70歳までの就業時代に向け、シニア人材の実態や若手への影響に関する調査結果を発表 定年後再雇用で年収は平均44.3%減。過半数は職務変わらず

シニアの給料・評価に20代の3割が不満。シニアの仕事の不透明さ・疎外は若手の離職にも影響 シニアの活躍には変化適応力が重要。法改正への表層的対応ではなく、人事制度・施策の見直しを

 株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:渋谷和久)は、シニア人材の就業実態や就業意識に関する調査結果を発表します。本調査は、70歳まで就業機会を確保する努力義務が企業に課されたことを受け、シニア人材の活躍や若手社員への影響に関する定量データを把握し、企業経営・人事に資する提言を行うことを目的に実施しました。
  • 調査結果概要
①    定年後再雇用者の年収・職務の変化
 定年後再雇用による年収の変化について聞いたところ、約9割の人の年収が下がっている(定年前とほとんど変わらない人は8%、定年前より上がった人は2.2%)。また、定年後再雇用で働いている人は全体平均で年収が44.3%も下がっていることが明らかとなった。さらに、50%程度下がった人は22.5%、50%より下がった人は27.6%と、再雇用者のうち約5割の人は年収が半分以下になっている。

 また、再雇用者に職務の変化について聞いたところ、過半数の人が「ほぼ同様の業務」という回答だった。「ほぼ同様の業務」と回答した人も平均で年収が39.3%下がっているが、同一労働同一賃金やシニア人材のモチベーションの観点から問題と言える。

                図表1 定年後再雇用者の年収・職務の変化

②    シニア人材の処遇に対する不公平感
 若い年代の社員ほどシニア人材に対する不公平感が強い。20代では、シニア人材が得ている給料や評価に対して約3割が不公平感を抱いている。

                 図表2 シニア人材に対する不公平感

*5件法で聴取し「とてもそう思う」と「ややそう思う」の合計を同意の数値として集計

③    シニア人材の働き方が若手社員に与える影響
 シニア人材の働き方が若手社員に与える影響をみると、シニア人材がどのような業務を行っているか分からない「仕事の不透明さ」がある職場では、ない職場に比べて転職意向が25.5ポイント高く、シニア人材が「疎外された状況」にある職場では、ない職場に比べて転職意向が26.1ポイント高かった(図表3)。また、若い年代ほど転職意向が高まる傾向にある(図表4)。シニア人材の働き方は若手社員の離職にも影響しており、そうした観点でもシニア不活性化にきちんと対応すべきである。

            図表3 シニア人材の働き方が若手社員に与える影響

*不透明さの質問項目は「同じ組織に、どんな役割・仕事をしているのかよくわからないシニア社員がいる」、疎外状況の質問項目は「私の組織では、孤立しているシニア社員がいる」。
*5件法で聴取し「とてもそう思う」と「ややそう思う」の合計を「あり」、 「どちらともえいない」と「あまりそう思わない」と「全くそう思わない」の合計を「なし」として集計。

            図表4 シニア人材の働き方が若手社員に与える影響(年代別)

*図表3の注記と同じ質問項目、5件法。

④    シニア人材向けの教育・研修の実施率
 シニア人材向けの教育・研修の実施について聞いたところ、約5割が「実施されていない」との回答だった。また、約3割が「実施されているが、充実していない」との回答であり、約2割しか満足していない結果となった。教育・研修は、就業環境の変化に伴うシニア人材の学び直しや職務との適合性、意欲の引き出しの観点から重要だが、現状は不十分と言える。

              図表5 シニア人材向けの教育・研修の実施率

⑤    何歳まで働きたいか
 いつまで働き続けたいかについて50代と60代に分けて回答を集計したところ、60代の方がより高い年齢まで働きたい傾向が強いことが分かった。しかし、「71歳以上生涯働けるまで」との回答割合は、50代で12.1%、60代で13.1%とほぼ変わらず、70歳まで就業機会が確保されることで、約9割の高齢者のニーズが満たされることが分かった。

                    図表6 働き続けたい年齢

⑥    定年の年齢
 所属先の企業が定めている定年の年齢について聞いたところ、「60歳」との回答が約7割だった。次いで多いのは「65歳」で約2割だった。「定年なし」は3.4%にとどまった。

             図表7 所属先の企業が定めている定年の年齢

  • 分析コメント~法改正に表層的に対応するだけではなく、人事制度や施策を見直すべきだ~(上席主任研究員・小林 祐児)

 シニア人材の不活性化は、日本企業が伝統的に抱え続けている課題である。今回の調査は、シニア人材がパフォーマンスを発揮するための適切な人事制度・施策の検討に資するものとなる。

 調査結果を見ると、シニア人材の「変化適応力」は、個人パフォーマンス、職域変更への積極性、学習行動に影響しており(図表8)、シニア層の活性化には、この力をいかに高めるかが鍵になりそうだ。その具体的な施策として、企業内のポジション情報を開示し公募型異動を増やすことによって、キャリア選択機会を増やすことや、教育・研修機会を若手社員以外にも積極的に提供することなどが考えられる。

 また、上司・キャリアアドバイザー・仕事関連の友人・知人とのキャリア相談経験が、この変化適応力を高めるという結果も得られており(図表9)、シニア人材が自らのキャリアについて客観的な意見をもらう機会を作り出すことも提言したい。

 企業のシニア人材の課題については、「70歳就業機会確保の努力義務」という法改正への表層的な対応に終わらせることなく、人事制度や各種施策全体を見直していく必要がある。

           図表8 変化適応力が個人パフォーマンスに与える影響

            図表9 キャリア相談の相手と変化適応力への影響

※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と明記してください。
※調査結果の詳細については下記をご覧ください。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/assets/senior-peers.pdf
 
  • ■調査概要


■【株式会社パーソル総合研究所】<http://rc.persol-group.co.jp/>について
 パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。

■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
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