【2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査(2)】 「AI活用」74.5%のカスタマーサクセス企業が効果を実感 / 6割以上が「新規売上増加」で業績向上
~バーチャレクスが毎年実施する「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」2025年版の第二弾結果公開~
バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:丸山勇人、以下、バーチャレクス)はこの度、「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」を実施し、前回の第一弾に引き続き第二弾の結果を取りまとめました。

■今回の分析テーマ
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カスタマーサクセスの必要性に対する意識の変化
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カスタマーサクセス効果の感じ方
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カスタマーサクセス取り組み有無別直近一年間の業況変化
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カスタマーサクセス取り組み前後での業況変化
カスタマーサクセスの必要性に対する意識の変化
今回の調査で「カスタマーサクセスについて知っている」と回答した中の1,031人に対して、直近一年間におけるカスタマーサクセスの必要性に対する意識の変化を聞いたところ、66.9%が「必要性を感じるようになった」と答え、全体的にその意識が高まっていることが分かりました。特に、実際に自社でカスタマーサクセスに取り組んでいる企業では75.7%と、実施企業においてはより強くその効果が実感されている状況です。


一方、経営層/役員以上においては、70.3%が必要性を感じると回答するものの、慎重な視点から「どちらとも言えない」や「必要性を感じなくなった」と答える割合も一定見られ、ROIや全社戦略との整合性が求められることが示唆されます。

また、サブスクリプション型(サブスク)商材を取り扱っている層では、約8割が「必要性を感じるようになった」と回答しており、サブスクビジネスの収益構造と密接に関連していることが明らかになりました。サブスク商材の取り扱いがない層でも約半数近くは必要性を感じており、サブスクビジネス以外でもリピート購入や顧客満足度向上などの目的で、カスタマーサクセス的アプローチの有用性を感じる企業が一定数存在していることを示唆しています。同時に「どちらとも言えない」と答えた人も4割以上を占め、カスタマーサクセスの必要性について明確に判断できていないケースもあるようですが、継続課金が前提でないビジネス形態では、解約防止やLTV向上といったカスタマーサクセスの価値がまだ顕在化しにくい可能性があります。しかしいずれの層においても、「必要性を感じなくなった」と回答した人は1割以下にとどまっており、カスタマーサクセス自体をまったく不要と考える人は少ないことがわかります。

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その他の<カスタマーサクセスの必要性に対する意識の変化>データおよび分析は以下よりご覧いただけます
・業種別
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カスタマーサクセス効果の感じ方
以下のグラフは、2021年から2025年にかけて、カスタマーサクセスに取り組んでいる企業がその効果をどの程度感じているかを年ごとに比較したものです。全体としては「効果を感じている」と答える割合が2021年からやや上昇傾向にあり、過半数を超える水準で推移している一方、年によって上下が見られます。2021年から2022年は「効果を感じている」が大きく伸び、カスタマーサクセス導入・推進の初期効果を実感した企業が増えた可能性があります。2022年から2023年は一度やや減少した後、2024年には再び伸長し、DX推進やサブスクビジネス拡大など外部環境の後押しもあったことが推察されます。今年は2024年よりやや減少しているものの、依然として2021年より高い水準を維持しています。「どちらとも言えない」と答えた人は全期間を通じて3割前後で推移しており、成果を十分に把握しきれていない、あるいは評価が定まらない企業も一定数存在することが考えられます。一方、「効果を感じていない」層は1割強ほどで大きな変動はなく、成果を実感できていない企業は少数ながら一定割合で存在していると言えます。総じて、長期的にはカスタマーサクセスの導入・推進による効果を感じる企業が緩やかに増えている一方、導入後の運用や評価体制、あるいは事業との親和性によっては成果が頭打ちになるケースもあると推察されます。

次にカスタマ―サクセス取り組み期間別で経年比較してみると、取り組み期間1年未満の層で「効果を感じている」人の割合が昨年より4.8ポイント増の59.6%、また1年以上2年未満の層では3.2ポイント増の70.1%とすべての層において近年で最も高い数値となりました。これにより、取り組み期間が短くても効果を感じている層が増えている結果が浮き彫りになっています。この背景としては、導入初期から効果測定に取り組む企業が増えてきたことや、ツールやノウハウの整備が進み、早期に成果を実感しやすい環境が整ってきたことが考えられます。加えて、サブスクビジネスの拡大やDX推進などの外部要因も相まって、導入初年度から顧客継続率や満足度向上などの形でカスタマーサクセスの価値が可視化されやすくなっている可能性があります。一方で、取り組み期間にかかわらず、「どちらとも言えない」と回答する層が全体の一定割合を占めていることが見受けられます。短期間での導入の場合、まだ具体的な成果が定量的に把握しにくく、評価が固まらないためこの傾向が現れる一方、長期間取り組んでいる企業でも、カスタマーサクセスの効果は多面的かつ時間をかけて現れるため、明確な評価に至らない部分が残ると考えられます。

同じく効果の感じ方をカスタマ―サクセス担当者人数別で見てみると、1~2人の少人数体制では半数強が「効果を感じている」と回答しているのに対し、3~5人、6~10人と人数が増えるにつれ、その割合は徐々に上昇し、16人以上では8割を超える企業が効果を実感しているという結果になりました。担当人数が多いほど、顧客データの分析や施策実行、フォローアップなどをより専門的・継続的に行いやすく、成果が顕在化しやすいと推測されます。また、1~2人の体制では32.6%が「どちらとも言えない」、15.8%が「感じていない」と答えており、リソース不足や担当者への負荷集中、評価指標の整備不足などが原因で、明確な成果を把握できずにいる企業が少人数体制ほど多いことが推察されます。しかし担当者が1~2人であっても、半数が効果を感じている点に注目すると、リソースが限られていても、正しいKPI設定や優先度を絞った施策を行えば、一定の成果を得られる可能性があるとも言えるでしょう。外部パートナーの活用や他部署との連携などを通じてサポート体制を整えることが重要かもしれません。

さらに、サブスクリプション型商材取り扱い有無別で見てみると、サブスク商材を取り扱っている企業でカスタマーサクセスの効果を感じている人は64.2%、効果を感じていない人は10.9%という結果となりました。一方で取り扱いがない企業では効果を体感している層が39.8%にとどまり、「どちらとも言えない」層が42.0%と、最も大きなボリュームを占めています。また「効果を感じていない」と答えた人も18.2%と、サブスク企業よりも多くなる結果となりました。これはカスタマーサクセスの価値がはっきり可視化されていない企業が多いことを示しているのかもしれません。サブスク企業の方が圧倒的にカスタマーサクセスの効果を実感しやすく、ビジネスモデル上の親和性が高いことがうかがえます。一方、非サブスク企業でも約4割が効果を感じていることから、顧客との継続的な関係構築を重視すれば、カスタマーサクセスの導入価値は十分に見込めると考えられます。

続いて、AI導入・活用状況別でカスタマーサクセス効果の感じ方を見ていきます。「大部分でAIを活用している」層では、実に74.5%が「カスタマーサクセスの効果を感じている」と回答し、「感じていない」は1割弱にとどまっています。また、「一部の顧客対応でAIを活用している」層でも59.4%が「効果を感じている」と回答し、一定の成果が得られている様子がうかがえます。AI活用が進んでいる企業では、データ分析や顧客対応の自動化による効率化がダイレクトに成果へ結びつきやすいと考えられます。一方、AI未活用の企業では、「効果を感じていない」「どちらとも言えない」層が多く、カスタマーサクセス×AIの具体的メリットが十分に伝わっていない可能性が考えられます。

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その他の<カスタマーサクセス効果の感じ方>データおよび分析は以下よりご覧いただけます
・業種別
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カスタマーサクセス取り組み有無別直近一年間の業況変化
カスタマーサクセスに取り組んでいる、取り組んでいないそれぞれの層に対し、直近一年の新規顧客数および新規売上の推移について尋ねてみると、カスタマーサクセスに取り組んでいる層はいずれも「増加した/上がった」と回答した人が6割を上回り、カスタマーサクセスがビジネス成長に寄与している可能性が高いと考えられる結果となりました。一方で、取り組んでいない層の約半数は、新規顧客数も新規売上数も「変わらない」という結果になり、安定はしているものの、大きな成長を実感できていないことが推察されます。


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その他の<カスタマーサクセス取り組み有無別直近一年間の業況変化>データおよび分析は以下よりご覧いただけます
・新規顧客数推移(カスタマーサクセス取り組み有無×サブスクリプション型取り扱い有無別)
・新規売上推移(カスタマーサクセス取り組み有無×サブスクリプション型取り扱い有無別)
・継続売上推移(カスタマーサクセス取り組み有無×サブスクリプション型取り扱い有無別)
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カスタマーサクセス取り組み前後での業況変化
カスタマーサクセスに取り組んでいる層に対して「カスタマーサクセスに取り組む前と後」での売上高および利益率の変化を聞いたところ、売上高については58.4%、利益率については52.3%の人が「向上した」と回答しました。一方で、3割前後の企業が「変化を感じない」、約1割弱が「低下した」と答えており、カスタマーサクセスの導入が必ずしも短期的な成果につながるわけではないことも示唆されます。導入初期コストや施策の定着不足などにより、思うような効果を得られない企業が一定数あるのかもしれません。


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その他の<カスタマーサクセス取り組み前後での業況変化>データおよび分析は以下よりご覧いただけます
・カスタマーサクセスに取り組む前と後での継続率変化(カスタマーサクセス取り組み企業)
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カスタマーサクセス×サブスクリプション戦略が企業成長を実現
今回の分析の結果、カスタマーサクセスに取り組んでいる企業では、新規顧客数、新規売上、継続売上の各指標で、導入前後の効果が明確に現れていることが分かりました。特に、サブスクリプション型商材を取り扱う企業においては、企業の成長に直結する成果をもたらしていることが際立っています。カスタマーサクセス取り組み企業全体では、売上や利益率、継続率の向上が実感され、既存顧客との関係強化やアップセル施策が、業績の拡大に大きく寄与していると推察されます。一方で、カスタマーサクセスの取り組みを行っていない企業では、各指標ともに「変わらない」との回答が多く、成長の実感が限定的であることが示唆されます。さらに、サブスク商材を取り扱う企業は、カスタマーサクセスの必要性が収益に直結するため、積極的な導入が求められる一方、非サブスク企業では継続課金モデルが存在しないことから、カスタマーサクセス施策の具体的効果が把握しにくく、必要性の認識が分かれやすい傾向があることも明らかとなりました。
なお、今回の調査で得られたデータは膨大であるため、本調査の分析結果は複数回にわたって公開していきます。各回では、カスタマーサクセスの導入状況や成果、成功要因、今後の展望などをテーマごとに掘り下げ、日本企業におけるカスタマーサクセスの実態と動向を詳しく分析します。
バーチャレクスではカスタマーサクセスに取り組むにあたってのお悩み・課題をお持ちの企業様向けに、カスタマーサクセス導入や運用をサポートする様々なサービスを提供しています。
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ワークショップ(経営者様向け/社員様向け等、カスタマーサクセスについての理解促進をサポート)
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コンサルティングサービス(ショット/スポット型でのレビューや戦略立案等)
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テクノロジーサービス(ツールやデータプラットフォームの導入/構築や利活用支援)
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オペレーションサービス(カスタマーサクセスプロセス伴走支援)
【調査実施概要】
「2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施期間:2025年2月21日~2025年2月26日
・対象地域 :全国
・対象者 :20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)64,138人
<参考>
バーチャレクス社翻訳カスタマーサクセス担当者のためのバイブル
『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』
カスタマーサクセスの法則や用語を紹介
カスタマーサクセスで顧客接点の未来を創る by Virtualex Consulting
(すべて生成AIで制作したコンセプトムービー)
バーチャレクス・コンサルティングは創業来「企業と顧客の接点領域」にフォーカスしたビジネスを展開しており、「顧客の成功こそが自社成長の鍵である」というカスタマーサクセスの考え方にもとづき、"Succession with You" ― 一度きりの成功の「Success」ではなく、連続する成功という意味の「Succession」を、「for You」ではなく、伴走するという意味で「with You」していくことを企業として掲げています。現在では顧客企業のCRM領域のDX・デジタルシフトを、コンサルティング、テクノロジー、オペレーションのコアスキルを融合させ、ワンストップ伴走型でサービスを展開しています。
■ バーチャレクスグループについて
バーチャレクスグループは、各社約1,000名の従業員が一体となり、金融・保険、IT・情報通信、通販・インターネットサービス、教育、官公庁・自治体など、幅広い業界のクライアント様に対して、それぞれの専門知識を活かしたサービスを提供しております。2016年6月には東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場しています。
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