医療・介護の現場のカスハラ相談約1000件を分析。表に出た時点で約7割が「組織の介入が不可欠な段階」
株式会社ウィ・ キャンが『カスタマーハラスメント白書 2025年度版』を公開。2026年10月のカスハラ対策義務化を前に、現場の実態を無料で一般公開します。
株式会社ウィ・キャン(東京都港区/代表取締役:濱川 博招)は、当社のカスタマーハラスメント相談窓口に2025年度(2025年4月〜2026年3月)に寄せられた相談を分析した『カスタマーハラスメント白書 2025年度版』を公開しました。
2026年10月1日から、事業主にはカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対策が法的に義務づけられます。企業規模による猶予はなく、医療機関も介護事業所も、規模の大小を問わず体制整備が求められます。
本白書は、医療・介護・福祉の従事者から寄せられたカスハラ相談995件と、患者・家族等からの相談1,306件、あわせて2,301件の記録をもとに、現場で何が起きているのかを整理したものです。登録不要・無料で全文を公開しています。

■調査結果のポイント
1. 相談として表に出た時点で、約7割がすでに「組織の介入が不可欠」な段階
995件を危険度3段階で分類したところ、危険度3(組織介入が必須)が677件・68.0%、危険度2(負荷の集中)が238件・23.9%、危険度1(違和感・初期)が80件・8.0%でした。危険度2と3を合わせた915件が、全体の約92%を占めます。

2. 本来いちばん多いはずの「予兆」が、いちばん見えていない
労働安全の分野で知られるハインリッヒの法則では、危険は下にいくほど数が増える「ピラミッド型」で現れるとされます。しかし本白書が見たかたちは、その上下が逆さまでした。予兆にあたる危険度1は、わずか8.0%しか相談として現れていません。
予兆が少ないのではなく、予兆の段階では誰も危険と気づけず、記録も相談もされないまま、静かに深刻化していく。
3. 現場が実際に対応している事案は、年間1万件規模と推計
危険度3の677件を中程度の事例に相当する層として、ハインリッヒの法則の比率(1:29:300)を当てはめると、その背後にある軽微な事例・未相談の事例は約7,000件と算出されます。記録に残らない対応や、組織内で処理されて窓口に上がってこない事例を加えると、現場が実際に対応しているカスハラ事案は少なくとも約7,000件、実際には年間1万件規模に達すると考えられます。
※ ハインリッヒの法則の比率はあくまで目安であり、ここでの件数は概数です。
4. 相談1件あたり平均27.3分。4割弱が30分を超える
1件あたりの平均相談時間は27.3分。30分を超える相談が381件(38.3%)にのぼります。相談員が30分以上にわたって現場の負荷を受け止め続けているということであり、相談として持ち込まれる時点では、現場ではすでにそれ以上の時間にわたる事態が進行していると考えられます。

5. 行為者の約半数は「利用者本人」、残りの約半数は「利用者の家族」
行為者が判明している相談では、利用者本人が49.5%。残りの約半数は利用者の家族で、子が35.7%、配偶者が9.6%、親・兄弟が5.2%でした。行為の内容は暴言が42.5%、不当な要求が30.5%で、この2つで7割以上を占めました。
発生場所は自施設が39.8%、利用者・患者の自宅が29.2%。3割近くが訪問先という「閉じた空間」で起きています。
6. 「暴言をやめさせる」だけでは解決しない ― 行為の裏にある構造
本白書は、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」の9類型による行為の分類(最多は暴言型36.2%、次いでリピート型18.9%)に加えて、行為が「なぜ止まらないのか」を読み解く構造の分類を用いています。
構造で見ると最も多いのは契約外要求(境界線の逸脱)で34.0%。同じ「暴言型」の相談でも、背後の構造が違えば有効な打ち手は変わります。行為だけを見て対処しても、構造が残る限り形を変えて再発します。

■ なぜ、無償で公開するのか(代表コメント)
本白書は、登録不要・無料で全文を公開しています。ダウンロードにメールアドレスの登録も求めていません。白書の巻頭で、代表取締役の濱川博招は次のように記しています。
カスタマーハラスメントは、医療・介護・福祉だけの問題ではありません。行政、教育、民間企業など、あらゆる領域で同じ構造が起きています。多くの方に触れていただくことで、現場の実態を社会全体で共有し、対策の質を高める一助になればと願っています。
2026年10月には、カスタマーハラスメント対策が法的義務となります。これは、現場を守るための最低ラインが全国で共有される大きな節目です。本白書が、自治体や医療関係者だけでなく、企業や地域の皆さまが対策を進める際の「地図」として役立つことを期待しています。
職員を守ることは、利用者を守ることと矛盾しません。安心して働ける環境があってこそ、質の高い医療・介護が提供されます。私たちはこれからも相談窓口の運営と分析を通じて、現場の変化を捉え続け、その声を社会に届けてまいります。
2026年10月の義務化まで1か月を切りました。猶予はなく、体制整備が求められるのは大規模法人だけではありません。一方で、対策の必要性が高い小規模の医療機関・介護事業所ほど、参照できる資料も、それを整える人手も限られています。本白書は、現場を守る側と、顧客の立場にある側、その両方に現場の実状を知っていただくために公開しました。実状が共有されてはじめて、対策は前に進むと考えるからです。
― 株式会社ウィ・キャン 代表取締役 濱川 博招
■白書の入手方法
登録不要・無料で全文を公開しています。
https://www.wcan.co.jp/whitepaper/2025/
『カスタマーハラスメント白書 2025年度版』株式会社ウィ・キャン
■調査概要
調査主体:株式会社ウィ・キャン
対象期間:2025年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)
対象:当社カスハラ相談窓口に寄せられた相談 995件(このほか、患者・家族等からの電話対応1,306件)
分析方法:相談記録テキストを当社の分類基準(行為の類型・構造の類型・危険度)に基づき分類。分類結果は当社にて確認・確定
個人情報の取り扱い:相談者・対象者・職員の氏名、施設名・事業所名その他の特定可能な情報は分析対象から除外。掲載する集計・事例にはこれらを一切含まない
掲載事例:複数の相談内容を合成・抽象化したもので、実在の特定の事例ではない
■引用・転載について
本白書の内容を引用・転載いただく際は、出典として「株式会社ウィ・キャン『カスタマーハラスメント白書 2025年度版』」と明記してください。数値を引用される際は、相談件数995件に基づく旨を併記くださいますようお願いいたします。
■会社概要
会社名:株式会社ウィ・キャン
所在地:〒105-0004 東京都港区新橋6-9-2 新橋第一ビル本館7階
代表者:代表取締役 濱川 博招
事業内容:カスタマーハラスメント対策サービス「DFS(ディフェンス・フォース・サービス)」の運営ほか
DFSは2016年にサービスを開始し、現在約92,000法人に導入されています。2018年には東京都医師会の主要事業として採用されました。警察OB・クレーム対応の専門家が電話で対応する相談窓口のほか、AI相談ロボット、クチコミ監視、ハラスメント対応研修を提供しています。
■本件に関するお問い合わせ
株式会社ウィ・キャン DFS(ディフェンス・フォース・サービス)担当
電話:03-6432-0080(受付:平日 9:00〜17:30)
メール:info@wcan.co.jp
お問い合わせフォーム:https://www.wcan.co.jp/contact/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
