ラーゴム・ジャパン株式会社は、「北欧の発想で暮らしに次の豊かさを」という企業理念のもと、スウェーデンの寝具「チェーンブランケット」を販売しています。チェーンブランケットは、「眠れない」「そわそわ落ち着かない」人に向けた「体にフィットする」ことが特徴の掛け布団です。チェーンブランケットは、スウェーデンの国立大学であるカロリンスカ医科大学がチェーンブランケットの臨床研究を行なっており、加重ブランケット（weighted blanket）という分野の中で、唯一、エビデンスがあるものです。

※重みのある金属製チェーン（金属アレルギーとさびを防ぐ塗装がされているので洗濯機で洗える）が入っています。体にかけると、ピッタリ体側に沿って「包まれるような安心感」が得られるものです。シングルサイズで4kg・6kg・8kg・10kg・12kg・14kgから選べます。

チェーンブランケットは、スウェーデンとデンマークの病院では発達障害でAD/HDの診断を受けた人の不眠対策として、保険適用としての公的補助があり、既に5万枚以上の利用実績があります。本ストーリーでは、日本でも、公的補助を用いた普及を模索していった経緯と今後の展望をご紹介します。

日本で広がる不眠以外での使い方。「発達障害」の方々のための「環境調整」の用途とは？

「環境調整」という考え方をご存知でしょうか？

発達障害を持つ方は、生活のあらゆる場面で「周りができていることが、うまくできない」など、生活の困難さ、生きづらさを感じる場面があります。「環境調整」とは、生活の中で、「困りごと」がそもそも起きにくいように、環境を調整することです。個人が環境に合わせるのではなく、環境を個人に合わせていくような考え方です。実は、チェーンブランケットは、不眠だけではなく、日本国内では、環境調整具としても活用が広がっています。

「環境調整具」としての利用の例①　

〜長時間座るのが苦手な児童の集中の補助に〜

※特別支援学級で、そわそわしてしまって、長時間座って学習することが苦手な児童が、腰にチェーンブランケットを巻くことで、落ち着いて座る時間が長くなりました。チェーンブランケットを用いて、体の感覚を調整・補助しています。

「環境調整具」としての利用の例②

〜歯科受診時にリラックスできるように〜

※歯科受診が苦手な方向けに、障害者歯科や小児歯科の医院・大学病院・療育センター等で導入が進んでいます。子どもや、AD/ HDの方だけでなく自閉スペクトラム症・不安障害・重度認知症（アルツハイマー）・脳性麻痺の方に利用実績があります。

発達障害の方への環境調整具に対して、理解が広がってきている

チェーンブランケットが、「眠るのが苦手」というだけでなく、「日常のそわそわ」「落ち着いていられない」場面での環境調整具としての実績が広がっていく中で、福祉や医療の支援者や、発達障害の当事者の方から、たくさんの支持を得られるようになりました。

その成果として、チェーンブランケットの情報提供や、現物展示に協力をしてくださる公的機関が少しずつ増えてきています。「チェーン（鎖）が入ってるブランケットって、実際どんな感じ・・・！？」「触ってみたい！」という方も多く、地方でも現物を触っていただける貴重な場となっています。

情報提供事例①「職場」で環境調整したい方への紹介

〜（独）高齢・障害・求職者雇用支援機構による「就労支援機器」一覧に掲載〜

障害者の雇用支援及び職業能力開発の支援を行なっている（独）高齢・障害・求職者雇用支援機構で、「就労支援機器」の「発達」分野でチェーンブランケットご紹介いただいています。東京都中央区のハローワークでは、チェーンブランケットの現物を触って見たい方のために展示も行なっていただいています。

情報提供事例②「福祉用具」として自治体の展示施設で紹介

〜なごや福祉用具プラザ・福祉用具プラザ北九州・高知県立ふくし交流プラザ〜

高齢者や障害者の自立支援などを行なっている自治体ごとの福祉用具の展示施設でも、チェーンブランケットの現物を展示いただいています。なごや福祉用具プラザ、福祉用具プラザ北九州、高知県立ふくし交流プラザでは、実際に触って体験することができます。

〜今後の展望〜　発達障害の環境調整具も「日常生活用具」に認定される日を目指して

今まで公的機関での展示協力の事例をご紹介しましたが、自治体ごとの福祉用具の展示施設で紹介されている、他の福祉用具（車椅子などの移動補助、入浴補助、視覚・聴覚などの支援器具など）は、障害者総合支援法で定める「日常生活用具」に認定されている製品が多くあります。「日常生活用具」に認定されると、購入時に居住地の自治体から購入費用の一部を公的に補助してもらうことができます。「日常生活用具」は、要件の一つとして「障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ、社会参加を促進すると認められるもの」と記載しており、チェーンブランケットのコンセプトと正に合致します。ところが、この制度が対象とする生活用具は、もともとは身体に障害のある方を想定して制度設計されており、精神・発達の障害がある方のニーズを満たしているとは言い難いものになっています。チェーンブランケットは、現在の「日常生活用具」の制度だと認定要件に当てはまりません。日本でも、精神・発達分野の福祉用具が国内市場として立ち上がり、日常生活用具の品目として認められる日が来ることを願って今後も、事業活動・啓発活動を継続していきたいと考えています。