「あえて店舗では売らない」。1日で1億円を売り上げた『NELLマットレス』。WEBのみの販売と120日間のフリートライアルで顧客満足度97.2%を実現した令和時代のマットレスブランド誕生ストーリー

創業ストーリー

2023年7月19日 08時00分株式会社Morght

こだわり抜いた寝具をD2Cで提供するブランド『NELL』を運営する株式会社Morght（本社：東京都港区、代表取締役：土井皓貴、読み：モート、以下「当社」）は、寝返りから整えるマットレス『NELL マットレス』を2020年10月より販売しています（公式サイト　https://nell.life/）。このストーリーでは、発売から2年ほどで売上高が数十億円を超えるほどに成長した『NELL マットレス』の企画・開発からこれまでの成長の軌跡を振り返ります。

『NELL マットレス』は、代表の土井が当社を創業後、アプリ事業の失敗を経て睡眠領域にチャレンジすることを決め、福岡県大川市の老舗マットレス工場と共同で開発したプロダクトです。最終的に完成した『NELL マットレス』は、からだへの負担を軽減する「寝返りのしやすさ」に特化した構造と、業界最多クラスとなるポケットコイル1734個*の使用により、包み込まれるような寝心地を実現することに成功しました。（*ダブルサイズの場合）

『NELL マットレス』

創業の経緯と、アプリ事業での失敗。睡眠領域で再チャレンジすることを決めた

土井は、親族の中に起業家が多い環境で育ち、幼少期から「自分も将来は起業する」と決めていました。高校時代にスタンフォード大学へ短期留学し、「なぜ日本にはアメリカのような、ベンチャーから大企業になる会社が全然無いんだろう」と疑問を抱きました。

帰国後の2018年5月に当社を創業し、アプリ運営や人材紹介事業を開始します。しかし、アプリ事業においてはなんと24ヶ月もの間1円も売上が立たないという苦境に陥り、自身の市場調査・組織作りの甘さを痛感しました。

その後、さまざまな事業領域をリサーチ・検討する中で日本人の睡眠に対する多くの「不」を感じ、睡眠領域にチャレンジ（ピボット）することを決意。なぜ、睡眠の分野で事業開発をすることにしたのか。それは、創業時に社名にかけた土井の想いと関連します。

「朝（Morning）起きてから、夜（Night）寝るまでの、人々の生活を豊かにする」という意味を込めて、土井は自身の会社に『Morght（モート）』という名前をつけました。この社名にかけた想いは、その後から現在に至るまで変わることはありません。

家具の町・福岡県大川市の老舗マットレス工場との出会い

事業領域を決めた後、最初の製品は圧縮マットレスから始めようと決めました。ほとんどの人が1日の1/3の時間を過ごしている点、他の寝具よりもからだに近いものである点、そして圧縮マットレスは海外で成功事例がある点が、決断の材料になりました。

それから全国のマットレス工場20社以上に連絡を取り、福岡県大川市の老舗マットレス工場の方々と共同開発を行うことになりました。

『NELL マットレス』がたどり着いた理想のコイル

この会社は、「作りたい寝心地があれば、その寝心地を実現するコイルを作る機械から作る」ほどの、睡眠に対してある種「変態的」ともいえるこだわりを持つ職人集団です。

このマットレス工場の方々にマットレスに関する知識を教えてもらいながら、自身でも書店や寝具販売店に足を運んで睡眠の知識を吸収し続けました。工場の方々とも少しづつ具体的な話ができるようになり、福岡にも何度も足を運んで、素材や構造について議論を重ねました。ただ「質の高くて良いもの」ではなく、多くの方の睡眠をアップデートするための「手の届く価格で、最高の質を提供する」ための『NELL マットレス』の原型にたどり着きます。

そこから試作を繰り返し、関わる全員が納得する、理想のマットレスが完成しました。

『NELLマットレス』の販売開始後の反響について

高品質・低価格・圧縮配送、理想を全部詰め込んだ『NELL マットレス』

構想から販売まで1年以上をかけて生み出した『NELLマットレス』は、初月こそ10数件の注文数でしたが、SNSマーケティングやTVCM、オウンドメディア運用等、各種マーケティング施策を実行していくことで、今では1日に1億円を売り上げることもあるほどにまで成長しました。

新参者だからこそ、今の価値観での「最高」を提供したい

商品企画　長谷川美聡

商品企画担当の長谷川は「新参者のNELLがここまで成長できた背景には、自分たちが本当に”最高”だと思う「製品」と「購入体験」、そして「コミュニケーション」の３つを大切にしてきたことがあると思います。」と語ります。

「製品」に関しては前述した通り開発パートナー選びからこだわり、「寝返り」に特化したコンセプトを打ち立てました。「寝返り」は睡眠時の温度・湿度調整やからだの負担を軽減するなど、睡眠の質において重要な役割がありますが、当時市場には寝返りのしやすさを追求した製品は多くありませんでした。人は睡眠中の意識がないので、重要ではあるものの実感しにくい「寝返り」よりも、店舗で数十秒寝転んだ時に感じる気持ちよさを重視してしまいがちです。そういった製品の方が店頭では売れやすいことが、マットレス市場の課題のひとつであると感じました。

ご自身のからだで納得していただくための120日間のフリートライアル

そのためNELLでは、本当に自分のからだにあったマットレスを納得して選んでもらうための「購入体験」も大切にしています。はじめに、あえて店頭での販売を行わない決意をしました。次に、120日間という長いトライアル期間を設け、季節をまたぎ温度や湿度の変わる状況下で寝心地を実感してもらい、万が一合わない場合は無料で返品ができる仕組みを整えました。さらに、圧縮配送でコンパクト化し、通常の郵送物と同じように受け取り日を指定できるようにしたり、10年間の耐久保証を提供し、大きな買い物だからこそ安心してご購入いただけるようにしています。

返品や10年保証をつけることは製品への自信の裏付けでもありますが、本当に一人残らずすべての人に合う寝具をつくることは不可能かもしれません。ですが、NELLの製品を購入して後悔する人はゼロにしたいという、私たちのものづくりへの覚悟も込めています。

NELLはただの寝具ではなく、質の高い睡眠の「本質」をお届けするブランドでありたいと思っています。そのために「製品」と「購入体験」に徹底してこだわっています。とにかくお値段を安くということはできませんが、購入後の体験にまで責任を持ち、長く使っていただける状態をつくることで、睡眠における「最高級の品質」を「できるだけ多くの方にお届けする」ことを目指しています。

もう一つ大切にしていることが、心地よい「コミュニケーション」です。

睡眠は人種・性別・年齢問わず必要な行為なので、すべての生活者がNELLの顧客になる可能性がありますが、購入タイミングは引越しなどのライフイベントや使用中の寝具の摩耗など、人それぞれ違います。

そのため「今買うべきです」と製品を押し売りするのではなく、1人1人がご自身に訪れた購入を検討するタイミングで、納得のいく決断をしてもらえるようなコミュニケーションを意識的に設計しています。

寝具ブランドとしては異例の10万人フォロワーのインスタグラム公式アカウント

「本当に必要になった時に、NELLの価値に気づいていただきたい」。顧客起点のマーケティングとセールスを貫く

他にもNELLでは、SNSの活用に対しても心地よさを心がけています。例えば、インフルエンサーの方に製品PRのご依頼をさせていただく際もあえて細かい指定をせず、ご自分の言葉で良いところも悪いところも本音でお伝えいただくようにお願いしています。さらに、公式アカウントからの発信もマットレスの選び方や睡眠tipsを中心に発信し、直接的なセールスはほとんど行っていません。この甲斐あってか、インスタグラムの公式アカウントは、寝具ブランドとしては異例の10万フォロワーを超えるまでに成長しました。ご自身にとって本当に必要になったときに、自然にNELLの価値に気づいていただくことが、お客様にとってもNELLにとっても一番良いと考えています。

公式サイトへ寄せられたユーザーレビューも高評価

「製品」と「購入体験」と「コミュニケーション」、そのすべてにおいてお客様に私たちが思う”最高”を届けることができているからこそ、結果的に多くの方々にご愛用いただけているのではと思っています。販売台数はおかげさまで前年比200%以上の成長を続けており、任意で投稿いただいている公式サイトの口コミも1,800件を超え、5段階で4.4以上の評価をいただいています。「自社ページなので、いい評価だけを選別しているのでは？」というお声をいただくこともあるのですが、お客様からいただいたありのままを掲載しています。だからこそ本音のレビューを叱咤激励として受け取り、私たちの大切な原動力としています。

まだまだ、新参者の私たちだからこそできることがたくさんあると思っています。今後、これまで以上の「最高」を多くの方にお届けするための新製品の企画開発も進めているので、引き続きNELLに注目していただけると幸いです。