管理職が考える「理想のリーダー像」 新任ステージほど”寄り添い型”、熟練ステージほど”成果創出型”

管理職意識調査(理想のリーダー像編)

ALL DIFFERENT株式会社

累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、2025年5月20日~7月17日の期間で、管理職531名を対象に「管理職意識調査」を行いました。本リリースでは、回答者のうち課長クラス以上の管理職の理想のリーダー像に焦点を当てた結果を公表します。

背景

近年、企業を取り巻く環境が急速に変化する中、管理職に求められる役割が多様化・高度化していると言われています。当社が今年実施した新入社員意識調査*で最も支持された理想の上司像は「間違いを指摘して正してくれる」管理職でした。では、実際に管理職を担う人々はどのような理想のリーダー像を思い描いているのでしょうか。

管理職が考える理想のリーダー像と自分自身のリーダーシップ発揮に影響を及ぼした経験を明らかにし、管理職がチームを導くためのヒントを探ります。

本調査では、管理職を役職や経験年数により3つのステージに分類して比較・分析し、より解像度の高い管理職の実態とその背景に迫ります。

*新入社員意識調査2025(3933人が考える成長に必要なもの編) https://www.all-different.co.jp/topics/202506011 

調査結果の概要

  1. 管理職の理想のリーダー像、新任・ベテランは「部下に寄り添い支えるリーダー」、幹部候補は「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」がトップ(図1)

  2. リーダーシップの発揮に【ポジティブな影響】を与えた経験、新任は「上司からのフィードバック」、ベテランは「顧客からのハードな欲求の対応」、幹部候補は「取引先との難しい交渉」がそれぞれ1位(図2)

  3. リーダーシップの発揮に【ネガティブな影響】を与えた経験、新任・ベテランは「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」、幹部候補は「特になし」がそれぞれトップ(図3)

調査結果の詳細

1.管理職の理想のリーダー像、新任・ベテランは「部下に寄り添い支えるリーダー」、幹部候補は「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」がトップ

初めに、課長クラス以上の管理職(以下「管理職」と記載)に、どのようなリーダー像が理想か質問をしました。

管理職のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と三つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるか見ていきます。

新任管理職

1~3年目の課長クラス

ベテラン管理職

4年目以上の課長クラス

幹部候補

部長クラス

結果、新任管理職の上位は、「部下に寄り添い支えるリーダー」が32.4%、「目的達成のための道筋を立てるリーダー」が19.9%、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」が14.7%となりました。「部下に寄り添い支えるリーダー」は他ステージより突出し、幹部候補の約3倍の回答割合となりました。

ベテラン管理職の上位は、「部下に寄り添い支えるリーダー」が22.0%、「目的達成のための道筋を立てるリーダー」が19.5%、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」が17.9%でした。順位は新任管理職と同様でしたが、回答割合がより分散する結果となりました。

幹部候補の上位は、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」が27.6%、「目的達成のための道筋を立てるリーダー」が24.5%、「目指すべき方針やビジョンを掲げるリーダー」が15.3%となりました。特に、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」は、他ステージと比較して突出しました。

              
3つのステージを比較すると、「部下に寄り添い支えるリーダー」と「高いプレーヤー能力で部門をけん引するリーダー」は、ステージが上がるにつれて割合が低下する傾向が見られました。一方で、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」と「目指すべき方針やビジョンを掲げるリーダー」はステージが上がるにつれて割合が上昇する傾向が見られました(図1)。

2.リーダーシップの発揮に【ポジティブな影響】を与えた経験、新任は「上司からのフィードバック」、ベテランは「顧客からのハードな欲求の対応」、幹部候補は「取引先との難しい交渉」がそれぞれ1位

次に、現在の管理職としてのあり方やリーダーシップの発揮に【ポジティブな影響】(成長につながった、自信を得たなど)を与えた経験はどのようなものだったか質問しました。各ステージの上位3つを抜粋して比較します。

新任管理職では、「直属の上司からのフィードバック」が最も高く29.4%、次いで「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」と「上司の業務の代行」が同率で27.9%となりました。

ベテラン管理職では、「顧客からのハードな要求の対応」が34.1%、「取引先との難しい交渉」が33.3%、「部門横断のプロジェクトリーダーの経験」が26.8%と続きました。

幹部候補では、「取引先との難しい交渉」が46.9%、「顧客からのハードな要求の対応」が38.8%、「部門横断のプロジェクトリーダーの経験」と「全社に影響する重大なトラブルの対応」が同率で34.7%となりました。

              
ステージが上がるにつれ、「顧客からのハードな要求の対応」や「取引先との難しい交渉」、「部門横断のプロジェクトリーダーの経験」など、他部門・社外との連携経験がポジティブな影響を与える傾向が見られました(図2)。

※全体の結果は、ページ下部の「参考資料①」をご参照ください。

3.リーダーシップの発揮に【ネガティブな影響】を与えた経験、新任・ベテランは「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」、幹部候補は「特になし」がそれぞれトップ

次に、現在の管理職としてのあり方やリーダーシップの発揮に【ネガティブな影響】(やる気が下がった、自信を無くしたなど)を与えた経験について質問しました。各ステージの上位3つを抜粋して比較します。

新任管理職では、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」が33.8%、「特になし」が25.7%、「組織の一員としては望ましくない状態の部下との対峙」が19.1%となりました。

ベテラン管理職では、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」が26.8%、「組織の一員としては望ましくない状態の部下との対峙」が17.9%、「部下からの厳しい意見」が16.3%となりました。

幹部候補では、「特になし」が29.6%、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」が22.4%、「組織の一員としては望ましくない状態の部下との対峙」が19.4%となりました。

              
どのステージにおいても、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」と「組織の一員としては望ましくない状態の部下との対峙」は、ネガティブな影響を与えている傾向が見られました。特に「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」は、ステージが低いほどネガティブに感じる割合が高くなりました。一方で、どのステージにおいても「特になし」の割合は10%以上となり、新任管理職と幹部候補は約4人に1人以上が回答する結果となりました(図3)。

※全体の結果は、ページ下部の「参考資料②」をご参照ください。

まとめ

本調査では、理想の管理職像とリーダーシップを発揮するうえで影響を受けた経験が明らかになりました。

新任管理職は、「部下に寄り添い支えるリーダー」が理想の管理職像のトップとなりました。自身のリーダーシップの発揮にポジティブな影響を与えた経験については「上司からのフィードバック」が上位に上がり、自身の上司の姿や姿勢に影響を受けていることが考えられます。一方で、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」は、ネガティブに感じる割合が高く約3人に1人が回答した結果となりました。

ベテラン管理職の理想像も「部下に寄り添い支えるリーダー」がトップとなりました。ポジティブな影響を与えた経験は「顧客からのハードな欲求の対応」、ネガティブな影響を与えたものは「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」がそれぞれ1位となりました。

最後に、幹部候補の理想像は「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」がトップとなりました。ポジティブな影響を与えた経験は「取引先との難しい交渉」、ネガティブな影響を与えたものは「特になし」がそれぞれ1位となったことから、ステージが上がるにつれ、視座が高まり、組織や企業をけん引することへの意識が高まっていることが考察できます。

考察「各ステージの管理職に求められる成長機会とは」

本調査により、管理職の各ステージにおいて理想とするリーダー像が異なることが明らかになりました。

新任・ベテラン管理職では「部下に寄り添い支えるリーダー」が最多でした。現場に近い立場であることから、部下との関係性や部下支援の重要性が反映されていると考えられます。特に新任管理職においては自身の経験不足や不安感を補うため、部下との信頼関係構築を求める傾向があると推察されます。一方、幹部候補では「強い責任感を持って成果を創出するリーダー」が最も多く挙げられ、結果に対する責任感の高さがうかがえます。

また、リーダーシップの発揮にポジティブな影響を与えた要因もステージごとに異なりました。

新任管理職では「直属の上司からのフィードバック」「プレーヤー業務の逼迫による多忙」「上司の業務の代行」が上位でした。上司からのフィードバックだけでなく、ひっ迫するほど多くの実務経験を乗り越えることが、リーダーとしての考え方を深める機会になったと前向きに捉える人が一定数存在すると考えられます。管理職としてさらなる成長を目指すには、上司の仕事を代行しながら判断軸の引き継ぎや、立ち居振る舞いなどへの指導を受けることが有効でしょう。企業としては、1on1やメンター制度の導入など、新任管理職が上司や周囲からのフィードバックを受け取る機会の整備を推進することが求められます。

ベテラン管理職・幹部候補では「顧客や取引先との難しい交渉」や「部門横断プロジェクトのリーダー経験」が上位に挙げられました。責任者として社内外と対峙する厳しい場を経験して、全社視点や長期視点、判断力、対人力、胆力などが磨かれていると考えられます。ベテラン管理職・幹部候補としての成長を期待する際は、成長機会が設けられているか点検しましょう。具体的には、社外との厳しい交渉全社プロジェクトのリーダーを任せるなどのストレッチアサインメント(背伸び業務の任命)が望まれます。そのような機会が十分に設けられない場合は、重要な意思決定やその根拠を組織内で共有する仕組みを整備する、シミュレーションを用いたトレーニングを行い、追体験してもらうなどの代替的な育成手法を活用するとよいでしょう。

これらの取り組みを通じて、各ステージの管理職が着実に成長し、組織全体のパフォーマンス向上に寄与することが期待されます。

ALL DIFFERENT株式会社
コンテンツマネジメント部 コンテンツ開発リーダー
木下 桃子(きのした・ももこ)
早稲田大学大学院修了後、ALL DIFFERENT(旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタントおよび研修講師として、サービスの企画・開発、講師育成、中堅企業から大手企業に至るまでの人材育成支援に従事。研修の企画・提案から実施に至るまで、幅広い領域で実績を有する。

研修講師として、管理職向けプログラムを中心に多数登壇。OJT指導者向け研修や女性活躍推進に関連するプログラムなども含め、年間100回を超える研修を実施している。

 現在は、管理職育成を目的としたコンテンツ開発をサービス企画・開発チームのリーダーとして、主導。

調査概要

調査対象者

当社が提供する管理職向け研修の受講者

調査時期

2025年5月20日~7月17日

調査方法

Web・マークシート記入式でのアンケート調査

サンプル数

531人

属性

(1)業種

農業,林業 4人(0.8%)

建設業 46人(8.7%)

製造業 120人(22.6%)

電気・ガス・熱供給・水道業 4人(0.8%)

情報通信業 103人(19.4%)

運輸業,郵便業 9人(1.7%)

卸売業,小売業 58人(10.9%)

金融業,保険業 22人(4.1%)

不動産業,物品賃貸業 18人(3.4%)

学術研究,専門・技術サービス業 17人(3.2%)

生活関連サービス業,娯楽業 8人(1.5%)

教育,学習支援業 1人(0.2%)

医療,福祉 4人(0.8%)

複合サービス事業 3人(0.6%)

サービス業(他に分類されないもの) 78人(14.7%)

その他 36人(6.8%)

(2)企業規模

50人以下 40人(7.5%)

51~100人 72人(13.6%)

101~300人 230人(43.3%)

301~1,000人 125人(23.5%)

1,001~5,000人 61人(11.5%)

5,001人以上 2人(0.4%)

わからない 1人(0.2%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「管理職意識調査(理想のリーダー像編)」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所

「人と組織の未来創り®」に関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社

ALL DIFFERENT株式会社

組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地   〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社      中部支社、関西支社
人員数     328人(2025年4月1日時点)
事業      組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL       https://www.all-different.co.jp/corporate

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業種
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電話番号
03-5222-5111
代表者名
眞﨑 大輔
上場
未上場
資本金
-
設立
2006年02月