仕事は回る。では、人は育っているか。「まずやってみる」が始まらない背景を問い直す実務レポートを公開

「もっと積極的に」の前に、確かめたい仕事の条件がある。国内外25件の公開資料と実務観察を照合し、十の要因候補と、判断経験が残る仕事の設計を整理

組織行動科学®︎

仕事を終わらせた後に、本人が次の仕事で何を担えるようになったか。
そこまでを、育成の確認対象にします。

980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、組織行動科学®の研究・教育開発を行うリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑 智康)は、実務レポート『「まずやってみる」が始まらないのは、なぜか』を公開します。

全36ページに、人物イラスト入りの図解10枚と参考文献・参照資料25件を収録。「人が動かない」という評価を、本人が経験してきた仕事と、実行を支える条件から問い直します。

「もっと積極的に」と伝える前に、仕事の経過を確かめる 

着手が見えないとき、何もしていないとは限りません。必要な情報を調べているのか、承認を待っているのか、相手から返答が来ていないのか。それとも、何を確かめるかが定まっていないのか。

まず一つの仕事について経過を聞き、必要な支援を具体化することを提案します。

本レポートの運用提案から抜粋。人のタイプ分けや能力診断ではありません。全文では、提案・試行に不利益を予想している場合も扱っています。

仕事の完了を、本人の成長と同じにしない 

上司が顧客に確認し、熟達者が仕様を決め、担当者がその後の処理を進める。例えば、このような仕事では、案件が完了しても、判断の根拠が本人に共有されず、次に自分で確かめる機会が残らない場合があります。

 

本レポートでは、こうした経過を、検証すべき仮説として整理しました。問題にしているのは、上司が支援することではありません。その支援が、判断の根拠の共有や、本人の次の実践につながっているかです。

 ここでいう「判断経験」とは、何を確かめ、何を根拠に選び、どう実行し、結果から何を見直したかが、次の仕事に使える形で積み重なる経験を指します。

検討仮説・未検証の循環モデル。矢印は実証済みの因果関係ではなく、「小さな要因」は効果量を示しません。上司の支援そのものを否定する図ではありません。

仕事を終わらせた後に、本人が次の仕事で何を担えるようになったか。
そこまでを、育成の確認対象にします。

働き方改革が生んだ問題と、決めつけない 

本レポートの中心仮説は、働き方改革以前から存在していた可能性のある育成上の課題が、時間配分、役割分担、人員配置や支援条件の変化によって、見えやすくなったのではないか、というものです。

 

「以前より目につくこと」と「以前より能力が低くなったこと」は同じではありません。新たに生じた課題、既存の課題の悪化、それまで見えにくかった課題の顕在化、求められる役割の変化を分けて検討します。

 

実際、厚生労働省の2014年度能力開発基本調査では、人材育成に何らかの問題があるとした事業所は75.9%でした。常用労働者30人以上の事業所を対象とする調査であり、今回の実践習慣を測ったものではありませんが、育成上の課題は改革以前にも報告されています。(出典:厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」)

 

一方、2019年の時間外労働の上限規制を分析した2026年公表のRIETI研究では、長時間労働が減少する一方、技能形成への投資機会が減ったという体系的な証拠は得られていません。ディスカッション・ペーパーとして公表された結果であり、実践習慣を直接検証したものではありません。(出典:RIETI「Can Capping Overtime Improve Worker Welfare? Evidence from Japan’s 2019 Labor Reform」〈2026年〉)

 

労働時間の適正化と、人が育つことを対立させない。
必要なのは、現在の条件の中で、どのような経験を積み重ねられるかを確かめることです。

「十分に整えてから動く」の前提を問い直す 

レポートには、新しいサービスの企画担当者が、料金や提供体制をすべて整えなければ顧客に会えないと考えている仮想例を掲載しています。一方、上司が最初に求めていたのは、販売ではなく、顧客の現在の仕事を理解することだった――という認識の違いです。

この場合に必要なのは、準備を否定することではありません。最初の接点で何を確かめるのか、何は約束しないのかを共有することです。相手に聞かなければ分からないことまで、事前に自分で整える条件として抱えていないかを問い直します。

 

このほか、経験の偏り、上司等の補完、提案に伴う不利益、権限、業務の密度、目的、知識・技能、学ぶ経路、デジタル技術の使い方などを、十の要因候補として検討しています。原因の確定や重要度の順位づけではありません。

長く働くことに戻さず、経験が残る仕事へ 

提案するのは、研修課題を増やすだけの育成ではありません。通常業務の中で、本人が担う判断と必要な支援を定め、相手に働きかけ、結果を確認するところまでを一連の仕事にすることです。

 

実践や指導の時間を確保する際には、何をやめるか、簡略化するか、分担するかも決めます。本人だけでなく、上司の支援時間も含めて設計します。

本レポートの運用提案。効果を実証した手順ではありません。必要な了承・実行範囲・支援を整え、実行後の影響と、次の案件での行動を確かめます。

また、必要な了承や安全・品質上の条件が整っていなければ、実行を保留することも適切な判断です。勢いで始めることや、試した件数だけを増やすことは求めません。

一度実行できたかだけでなく、次の案件でも必要な働きかけを始め、相手の応答や結果を、次の判断に使っているかを確かめます。

「仕事が回る仕組み」に加えて、「本人が次に判断できるようになる仕組み」をつくる。

公開レポートについて 

  • 名称:「まずやってみる」が始まらないのは、なぜか

  • 副題:働き方改革以前からの課題、顕在化をもたらす条件、実践経験が積み重なる仕事の設計を問い直す

  • 著者・発行:甲畑 智康、リクエスト株式会社

  • 構成:全36ページ・人物図解10枚・参考文献/参照資料25件

 経営者、管理職、人事・人材開発担当者、現場の育成担当者に向け、自ら働きかける実践が始まりにくい仕事を振り返る際や、任せる判断、必要な支援、実行後の確認方法を検討する際の対話資料として活用することを提案します。

全文レポートをダウンロード

『「まずやってみる」が始まらないのは、なぜか』
PDF・全36ページ/人物図解10枚/参考文献・参照資料25件

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根拠の区分と、本レポートが示す範囲 

本レポートは、企業横断的な実務観察と公開研究を照合した探索的レビュー・実務提案です。筆者が複数企業の30代中盤から40代前半の人たちについて抱いた所感を出発点としていますが、年齢層一般の特性や世代差を示す統計調査ではありません。

 

実務観察、外部研究の結果、本レポートの仮説・提案を区別しています。「働き方改革によって主体性が低下した」ことや、「以前からの課題が改革以降に顕在化した」ことを直接実証したものではなく、提案全体の効果も今後の検証対象です。

 

初版の文献参照は2026年9月14日、公開用校閲時の再照合は2026年9月15日です。研究の対象・方法・限界と、25件の書誌情報はレポート本文に記載しています。

組織行動科学®について 

組織行動科学®は、組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境、歴史、経験から明らかにし、より善く再現するための研究・実践体系です。

リクエスト株式会社は、980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、企業で働く成人の研究と教育開発を行っています。

リクエスト株式会社について 

リクエスト株式会社は、組織行動科学®を基盤に、企業で働く人の行動、判断、経験形成、組織学習に関する研究と実践支援を行っています。

代表取締役の甲畑智康は、2003年に東京藝術大学美術学部を卒業後、企業の人材育成・組織開発に20年以上携わってきました。芸術における創造の過程と、企業における判断形成の双方を背景に、AI時代の「判断デザイン」「判断経験設計」「判断構造設計Pro」の体系化を進めています。

会社名:リクエスト株式会社
代表者:代表取締役 甲畑 智康

所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
公式サイトhttps://requestgroup.jp

会社概要https://requestgroup.jp/corporateprofile

お問い合わせhttps://requestgroup.jp/request 

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会社概要

URL
https://requestgroup.jp
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
電話番号
090-4183-2525
代表者名
甲畑智康
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年10月