Cleanを極め、Creativeな発想でお客様のニーズに応える。異物対策を続けた経験から開発された沈降性異物測定ツール「ダスカー50」開発ストーリー

異物対策

2023年10月23日 15時38分 NTT-ATクリエイティブ株式会社

私たちNTT-ATクリエイティブ株式会社は、NTT-ATグループの一員として2002年の設立以来、長年培った精密洗浄技術を磨き続け、品質の高いサービスを提供しています。また、光通信における光・ナノテクビジネスの部品製造やクリーン事業を主とした商品販売のほか、精密洗浄技術のノウハウを活用し、再生医療・生化学等で使用する実験器具などに付着しているエンドトキシンを除去する洗浄サービスなど、お客様のニーズに合わせたより良い製品作りやサービスの向上をめざしています。

精密やクリーンを謳う私たちにとって、工程で発生してしまった不具合の原因が「異物」であることは少なくありません。

そんな「異物」に関する調査ツールとして、異物対策を続けてきた経験を活かし、自社開発した沈降性異物測定ツール「ダスカー50」は、クリーンを極めたからこそ生まれた商品なのです。

このストーリーでは、自社の経験での「気づき」から生まれた商品の誕生とその進化をご紹介します。

始業清掃で綺麗にしているつもりでも、発生してしまうクレーム

始業清掃できれいにしてから業務開始！それでも業務を行う環境が汚れていることにお気づきでしょうか？実は、私たちもこの事実に、気がつかなかったのです。

これは、異物混入のクレームが発生したことで、判明しました。始業点検でクリーン度をモニタリングしていたはずなのにどうしてこんなクレームが出てしまったのかと、頭を悩ませる担当者。

このようなクレームは、作業環境を管理する皆さまにとって、原因追及や再発防止対策・効果測定など、突如予期しない対応に追われる日々になります。

エリアの「瞬間」を見るのではなく、沈降物の「期間」をサンプリングする

そもそも作業エリアのクリーン度を確認する作業前点検は、どのような方法で行っていたかを振り返ります。例えば、クリーンルームの場合に一般的な方法はパーティクルカウンターで計測する方法です。

パーティクルカウンターとは、空気中や液体中に浮遊している埃や不純物などの微粒子を計数する計測器のことで、その場の空間の空気中や液体中、つまりはそのエリアのその瞬間をサンプリングするのです。そこで、浮遊物を対象とした「瞬間」ではなく、一定時間の沈降物を対象とした「期間」をサンプリングしたいと考えました。どの時間帯にどのエリアから発塵していたのかを調べるのです。

業務環境の一定期間の確認と履歴を観察できる「ダストサンプラー」の開発

早速、業務エリアに入る際に靴裏を清掃するための粘着マットを必要なサイズに切り分け、1枚1枚剥がしては業務エリアにぺたぺたと貼り付けていきました。粘着マットを剥がすと0.05mmほどの薄さのフィルムシートであるため扱いにくかったのです。また、せっかくサンプリングしたものをどうやって観察するかにも苦慮しました。観察までこのまま置いておくと、粘着面に新しいゴミが付着してしまうからです。

もう少し厚みがあって扱いやすいものを、また、「サンプリングしたものを後で観察できるようにそのままの状態で保存できるものを。」と考えて試作したのがダストサンプラーの原形でした。

ダストサンプラーは、表面フィルムを剥がした粘着面で異物をサンプリングしたあと、その粘着面に透明の保護フィルムを貼って、サンプリングした異物を封入保管します。透明の保護フィルム越しにサンプリングした異物が観察できるというわけです。また、このアイデアを商品化する際には、目視で計数確認しやすいよう、粘着面に位置の目安となる格子をプリントしました。

こうして、ダストサンプラーを使って業務環境の一定期間の確認、強いてはこれまでの履歴を観察できるようになりました。クレーム等の不具合が発生した際の対策効果確認にもダストサンプラーを使います。

担当者によって計数結果に差が出るようになり、計測にかかるコストが肥大化する悪循環

回収したダストサンプラーにサンプリングした異物は、担当者がひとつひとつ目視で数えます。

当初開発したダストサンプラーは、目視で確認できる300μm（髪の毛の太さ約3本分相当）以上の異物を対象としていましたが、対象にしたい異物の粒子はさらに小さくなり、100μmレベルになりました。100μmになると目視では見逃しかねないレベルになり、また、担当者の違いにより計数結果に差が生まれてしまうこともありました。こうなると「これではいけない！」と、さらに注意深く数えるようになった担当者は、異物の数を数えるための時間がかかるようになり、それがコストとして反映されるため悪循環が続きます。