第31回日本介護福祉学会大会にて、「栄養ケア実践における介護記録ソフトへの献立連携機能追加の有用性について」を発表しました
当社は、ご利用者の栄養状態に着目し、1日あたりの提供カロリーの見直し等、日々のケアの内容を検討しています。そこで今回、ご利用者の食事摂取状況の調査を行い、摂取状況を記録する介護記録ソフトに日々の提供カロリーを含む献立を連携することの有用性を検討し、その結果を発表しました。
■発表テーマ
「栄養ケア実践における介護記録ソフトへの献立連携機能追加の有用性について」
<発表者>
認知症戦略部 加藤 綾、杉本 浩司
■発表内容
高齢者は、低栄養になりやすいと言われています。高齢になると内臓機能が低下し、栄養素を消化吸収する力が低下するほか、噛む力が弱くなるなどの口腔機能の低下により食事量が減少することが原因として考えられます。低栄養は、健康障害に直結し、歩行障害や転倒、骨折、死亡リスクの増加などQOLの低下を招く悪循環となります。そのため、当社はこれまで介護記録ソフトにてご利用者の摂取カロリーを記録し、食事面でのケアの品質向上に努めてきました。しかし、従来の方法では、①1日の摂取状況から都度、摂取カロリーを算出することによる業務負荷が大きいこと、②概算であるため、ケア内容の見直しに必要な値として適切か不明瞭であること、の2点が課題として挙げられていました。
そこで、上記課題に対し、介護記録ソフトに実際の提供カロリーを含む日々の献立を連携(※1)させることで、上記の解消に向けた有用性を検討しました。
※1:当社「スマートフォンと献立の連携で、介護施設ご利用者の『栄養面』に関するデータを充実。~実際の摂取カロリーの算出とタンパク質・鉄分といった栄養素の摂取量まで算出可能に~(2023年7月20日リリース)」に関する内容はこちら(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005257.000002535.html)
【調査方法】
・期間
2021年2月1日~2021年2月6日
・対象
当社運営の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)295事業所(調査時点)の内、
80事業所に上記期間に在所していたご利用者1,453名
・調査方法
各ご利用者に関する下記の内容を当社独自のフォーマットに記入し、回収。
食事摂取状況:朝・昼・夕食それぞれの主食、副食に対して10割を全量摂取としてご利用者の1日の摂取量を記入。
・分析
従来の方法で概算して算出した値(以下、概算値)と、献立に準じて、品目ごとの摂取状況から摂取カロリーを算出した値の2群に分類し比較。
【結果】
献立と介護記録ソフトを連携した場合に算出される摂取カロリーよりも、概算で算出した摂取カロリーが高く出た人数は、1,453名中884名(60.84%)であった。
【考察】
提供カロリーの見直しをする際、過度なエネルギー摂取となることによる健康上のリスクの予防、提供する品のコストならびに摂取されなかった場合に処分するコスト・環境面への影響を最小限にするために、カロリー増加は最小限に留めることが望ましい。しかし、適切なカロリー増加が行われなかった場合には、栄養状態の改善効果は得られず、コスト面等のデメリットのみが生じる。従来の概算値は、実際の摂取カロリーよりも高く算出されている可能性があるご利用者が半数以上にのぼることから、ケア内容の反映に適しているとは言い難い。ケア内容の見直しという点から、介護記録ソフトに日々の献立連携をする有用性はあると考える。
【発表学会情報】
主催:第31回日本介護福祉学会大会実行委員会
共催:2023年度日本介護福祉学会近畿地区公開講座
日時:2023年9月10日(日)9:00~18:00
開催方法:オンライン
■当社の学会発表について
当社はグループホームを中心に、全国に340以上の介護事業所を運営し、認知症ケアをけん引する中で、ケアの品質にもこだわり、私たちにしかできないサービスの実現に向けて取り組んでいます。
介護現場で抱えるさまざまな課題に対し、実態調査・分析を行いご利用者へのアプローチ方法を検討・実践しています。実態調査・分析は、看護師・理学療法士・作業療法士・介護福祉士などの専門職チームが行い、介護現場に共有することで、科学的根拠に基づいたケアの実施ができる体制を構築しています。
今後も学会発表などを通じ、介護や認知症を世の中に正しく理解してもらうための発信を続けてまいります。
メディカル・ケア・サービス株式会社 会社概要
1999年、埼玉県さいたま市で創業。創業当時より認知症ケアを専門とし、認知症高齢者対応のグループホーム「愛の家」を中心に、介護付有料老人ホーム「アンサンブル」「ファミニュー」など、多様な介護サービスを展開。現在、全国340以上の介護事業所を運営しています。海外では、中国を中心に有料老人ホームの運営や開発コンサルティング等の事業を展開。
「認知症を超える。」をブランドメッセージとし、認知症のある方も誰もがその方らしく当たり前に暮らせる社会の実現を目指しています。
設立:1999年11月24日
所在地:〒330-6029 埼玉県さいたま市中央区新都心11-2 ランド・アクシス・タワー29階
代表者:代表取締役社長 山本 教雄
社員:約6,900名
売上高:349億円(2022年9月期)
拠点:日本国内32都道府県342事業所(2023年10月現在)、海外(中国)7棟(2023年8月現在)
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