求められる「音」を「完全ワイヤレスイヤホン」で実現する。音質と装着性の両立を目指した開発の裏側とは。テクニクス・完全ワイヤレスイヤホン「AZ80」開発ストーリー

開発ストーリー

2023年6月14日 10時00分パナソニック株式会社

パナソニック株式会社は、新設計の音響構造採用、業界最高クラス（※1）のノイズキャンセリング性能を実現した完全ワイヤレスイヤホンテクニクス「EAH-AZ80」「EAH-AZ60M2」を2023年6月15日より発売します。

テクニクス・完全ワイヤレスイヤホンの新しいフラグシップモデルとして開発した「AZ80」。開発メンバーが「音質」と「装着性」の両立を目指し、熱い思いを持って試行錯誤を繰り返しながら、商品化を実現した開発ストーリーをご紹介します。

テクニクス完全ワイヤレスイヤホン「AZ80」開発ストーリー

https://youtu.be/6eMjer5UhC0

パナソニックの高級オーディオブランド「テクニクス」は、3年前の完全ワイヤレス市場への参入から音質が高く評価されている。新製品「AZ80」の開発は、今までの音質を超えることへの挑戦だった。

田中：今回開発したAZ80は、フラグシップモデルということで、過去の機種の音を必ず超えなければならないという使命のもと開発に取り組みました。「演奏家が出したい音を脚色せずにリスナーの方に伝える」ということを我々のミッションとして音質を追求していく中で、やっぱりトレードオフになってきてしまうところがあり、それが装着性でした。

重富：今回、AZ80で直径10mmのドライバーを採用するというところ、そこが非常に苦労したところです。

（写真左から）パナソニックエンターテインメント＆コミュニケーション株式会社　スマートコミュニケーションビジネスユニット　装着性担当・機構設計部：重富大輔、音質担当・ハード設計部：田中悠、マーケティング担当・国内マーケティング部：井上昌平

イヤホンに必ず搭載されているドライバーユニット。そのスペックとして重視されるのが振動板のサイズ。10mm口径は完全ワイヤレスでは比較的大きなサイズに分類される。

重富：やはり大きいドライバーを搭載しようとすると、イヤホンの形状に影響が出てしまい、装着性に影響が出る。AZ80のドライバーは、前機種AZ70Wのドライバーをベースに開発がスタートしました。

ですが、AZ70Wのドライバーをそのまま使用すると、どうしても筐体が大きくなってしまいます。このドライバー自体の構造や、フロントカバーなど、細かい部品の形状を改善工夫しながら、結果的にはドライバーの厚みをAZ70Wと比べて30%薄くすることを実現。振動板から始まり、細かい部品一つ一つを一新するようなことを実施しました。

井上：10mmのドライバーに加え、今回は振動板もアルミニウム製にしたというところが、大きなポイントかな、と思います。

田中：樹脂振動板は、手で曲げると簡単にたわんでしまって曲がってしまう。一方、アルミニウムは、簡単な力では全く動かないぐらいの剛性を持っている。

実際のイヤホンの中では、（振動板が）前後に動き、空気を揺らし、イヤーピースの中を通って鼓膜に届き、初めて「音」として知覚しています。

樹脂の振動板だと、動く時にたわみながら動いてしまう。このたわみというのがイヤホンにとっては音として「歪み」という成分に変わる。

剛性が高いアルミニウムは、前後の動きの時に変形が少なく、ひずみも少ない。正確な音が出せる、ということでアルミニウムを採用しました。

10mmの大口径から来る音の力強さと、アルミニウム振動板の音の正確さ。最高音質を求めるフラグシップモデルとしての、音作りに欠かせないポイントでした。