イマドキ新入社員の組織適応、成功の鍵は「職場フィット」と「入社の前向きさ」

〜新入社員・上司合わせて2,500名超のデータから「新入社員が職場になじみ、自分らしく働くために必要な要素」が明らかに〜

株式会社NEWONE

エンゲージメント向上を軸とした組織開発・人材育成コンサルティング支援を通して"推せる職場づくり"を進める株式会社NEWONE(本社:東京都港区 代表取締役:上林周平、https://new-one.co.jp/ 以下、NEWONE)は、2025年10月20日に、新入社員1,274名と上司1,353名を対象としたサーベイデータをもとに、新入社員の組織適応(職場に馴染み、自分らしく働ける状態)を成功に導く重要要素を明らかにした調査レポート第2弾を発表しました。

本レポートは、イマドキ世代の新入社員が「どのように職場に馴染み、自分らしく働けるようになっているか」、上司は「その過程をどう見ているか」を多面的に捉え、オンボーディング施策(入社後の職場定着支援)の改善に役立つ示唆を提供しますするものです。
前回調査(900名超)から対象者を拡大し、より精緻な分析を実施しました。

調査概要

調査期間:2024年10月〜2025年9月

対象:2024年度新入社員1,274名と直属の上司1,353名(24社)

主な業界:製造、IT、商社、不動産、サービス等

調査方法:PANAIサーベイのサーベイ結果を集計・比較

調査内容:

  • 「オンボーディングの状態」を可視化する15項目

  • 新たに定義した4つの指標(組織適応度、人間関係満足度、キャリア展望、役割適合度)

  • 各要素に関して、本人・上司比較、相関分析、重回帰分析を実施

調査背景

近年、イマドキ世代とも言える新入社員の価値観の多様化や、働き方の変化により、従来のオンボーディング手法では入社初期の定着や早期活躍を十分に支援できないケースが増えています。
「入社した人が職場に馴染めているか」「育成施策がきちんと機能しているか」を可視化し、科学的に改善することは、多くの人事担当者にとって喫緊の課題となっています。

こうした課題に応えるため、NEWONEでは、社員が職場に馴染み、早期に活躍できるようにする取り組みの効果を測定するアンケート調査「PANAIサーベイ」を開発しました。

今回の調査では、前回の知見をさらに深化させ、オンボーディング15要素を4つの新指標(組織適応度・人間関係満足度・キャリア展望・役割適合度)に再整理し、特に「組織適応度」を高める要素の特定に焦点を当てています。

PANAIサーベイとは

PANAIサーベイとは、新卒採用者や中途採用者のオンボーディングに関する専門家である尾形真実哉教授監修のもと開発された、新卒採用や若手育成の効果を測定するためのサーベイ。新入社員本人とその上司の両者から回答を得ることで、現状の把握・育成施策の効果測定・課題の特定までを一貫して行い、より良い職場定着・早期活躍を支援します。


サマリー

1. 仕事の意義・価値の明確化が課題

  • 新入社員は「入社の前向きさ」「同僚・上司との関係」「職場フィット(組織ミッションや提供価値への共感)」には高い満足度

  • 一方、「貢献実感」「仕事内容」「1年後のキャリアイメージ」は物足りなさを感じる傾向

  • 仕事の意義・価値を明確化する育成施策がまだ追いついていない状況

2. 上司と新入社員の認識ギャップ

  • 「上司との関係」「仕事量・難易度」では新入社員の満足度が高い

  • 「貢献実感」「スキルアップ実感」では上司スコアとの乖離が確認

  • 上司が思うほど新入社員本人は業務での成長や貢献を実感できていない

3. 組織適応のカギは「入社の前向きさ」と「職場フィット」

  • 新入社員の組織適応(職場になじみ、自分らしく働く力)を支える重要要素

  • 早期に職場のミッション理解を促し、業務と組織目標を紐づけることが効果的

主な調査結果

▼15項目の新入社員本人たちの自己評価

新入社員本人の意識としては、周囲との人間関係は良好で成長実感もあるものの、仕事内容への納得感や役割・期待の把握は曖昧で、1年後のキャリアイメージも描けていない傾向がみられた。

15項目の新入社員本人たちの自己評価

本人の意向を踏まえつつ、業務の意義や目的を理解させ、中長期的なキャリアを話す機会を積極的に確保することが、オンボーディングを前に進めるポイントになる。また、支援環境に対してはポジティブに捉えているものの、自分が職場に貢献出来ているかを実感できていない状況も示唆され、価値貢献の可視化・言語化が重要である。

▼上司と新入社員の認識ギャップ(15項目比較)

上司と新入社員の結果を比較すると、以下のような特徴的なギャップが見られた。

上司のスコアが大きく低い項目

  • 上司との人間関係(新入社員4.44 vs 上司3.94、差0.50)

  • 職場フィット(新入社員4.16 vs 上司3.83、差0.33)

  • 仕事量・難易度の適切性(新入社員3.98 vs 上司3.65、差0.33)

上司は「目標や提供価値が十分に伝わっているか」「本人にとっての仕事の意義に紐づいているか」「育成として適切なコミュニケーションがとれているか」等の不安を抱えたまま関わっている可能性がある。担当者だけに任せず、職場全体で新入社員の思いや考えを共有 することが重要である。

上司のスコアが大きく高い項目

  • 貢献実感(新入社員3.47 vs 上司4.12、差-0.65)

  • スキルアップ実感(新入社員3.85 vs 上司4.15、差-0.30)

上記2項目は、上司の評価が高い一方で、新入社員にとっては「自身の貢献や成長を把握できていない可能性がある。 定期的に振り返りの機会を設定し、業務の意義や成長実感を本人に伝える関わりが求められる。

▼新入社員の行動レベルの認知ギャップ

行動レベルで見ると、全体的に上司のスコアの方が低く、新入社員の自己基準がまだ十分に形成されていない印象がある。ただし、「リーダーシップ」「ビジネスマナー」では上司のスコアがやや高く、本人が認識している以上に上司が満足している、もしくは不足を感じていないことが分かった。

上司とのギャップが大きい項目

  • 経験学習力(新入社員4.19 vs 上司3.91、差0.28)

  • 問題発見解決力(新入社員3.77 vs 上司3.53、差0.24)

  • 業務に対するエンゲージメント(新入社員4.14 vs 上司3.92、差0.22)

これらの3項目では、目指す姿や目標の認識を共有し、現状を把握するだけでなく方向性をすり合わせることがギャップを埋め、行動レベルを高めることにつながる需要なポイントである。

▼「組織適応度」を高める要素の特定

2025年9月、「PANAIサーベイ」の個別レポートをリリースするにあたり、オンボーディングを可視化する15個の要素を整理し、「組織適応度」「人間関係満足度」「キャリア展望」「役割適合度」の4つのスコアを新たに定義しました。

4つのスコアの中でも、「組織適応度」は過去の研究データでも最重要指標として扱われており(Feldman(1981)、Bauer et al. (2007)等)、今回の分析においても同様に中心指標として設定。相関分析と重回帰分析により、組織適応度を高める要素を特定した。

組織適応度と相関が高い要素(新入社員視点)

新入社員視点では、「職場フィット」と「入社の前向きさ」の相関が特に高く、早期に職場のミッション理解を促し、組織目標と本人の業務を結びつけることがオンボーディングの最優先事項であることが示された。
意外な点として、組織適応度と貢献実感の相関は弱く、本人にとっては「自身の業務が職場やキャリアに対してどのような意義があるか」の方が影響が大きいことが分かった。
一方で上司視点では、貢献実感の影響度は高く、本人以上に重要視していることから、組織適応における認識の差が示唆された。

まとめ

本調査レポートは、新入社員の組織適応を成功に導く要素を科学的に明らかにするものです。今回の分析で特に重要なポイントは以下の3点です。

1. 「職場フィット」と「入社の前向きさ」が組織適応の最重要要素

  • 組織のミッションや提供価値への共感が、組織適応度に最も強い影響を与えることが判明

  • 新入社員だからといって遠慮せず、早期から積極的にミッション理解を促すことが重要

2. 「仕事の意義・価値の明確化」が育成の鍵

  • 人間関係の満足度は高いものの、「貢献実感」や「1年後のキャリアイメージ」に物足りなさを感じている傾向がある

  • 本人にとっての仕事の意義・目的を見出させる関わりが求められる

  • 「どれだけ貢献できているか」よりも、「自身の業務がどういう意義を持つか」を伝えることが重要

3. 上司と新入社員の認識ギャップへの対応が必要

  • 「貢献実感」「スキルアップ実感」で大きなギャップが存在

  • 定期的な振り返りの機会を設定し、貢献・スキルアップの両面で手ごたえを感じさせる関わりが必要

  • 担当者だけではなく職場全体として本人の思いや考えを共有することも重要

本レポートでは、企業全体の傾向についての報告でしたが、オンボーディングを成功に導くポイントは、企業特性によって異なる面も多くあります。自社における育成の要点は何か、施策効果を確認されたい場合は、調査レポート・PANAIサーベイをご活用いただければ幸いです。

今後もNEWONEは、新人が定着する育成環境を支援する情報を発信していきます。

本調査に関する詳細・資料ダウンロードは公式ホームページにてご確認ください。

株式会社NEWONEについて

「他にはない、新しい(new one)価値を生み出す」を社名に掲げ、エンゲージメントをテーマに、「個人の意識変革」と「関係性の向上」を中心とした企業向けコンサルティング、人材育成・組織開発を提供。人的資本経営が企業にとって重要な課題となっている昨今、社員が自発的に仕事にのめり込む、熱中していく状態、好循環なエンゲージメントサイクルで生み出す職場「推せる職場」づくりを通して、Softbank、カゴメ、三菱地所ホームをはじめ、多数の企業様の支援を実施しています。

*2022年7月に企業経営者や人事担当者、マネジメント層と接してきた経験をもとに、これからのリーダーに必要なマネジメントのノウハウ本『人的資本の活かしかた 組織を変えるリーダーの教科書』発売

*2024年6月に共著書にて、企業規模問わず活かすことができる従業員体験づくりのノウハウをまとめた『組織の未来は「従業員体験」で変わる』を発売

・所在地:東京都港区虎ノ門3丁目4−7 虎ノ門36森ビル9階

・設立日:2017年9月1日

・代表者:上林周平

・事業内容:コンサルティング、企業研修・組織開発等

・URL:https://new-one.co.jp/


【本件に関する企業様からのお問い合わせ先】

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株式会社NEWONE

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業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都港区虎ノ門3丁目4-7 虎ノ門36森ビル9階
電話番号
070-1554-2088
代表者名
上林周平
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2017年09月