中山間地と大都市を繋ぐ「retreat salon as is」。茶の実オイルを使用したオイルトリートメントサロンの誕生秘話

地方創生

2023年8月1日 11時00分 Happy Care Life株式会社

Happy Care Life株式会社は、2023年4月1日にオールハンドエステを提供するサロン「retreat salon as is（リトリートサロンアズイズ）」を開業しました。生産が希少な「茶実オイル」を使い、個人の悩みに向き合うカウンセリングと人の手を通じた丁寧な施術を通じて、心安らぐひとときを提供します。

中山間地と関東を繋ぐエステサロン「retreat salon as is（リトリートサロンアズイズ）」オープン！

PR TIMES

普段は佐賀県嬉野市を拠点に、福祉事業を中心に、宿泊業、農業等を手段として、社会へ暮らしの選択肢を増やすための事業を展開しておりますが、この度関東（神奈川県横浜市青葉区）へ新しい挑戦を決めました。

本ストーリーでは、「retreat salon as is」が誕生するまでの軌跡や込められた想いをお伝えします。

嬉野市を拠点に活動を続けてきたHappy Care Life。地域の課題を解決するために。

Happy Care Lifeでは、『関わるすべての人に幸せが芽吹く居場所づくり』を企業理念に掲げています。佐賀県嬉野市を中心に、2013年の創業からデイサービスや宅老所、小規模多機能型居宅介護を運営して参りました。その他、2016年より廃校を活用した飲食店や宿泊業を手段として、これを拠点地域にお住まいの皆様と共に、地域の魅力発信と暮らしを守る活動を展開しております。

この地域周辺には、明治8年開校以来100年以上の歴史を刻む廃校「吉田小学校春日分校」がありました。現在では有効な使い道として月に1回の公民館のような活用のみで、地域住民の方々から「もったいない」という声が多く挙がっておりました。「なんとかこの歴史ある校舎を残したい」という地域住民のみなさまの想いから、地域の魅力を発信する「分校Cafe haruhi」をスタート。現在はグランピングという新たなカタチで地域の魅力を感じてもらえる「分校stay haruhi」に生まれ変わりました。

（「分校stay haruhi」の様子）

1日限定2組で、嬉野の特徴である茶畑や山々の景観はもちろん、農作物を栽培し収穫体験から採れた野菜などをお客様の食事として提供したり、飼っているヤギの餌やり・散歩体験など都心から離れた山間地域であるこの地域ならではの体験と時間を提供することで、「またこの場所に行きたい」と思ってもらえるような魅力を発信しております。

また、こうした体験や校舎の清掃等においても地域住民の方々に力をお借りして活動に取り組んでおります。こうした様々な事業を通して、地域の皆さんと信頼関係を構築してまいりました。

弊社が活動拠点としている佐賀県嬉野市は、九州三⼤銘茶の⼀つに数えられる「嬉野茶」が有名です。

しかし、近年後継ぎや労働⼒不⾜などの⼈的問題から、耕作放棄される茶園が年々増えており、当然春⽇地区の茶園も例外ではありません。その課題を解決するために何ができるかと考えた結果、耕作放棄されたからこそ⾃⽣する“茶実”の活⽤ということに辿り着きます。

（自生している茶実。茶の木になる果実です。）

茶実から絞れる油には、オレイン酸やビタミンEといった、美容効果の⾼い成分が多く含まれており、そこに光を⾒出したのです。茶実オイルとはかつて、中国で「不⽼⻑寿の油」と呼ばれ、世界三⼤美⼥の⼀⼈“楊貴妃”が愛⽤したといわれており、オレイン酸やビタミン E コエンザイム Q10 などの美容と健康に良いといわれる成分をたくさん含むなど、質の⾼いオイルとされています。

※出典：株式会社緑⾨・永原学園法⼈⻄九州⼤学「平成 29 年佐賀県嬉野市産茶実、茶実油及び茶実搾りカスの保健・美容機能の解析」の基礎研究等実施報告書より

⽇本の茶園では、茶葉へ少しでも多くの栄養を与えるために、花を咲かせない、実を成らせない管理が⾏われてきたことで、この茶実オイルに触れる機会はほとんどなくなってしまいました。また、乾燥させ、殻を割った 10 キロの茶の実から抽出できる油は、わずか 1 キロ。その効率の悪さから産業として発展していないことが現実で、国産の茶実オイルはとても⾼価な油となり、市場では１g７０円〜１００円で取引がなされています。

茶実オイルにとっては逆風が吹いているような状況でしたが、相対する形で嬉野市の状況がマッチしたのです。この数年、⽣産農家の⾼齢化や、価格の低迷を理由に、どんどん茶葉の⽣産量は減少しており（平成２５年：84,800ｔ、令和 2 年：69,800ｔ/ 農林⽔産省統計部「作物統計」）、それに伴い耕作放棄される茶園も急激に増え続けています。

この耕作放棄された茶園で茶葉を取るための管理がなされなくなった結果、茶実が⾃⽣することになっていましたが、弊社はあえてお茶の実を収穫する為の畑にすることで、高齢の地域住民の方々でも作業が出来るのではないかと考えたのです。

地域の手を借りて搾油することで、地域発のエコシステムを創出

茶実からオイルを製造するためには、いくつかの過程があり、中でも茶の実の収穫や⽪むきは⼿作業かつ時間がかかります。そのような課題から、これまで国産の茶実油はあまり流通されてこなかった過去がありました。

様々な背景はあれど、そのような課題を地域住民と築いてきた信頼関係を元に解決できないか。双方が幸せになる仕組みを模索する中で、地域の⽅へ作業を依頼し、地域内に点在する耕作放棄茶園に散歩ついでに出向き、収穫をしてくる仕組みを作ることができました。集めてきた茶の実を買い取ることで、地域に還元しています。

この活動を進めるにつれて、ただのビジネスや課題解決だけでなく、みんなで集まって楽しそうに茶の実の収穫をしたり、⽪むきをしている、これまでにない新しい情景が⾃然と創り出されました。

（茶実を収集する様子）

住み慣れた⼭間地で収⼊源があること、また、例え介護が必要になったとしても、⾃⾝ができることで仕事ができるということ、それは暮らしの豊かさに直結することだと考えています。耕作放棄された茶園を活⽤することで、地域の景観が保たれるだけでなく、茶実油を収穫することが、地域住⺠や⾼齢者にとっての⽣きがいとなり収⼊となる。そんな仕組みをつくることが私たちの役割だと考えます。

中山間地と関東を繋ぐエステサロン「retreat salon as is（リトリートサロンアズイズ）」オープン

茶の実からオイルを作るだけでなく、そのオイルを使って更なる付加価値の創出を目指すことに目を向けました。そうして生まれたのが、「retreat salon as is」です。

人口密集地では人混みや満員電車の通勤、音や光などあらゆる刺激に知らず知らずと疲れを感じている方も多いと考えています。そんな喧騒の日常生活から退避する意味を持つ「retreat」というワードをサロン名にし、「この時間、この空間だけは本来の自分自身と向き合っていただきたい」というコンセプトに掲げ、お客様の痛みや悩みを丁寧にカウンセリングし、その内容をもとに施術を提供したいと考えました。

（「retreat salon asis」で実際に使用している茶の実オイル）

エステサロンでよく使用されているオイルと比較し、私たちが手掛ける茶の実オイルは希少価値が高く、美容効果は高いものです。それゆえに、高品質・高単価となることから、「たくさんのお客様に、この価値をお届けできる場所」を考え、関東・横浜を選んでいます。

また、施術はもちろん、ご来店されるお客様にご満足いただける「ラグジュアリーな非日常空間」をコンセプトに、家具一つ一つにこだわった特別な空間を演出しました。コンセプトに合わせて、完全個室でお客様にとって“わたしだけの空間であること”も感じられるように設計されています。

施術ではお客様のお悩みに届く繊細なオールハンド技術によって、細部のリンパにも効くように。ヒートマットを用いて体を芯から温め、発汗や血流を促すことで施術後すっきりとした気持ちを感じていただけます。

茶実油の価値を最大化する挑戦を続ける

このような想いやこだわりを詰め込み、2023年4月に「retreat salon as is（リトリートサロンアズイズ）」が誕生しました。as is は、茶実油という価値あるものを、その価値を落とすことなく広げていくためにどうすれば良いかを考えた末に⽣まれた事業です。茶実油の魅⼒は、⾼い保湿効果と抗酸化作⽤。

「地域住⺠や⾼齢者と⼀緒に油が採れてよかった」ただそれだけで終わるのではなく、その魅⼒を最⼤限活かすべく、オイルトリートメントを中⼼としたエステサロンのオープンや美容関連の商品開発などにも⼒を⼊れ、茶の実オイルの市場を拡⼤することで、地域に還元されるべく活動を広げていきます。