“管理職になって良かった”と感じること、1位「意思決定に関与できる」、2位「裁量が増える」。3位の「収入の増化」を上回る

管理職意識調査(管理職のやりがい編)

ALL DIFFERENT株式会社

累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、5月20日~7月17日の期間で、管理職531名を対象に「管理職意識調査」を行いました。本リリースでは、「管理職になって良かったこと」にフォーカスし、管理職の属性ごとに回答を比較分析した結果を公表します。

背景

市場の変化が加速し、競争が激化する一方で、経済と賃金の長期的な停滞が続く近年は、まさに「不確実性の時代」と言えます。そんな中で、部署や部門、チームの成果を創出し続けることが求められる管理職に対して、報酬と負担が見合わないと感じる人は少なくないかもしれません。

確かに、部下のライフワークバランスや多様性、コンプライアンスなどを踏まえながら、部門の成果を創出し続けることは決して簡単ではありません。様々な企業が、管理職や管理職候補をどのように育成し、活躍に導くのか、頭を悩ませています。

 そこで、当社ではこれまで焦点が当てられにくかった管理職の「やりがい」について調査しました。どんな管理職が、どんなことについて「管理職になって良かった」と感じているのか調べ、明らかにしました。

調査結果の概要

  1. 管理職になって良かったこと、1位は「意思決定に関与できるようになった」で半数以上(図1)

  2. 【男女別】管理職になって良かったことのトップ、男性は「意思決定に関与」、女性は「収入の増加」(図2)

  3. 【ステージ別】管理職になって良かったこと、全ステージ通じて「意思決定に関与」が上位に(図3)

  4. 【業務内容別】なって良かったことの回答割合、「プレーヤー業務寄り」に比べて、「マネジメント業務寄り」が高い傾向(図4)

調査結果の詳細

1.管理職になって良かったこと、1位は「意思決定に関与できるようになった」で半数以上

課長クラス以上の管理職(以下「管理職」と記載)に対し、管理職になって良かったと感じることについて質問したところ、最も割合が高かったのは「意思決定に関与できるようになった」(51.5%)でした。次いで「仕事の裁量が増えた」(48.2%)、「収入が増えた」(46.8%)が続き、報酬面のメリットよりも、仕事の役割や幅が広がったことに対して喜びを感じる管理職が多い結果となりました。

「部下の成長や成功を喜べるようになった」が42.0%、「経営視点が養われた」が41.2%と、管理職ならではの視野の広がりや視座の高まりにやりがいを感じている人も一定数いました。

また、「良かったと感じることはない」と回答した人は5.0%で、95.0%が「なって良かった」と感じていることがわかりました(図1)。

2.【男女別】管理職になって良かったことのトップ、男性は「意思決定に関与」、女性は「収入の増加」

管理職になって良かったことを男女で比較したところ、回答傾向に差があることがわかりました。

男性の上位回答は、回答割合が高い順に、「意思決定に関与できるようになった」(53.2%)、「仕事の裁量が増えた」(49.5%)、「収入が増えた」(45.1%)でした。

女性は、「収入が増えた」(55.9%)、「意思決定に関与できるようになった」(44.1%)、「仕事の裁量が増えた」「部下の成長や成功を喜べるようになった」(ともに42.4%)でした。

男女で最も差が大きくなった項目は「新しい挑戦の機会を得られた」で、女性39.0%、男性26.3%で、女性が12.7ポイント高くなりました。また、「収入が増えた」も女性が10.8ポイント高くなりました。

男性の回答割合の高さが目立った項目は、「チームを先導できるようになった」で、女性の23.7%に対し男性は10.0ポイント高い33.7%でした。また、「意思決定に関与できるようになった」は9.1ポイント、「仕事の裁量が増えた」は7.1ポイント、男性の回答割合がそれぞれ高くなりました。(図2)。

3.【ステージ別】管理職になって良かったこと、全ステージ通じて「意思決定に関与」が上位

続いて、管理職になって良かったことについて、経験年数や役職などのステージごとに違いがあるのか調べました。調査対象の管理職のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と3つのステージに分類し、回答結果を比較しました。

新任管理職

1~3年目の課長クラス

ベテラン管理職

4年目以上の課長クラス

幹部候補

部長クラス

結果、新任管理職では「収入が増えた」(50.7%)が最も高く、半数以上が回答しました。2位は「意思決定に関与できるようになった」で44.9%、3位は「仕事の裁量が増えた」で42.6%でした。

ベテラン管理職は、「意思決定に関与できるようになった」が最高の52.0%。「仕事の裁量が増えた」が45.5%、「収入が増えた」が44.7%と続きました。

幹部候補は、「意思決定に関与できるようになった」が最も高く、60.2%。続いて、「仕事の裁量が増えた」が59.2%、「経営視点が養われた」「部下の成長や成功を喜べるようになった」がともに56.1%でした。

全ステージで「意思決定に関与できるようになった」が上位となり、幹部候補は6割を超えました。幹部候補は「経営視点が養われた」「仕事の裁量が増えた」「部下の成長や成功を喜べるようになった」の項目でも、新任・ベテランより10ポイント以上高い結果となりました(図3)。

4.【業務内容別】なって良かったことの回答割合、「プレーヤー業務寄り」に比べて、「マネジメント業務寄り」が高い傾向

さらに、担う業務内容によって「管理職になって良かったこと」に違いがあるのか調べました。業務内容がマネジメント業務よりプレーヤー業務の割合が多い管理職を「プレーヤー業務寄り」、プレーヤー業務とマネジメント業務の割合が約半分の管理職を「中間タイプ」、プレーヤー業務よりマネジメント業務の割合が多い管理職を「マネジメント業務寄り」と分類し、それぞれの回答結果を比較しました。

マネジメント業務寄り

プレーヤー業務の割合0~30%台*、マネジメント業務の割合が多いタイプ

中間タイプ

プレーヤー業務の割合40~60%台*、プレーヤー業務とマネジメント業務の割合が約半分のタイプ

プレーヤー業務寄り

プレーヤー業務割合70~100%*、プレーヤー業務の割合が多いタイプ

*「マネジメント業務とプレーヤー業務のうち、プレーヤー業務に費やしている、ご自身の時間の割合はどの程度ですか」という質問に対し、全てプレーヤー業務を100%、全てマネジメント業務を0%とし、10段階で回答。

プレーヤー業務寄りの「管理職になって良かったこと」のトップは「収入が増えた」(46.3%)。続いて、「意思決定に関与できるようになった」(45.7%)、「仕事の裁量が増えた」(42.9%)でした。

中間タイプは「意思決定に関与できるようになった」が最も高く、56.8%でした。「収入が増えた」(46.6%)、「チームを先導できるようになった」(45.5%)が続きました。

マネジメント業務寄りは、「仕事の裁量が増えた」が63.8%で最高。次いで、「意思決定に関与できるようになった」(57.4%)、「部下の成長や成功を喜べるようになった」「経営視点が養われた」(ともに54.3%)でした。

ほとんどの項目で、プレーヤー業務寄りの管理職よりもマネジメント業務寄りの管理職の方が、回答割合が高い結果となりました(図4)。

※全体の結果は、下部の「参考資料」をご参照ください。

まとめ

近年では負担とやりがいが見合わないと思われがちな管理職ですが、本調査の結果から、実際は様々な面で「なってよかった」と感じている管理職が多いことがわかりました。その理由について、管理職全体で最も回答割合が高かったのは「意思決定への関与」、2位が「裁量の拡大」、3位が「収入の増加」でした。このことから、報酬面よりも自己決定権や影響力の高まりにやりがいを見いだす管理職が多いと推察されます。さらに男女別、ステージ別、業務内容別といった切り口から比較したところ、それぞれ回答傾向が異なることがわかりました。

男女別では、男性は「意思決定への関与」、女性は「収入の増加」がそれぞれ1位でした。

ステージ別では、新任管理職は「収入の増加」がトップで半数以上が回答。ベテラン管理職と幹部候補はともに「意思決定への関与」が最高。新任管理職で半数以下だった「意思決定への関与」は、幹部候補では6割以上でした。

業務内容別では、プレーヤー業務寄りタイプは「収入の増加」がトップ、マネジメント業務寄りタイプは「裁量の拡大」がトップでした。大半の項目でマネジメント業務寄りの回答割合が、プレーヤー業務寄りの回答割合より高い結果となり、マネジメント業務寄りの管理職の方がやりがいを強く感じている様子がうかがえました。

近年、負担が大きさに注目が集まることの多い管理職ですが、本調査の結果から実際は多様なやりがいを感じており、担う業務内容などによって、やりがいをさらに高められる可能性が示唆されました。

考察

本調査で、管理職になって良かったことについて、複数の視点から傾向が明らかになりました。

性別の違いに着目すると、「新しい挑戦の機会を得られた」「収入が増えた」「チームを先導できるようになった」の3項目において、男女間で10ポイント以上の差が見られました。男性は周囲への影響力に価値を見いだす傾向があると考えられます。一方、「新しい挑戦の機会を得られた」「収入が増えた」の2項目では、女性の回答割合が男性を上回りました。

ステージ別では、「収入が増えた」「意思決定に関与できるようになった」「仕事の裁量が増えた」が新任・ベテラン・幹部候補のいずれにおいても上位に挙げられました。「収入の増加」と回答したのは新任管理職が最多で、管理職昇格時が最も金銭的な報酬にやりがいを感じるようです。「意思決定への関与」「裁量の拡大」はステージが上がるほど回答割合が高くなりました。より重要な意思決定への関与や広範な裁量を担うことが、管理職としてのやりがいの向上に寄与していると考えられます。

管理職になり、得られる環境面(収入・権限・裁量)にやりがいを感じる一方で、「自己成長を実感できた」との回答が2〜3割にとどまったことは、注目すべき結果です。管理職は、自身よりも部下や組織に意識が向きやすく、自身の成長を実感しにくいのかもしれません。管理職が自分の成長を認識できるような働きかけを行うことで、管理職としてのやりがいをさらに高められるでしょう。企業としては、定期的に上司や他の管理職と対話する場を設け、変化や成長を振り返る機会を提供することが有効です。また、マネジメントスキルを定量的に測定し、成長を可視化する仕組みも効果的です。管理職がやりがいを持って業務に取り組む姿勢は職場の雰囲気や後進育成、管理職自身のキャリア開発に良い影響を与えるため、企業によるさらなる支援が期待されます。

ALL DIFFERENT株式会社

コンテンツマネジメント部 コンテンツ開発リーダー

木下 桃子(きのした・ももこ)
早稲田大学大学院修了後、ALL DIFFERENT(旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタントおよび研修講師として、サービスの企画・開発、講師育成、中堅企業から大手企業に至るまでの人材育成支援に従事。研修の企画・提案から実施に至るまで、幅広い領域で実績を有する。研修講師として、管理職向けプログラムを中心に多数登壇。OJT指導者向け研修や女性活躍推進に関連するプログラムなども含め、年間100回を超える研修を実施している。加えて、サービス企画・開発チームのリーダーとして、管理職育成を目的としたコンテンツ開発を主導している。

参考資料

調査概要

調査対象者

当社が提供する管理職向け研修の受講者

調査時期

2025年5月20日~7月17日

調査方法

Web・マークシート記入式でのアンケート調査

サンプル数

531名

属性

(1)業種

農業,林業 4人(0.8%)

建設業 46人(8.7%)

製造業 120人(22.6%)

電気・ガス・熱供給・水道業 4人(0.8%)

情報通信業 103人(19.4%)

運輸業,郵便業 9人(1.7%)

卸売業,小売業 58人(10.9%)

金融業,保険業 22人(4.1%)

不動産業,物品賃貸業 18人(3.4%)

学術研究,専門・技術サービス業 17人(3.2%)

生活関連サービス業,娯楽業 8人(1.5%)

教育,学習支援業 1人(0.2%)

医療,福祉 4人(0.8%)

複合サービス事業 3人(0.6%)

サービス業(他に分類されないもの) 78人(14.7%)

その他 36人(6.8%)

(2)企業規模

50人以下 40人(7.5%)

51~100人 72人(13.6%)

101~300人 230人(43.3%)

301~1,000人 125人(23.5%)

1,001~5,000人 61人(11.5%)

5,001人以上 2人(0.4%)わからない 1人(0.2%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「管理職意識調査(管理職のやりがい編)」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所について

当社の研究機関、ラーニングイノベーション総合研究所🄬(以下、LI総研)は、「人と組織の未来創り🄬」に関するさまざまな調査・研究活動を行っております。

LI総研はデータに基づいた最適な解決策もご提供し、お客様の組織開発をサポートしております。

ALL DIFFERENT株式会社について

当社は、組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業です。「真の未来創りの伴走者」として、人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用に至るまでの組織開発・人材育成の全領域を一貫してご支援しております。

代表取締役社長 眞﨑 大輔

本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町 2-7-1 有楽町ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F

支社     関西支社、中部支社

人員数    328人(2025年4月1日時点)

事業    組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施

サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」

ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」

IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」/経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか

URL https://www.all-different.co.jp/corporate

※記載されている社名、サービス名などの固有名詞は登録商標です。なお、本文および図表中において、必ずしも商標表示( (R)、TM )は付記していません。

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

ALL DIFFERENT株式会社

14フォロワー

RSS
URL
https://www.all-different.co.jp/corporate
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町ITOCiA(イトシア) オフィスタワー15F〔受付〕・17F・18F
電話番号
03-5222-5111
代表者名
眞﨑 大輔
上場
未上場
資本金
-
設立
2006年02月