株式会社TWINKLE STARS（以下「トゥインクルスターズ」という）は2020年4月に創業したスタートアップです。多様な価値観が『個』を最大限に輝かせる社会の創出をミッションとし「誰もが３D※をデザインする社会」のビジョンに向け「個人や企業の価値が最大限発揮するための本質とは何か」を常に問い続け、各種サービスを展開しています。

今回は、代表取締役の松川倫子（まつかわともこ）が起業したきっかけ、新たなサービス「ライフキャリアコンパス～My Style CREDO(マイスタイルクレド)」に込めた想いや今後の展望についてお話していきます。 

※３Dデザインとは・・・Discovery(発見) / Development(発展) / Demonstrate(発揮)誰もが強みを発見し、強み を発展させ、強みを発揮し、デザインすること

見えない星はあっても輝かない星はない

多様な価値観が『個』を最大限に輝かせる社会の創出を目指して

25年間企業の中で企業広報など活躍されてた松川さんが、企業を退職して創業した理由を教えてください。

25年間大企業や中小企業、ベンチャー企業など様々なフィールドに身を置き、数多くの職種を経験させていただきました。その中で常に感じてきたのは"組織と働く人たちとの間にある溝の存在"です。時代の移り変わりとともに組織の在り方も変化していく、それが自然なはずなのに社会変化に伴う大きな変化は企業内で働く私たちにはあまり感じなかったのです。それどころか、組織が時代変化に伴い対応する方針や戦略の変化、新に導入する仕組みに働く社員は翻弄され疲弊していく、そんな現状が現場では起こっていました。一体なぜこんなことになってしまうのか、日々思考を続け私の中で一つの答えが浮かびました。

組織の変化に”働く人たちの思考と行動”がついていけてない。

社会も組織も人が創っているのに、その一人ひとりの人の思考に変化を起こしにくい状態が起きていて、そこに伴う行動が追い付いていない、それが現代の組織において真の課題なのではないかと考えています。社会はイノベーションや労働生産性向上を求めているのに、その動力となる"人"の可能性が広がる風土や仕組みはなかなか変わらない、これでは大きな動力は生まれません。組織が変わると採用基準が変わり、採用基準が変わると大学の教育が変わります。大学が変わると高校や中学の教育も変わる…だからこそ組織動力の変化即ちそこで働く人たちの思考や行動変化が日本社会の労働生産性を上げる大きな動力だと考えています。しかし、そうは言ってもなかなか変化を起こすことは難しい、でも何とかしなければ！誰かがやらなければ変化は起きない！そんな想いがフツフツと湧き上がってきました。そして“人が真に活きる組織や社会を創出しよう”そのために培った25年の経験や"人が活きる組織創り"の学びや手法を社会に少しでも提供していこう、と考え起業に至りました。

培った経験や"人が活きる組織創り"とは？具体的に教えてください。

前職のベンチャー企業の入社に至るまで、次代背景も含めて少しお話したいと思います。

私が社会に出た時代は、まだ女性が結婚し専業主婦になるのが当たり前という環境でした。私自身も当たり前に結婚して主婦として子育てをすることにあこがれて、大手銀行に就職をしました。その後予定通りというか、結婚をすることになり故郷である千葉県を離れ神戸に移り住むことになりました。しかし、その後諸般の事情もあり専業主婦を離れ働くことになったのです。

専業主婦から一家の大黒柱へ・・・

ここから私のワークキャリアは始まりました。

結婚し働くつもりもなかった私が働かざるを得ない状況に陥った時、最初に頭に浮かんだのは「どこで働くか」より「何をするか」でした。新卒の時にはそんな考えは全くなく「どこ」が優先されてた自分に気付きました。働くことがただの通過点でしかなかったからです。ただ"生活のために働く、誰かのために働く"ではなく"自らの成長のために働く"ことに軸を置きたかったんだと思います。働くことを誰かのせいにはしたくなかったんですよね。誰かのせいにすると自分にとって都合が悪かったり嫌なことでも"こんな生活になったせいで"なんて言い訳だらけになってしまいます。そんな自分にだけはなりたくなかった。

最初は学生時代にアルバイト経験でのホテルフロントスタッフで得た楽しさが忘れられなくて、ホテルスタッフでオープニングスタッフとしてフロントや宴会・クロークなど色んなポジションにつき6年程お世話になりました。その後も特に職種や業種にこだわることなく“その時必要だと感じた経験"を積みたくて外資系、小規模会社、大手証券会社等を経験しベンチャー企業に勤めることになります。特に大手証券会社を辞め、ベンチャーに入った時は周りから「何でそんな安定した会社を辞めてベンチャーなんかに…」とさんざん周りから言われましたね。でも私にとっては“新たな挑戦をすること”が最優先だったんです。そこでベンチャー企業の採用担当へ応募しました。2次・3次と面接を受ける中でなぜか採用ではなく"広報をやってくれないか"の突然の打診。当時は戸惑いを隠せなかったと記憶しています。なぜなら自分自身はそれまでいわゆる裏方の仕事の方が向いていると思っていたからです。人の黒子としてサポートすることが好きで、自ら会社の広告塔として前に立つなんて考えてもみなかったですね。ただ、そもそも広報という職種は長年その組織を知り尽くした人が得られる職種、と私の中で勝手なバイアスが働いていたこともあり"こんなチャンス二度とない！"ともちろんお受けしました。

ベンチャー企業で未経験の広報担当者となり

ほぼイチから広報を立ち上げる挑戦が始まりました。

入社してみると、いかにもベンチャー企業らしく、広報という部署はできたばかりで直属の上司も広報経験無し。ただ入ったからにはやるしかない！とにかく試行錯誤を重ね、取引企業や広告代理店の方などから情報やアドバイスをいただきながら、何とか回していた状況でした。入社1年が経過した頃、その企業で初の女性管理職を拝命することになりました。当然社内にはマネージャーとしての女性のロールモデルもいなかったため、自分自身でマネージャー向けの本等を読み学びながら日々を過ごしていました。そうして悪銭苦闘している時に"いつまでこんな状態が続くの？日々足踏みしている状況で組織も人も活性化するわけがない！"と強い思いが湧き上がってきたのです。そしてふと隣の部署の上司が目に入りました。何度かプロジェクトでは一緒に仕事をしてアイディアが豊富で企画が得意な広報経験者！ここにいるじゃないですか。しかもその上司は仕事にとても厳しくよく部下を怒鳴る声が聞こえていたのですが、なぜかその部署の人たちは自発行動力が高くイキイキと仕事をしていたのです。2部署を管轄し20名以上をマネジメントしながら、個人で特命業務やプロジェクトにも多く参加しながら"この人スーパーマンか！"って思ってましたね。皆がプレイングマネージャーとして疲弊していく中“なぜ多くの個人業務をこなしながら部下の誰もが成長できる環境を作れるのか。しかも帰るのは誰よりも早い！ほとんど定時に帰れることも不思議過ぎて、時折アドバイスをもらうようになりました。しかし、そもそもなぜ広報経験のある人が広報やってないのか…これは組織を変えるしかない！思い切って広報経験者として広報を見てほしいと直談判をしました。ただ、これは組織においてタブーな行動でもあることは理解していました。だから私は辞める覚悟をまずしたのです。組織が変わるチャンス成長チャンスを現場から上げずして誰が上げる！なんて思ってました。

一人のマネージャーから"人が活きる組織創り”を学ぶ

運よく上司になってもらえました。それまで大手企業から外資系、中小企業と経験し様々なマネージャーの下で働いてきましたが、その人のマネジメントは目からウロコが落ちるくらいシンプルで且つ斬新なマネジメント手法でした。仕事の落とし方、割り振り方、指導の仕方の全てが個人個人の成長を踏まえて設計されていて、まるで最近流行したパーソナルジムのトレーナのようでした。しかも、必ず部下に成長をコミットする点や、成果に厳しいところも同じような部分を感じました。実際は非常にシビアに成果を求めるのですが、それを通した"成長に視点がある”ので部下としては厳しくてもやりがいを感じやすい環境を作ってくれていたと思います。

まさに成果主義ではなく成長主義の世界が広がっていました。

誰もが仕事をしていくうえで弱みがあります。通常は弱みを克服し全てを平均的にしようとするのが、それまで自分自身が受けたマネジメントでした。でも"弱みはそのまま、強みを最大限磨くことで結果として平均点を上げる"という考えのマネジメントに私自身ようやく安堵が訪れたのです。あった…ここに人が活きるマネジメントが！しかも常に指導・指摘の軸がブレない。ブレないから"どのような判断をすればよいのか"部下自身が理解できるようになるから自走できる。そこで個人の“成長”と“強み”に着目しマネジメントするだけで自分の部下も自走し始めました。結果として自分自身の業務時間が作れるようになって、さらに部署も自分も仕事の幅が広がり始めました。

結果的にその上司は4部署50名以上を抱えることになったのですが、それでもそれぞれの部署で他の部署では活躍できなかった人が活躍するようになっていくマネジメントを間近で見ていて、この成長主義のマネジメントがもっと世の中に浸透すれば誰もが輝ける世界になるのではないかと考えるようになりました。

実は私の部署には障がい者の部下がいたこともあり、他部署の障がい者雇用のお悩み相談にのったり、広報として障がい者施設の子供たちと接する機会も多くありました。触れ合う中でなかなか自分自身に自信をもって行動できていない部分があったり、もどかしい思いがありました。でも、誰もがどこかに得意な部分を持っていてそれを活かすことで活躍できるのだと、確信できる部分がありました。だからこそこのマネジメントが日本で拡がれば、“多様な価値観が『個』を最大限に輝かせる社会の創出”を目指せると考え、企業ミッションとしています。

具体的に展開しているサービスについて教えてください。

起業当初から、人材育成・営業系コンサルティングを行っていたのですが、スタッフも含め25業態17職種のそれぞれの得意な経験を活かして“企業や働く人の「ちょっとしたお困りごとを解決したい」という想い”から低価格の助っ人サービスを立ち上げました。おかげざまでこちらは少しずつ認知度も向上しお仕事をただけるようになりました。

https://value-support.twinklestars.co.jp/

さらに今年の7月7日(水)には、ライフキャリアコンパス“My Style CREDO(マイスタイルクレド)"をリリースしました。こちらは一人ひとりの人生に起きた過去の体験や経験から生まれた大切にしている価値観(判断軸)を言語化し、クレドカードを名刺タイプに作成したもので経営者・社会人・学生さんなど各々のコミュニケーションでご活用いただくサービスです。

https://www.twinklestars.info/

実は前職では経営理念などとは別に、行動指針が記載されているクレドカードがありました。40以上の指針があり、経営者が考える仕事における判断基準を表していたものでした。私はその行動指針の浸透を主に担う部署を兼任していたことと、その上司がいつも行動指針を元に指導をしていた姿を見ていたので、企業の成長過程においてこの行動指針のような判断基準を明確にすることは大事なのではないかとは思っていました。はじめは企業の行動指針（バリュー）作りと浸透サポートをコンサルティングメニューに追加することにしたのですが、社内の議論の中で、そもそも個人でも何かの決断をする時に自分自身の判断基準を持っているのではないか？その判断基準を明確化しアウトプットすることで自分自身の行動原則が分かり判断しやすくなるのではないかという話になりました。そこでスタッフ毎に自分のクレド（ミッション・ビジョン・バリュー）を作り名刺の一部として印刷してコンサルティング先などに渡すととても反応が良く、すぐに私の価値観をお伝えすることができお互い仕事がしやすかったり、話のネタとして使いやすい等の声もあがりました。また、試験的に数名に作成をしてもらったところ作成過程での自己開示が自分自身を知る機会になってよかったという声をいただいたので新たなサービスとして展開することにしました。

キャリアライフコンパス～My Style CREDO～に込める想い

どのような人に“My Style CREDO”のサービスを利用していただきたいですか？

“My Style CREDO”は学生向け、社会人向け、経営者向けの3種類があります。それぞれの人生の岐路に立っている方や、自分自身がどこに向けばよいのかと悩んでいる方に特にご利用いただきたいですね。現在はVUCA時代と言われ、昔の成功事例が通用せず、臨機応変に対応できる能力が求められる時代だと思います。例えていえば大航海時代のようなもので地図がなく、その存在すらわからなくても新大陸を発見した、そんな時代を考えると、大切なことは"目的とコンパス"を持つことだと考えています。

このサービスでは、まずは“軸”を言語化するために、過去の原体験を紐解く過程において自分自身の軸にある物を見つけていただき、そこから将来像を考えパーパス（存在意義）を明確化していきます。そして今まで大事にしてきた自分自身の価値観を考えアウトプットしていきます。その後言葉の選定を踏まえながらクレドとして完成させていきます。このようにして作成されたクレドは、常に同じ方向を向いているコンパスのように自分自身の今の位置を明確化してくれ、常に自分自身のパーパス（存在意義）を再確認させてくれるものになります。

だからこそ、どのような将来像を描けばよいか悩んでいる学生、自分自身のキャリアの方向性や現状のキャリアの中で輝くために必要なものを模索している社会人の方、決断の連続で相談相手が社内にはいない経営者の方が後悔しない決断をするための軸として常に携帯しておくことが大切です。そして自分自身の考え方や価値観を周りと共有することで、お互いの信頼感や親近感を醸成するために是非活用していただきたいと思います。

個の力が最大限発揮できる環境をもっと作っていきたい

最後に、今後の展望はどのように考えていますか？

“My Style CREDO”は個人向けのサービスとしてリリースしましたが、それ以外にもマネージャー向けのクレドの普及やマネージャー向けサロン（オンライン・オフライン）を近々実施する準備を進めています。ビジネスパーソンの中でマネージャーの割合は少なくても、自分にマネージャーがいない社員はいないわけです。つまり私がそうであったように、そのマネージャーの影響を強く受けてキャリアを過ごすことになるので、マネージャーの方が部下をイキイキと仕事に取り組めるようにできる環境を作っていきたいと考えています。そしてクレド自体は本来は組織において力を発揮しやすいものだと思っています。会社のクレド作成のお手伝いや、部署毎の判断基準の明確化としての部門別クレドの作成等を導入促進することで、自分自身で考え行動できる人が増えることで個の力が最大限発揮できる環境作りに貢献し、日本社会の生産性向上に役立てられればと考えています。

ありがとうございました。