突然の「逮捕」!! あなたはどうしますか？3月から犯罪件数が増加傾向に！～「弁護士ナビシリーズ」の弁護士に聞いてみた～

弁護士

2022年3月9日 15時00分株式会社アシロ

世界各国に比べて、日本は治安が良く、安全な国と言われています。

さらに、警視庁が公表している「犯罪統計」を見ると、2017年から2021年の5年間、年々犯罪件数が減少傾向で推移しています。

月別では、10月から2月までは犯罪件数が減少傾向にあり、１月、2月は件数が最も少なくなりますが、3月に入ると犯罪件数が増加する傾向にあり、4月から6月には件数のピークを迎えています。

今回は、刑事事件問題を得意とする弁護士を探すことができる「刑事事件弁護士ナビ」にご掲載の、「Sfil法律事務所の坪内清久（つぼうちきよひさ）弁護士」に3月に犯罪件数が増加の理由を伺いました。

坪内弁護士によると、

「3月の犯罪件数増加について明確な論拠を見つけたわけではないですが、3月以降に犯罪が増加するのは経験的にも実感があります。実際に私が刑事事件を扱う中でも、暖かくなるにつれて窃盗、暴行などが増えていく実感があり、国選事件を多く取り扱ってきたなかでも“家庭内の暴行”、“いわゆるホームレスの方による窃盗”、“精神的な問題を抱えている方の犯罪”などの弁護依頼が3月以降に多くなる傾向がある」

だそうです。

気候が暖かくなることで活発的になり、その反動により犯罪も増加するということが要因として考えられます。

■突然の逮捕！どうしたらいいのか？

あなたが突然逮捕される事態に陥った場合、まず最初にすべきことは何でしょうか？

坪内弁護士によると

「逮捕されている場合には、ご本人はインターネットなどを使えません。事前に弁護士に連絡しており、逮捕時に携帯電話で弁護士に電話することで早期の対応ができることもありますが、それは稀なパターンです」

とのことです。

ではどうするのが良いのでしょうか？

「突然逮捕された場合、ご本人が当番弁護士（※）を呼びたいという意思を警察に伝えること。警察は弁護士を呼ぶ義務があるので、逮捕されたら、まず当番弁護士に連絡をしましょう」

とアドバイスをいただきました。

※「当番弁護士」とは、各都道府県の弁護士会において、刑事事件で逮捕された被疑者のために待機している弁護士のこと。

参照：刑事事件弁護士ナビ「当番弁護士とは？当番弁護士を利用する際の注意点と連絡方法を解説」

https://keiji-pro.com/columns/13/

「また、ご本人に代わって家族や友人は、インターネット等で調べた弁護士や知り合いの弁護士に相談することができます。また、各弁護士会に問い合わせをすることも有用です。弁護士会に電話をすることで、当番弁護士を早く派遣してもらったり、誰が当番弁護士に行っているのかを教えてもらえる可能性があるからです。この当番弁護制度により、実際にご本人とお会いした弁護士から家族や友人に連絡が来ることもあり、ご本人の状況などを当該弁護士から聞いたりできる場合もあります」

とのことです。

では当番弁護士とインターネット等で検索した弁護士のどちらがよいのか？という選択について、坪内弁護士に伺ったところ

①事件について専門的な対応が必要なのか？

②刑事裁判等の経験が豊富か？

③迅速に動いてくれるか？

などの基準から選択すべきと回答いただきました。

刑事弁護人を選ぶ際には、刑事事件の弁護を得意とする弁護士とユーザーを繋いでくれる刑事事件弁護士ナビや、刑事弁護業界の弁護士が運営するサイトもあるので、参考にするとよいそうです。

▼参考サイト

刑事事件弁護士ナビ： https://keiji-pro.com/columns/lawyer/

刑事弁護リーダーズネット： https://www.keijibengoleaders.net/

■刑事事件における弁護士の役目

では、刑事事件において具体的に弁護士がしてくれることは何でしょうか。

坪内弁護士によると、

「まず、当該事件に関する処分の見通しを検討し、本人及びその家族に対し、捜査機関に対する対応策を考えるといったことを行っています。どのように警察に出頭するのか、警察との会話はどのようにすべきなのか、捜索差押が来た場合はどうするのか、などといった捜査機関の行動を見通した想定・対策を行うことで、突然の事態にも慌てず対処することができます。事前に対応策を考えることで、逮捕や勾留を防いだり、そもそも裁判をさせなかったりといった対応が可能になるので、早期に弁護士に相談するべきでしょう。

また、弁護士は身体拘束されている被疑者・被告人に24時間365日いつでも会いに行けます。その中で取り調べに対するアドバイスをしたり、身体拘束から解放するために身元引受人を探したり、示談等をすることで被疑者に対する刑事処分がされないように活動しています。

他にもマスコミの対応や、刑を軽くするために更生の計画を福祉的・医療的な観点から作り、刑を軽くするためのアピールもできます。特に「自分はやっていないんだ」というような場合は、捜査機関に何を話すのか、あるいは何を話さないのか、どのような証拠があってその対策をどうするのか、といったことを弁護人は検討し、対応をします。このように刑事弁護の活動は幅広く、事案によって活動の態様は大きく変わりますが、弁護士をつけた方が良いことはどの事案でも基本的に同じです」

と教えていただきました。

■痴漢で現行犯逮捕された時はどうすれば？

突然の逮捕といえば、やはり「痴漢」があげられるようです。「痴漢を疑われた際に同行を求められ、そのまま駅室についていくと、痴漢を認めたことになる」といった話も巷で聞きます。本人が正しい判断ができない場合、具体的にはどうすれば良いのでしょうか？

「最近では、痴漢を否認して逮捕されたとしても、10日間の勾留がつかないことが多いです。逆に逃げたりすることで10日間の勾留がつくことになるので、絶対にやめましょう。『駅室に行くな！』という弁護士もいますが、逃亡の恐れの疑いが生じうるので、下記対策をしながらついていき、身分証などを見せて対応するのが無難でしょう。」

＜痴漢で現行犯逮捕されたときどうすればよいのか？＞

①身分証を駅員や警察官に見せる。

②自分がやっていない場合は、やっていないとはっきり言い、詳しい説明は弁護士と相談してから答える。

③やっていないのであれば謝ったりしない。

④疑われた瞬間から家族や友人に電話をし、どこの駅で疑われているのかなどを説明しておく。また、職場には「体調不良で2～3日休む」などと伝える。

「特に④については警察が来てからでは難しいので、すぐに対処しましょう。運悪く現行犯逮捕された場合は『当番弁護士を呼んでくれ。弁護士が来てから話す』という形で黙秘権を使いましょう。しゃべらないことで不利に扱うことができないのが憲法の規定です。アメリカの刑事ドラマのイメージです。当番弁護士と相談することで、今後の対応を明確にしていきます。」

と、坪内弁護士に具体的な対応策をいただきました。

駅室に行かないようにと伝える弁護士もいらっしゃるなど、意見の食い違うところですが、①～④の対策を講じ、早急に弁護士に依頼することがよさそうです。

改めて、弁護士に依頼するメリットを整理すると、

①示談など被害者対応を早期に行い、前科がつかないようにすることが期待できる。

②逮捕されている場合、釈放が期待できる。

③被害者対応、捜査機関対応によるストレスの軽減を期待できる。

という点が挙げられます。逮捕されていない場合にも、上記の①～③は当てはまり、早期の被害者対応がご自身の処分にも影響します。

■刑事事件の相談件数TOP5

坪内弁護士に、相談件数の多い「刑事事件TOP5」を伺いました。

＜相談件数の多い「刑事事件TOP5」＞

①児童ポルノ法違反

②盗撮・痴漢

③窃盗

④暴行・傷害

⑤強制わいせつなどの重めの性犯罪

「特に①児童ポルノ法違反が増えていると感じています。理由として、①の多くは児童自身が被害感情を持っていることはなく、児童の対応に困った親からの警察への相談や児童が補導等された際に警察による聴取から発覚し、インターネットやSNSの発達により、やり取りに関する証拠が残っていることが多いからです。尚、児童ポルノ法違反のように見える事案でも、例えば脅迫などの行為がある場合は、一転して⑤のように、重い犯罪になることもあります」

このようなケースの弁護士の役目を伺ったところ、

「例えば、①児童ポルノ法違反、②盗撮・痴漢の事案で逮捕されていない事案を想定した場合、まず逮捕を防ぐために、捜査機関がどこまで情報をつかんでいるのかなどを本人に対する取り調べの状況から推察します。担当警察官や検事に連絡をして、現在どのような捜査状況か（先の捜査予定や事情聴取がいつ頃か、検事に事案を送るのはいつ頃かなど）を教えてくれる可能性があります。また、被害者の情報を聞いた上で、示談に向けて対策を練ります。ただし、①の事案については必ずしも示談が有効ではないこともあるので、慎重な判断が必要になってきます」

と坪内弁護士はコメントしています。

■弁護士の役割は裁判の弁護だけではない

「弁護士は、示談が必要な事案では、早期に被害者に遭って示談交渉を行います。刑事弁護人は被疑者の味方ではありますが、被害者に対する一番の理解者であることも求められます。被疑者との協議によりますが、被害者の知りたいこと、今後の見通しなどを懇切丁寧に説明することが被害を回復させ、被疑者の更生のためにも必要なことです。

また、捜査機関に対しては、弁護士が被疑者との間に入り、取り調べ日程の調整や取り調べの同行などを行います。捜査官の前で『いつでも連絡をしていい。部屋からいつでも出てきていい。外に私がいるので、何か聞きたいことがあればすぐに来るように』と伝え、捜査機関に対する牽制を図ります。そして、捜査機関が違法な取り調べをしたりした場合は、警察署長、警察を統轄する検察官、検察庁のトップである検事正宛てに抗議文を送るなどして取り調べ態度の是正を求めます。

他方で取り調べなどが継続している際に、性依存などの問題が背景にある場合は被疑者に医療機関に通ってもらうこともあります。これらの事情をまとめて、検察官に対して裁判にしないよう求めたりしていきます。今ご説明したのは一例となりますが、このような形で捜査機関の行動などを踏まえて、適切かつ一番依頼者の利益に繋がる活動を具体的に行っています」

と、坪内弁護士から「弁護士の役割」をお聞きしました。

これからどのように手続きが進んでいくのか？どのように取り調べに対応すればよいのか？などパニックに陥ってしまうことが想定されます。そんな時、法的な観点から様々な助言や支援を行うことができる弁護士を、「刑事事件弁護士ナビ」で探しておいてはいかがでしょうか？

■「弁護士ナビ」とは？

年間数千万人以上の方にご利用頂いている、弁護士・法律事務所のポータルサイトで、地域や相談内容を指定して弁護士・法律事務所を検索できます。離婚・労働問題・交通事故・相続・刑事事件・債務整理・債権回収・IT・企業法務の9つの分野で構成されており、専門分野ごとに独立したサイトであるため、ユーザーが抱える法律トラブルに合った弁護士・法律事務所が見つけやすくなっています。各メディアに掲載されているコラム記事は、法律・弁護士業界への理解が深い編集部が作成し、弁護士が法的な正確性に関する監修を行っています。いつでも・誰でも・どこからでも、正しい法律情報を無料で知ることができ、法律問題に関する情報格差の解消を図っています。

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