2025年4月11日 10時52分 株式会社プラセス
株式会社プラセスは、プラスチック部品の金型設計から製作・形成・プレス・塗装・組み立てまで、さまざまな技術を複合させながら一元的に手掛けています。
アジアを中心とした世界6カ国に工場を持つグローバル企業で、時代から求められる企業であり続けようと、高品質な製品を安定的に供給しています。
また、社員から評判の独自の福利厚生を設けるなど、働きやすい環境づくりにも力を入れているようです。
今回は代表取締役の甲村尚久が、会社の未来や従業員に込める想いなどを語ります。
プラセスは森金型製作所の創業以来、自動車、OA、エレクトロニクス用小物機能樹脂製品を作り出しています。当社の願いは、「お客様が成功を収めるお手伝いをする」ことです。「計画即実行」を社訓に掲げ、お客様からの信頼を築いてまいりました。プラセスの社名も、「planning(計画)」と「success(成功)」を組み合わせた造語です。
当社のこだわりは、綿密な計画に基づく迅速な行動で小さな部品ひとつも機能美を突き詰め、小ロットから量産まで効率的な生産を実現していることです。他社にはない競争優位性に対する自動車メーカーの評価は高く、世界一の生産台数を誇るトヨタ自動車では、50%以上の車種に部品が搭載されています。
メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン、フォード、ゼネラルモーターズ、テスラなど海外の完成車メーカーに直接部品を供給するメーカーとも取引し、業界のリーディングカンパニーとして大きな存在感を発揮しています。
私が入社したのは、大学を2年で中退した後、21歳のときです。親に迷惑をかけたくないと思い、親が希望する会社に入ろうと決心したのですが、そこで勧められたのがプラセスでした。親は「小さいけれど、すごく面白い会社がある」と知人から聞いたそうで、実際に入社してみると、もともと好きだったものづくりに没頭できる環境でした。
がむしゃらに働いた結果、入社から5年も経たないうちに金型職人としての腕を認められたのですが、26歳のときにタイへの赴任を命じられました。現地で金型作りのプロジェクトを成功させるというミッションを与えられたのですが、入社6年目で50人ものタイ人部下を持たされることとなりました。言葉も通じなかったので、本当にピンチでした。
結局、タイには2回赴任し、日本のOA機器メーカーの現地生産が衰退して赤字に陥った事業を自動車向けにシフトすることで黒字化させることができました。その功績が認められて取締役になり、41歳のときに社長を任されたのですが、入社してから自分が社長になると考えたことなど一度もありませんでした。
創業者である現会長に社長就任を打診されたときは、従業員に嫌われることを言うのが嫌なので断ろうと思ったほどです。それでも、「誰かがやらなければならない」と考え直して引き受けることにしました。
ところが、社長になった直後に見舞われたのは、未曽有の危機にさらされたリーマンショックでした。「このままではいけない」と思ったときに気付いたのは、従業員の目的・目標意識が希薄であるということでした。
その原因は、会社に対する不満があるからではないかと考え、長年続いてきた長時間労働などの悪弊を一掃しました。誰かに任せるのではなく、自分が真剣になってやらなければ会社は変わらないということにも気付くことができ、本当に良かったと感じています。
自分の経験から言っても、会社が伸びるのは若手を中心とした従業員の力と経営者のセンスによるところが大きいと感じています。だから、若手に対しては元気で頑張ってほしいという想いが強く、私の方から積極的にコミュニケーションを取るようにもしています。
従業員との距離は、とても近い環境です。社長と従業員が近すぎるのも良くないとは思いますが、良い意味で風通しの良い経営を目指しています。
日々の仕事の中で社員の意見を聞いたり、現場力向上活動でリーダークラスの意見を聞いたり、従業員から相談があると呼び止められて話や愚痴を聞いたり、あるいは毎日の朝礼に参加して現場の問題を収取したり、いろいろな意見を取り入れて会社が良くなるように改善しています。
このように各従業員の意見を大切にしているのは「会社を成長させるには従業員を成長させる必要がある」という考えがあるからです。一人ひとりが主体的に仕事に取り組み、自己成長を実現していくためには、細かな要望や提言を聞き入れる体制が整っている必要があると考えています。
もちろん、若手以外の従業員ともまんべんなく話をしており、国内の従業員190名の名前は全員言えます。会社の設立記念日には、一人ひとりに私からの手紙を添えたホールケーキをプレゼントしており、従業員のご家族も含めて感謝の気持ちを伝えています。
また、個人評価に関しては、新たに「心得制度」を導入しました。個人の努力や成果を周囲の人間が評価し、点数化して部署内での順位などを出します。評価者は複数おり、例え社長であっても他の評価者のポイントは操作できないため、公平性が保たれています。
評価には個人目標の達成度も含まれており、心得制度との2軸だけで80%を占めています。上司が自分の組織の都合に合わせて手を入れられる部分が少なくなっているので、従業員は伸び伸びと働けていると思います。
心得評価の結果が給与などに反映されるまでには、もう少々時間がかかりますが、それに先駆けて「心得賞」を創設しました。高得点を取って賞に選ばれると、報奨金が支給される仕組みです。自分の努力次第でどんどん評価されるので、会社全体がひとつにまとまってきたと感じます。
福利厚生にも力を入れており、社内独自のポイント制度「プラポン」は従業員に大好評です。従業員の希望も聞き、テーマパークの割引券や映画チケット、全国共通おこめ券、ネットショップのギフト券などと交換できるようにしたので、よく利用されています。
会社が何も提供していないのに、従業員に愛社精神を持ってもらおうというのは無理な話です。だから、まずは「ギブ」をすることから始め、目に見える形で感謝を表してきたのですが、結果として従業員の心が会社に向くようになりました。若手の定着率も、かなり改善しています。
今後の経営戦略としては、2032年に売り上げの20%を自社開発の製品とする中期目標を立てています。目標を達成するためには、今以上に元気な会社にならなければいけません。私自身も、ずっと挑戦を続けてきたような気がするのですが、一人ひとりが常に挑戦できる会社であり続けたいと考えています。
挑戦した結果、失敗してしまったとしても、会社や上司が責めることはありません。最初は失敗するのが当たり前です。そこから方法を改善し、成功するまでやり切ることが大切だと思っています。
従業員にも、やり切る前に諦めてはいけないと言い聞かせています。臆病にならずにチャレンジし続けることがプラセスの文化で、そのような従業員がしっかりと育つ文化を浸透させたいと考えています。そのための環境も、さらに充実を図っていくつもりです。
グローバル競争はますます激化している中、あらゆる製品が変革期を迎え、飛躍的な成長を遂げることが予想されます。我々は、いかなる変革に対してもニーズに対応できる技術力とマインドを持ち、新たな価値を創造できる企業であり続けなければなりません。
プラセスは各分野の技術力向上に加え、「ものづくり」への真摯な姿勢を大切にし、さらなる高みを目指していく所存です。
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