある問いを扱います。

そもそも、その余力を何の目的に向けるのか。
その目的を、誰が、どの事実から描くのか。

ここに、AI時代の新しい成果差が生まれ始めています。

調査結果1:成果差は「AIに入れる前」に移り始めている

これまでの成果差は、資料をどれだけ早く正確に作れるか、文章をどれだけ分かりやすく書けるか、報告をどれだけ正確にまとめられるかに表れやすい場面がありました。

しかし、生成AIによってHowが生成しやすくなると、成果差は次の問いに移ります。

  • 何を作るべきか

  • 誰のために作るべきか

  • どの判断を前に進めるために作るのか

  • 相手がまだ言葉にできていない困りごとは何か

  • 背景には、どの事実・前提・因果関係があるのか

AI時代に成果を出す人は、AIに詳しい人だけではありません。
AIに作業を頼む前に、まだ言葉になっていない価値を見つけ、目的と背景として言語化できる人です。つまり、成果差は、AIの出力後ではなく、AIに入れる前の「経験から得た事実を、目的と背景に変える力」に移り始めています。

調査結果2:正解がある仕事はAIで速くなる。人が成果差を出す仕事は、正解がない仕事・正解が一つではない仕事へ移る

これからの仕事は、大きく3つに分かれていきます。

① 正解がある仕事

目的、方法、基準、完了条件が比較的明確な仕事です。たとえば、定型文作成、要約、比較表作成、議事録整理、形式調整、既存ルールに沿った処理などです。

この領域では、生成AIがHow=手段を強く支援します。人間の役割は、実行そのものから、確認、品質保証、最終判断へ移っていきます。

② 正解が一つではない仕事

目的や課題はある程度見えているが、選択肢が複数あり、何を選ぶかが状況によって変わる仕事です。たとえば、どの顧客を優先するか、どの施策から始めるか、どの資料構成が相手に伝わるか、短期成果と長期価値のどちらを優先するか、といった仕事です。

この領域では、AIは多くの案を出せます。
しかし、どの案を選ぶかは、目的、背景、制約条件、価値基準によって変わります。

③ 正解がない仕事

まだ問いも、目的も、問題も、価値基準もはっきりしていない仕事です。たとえば、顧客がまだ言葉にできていない困りごとを見つける、現場の違和感から新しいテーマを見つける、市場になっていない価値を見つける、AIで生まれた余力をどの新しい目的に向けるかを決める、といった仕事です。

この領域では、AIにいきなり答えを求めても不十分です。
AIに問う前に、人間が事実を見て、背景を想定し、目的を描く必要があります。

これから人が成果差を出す仕事は、正解がない仕事正解が一つではない仕事へ移り始めています。そこで問われるのは、AIに詳しいことではなく、経験から得た事実を読み、What=目的とWhy=背景をつくれるかです。

調査結果3:上位1%に共通する基本動作

「経験 → 事実 → 背景仮説 → 目的形成 → 言語化 → AI活用 → 判断更新」

上位1%には、次のような基本動作が見え始めています。

① 経験する

現場を見る。相手と話す。違和感を持つ。判断する。結果を見る。

② 事実を取り出す

何が起きたのか。誰が困っていたのか。何が止まっていたのか。何が繰り返されたのか。

③ 背景を想定する

どの前提がずれていたのか。何と何が因果関係でつながっていたのか。なぜ、その問題が起きたのか。

④ 目的を描く

誰の、どの状態を、どう変えるのか。何を前に進めるための仕事なのか。

⑤ 言語化してAIに渡す

目的、背景、事実、前提、因果関係、制約条件、期待する変化を言葉にする。

⑥ AIがHowを生成する

文章、資料、図解、比較、選択肢、手順、提案、診断、設計案を出す。

⑦ 人間が判断し、現場に戻す

AIの出力を、目的・背景・現場事実に照らして選び、直し、試し、更新する。

この一連の流れが、AI時代の仕事の基本動作になり始めています。

「まだ言葉になっていない価値」とは何か

本リリースでいう「まだ言葉になっていない価値」とは、相手や現場がまだ十分に言語化できていない困りごと、迷い、不安、前提のずれ、判断材料の不足、実現したい状態のことです。

たとえば、顧客が「資料を分かりやすくしてほしい」と言っている時、本当に必要なのは、資料の見た目を整えることではなく、上司や関係者に説明しやすい判断材料かもしれません。

現場が「忙しい」と言っている時、本当に起きているのは、作業量の多さだけではなく、何を優先すべきか、どこまで自分で決めてよいか、誰に何を確認すべきかが曖昧になっている状態かもしれません。

生成AIは、与えられた情報をもとに手段を出すことができます。
しかし、まだ言葉になっていない価値を見つけるには、現場の事実確認、相手との対話、違和感、判断経験が必要です。

働き方は「作業をこなす」から「目的をつくる」へ移り始めている

これまでの組織では、与えられた目的に対して、正しく、早く、丁寧に実行する力が重視されてきました。もちろん、これからも実行力は必要です。

しかし、生成AIがHowを担い始めると、働く人の中心価値は変わります。与えられた仕事を処理する。決められた手順を守る。依頼された資料を作る。メールや報告を整える。それだけでは、AI時代の成果差にはなりにくくなります。

これから重要になるのは、仕事になる前の段階です。誰が困っているのか。何がまだ言葉になっていないのか。どの前提がずれているのか。何を変えれば、相手や組織の判断が前に進むのか。そのために、AIに何を任せるべきなのか。

働き方は、「与えられた仕事をこなす」から、「まだ仕事になっていない価値を、目的に変える」へ移り始めています。

企業に必要なのは、AI研修だけではなく「必要経験設計」

AIツールの導入やプロンプト研修は重要です。
しかし、それだけでは十分ではありません。

AIに渡すWhat=目的とWhy=背景をつくる経験が仕事の中に不足していれば、AIから出てくるものは整っていても、相手や組織の判断を動かしにくくなります。

企業に必要なのは、社員が仕事の中で次の経験を積めるように設計することです。事実を見に行く。相手と対話する。前提のずれを見つける。因果関係を仮説化する。目的を描く。小さく判断する。結果から判断基準を更新する。AIに渡せる言葉にする。

これを必要経験設計と呼びます。必要経験設計とは、AIに渡す目的と背景を言語化できる人を育てるために、相手との関係性を前提にした対話、背景となる事実・前提・因果関係の確認、小さな判断、判断結果の更新、AIに伝えるための言語化を、仕事の中で意図的に増やす考え方です。

AI時代に必要なのは、AI操作の研修だけではありません。
AIに渡す前の経験を、仕事の中で意図的に増やすことです。

今回の調査結果は、AI時代の成果差を理解する3つの視点に整理できる

1. AI時代の成果差は、AIに入れる前に生まれる

経験 ➡ 事実 ➡ 背景仮説 ➡ 目的形成 ➡ 言語化 ➡ AI活用 ➡ 判断更新

AIがHowを生むほど、人間の成果差は「AIに入れる前」に生まれる。

2. 生成AIが担うHow、人間がつくるWhat・Why

  • How:文章化、要約、比較、資料化、図解、案出し

  • What:誰の、どの状態を変えるのか

  • Why:なぜ、それが今必要なのか
    背景:事実確認、対話、前提、因果関係、判断経験

3. 上位1%に共通する5つの経験

① 関係性をつくる経験

② 対話を通じて、背景となる事実・前提・因果関係を確かめる経験

③ 目的をつくる経験

④ 小さく判断し、結果から更新する経験

⑤ AIに伝わる言葉にする経験

AI時代の目的形成力 簡易チェック

本リリースに合わせて、企業や働く人が自分たちの現在地を確認できる「AI時代の目的形成力 簡易チェック」を整理しました。

チェック項目例

  1.  AIに依頼する前に、誰のどの状態を変えたいのかを確認している

  2. 作業指示だけでなく、背景となる事実や前提を言葉にしている

  3. 相手がまだ言葉にできていない困りごとを聞く場がある

  4. AIで出した案を、現場で使える形に直している

  5. 判断結果を振り返り、次の問いや判断基準に変えている

  6. 目的・背景・事実・制約条件・期待する変化をAIに渡せている 

この簡易チェックにより、AI活用そのものではなく、AIに渡す前の目的形成力がどの程度あるかを確認できます。

本調査結果の図解資料集をPDFでダウンロードできます 

本リリースで紹介している主要画像14枚を、社内共有しやすいA4横版の図解資料集としてまとめました。

 AI時代に成果差が生まれる構造、上位1%に共通する基本動作、必要経験設計、目的形成力チェックなどを1枚ずつ確認でき、管理職会議、AI活用推進、人材育成施策の検討、社内勉強会などでご活用いただけます。

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代表コメント

生成AIによって、仕事のHowは大きく変わりました。文章を整える、資料をつくる、比較する、図解する、案を出す。これらは、以前よりも速くできるようになっています。

しかし、正解がない仕事、正解が一つではない仕事では、Howだけでは成果になりません。

  • 誰のどの状態を変えるのか

  • なぜ、それが必要なのか

  • 背景にはどの事実があるのか

  • どの前提がずれているのか

  • 何と何が因果関係としてつながっているのか

これらは、AIが自動的に決めるものではありません。現場で得た事実、相手との対話、判断してきた経験から、人間が目的として描き、言語化する必要があります。

33.8万人・980社の行動観察の中で、上位1%に見えてきたのは、AIに詳しいことそのものではなく、AIに入れる前に、まだ言葉になっていない価値を見つけているという兆候でした。

AI時代に働く人の価値は、作業量だけでは測れなくなります。自分が見てきた現場、聞いてきた声、感じてきた違和感、積み重ねてきた判断経験を、目的と背景に変えられる人が、AIを最も活かしていくと考えています。

調査概要

調査名称:AI時代に成果を出す人の行動兆候に関する調査

調査主体:リクエスト株式会社 判断デザインラボラトリー

対象データ:リクエスト株式会社が企業研修、実務支援、行動観察、振り返り記述、実践課題、対話記録などを通じて蓄積してきた、働く人の行動観察データ

データ規模:33.8万人・980社

分析対象場面:報告、相談、会議、メール・チャット、依頼対応、顧客対応、トラブル対応、忙しい時の対応、AI活用場面など

分析観点:確認の往復、手戻り、相手の判断を前に進める行動、曖昧な仕事を形にする行動、作業前の事実確認、目的形成、背景の言語化、判断経験の更新など

注記:本リリースでいう「上位1%」は、AI操作技能の順位ではなく、33.8万人・980社の行動観察において、仕事を前に進める行動が特に強く観察された層を指します。
本調査は、生成AIそのものの性能評価ではなく、生成AIが仕事に入る時代に、働く人の成果差がどこに生まれ始めているかを、行動観察の観点から整理したものです。

弊社がお役に立てること

リクエスト株式会社では、今回の調査結果をもとに、企業向けに以下の支援を進めています。

  •  AI時代の目的形成力 詳細チェック

  • AI時代の必要経験設計診断

  • 管理職向け「目的と背景をつくる仕事設計」研修

  • 現場向け「AIに渡す目的と背景を言語化する」実践講座

  • 生成AI活用を、作業効率化から新しい価値創出へつなげる組織支援 

AI活用の次の課題は、ツールの導入やプロンプトの書き方だけではありません。AIに渡す前に、人がどのような事実を見て、どのような背景を読み、何を目的として描くのか。その経験を、仕事の中でどのように増やすのかが問われています。

生成AIがHowを担うほど、人間の成果差は、経験から得た事実を読み、What=目的とWhy=背景をつくり、AIに渡せるかに移り始めています。

AI時代の目的形成力 詳細チェック、必要経験設計診断、研修・実践講座に関するご相談は、判断デザインラボラトリーまでお問い合わせください。

リクエスト株式会社について

リクエスト株式会社は、「より善くを目的に」を掲げ、累計980社・33.8万人(2026年6月時点)の働く人の業務経験データに基づく組織行動科学®を基盤に、8つの研究機関を擁する企業です。

組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境・歴史・経験から解明し、より善く再現するための研究と教育開発を行っています。

会社名:リクエスト株式会社

URLhttps://www.requestgroup.jp/

代表取締役:甲畑 智康

所在地:東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F

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会社概要

URL
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業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
電話番号
090-4183-2525
代表者名
甲畑智康
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年10月