キャリア形成支援がある企業の若手社員、8割超が「今の会社で働き続けたい」。「会社の支援感じない」若手社員は勤続意向が半数以下
ファーストキャリア調査(成長時間・キャリア志向編)

累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、2025年8月1~27日の期間で、社会人1~4年目の若手社員1,793人に対し意識調査を実施しました。本リリースでは若手社員の成長実感やキャリア志向について分析した結果をお伝えします。
背景
若手社員の早期離職は多くの企業が抱えている課題ですが、若手社員が離職に踏み切る背景の1つに、現在の職場で成長していけるのかという不安や焦りがあるとされています。また、近年はジョブ型雇用へシフトする企業もあり、これからは一人ひとりがキャリアデザインに自律的に取り組むことが重要だとされています。しかし、キャリアをどのように切り開いていくか明確な将来像を持てない若手社員も少なくありません。
若手社員が成長し、キャリアを自律的に築いていくためには、自身の努力だけでなく、上司や企業からの支援が必要です。本リリースでは若手社員の成長・キャリア志向、企業・上司からの支援に対する実感をまとめました。
調査結果の概要
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任される仕事が自分の成長につながっている実感、社会人1年目は64.8%。社会人4年目は半数以下(図1)
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新しい業務を任される実感、社会人1年目は63.9%も、社会人歴が長くなるにつれて低下傾向(図2)
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業務につながる知識・スキルの強化に取り組む4年目社員は46.3%で、1年目より14ポイント低下(図3)
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将来のキャリア志向、「未定」「志向なし」の回答割合、社会人4年目が最も高く約半数(図4)
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上司からのキャリア形成支援がある若手社員ほど、管理職・専門職を目指す割合が高い(図5)
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会社のキャリア形成支援、「適切に行っている」と感じる割合は年数が上がるにつれて低下傾向(図6)
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会社からの適切なキャリア形成支援、「感じる」若手社員の勤続意向割合は「感じない」の6倍以上(図7)
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考察「若手社員の定着・成長を促すカギとは」

調査結果の詳細
1.任される仕事が自分の成長につながっている実感、社会人1年目は64.8%。社会人4年目は半数以下
まず初めに、自身の成長実感について質問しました。
今任されている仕事は、自身の成長につながっていると感じるかという質問に対して、社会人1年目社員は「感じる」と回答した割合が27.2%でした。「やや感じる」の37.6%を含めると、64.8%が成長につながっていると回答しました。一方、社会人4年目社員は「感じる」(15.7%)、「やや感じる」(32.8%)となり、その合計は48.5%で、社会人1年目社員に比べて16.3ポイント低い結果となりました。
「感じる」「やや感じる」を含めた割合は、社会人2年目社員が57.3%、社会人3年目社員は56.4%で、社会人歴が上がるにつれて成長実感が低下する傾向が見られました(図1)。

2.新しい業務を任される実感、社会人1年目は63.9%も、社会人歴が長くなるにつれて低下傾向
仕事による成長実感は社会人歴が上がるにつれて低下していることがわかりましたが、その背景には何があるのでしょうか。若手社員はどのような仕事を任されているか、という側面から分析していきます。
「同じ内容の業務ばかりでなく、スキルや経験に応じて新たな業務を任されていますか」という質問に対し、「はい」「どちらかといえばはい」と回答した割合は、社会人1年目社員は63.9%、社会人2年目社員は56.6%、社会人3年目社員は55.8%、社会人4年目社員は51.1%でした。社会人歴が長くなるにつれて新しい業務に挑戦する機会が減る傾向が読み取れました(図2)。

3. 業務につながる知識・スキルの強化に取り組む4年目社員は46.3%で、1年目より14ポイント低下
若手社員は、自身ではどのような努力をしているのでしょうか。
「自身の業務につながる知識・スキルを強化する努力をしていますか」という質問に対し、「している」「ややしている」と答えた割合は、社会人1年目社員は60.3%でしたが、社会人2年目社員は49.9%、社会人3年目社員は51.8%、社会人4年目社員は46.3%でした。知識・スキル強化をしている社会人4年目社員の割合は社会人1年目社員に比べて14.0ポイント低く、業務につながる知識・スキルの強化は社会人1年目社員が最も努力していることがわかりました(図3)。

4. 将来のキャリア志向、「未定」「志向なし」の回答割合、社会人4年目が最も高く約半数
今後の成長が期待される若手社員は、将来のキャリアについてどのように考えているのでしょうか。
「将来会社でどのような役割を担いたいですか」という質問に対する回答を社会人歴ごとに集計したところ、社会人1年目社員と社会人3年目社員では「スペシャリストとして専門領域を極めたい(専門職)」がトップとなりました。また、社会人2年目社員ろ社会人4年目社員は「特にキャリアについての志向はない」の回答割合が最も高くなりました。
一方で、「マネジメントを行いチームを統率したい(管理職)」と回答した社会人1年目社員は12.5%で、社会人2年目以降はいずれも1割を割り込みました。
「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」「特にキャリアについての志向はない」の回答割合は、どちらも社会人4年目社員が最も高くなり、その合計は48.7%でした(図4)。

5.上司からのキャリア形成支援がある若手社員ほど、管理職・専門職を目指す割合が高い
若手社員は経験年数を蓄積しても、キャリア志向が明確になるわけではない実態がわかりました。若手社員のキャリア志向に影響を与える要素はあるのでしょうか。
「上司は、あなたのキャリアの希望や今後の成長について、相談に乗ったり、アドバイスをくれたりしていますか」という質問を行い、キャリア志向との関係を分析しました。結果、「マネジメントを行いチームを統率したい(管理職)」「スペシャリストとして専門領域を極めたい(専門職)」とも、上司からのサポートについて「はい」と回答した若手に占める割合が最も高く、それぞれ23.2%、33.4%でした。管理職志向と専門職志向の回答割合は、上司からのサポートの度合いによって高まり、上司からのサポートの度合いが低くなるほど、未定・キャリア志向なしの割合が高まりました(図5)。

6.会社のキャリア形成支援、適切だと「感じる」割合は年数が上がるにつれて低下傾向
さらに会社からのキャリア形成支援の状況について調べました。今の会社は、社員のキャリア形成や成長に対して、適切な支援を行っていると感じますかという質問に対する回答を社会人歴別で比較したところ、会社からの支援が適切だと「感じる」回答割合は、社会人歴が上がるにつれて低下傾向が見られ、社会人1年目社員では21.5%でしたが、社会人4年目社員では1割を切りました。(図6)。

7.会社からの適切なキャリア形成支援、「感じる」若手社員の勤続意向割合は「感じない」の6倍以上
さらに会社からのキャリア形成支援の有無と勤続意向の関係性について調べました。勤続意向に関しては「勤務先企業で働き続けたいと思いますか」という質問に対して「思う」「どちらかといえば思う」「どちらかといえば思わない」「思わない」の4段階評価で回答いただきました。
結果、会社からの適切なキャリア支援を「感じる」と答えた若手社員は、勤務先企業で働き続けたいと「思う」と回答した割合が59.7%となりました。「どちらかといえば思う」が27.9%で、計87.6%が働き続けたい意向を示しました。
一方、会社からの適切な支援を「感じない」と答えた若手社員は、勤務先企業で働き続けたいと「思わない」が57.2%、「どちらかといえば思わない」が27.8%と将来的な離職リスクが高いことがわかりました(図7)。

まとめ
本調査では、社会人1~4年目の若手社員の成長実感や成長環境、キャリア志向、上司・企業からのキャリア形成支援の関係性について調査しました。
結果、社会人歴が長くなるほど成長実感や新たな挑戦機会が減少していることがわかりました。また、知識・スキルの獲得について努力している割合は、社会人1年目社員が最も高くなりました。社会人1年目社員では新たに取り組む業務が多く、自身でも必要な知識・スキルの強化に取り組む必要に迫られる機会が多いでしょう。一方、新人の時期を過ぎて、任される業務がマンネリ化している若手社員は、努力しなくても一定の成果を出せるため、知識・スキルを強化する必要性を感じにくい可能性もあります。
将来のキャリア志向を年次別に比較したところ、管理職志向の回答者の割合は社会人1年目社員が最も高い12.5%で、未定・キャリア志向なしの回答割合は社会人4年目社員が最も高くなりました。また、上司によるキャリア形成支援についての実感度合いとキャリア志向の関係を調べたところ、上司からキャリア支援が「ある」と答えた若手は、「ない」と答えた若手よりも管理職・専門職など明確なキャリアを持つ傾向があり、未定・志向なしの割合が低くなりました。
さらに会社からのキャリア形成支援の実感の有無と勤続意向の関係を調べたところ、会社からの支援を感じている若手社員ほど、「働き続けたい」と答える割合が高く、相関関係があることがわかりました。
これらの調査結果から、若手社員は経験年数を重ねると成長実感の低下、業務のマンネリ化、成長努力の低下傾向が見受けられるため、社会人1年目以降も企業・上司による適切な成長支援、環境整備が求められることがわかりました。また、企業・上司によるキャリア形成支援は、若手社員のキャリア自律のみならず、定着にも良い影響が期待できることが明らかになりました。
考察「若手社員の定着・成長促すカギとは」
本調査では、若手社員の「企業からの成長・キャリア形成の支援の実感度合い」と「その企業での勤続意向」に相関関係がみられることがわかりました。企業から適切な支援があると感じる若手社員の6割近くがその企業で働き続けたいと考えている一方で、企業から適切な支援がないと感じる若手社員の6割近くがその企業で働き続けたいとは思わないという、対極的な結果となりました。
また、「今任されている仕事は、自身の成長につながっていると感じますか」という質問に対し「感じる」「やや感じる」と回答した割合は、社会人1年目社員では6割以上のところ、社会人4年目社員が5割以下となり、社会人歴が上がるにつれて低下する結果となりました。
若手社員は、入社当時はどの仕事も新鮮に思え、自身の成長を実感する機会が多くあります。しかし、入社年月が経つと、仕事に慣れマンネリ感を抱くようになり、社外の環境が良く思えて離職を考え始める若手社員も少なくありません。
若手社員が現在の企業で成長を感じ、将来的にどのように活躍したいかを考えるには、「働き続けることで得られる価値」への期待を企業や上司が醸成することが重要です。
<取り組み例>
・上司からの、若手社員の部下一人ひとりに対する期待の伝達
・若手社員の中長期的な成長を見据えた育成計画の策定
・若手社員にとって適度にストレッチな経験となる業務(背伸び業務)のアサイン
・将来どのような活躍の道があるかの紹介
・家庭環境の変化など柔軟な働き方に対応できる制度の整備
人手不足が企業の経営課題となっている昨今、若手社員の定着と成長を促すためには、企業や上司が「働き続けることで得られる価値」を明確に伝え、期待感を育む取り組みが不可欠であるといえるでしょう。

ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部 コンテンツマネジメント部 ユニットリーダー
宮澤 光輝(みやざわ・こうき)
東京大学卒業後、ALL DIFFERENT (旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタントと研修講師を兼務し、サービスの企画・開発、研修講師育成、中堅~大企業に対して研修の企画・提案および実施などをはじめとした人材育成支援に従事。複数の全社プロジェクトでプロジェクトリーダーを担当。現在はサービスの企画・開発チームのリーダーとして、対面研修、オンライン研修などの新サービスの企画・開発、研修講師育成を担う。研修講師としては公開講座や企業内研修等で、OJT指導者向け、管理職向けの研修を中心に年間100回以上実施。
調査概要

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調査対象者 |
社会人1~4年目の就労者 |
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調査時期 |
2025年8月1~27日 |
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調査方法 |
調査会社によるインターネット調査 |
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サンプル数 |
1,793人(社会人1年目335人、2年目405人、3年目523人、4年目530人) |
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属性 |
(1)業種 農業,林業 18人(1.0%) 漁業 8人(0.4%) 鉱業,採石業,砂利採取業 12人(0.7%) 建設業 93人(5.2%) 製造業 254人(14.2%) 電気・ガス・熱供給・水道業 74人(4.1%) 情報通信業 131人(7.3%) 運輸業,郵便業 60人(3.3%) 卸売業,小売業 117人(6.5%) 金融業,保険業 94人(5.2%) 不動産業,物品賃貸業 48人(2.7%) 学術研究,専門・技術サービス業 35人(2.0%) 宿泊業,飲食サービス業 33人(1.8%) 生活関連サービス業,娯楽業 30人(1.7%) 教育,学習支援業 97人(5.4%) 医療,福祉 270人(15.1%) 複合サービス事業 31人(1.7%) サービス業(他に分類されないもの) 125人(7.0%) 公務 89人(5.0%) その他 104人(5.8%) わからない 70人(3.9%) (2)企業規模 50人以下 282人(15.7%) 51~100人 268人(14.9%) 101~300人 312人(17.4%) 301~1,000人 336人(18.7%) 1,001~5,000人 294人(16.4%) 5,001人以上 301人(16.8%) |
*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「ファーストキャリア調査 成長実感・キャリア志向編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
ラーニングイノベーション総合研究所
「人と組織の未来創り®」に関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。
《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更
代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 中部支社、関西支社
人員数 328人(2025年4月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
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