ネガティブ感情を「愛着」に変える。Z世代を攻略するマーケティングフレームワーク「2R1S」と、気まずさを武器にするブランド戦略をZ-SOZOKEN（Z世代創造性研究所）（運営：Fiom）が分析。

「解決(Resolution)」「逆転(Reversal)」「共感(Sympathy)」。あえて“気まずい瞬間”を描くことで、Z世代の信頼と拡散を獲得する3つのアプローチを公開。

Fiom合同会社

2025年11月30日 10時00分

Z世代に特化したクリエイティブカンパニーFiom合同会社（本社：東京都渋谷区、代表社員：竹下洋平）が運営しているZ世代の実態や価値観を分析するシンクタンク、Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)は、Z-SOZOKEN THINKTANK 最新調査研究レポートの第二弾として『Z世代の気まずいの感覚』についての調査研究レポートの第10章インサイトサマリー「気まずい×マーケティングとは?」をリリースしました。

Z世代同世代目線による分析で新たなインサイトを発掘、探求するZ世代特化の調査研究機関「Z-SOZOKEN（Z世代創造性研究所）」が調査研究レポートの第二弾として、『Z世代の気まずいの感覚』について独自に調査いたしました。

本調査は、Z世代当事者によって実施されました。

多様なバックグラウンドを持つZ世代当事者である研究員が、約300名のZ世代を対象にアンケートを実施し、彼らの対人関係における「気まずさ」の正体と、それをコミュニケーションに利用する心理を分析。

全52ページに渡る調査レポートを基に、Z世代が「気まずさ」をどのように捉え、消費しているのかを調査しました。

本調査の第10章では、「気まずさ」を活用したマーケティング戦略について提言しています。

通常、企業コミュニケーションにおいてネガティブな感情は避けられがちですが、Z世代にとっては「共感の源泉」です。

本レポートでは、気まずさと自社ブランドの相性を診断し、効果的なクリエイティブを生み出すための独自フレームワーク「2R1S」を開発・公開しました。

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Z世代の心を掴む独自フレームワーク「2R1S」

本調査の第10章から、企業のマーケティングに「気まずさ」を取り入れるための3つの切り口（2R1S）が定義されました。

Resolution（解決型）：気まずさを解消できる
商品やサービスを使うことで、気まずい状況を打破できることを訴求するアプローチです。会話のきっかけになるゲームや、場の空気を和ませるお菓子などが当てはまります。

Reversal（逆転型）：ネガティブをポジティブに
「まずい」「ダサい」といったマイナス要素を隠さず、あえて「気まずい」とさらけ出すことで、笑いや愛着（ネタ）へと変換するアプローチです。

Sympathy（共感型）：あるあるとしての共有
日常の気まずい瞬間をリアルに描写し、「わかる！」「それな！」という共感を生むことで、ブランドへの親近感を高めるアプローチです。

【調査研究レポート解説】第10章「気まずい×マーケティングとは?」

レポート本編では、Z世代の言語使用の実態と、そこにある心理的メカニズムを図解しています。ここでは、第10章の主要なスライドの内容をご紹介します。

マーケティングへの応用フレームワーク「2R1S」〜自社商品はどのタイプ？〜

「気まずさ」と自社ブランドの相性を整理するためのマトリクスです。「解決型（Resolution）」「逆転型（Reversal）」「共感型（Sympathy）」の3つの方向性から、自社のプロダクトがどの文脈でZ世代のインサイトに触れるかを分類します。「気まずい」という言葉は多くの感情を含んでいるため、多方面からのアプローチが可能です。

クリエイティブ戦略のポイント〜テキストよりも「体験」〜

「気まずさ」は文字情報だけでは伝わりにくい感情です。そのため、ショート動画での再現ドラマや、オフラインイベントでの空間演出など、「体験ツール」での活用が効果的です。注意点として、過度に気まずさを強調しすぎて不快感を与えないこと、そして単なるネタで終わらせず、必ず自社製品との関連性（解決策など）を提示することが重要です。

SNSマーケティングの具体的施策案〜「耐久動画」で滞在時間を伸ばす〜

具体的なアイデアとして、「気まずいシーンあなたはどれだけ耐えられるか」というショート動画企画を提案しています。「上司とエレベーターで二人きり」などの日常的な気まずいシーンを再現し、最後まで視聴した人にクーポンを配布するなど、エンタメと販促を掛け合わせた施策です。

オフラインイベントの具体的施策案〜あえて気まずい空間を作る「きまずいカフェ」〜

「知らない人と相席になるカフェ」など、意図的に気まずいシチュエーションを作り出すコンセプトカフェのアイデアです。そこに「気まずさを解消できるアイテム」として自社商品を提供することで、商品の効能を強烈な体験として記憶に残すことができます。

事例分析① Sympathy（共感型）

「友だちの友だち」という、微妙に距離感のある気まずい関係性を描いたCM事例です。「モンストやろうぜ」の一言でその気まずさが解消される様子を描くことで、ゲームがコミュニケーションツールとして機能することを共感と共に伝えています。

事例分析② Resolution（解決型）

スナック菓子Maltesersのキャッチコピー「Look on the Light Side（心を軽くしていこう）」を体現した事例です。家族団欒の中で起こりうる気まずい瞬間を、軽い食感のお菓子を食べることでやり過ごす（解決する）という、ユーモアあふれるアプローチです。

事例分析③ Reversal（逆転型）

「まずい！」というネガティブな反応を隠さず、あえて全面的に押し出すことでインパクトを残した伝説的な事例です。現代においても、なかやまきんに君を起用したCMなどで「そりゃまず〜い（気まずい）」と展開するなど、ネガティブ要素を「体に良い証拠」や「笑い」へと逆転させています。

調査概要

調査名：Z世代のきまずいの感覚についての意識調査

調査対象：全国のZ世代(18歳～24歳)

調査期間：2025年7月～8月

調査方法：インターネットを利用したアンケート調査

有効回答数：n=299

調査分析：Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所運営：Fiom合同会社)

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Z-SOZOKEN所長のコメント

◆竹下洋平（たけしたようへい）

Z-SOZOKEN（Z世代創造性研究所）所長

Fiom合同会社CEO

2005年生まれ。2021年10月にFiom合同会社を設立。Z世代のクリエイターの創造性を最大化させるをミッションに、Z世代によるZ世代向けのコミュニケーションプロデュース事業、リサーチ＆プランニング事業を展開している。上場企業から大企業、中小企業、ベンチャー、スタートアップ、行政や自治体と幅広い組織の支援実績を持つ。Z世代の創造性を活かし、Z世代向け広告コミュニケーションの上流設計から制作、運用までワンストップで実行支援する。

多くの企業は、ブランドを「かっこよく」「完璧に」見せようと努力します。

しかし、Z世代が本当に求めているのは、完璧なブランドよりも「人間味のあるブランド」です。

誰にでもある「気まずい失敗」や「隠したい弱点」を、企業側からあえてさらけ出す。

そうすることで、Z世代は「このブランドは私たちのリアルな感情を分かってくれている」と感じ、一気に心の距離が縮まります。

第10章で提案した「2R1S」フレームワークは、そんな企業の「隙（スキ）」を戦略的に作り出すための設計図です。

ネガティブだと思われていた「気まずさ」こそが、実はZ世代と深く繋がるための最強のフックになる。

綺麗事だけではない、リアルで等身大のコミュニケーションに挑戦したい企業の皆様と、ぜひご一緒できればと思います。