「言葉」ではなく「空気」を読む世代。Z世代の対人関係を支配する気まずさの正体と、52ページの調査で導き出した最終結論をZ-SOZOKEN（Z世代創造性研究所）（運営：Fiom）が分析。

対人関係に慎重で、他者の目を強く気にするZ世代。彼らが「気まずい」という言葉に込めたのは、ハイコンテクストな社会を生き抜くためのセンサーだった。

Fiom合同会社

2025年12月1日 10時00分

Z世代に特化したクリエイティブカンパニーFiom合同会社（本社：東京都渋谷区、代表社員：竹下洋平）が運営しているZ世代の実態や価値観を分析するシンクタンク、Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)は、Z-SOZOKEN THINKTANK 最新調査研究レポートの第二弾として『Z世代の気まずいの感覚』についての調査研究レポートの第11章インサイトサマリー「まとめ：Z世代の対人関係と空気感」をリリースしました。

Z世代同世代目線による分析で新たなインサイトを発掘、探求するZ世代特化の調査研究機関「Z-SOZOKEN（Z世代創造性研究所）」が調査研究レポートの第二弾として、『Z世代の気まずいの感覚』について独自に調査いたしました。

本調査は、Z世代当事者によって実施されました。

多様なバックグラウンドを持つZ世代当事者である研究員が、約300名のZ世代を対象にアンケートを実施し、彼らの対人関係における「気まずさ」の正体と、それをコミュニケーションに利用する心理を分析。

全52ページに渡る調査レポートを基に、Z世代が「気まずさ」をどのように捉え、消費しているのかを調査しました。

本調査の最終章となる第11章では、これまでの全分析を総括し、Z世代の「気まずさ」の正体を定義づけています。

明確な定義はないものの、誰かとの間に流れる「なんとも言えない微妙な空気」を敏感に察知するZ世代。

彼らは言葉そのものの意味よりも、その場の「空気」を読み解くことに特化した世代であり、その慎重さと繊細さが「気まずい」という感情表現の根底にあることが結論づけられました。

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Z世代は「言葉を読むのではなく、空気を読む」

本調査の第11章（まとめ）から導き出された、Z世代のコミュニケーションの本質は以下の通りです。

「気まずい」の正体
Z世代が感じる気まずさとは、明確な対立や失敗だけを指すのではありません。「誰かとの間に流れるなんとも言えない微妙な空気」そのものを指します。対人関係において非常に慎重であり、他者の目を強く気にする彼らにとって、この「微妙な空気」を察知する能力（気まずさセンサー）は、円滑な関係を維持するために不可欠な機能となっています。

言葉よりも「空気」
かつての世代も「空気を読む」ことは重要でしたが、Z世代においては「言葉を読むのではなく空気を読む」ことがコミュニケーションの主軸になっています。言葉を簡略化したり（第8章）、SNSでの反応を気にしたり（第6章）する行動はすべて、言語情報以上の「空気（コンテクスト）」を読み取ろうとする姿勢の表れです。

マーケティングへの示唆
Z世代に向けたマーケティングにおいては、この「気まずさ（空気感）」を無視することはできません。「共感型」「逆転型」「解決型」に加え、体験を通じて気まずさを共有する「体験型」のアプローチなど、彼らの感性に寄り添った戦略（2R1S）が必要不可欠です。

【調査研究レポート解説】第11章「まとめ」

レポート本編では、全編を通じた結論と、今後のマーケティングへの指針を3つのスライドでまとめています。

Z世代ならではの価値観、感情表現〜「慎重さ」と「親密さ」の相関関係〜

Z世代の根底にあるのは「対人関係への慎重さ」と「他者の目を強く気にする」意識です。しかし、この緊張感は相手との関係性や親密度によって変化します。親しければ親しいほど気まずさを感じにくくなる傾向があり、裏を返せば「気まずさを感じる＝まだ距離がある（あるいは距離を測りかねている）」というサインでもあります。彼らにとって気まずさは、人間関係の距離を測るバロメーターなのです。

Z世代は言葉を読むのではなく空気を読む世代〜「KY」文化のその先へ〜

現在は「空気を読むことが当たり前の時代」です。しかしZ世代の特徴は、単に同調するだけでなく、言葉尻よりもその場の「空気」を読み、その空気に合わせて自分の感情表現（「気まずい」「エモい」など）をチューニングする点にあります。テキストコミュニケーションが主流だからこそ、行間にある「空気」への感度が極限まで高まっている世代と言えます。

2R1Sで自社商品とZ世代の求める「きまずいマーケティング」の相性をチェック〜総括：気まずさを武器にする〜

レポートの締めくくりとして、第10章で提唱したフレームワーク「2R1S」を再掲しています。「共感型」「逆転型」「解決型」に加え、ショート動画やオフラインイベントなどの「体験型」のアプローチを組み合わせることで、Z世代のインサイトに深く刺さる「気まずいマーケティング」が実現します。

調査概要

調査名：Z世代のきまずいの感覚についての意識調査

調査対象：全国のZ世代(18歳～24歳)

調査期間：2025年7月～8月

調査方法：インターネットを利用したアンケート調査

有効回答数：n=299

調査分析：Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所運営：Fiom合同会社)

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Z-SOZOKEN所長のコメント

◆竹下洋平（たけしたようへい）

Z-SOZOKEN（Z世代創造性研究所）所長

Fiom合同会社CEO

2005年生まれ。2021年10月にFiom合同会社を設立。Z世代のクリエイターの創造性を最大化させるをミッションに、Z世代によるZ世代向けのコミュニケーションプロデュース事業、リサーチ＆プランニング事業を展開している。上場企業から大企業、中小企業、ベンチャー、スタートアップ、行政や自治体と幅広い組織の支援実績を持つ。Z世代の創造性を活かし、Z世代向け広告コミュニケーションの上流設計から制作、運用までワンストップで実行支援する。

全52ページにわたる調査で見えてきたのは、「気まずい」という言葉が単なるネガティブな感情ではなく、Z世代にとっての「社会との接点」そのものであるという事実です。

私たちは、SNSとリアルの境界がない世界で、常に「他者の目」と「その場の空気」を読みながら生きています。その中で感じる違和感や緊張感を「気まずい」と言語化し、時にはネタにして笑い飛ばすことで、繊細な人間関係を必死に調整しているのです。

「言葉を読むのではなく、空気を読む」。この結論は、企業がZ世代に向けてメッセージを発信する際にも、最も重要な指針になります。

綺麗なキャッチコピー（言葉）を並べるだけでは、私たちの心には届きません。その裏側にある文脈、私たちが日々感じている息苦しさや楽しさといった「空気」そのものを理解し、共有してくれるブランドこそが、これからの時代に選ばれる存在になるはずです。

本レポートが、Z世代という未知なる「空気」を読み解くための一助となれば幸いです。