《めざせ!発泡スチロール削減》まぐろ問屋がつくる新しい保冷箱「tunagu cool box」/三崎恵水産
植物由来の発泡体で、プラスチック使用量を約60%削減。ゴミ処理コストも半分に。
「まぐろと一緒にゴミを届けている」、水産事業者として感じてきたこと
2024年4月より、発泡スチロールに替わる新しい保冷箱「tunagu cool box」の使用を開始しました。その背景には、水産事業会社だからこそ痛感している社会課題があります。
まぐろは水揚げ後すぐにマイナス50度で冷凍され、必要な加工を施し、冷凍状態を保ったままお客様の元へ届けられます。
届ける過程で使用しているのが発泡スチロール。断熱性が高く水にも強い上、中身が傷つきづらく、軽くてコストも安い。我々のような水産事業だけでなく、世界中の物流において欠かせない現状です。
しかし一方で多くの課題も。そのひとつがゴミ問題です。
卸問屋の我々は、まぐろの輸送に大量の発泡スチロールを使用します。すでにオンラインショップをはじめ、主に家庭向け商品の販売における配送は発泡スチロールから段ボールへと切り替えを行ってきました。しかし、主軸事業である業務用卸販売ではいまだに、発泡スチロールに頼り切った流通から抜け出せていません。
流通の役目を終えた発泡スチロールは、顧客先にとっても廃棄コストのかかる厄介なゴミになってしまう。
各事業所等で発生した発泡スチロールは産業廃棄物の一種に該当するため、処分業者へ委託する必要があります。容量20kgケースの発泡スチロールを50箱廃棄すると、コストは2,112円*。一部は再利用することを考慮しても、多くの卸業者や小売・飲食店で、お金をかけて廃棄していることになります。
* 廃棄単価65円/kg。当社のグループ会社が運営する「廻転寿司 まぐろ問屋 新横浜店」にて、発泡スチロールを事業系産業廃棄物ゴミとして廃棄した際のコスト計算です。
商品の輸送だけでなく、資材として発泡スチロールを届け、場合によっては回収までおこなうケースもあります。トラックの中で場所をとる発泡スチロールは、物流コストや人件費などの資材発送費をかさませ、CO²排出量も増やしているのです。
また、輸送の過程や漁業現場で破損したものが海に流れ、課題は近年注目されているマイクロプラスチックの問題に。海に流出する海洋プラスチック問題によって海中の生態環境が脅かされている昨今、脱プラスチック、脱炭素の観点から、発泡スチロールの使用を禁止する国も増えています。
水産事業会社として、少しでも使用量を減らせないかと長年考えてきました。
物流・ゴミ・環境、それぞれの課題解決をめざしたハイブリッド型
そこで開発したのが「tunagu cool box」(以下、ツナグボックス)。
外側はリサイクル可能な段ボール、内側は自然素材の発泡体の二重設計で、両者を組み合わせることで環境に配慮した原材料から保冷機能と可燃性の両立を実現し、物流・ゴミ・環境、それぞれの課題解決をめざした作りになっています。
その1)植物由来のエコロジカル素材
コーンスターチ(主原料:とうもろこし)とポリプロピレンと水から生まれた新しい発泡体はバイオマス原料を50%以上使用しているため、カーボンオフセット(CO²排出量削減)にも貢献。樹脂(プラスチック)の配合比率を半分以下に抑えているため、可燃ごみとして処分することが出来ます。製造過程ではガスや化学薬品を用いない水蒸気発泡製法を取り入れているため、従来の石油原料で作られたスチロール素材に比べてエコな素材です。
その2)優れた断熱性能で保冷効果は抜群
発泡体部分は熱伝導率の低いポリプロピレンを使用。高い発泡倍率で成型しているため、従来の発泡スチロールと同等、高い断熱性能を有しています。保冷箱の内装材として用いることで、資材は少なく場所をとらず、優秀な保冷効果を発揮します。
その3)燃焼可能な素材でプラゴミの削減
樹脂(プラスチック)の配合比率を半分以下に抑えたtunagu cool boxの発泡体は、可燃ごみとして処分することができます。樹脂原料には安全性の⾼いポリプロピレンを使⽤し、燃焼時に有害ガスの発⽣がありません。また、外装の段ボール部分はリサイクルが可能。従来の発泡スチロール削減と共に、スチロールの産廃コストも削減できます。
大きさは水産業で使用頻度の多い、容量15kgと20kgの2種類。現在、当社の取引先のお客様にてテスト運用を開始しています。
「発泡体部分は折りたためる仕様でゴミとしてかさばらないし、段ボールは資源ごみとして再利用できます。実際に我々で使ってみても、コストは発泡スチロールとほとんど変わりません。運用コストはほとんど変わらないし、捨てるコストは圧倒的に安いんです。そうなるともう、ツナグボックスをやらない理由はありませんでした。段ボールを組み立てて発泡体をはめるという手間は発生しますが、我々の工場のオペレーションをひとつ増やせばいいだけです」(代表石橋)
基本は冷凍商材の輸送で使用するため、段ボールから水分が漏れる心配はありませんが、商材によっては検討や調整を重ねていき、さまざまなケースを見ながら対応していく予定です。
お客様と共に繋がり、プラスチック使用量も事業コストも約50%カット
「ゆくゆくは資材として販売したいです。販売が実現できたら、我々の仕事で物流を変えることができるんじゃないかと考えています。僕は社会活動家ではなくビジネスマンなので、ビジネスで世の中を良い方向に変えたい。もちろん、お客様によっては発泡スチロールを希望される方もいるので、すべてを変えるべきだとは思っていませんが、少しずつでも減らしていくことが大事です」
まずは取引先における物流量の30%を、発泡スチロールからツナグボックスに変えていく。達成したら少しずつまた増やしていく。
そうすることで、“お客様と一緒に” 社会課題にアクションしていることにも繋がります。
「先日、このプロジェクトに興味を持ってくれた長崎県の離島を拠点とする同業にツナグボックスをお送りしました。離島の場合、発泡スチロールの工場がなければ内地で作って輸送コストをかけて持っていかなければいけません。ツナグボックスも完全にゴミにならないわけではないですが、外側の段ボールは畳めるし再利用ができる。発泡体も植物由来だから燃やすことができる。しかもかさばらない。大きなゴミを何度も運ぶ手間がなくなるんです。各地から少しずつ、問い合わせや反響をいただいています」
環境性と経済性は伴わないと意味がない、というのが代表石橋のモットー。
地球に優しいことやものは、正しく行えば必然的にコストが下がり、コストが下がれば顧客は少しずつ受け入れて使ってくれるはずです。
《発泡スチロールからツナグボックスへの切り替え効果》
●プラスチック使用量を約60%削減
●廃棄燃焼時のCO²排出量を最大50%削減
●資材配送時のCO²排出量を50%以上削減
また、段ボールのように折り畳んで保管ができるため、保管スペースが従来の発泡スチロールに比べて約三分の一と、省スペース化が可能に。同時に大量輸送が可能になり、物流の2024年問題* 対策のひとつとして期待できます。
*2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働の上限規制と改正改善基準告示(※)が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されている。(全日本トラック協会)
お客様とツナガり、一緒にコストを削減し、環境や物流課題にともに取り組んでいく。
ツナグボックスのリリースがその第一歩となるよう、2025年からの本格運用に向けて、製品のテストと改善に励んでいきます。
本プレスリリースに関して
■会社概要
株式会社三崎恵水産
神奈川県三浦市三崎町城ケ島658-142
代表取締役 石橋 匡光
■ホームページ
https://misaki-megumi.co.jp/
https://misaki-megumi.co.jp/tunagu/
└ 恵、サステナブル宣言。
https://misaki-megumi.co.jp/sustainability/action.html
海、エネルギー、食、教育において
当社でおこなっているアクションを掲げています。
■本プレスリリースに関するお問い合わせ
メール:
電話:(046)881-7222
FAX:(046)881-7290
担当:石橋悠・深田
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