日本は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めています。中でも、目標達成に向けて家庭部門の省エネは欠かせず、既存住宅の断熱改修等の推進を政府は進めています。しかしながら、現状、既存住宅（約5,000万戸）の9割近く※1が、現在の省エネ基準を満たしていません。断熱性・気密性の悪い住宅の場合、外気温の影響を受けやすく、冷暖房時の負荷が高まります。結果、エアコンなどの運転効率が悪くなり、多くのエネルギーを消費してしまい、光熱費も高くなります。

こうした状況を受けて、パナソニック ホームズグループのパナソニック リフォーム株式会社は、2022年4月より、築20年超のパナソニック ホームズの住宅オーナー様向けに、“いまドキ”の新築住宅基準に既存住宅をアップデートする『いまドキ健康断熱リフォーム』の提案を開始します。なぜ、『いまドキ健康断熱リフォーム』が必要なのか、開発・企画担当者の話を中心に、ご紹介します。

開発担当者：パナソニック ホームズ株式会社　ストック事業部　松澤浩志（左）

営業企画担当者：パナソニック リフォーム株式会社　鎌田彩子（右）

『いまドキ健康断熱リフォーム』の特長

1. 断熱リフォーム：1階の居住空間を断熱強化する「ワンフロアまるごと断熱」など2プランを用意
2. 換気リフォーム：熱ロスが少なく空気質を高める「熱交換換気システムHEPA＋」を用意
3. こどもみらい住宅支援事業、長期優良住宅化リフォーム推進事業など、各種補助金に対応

●「ワンフロアまるごと断熱」　イメージ図

▶詳しくはこちら　https://homes.panasonic.com/reform/kenkou-dannetsu/

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セカンドライフを迎えたオーナー様へ安心をお届けしたい

松澤：パナソニック ホームズで、1999年の「新省エネ基準」策定以前に建てられた住まいのオーナー様は、そろそろ60代を迎えてライフステージが変化していく世代です。このようなオーナー様においては、上下階の移動とともに「ヒートショック」への不安を抱えていることが、オーナー様による生活者モニター組織（名称：くらし兆しラボ）を対象に実施した「リフォーム及びフレイル予防に関する調査※2」から見えてきました。

こうした状況を受け、オーナー様の生活空間における不安を解消し、イキイキとしたセカンドライフを支えたいと、断熱と換気をパッケージ化した 『いまドキ健康断熱リフォーム』の提案を開始することにしました。リフォームというと間取り変更や設備の更新など、分かりやすい部分に目が行きがちですが、温度・湿度・空気質といった生活空間の快適性を高めることで、オーナー様に安心して日々の暮らしを楽しんでいただきたいと考えています。

●リフォーム及びフレイル予防に関する調査

●「ヒートショック」とは

暖かい部屋と寒い部屋との温度差で血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす危険のことです。特に高齢者になると血圧を正常に保つ機能が低下するため、寒暖差などで急激な血圧の変動があると、脳内の血流量が減り、意識を失うことがあります。これが入浴中に起きると溺死事故につながると考えられています。冬季の室内温度差に起因するヒートショックでの年間死亡者数（19,000人と推計※3）は、交通事故による死亡者数（2,636人※4）を大きく上回っています。

住宅の断熱性能の変遷について

松澤：1970年代の家は、断熱材がほぼ使用されていませんでした。ようやく壁にグラスウールが使用され始めた時代で、窓は単板ガラスでした。1980年代になると旧省エネ基準が定められ、床・壁・天井に断熱材を施工することが推奨されるようになりましたが、和室床・天井に断熱材はまだ入っていません。窓は変わらず単板ガラスです。1990年代に新省エネ基準に移行し、断熱材の厚みが旧基準の約1.5～2倍になって断熱性能は向上しましたが、この時点でも窓はまだ単板ガラスが主流でした。1999年の次世代省エネ基準で、高断熱・高気密仕様となり、窓は複層ガラスが主流になりました。断熱性能が向上するということは、エネルギーのロスを防ぐことに繋がります。

断熱性能を高めるリフォームをすることで、築年数を経たパナソニック ホームズの家が、この先もオーナー様に健康で快適な暮らしをお届けすることができる、新築レベルの住まいになります。

断熱リフォームに計画換気をプラスする理由

松澤：一方で、断熱性を高めると課題になってくるのが換気の問題です。建物の気密性が高くなると、室内の水蒸気（湿気）が排出されず、結露が発生します。結露はカビの発生原因となり、カビを餌とするダニの繁殖にもつながります。では、換気のために単に換気扇を回すとか、窓を開ければ良いのかと言えばそうではありません。外気には花粉や黄砂、PM2.5などが含まれ、そのまま給気してしまえば、室内の空気環境は決して良いとは言えません。

そこで、『いまドキ健康断熱リフォーム』では、HEPAフィルターを組み込んだ「熱交換換気システムHEPA＋（プラス）」を採用しています。HEPAフィルターは、0.3μmの微粒子を99.97%※5捕集する超高性能フィルターで、花粉やホコリはもちろんPM0.5にも対応し、クリーンルームや航空機の換気にも採用されています。このHEPAフィルターを通して浄化されたきれいな空気を各部屋へ直接給気し、フロア全体の空気質の向上を図ります。さらに、排気の際に汚れた空気と一緒に捨てていた熱を給気時に回収して室内に戻します。冬場であれば、冷たい外気を室温に近づけて給気するので、冷たい空気が侵入する不快感を抑えられます。熱交換気で取り込む空気の暑さや寒さをやわらげるだけでなく、熱ロスを少なくすることで省エネにもなります。

「ワンフロアまるごと断熱」リフォーム　イメージ図

「熱交換換気システムHEPA＋」リフォーム　イメージ図

部分断熱リフォームをオススメしないワケ

松澤：費用の問題から、長い時間を過ごすリビングだけ断熱仕様にしようと考える方が多いのですが、当社では、おすすめしていません。その理由は、60歳を過ぎた世代の方々が不安材料として挙げるヒートショックの発生を助長する可能性があるためです。リビングだけ暖かくしても、浴室やトイレに行こうと冷たい廊下に出た際に血圧が上昇してしまっては安心して暮らしていただくことができません。『いまドキ健康断熱リフォーム』では、部屋ごとの温度差が少ない「ワンフロアまるごと断熱」または、「家まるごと断熱」をおすすめしています。

各種補助金で、国も断熱リフォームをバックアップ

鎌田：国を挙げて環境問題に取り組む時代ですから、リフォームに対する補助金制度も充実してきています。従来から展開されている、断熱リフォームがメインの「長期優良住宅化リフォーム推進事業※6」に加え、令和3年度補正予算対象事業となる「こどもみらい住宅支援事業※7」など、国は様々な補助金を用意して断熱リフォームを支援しています。これら補助金を受けるには、申請が必要となりますが、自社内に設置した申請部門が申請をサポートさせていただきます。

SDGs目標達成にもつながる良質な住宅ストックの創出

松澤：一般的な既存住宅の場合、性能向上リフォームとなると断熱だけではなく、耐震も必要となりますが、パナソニック ホームズの建物の場合、古い建物であっても構造的に法が定める耐震基準を満たしているため、耐震化は不要となります。パナソニック ホームズのオーナー様は断熱性能を現行の住宅基準に適合させることで、快適に安全して暮らしていただけます。既存住宅を新築住宅と同等の断熱性能に高めることは、良質なストック住宅の創出にもつながります。パナソニック ホームズグループが取り組んでいる自社で建築した既存住宅の買取再販事業もそうした活動の一環です。また、『いまドキ健康断熱リフォーム』の拡大を通じて国連が掲げる持続可能な社会の実現に向けたSDGs目標、「3:すべての人に健康と福祉を」、「7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「11:住み続けられるまちづくりを」、「12:つくる責任つかう責任」、これら項目において目標達成の一助にしたいと考えています。

断熱・換気リフォームを実施されたオーナー様（福島県I様）のご感想

奥さまのご両親がパナソニック ホームズで建てられた築28年の住まいを断熱・換気リフォームを含めてフルリノベーションされた、福島県のI様のご感想を紹介します。

リビングとダイニングキッチンを撤去し、一体感のある開放的な空間に。窓は断熱効果のあるトリプルサッシに交換し、床暖房も設置したことで冬も快適に過ごされています。

住まいの全ての窓をトリプルサッシに交換したことで断熱性が高まったことはもちろん、防音性も増し静かで快適な生活を送られています。

I様：パナソニック リフォーム株式会社にお願いしたのは、幼稚園児がいて、さらに1人生まれたので、とにかく子どもたちにとって、より健康に配慮した住まいにしたいと思ったからです。パナソニック リフォーム株式会社には、和室に掘りごたつを追加してもらうなど、部分リフォームをお願いしたことがあったので、自然の流れで他社と比較することなく決めました。私たちが暮らす福島県郡山市は、夏は暑く、冬はとても寒いので、断熱性や空気環境のレベルを高めた住まいにしたかった。妻の両親が建てた家なので、できるだけ大切にしたいと考え、間取りの変更はあまりしていません。

しっかり断熱仕様にしたので、エアコンを切っても、その後はほぼ床暖房だけで快適に過ごせます。床暖房も含めてですが、屋内、部屋が暖かいと、素足で過ごしたくなるから不思議ですね。

１階は廊下を間にはさむ形で、南側の和室・リビングからそれぞれ温風・冷風が対角線上に吹き出し、暖冷房効果が効率良くなるように設計にしてもらったので、エアコンを運転するとすぐに暖まります。断熱材をかなり分厚く充填してもらったのが効果的だったと思います。屋根断熱は吹き付けですが、断熱効果が見込めるように、仕上げとしてはやや厚めにしてもらいました。最初に提案いただいた段階で、省エネ基準の推移を丁寧にまとめた資料をいただいたので、経緯を理解して話を進められました。リフォーム前の基本断熱仕様とリフォーム後の断熱仕様の比較も明解だったので現状把握ができましたね。

左：フェノールフォーム断熱ボード

中：屋根裏「アクアフォーム」　右：床下「アクアフォーム」

I様：アクアフォーム（温室効果の高いフロンガスを使用せず、水を使って現場で発泡させる環境にやさしい断熱材）の吹き付け方法など、実際にどのようなことをどの程度行うのか、また、我が家の間取りに合わせた熱交換換気システムの給気・排気口の位置確認やその仕組みについても、組み込みの断面図などで分かりやすく説明していただきました。リフォーム後に発生する冷暖房費予測についても、工事前に光熱費シミュレーションを提示してもらっていたので、安心してお任せすることができました。

熱交換換気ユニットについては、自動制御で窓を閉め切っていても換気してくれるので安心です。PM2.5や花粉の侵入を抑えてくれるなど、きれいな空気環境をつくるのは画期的だと思います。

元々この家に住んでいて、今は近くのマンションで暮らす妻の両親が時折、訪ねてくれます。以前は「寒い」が口癖だった母も、断熱リフォーム後は寒いと言わなくなりました。家の躯体の頑丈さは認識していましたが、最新技術のリフォームを施すだけで、ここまで快適になるのかと驚いています。今では、この住まいが、自分にとって「明日への活力」になっています。

左：熱交換換気ユニット　右：給気グリル

小さいお子様たちのために「熱交換換気システムHEPA＋」を採用

左：リフォーム前の和室　右：リフォーム後の和室

平屋部分の和室は屋根裏と床下を断熱強化。窓は障子を撤去し、樹脂複合サッシと断熱ガラスで明るい空間に生まれ変わりました。

▶実例の詳細についてはこちら

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断熱・換気リフォームがもたらす安心のくらしについてお伝えしたい

鎌田：リフォームのご要望をヒアリングさせていただくと、寒い、暑いで困っている方が本当に沢山いらっしゃるのを実感します。けれども、お年を召した方は、寒さや暑さに対して我慢する傾向があるように思います。だからこそ、断熱性を高める必要性やメリットを、オーナー様の心に届くようにお伝えすることが重要と認識しています。今後、温湿度や空気質といった目に見えない部分のリフォームに対するオーナー様の健康で快適なくらしを実現するため、理解促進を図って参ります。営業企画担当者としては、オーナー様に10年後、20年後に「リフォームして良かった」と言っていただけるようなご提案を考えていきたいですね。『いまドキ健康断熱リフォーム』で、多くのオーナー様のセカンドライフを支えるだけでなく、こうした取り組みを通じて、一般住宅のリフォームにおいてもお住まいの住宅の断熱性や計画換気の大切さをお伝えしていきたいです。

◎ パナソニック リフォーム株式会社　『いまドキ健康断熱リフォーム』の詳細はこちら

https://homes.panasonic.com/reform/kenkou-dannetsu/

◎ パナソニック リフォーム株式会社　『いまドキ健康断熱リフォーム』リリースはこちら　https://homes.panasonic.com/company/news/release/2022/0310.html

※1：出典：国土交通省「我が国のストックをめぐる状況について」P11

「住宅ストック(5,000万戸)の断熱性能」（平成29年度)　https://www.mlit.go.jp/common/001318639.pdf

※2：出典：パナソニック ホームズ　R＆Dセンター　くらし研究室　くらし兆しラボ　生活者モニター「リフォーム及びフレイル予防に関する調査」（2021年3月18日～24日　回収実績　336名）

※3：厚生労働科学研究費補助金 入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究 平成 25 年度 研究代表書　堀進悟

※4：警察庁「令和3年中の交通事故死亡者数について」

※5：HEPAフィルターの性能値。工場出荷時の初期性能になります。換気システム全体の数値を示すものではありません。また、0.3μm未満の微小粒子状物質については捕集の確認ができておりません。

※6：出典：「こどもみらい住宅支援事業」https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/

※7：出典：「長期優良住宅化リフォーム推進事業」https://www.kenken.go.jp/chouki_r/index.html／ご参考：https://www.kenken.go.jp/chouki_r/pdf/summary.pdf　令和4年度事業は内容が変更になる場合があります。

※8：各種補助金には、申請期間や適用条件があり、利用するためには、所定の要件を満たす必要があります。

ご参考

▶パナソニック リフォーム株式会社の取り組みを紹介した記事