ジョンソンコントロールズ株式会社

　DX人材不足、建設業界の人手不足が日本の社会課題の1つとなるなか、こうした課題解決に取り組むべく、ビルテクノロジーのグローバルリーダーであるジョンソンコントロールズが、同社のノウハウや技術、世界の最新スマートビル事例を惜しみなく提供し、専門学校東京ビジネス外語カレッジ（以下TBL）で授業を行いました。

　各業界でニーズが高まるDX人材を志す学生たちとともに、持続可能な未来の実現において、「ビル」と「ＤＸ」が果たす役割や、より良い未来の実現に向けた新たなソリューションを考案するなど、企業と学生が一体となって日本のデジタルトランスフォーメーションについて考え、学びを深めました。

　ジョンソンコントロールズは、ビルテクノロジー業界のリーディングカンパニーで、世界150ヵ国以上で多彩な用途の建物の効率化を促進しスマートビル、スマートシティを実現しています。同社は、ビルの自動制御システムに、データアナリティクスや機械学習を活用し建物内の多彩な設備システムから収集したビッグデータを有効活用することで、建物利用者の安全性や快適性、生産性を改善するパイオニアとして技術革新を進めています。

2020年7月に同社は産学連携プロジェクトとして、学校法人ISI学園と連携し、同学園が運営する専門学校東京ビジネス外語カレッジ（以下TBL）とデジタルトランスフォーメーション（DX）人材の育成を目的に、共同でカリキュラムを作成することを発表しました。

　今回の連携の狙いは、ジョンソンコントロールズが持つノウハウや世界のスマートビルの最新事例を学生と共有することで、未来を担うＤＸ人材育成を支援し、サスティナビリティ実現に貢献することです。

さらに、「建物」と「ＤＸ」という意外な組み合わせが、サスティナビリティ実現の重要な要素であると学生に理解してもらうことで、将来的な建設業界の人手不足やＤＸ人材不足解消を促し、業界全体の成長に貢献すること、また若者との交流を通じ、新しい考えや価値観を吸収することで、よりよいソリューションを提供しながら持続可能な未来創りを目指すことにあります。

　ジョンソンコントロールズ社員による講義は、TBLと共同で作成したカリキュラムに沿って、2021年4月よりスタートした「グローバルビジネス学科 デジタル・ビジネスコース」の1年生を対象に2021年10月に実施されました。

講義は全部で3回あり、最初の2回でジョンソンコントロールズの事業概要やデジタルソリューション紹介、DX最新事例の解説を行い、10月20日に行われた最後の講義では学生からジョンソンコントロールズに対する事業提案が行われました。

学生の自由な発想から生まれる「未来のビルテクノロジー」

　本コースの受講生は30名で、当日は12名がオンラインで参加。クラスには海外からの留学生も多数参加しているほか、社会人や起業経験者など多彩なバックグラウンドを持つ学生が参加しています。TBLの並河克彦校長によると同校の約6割の学生が留学生と、グローバルな環境で学べることも、TBLの魅力の一つです。

TBLでの講義の様子

　始めの２回の授業で学んだ内容をもとに学生から提案された「働けば働くほど健康になる職場」「社外のオートメーション化」「アフターコロナの時代に寄り添ったスマートビル」などをテーマに、グループワークが始まりました。

グループワークに与えられた時間は20分ほどでしたが、学生たちはオンライン参加の学生も交えながら、オンライン会議システムやホワイトボードなどを活用し、活発に議論を行っていました。

左が講師を務めたジョンソンコントロールズ デジタルソリューション推進室

プロダクトマネジメント担当　地田清和氏、

右がTBLのデジタル・ビジネスコース コース長　居山由彦氏

グループワーク中の様子

　グループワークの終了後、順番にグループによるプレゼンテーションが行われました。

提案されたソリューションの中には、ジョンソンコントロールズが提供するオフィス向けスマートフォンアプリ「OpenBlueコンパニオン」を最大活用するため、シェアオフィスを運営することで収益化を図りながら省エネを促進するというものや、関心事の共通した従業員同士がつながり、社内コミュニケーションを活性化することでオフィスの生産性や従業員のウェルネスを向上するソリューションなど、学生ならではの自由な発想で様々な提案が行われました。

プレゼンテーションに与えられた時間は5分程度でしたが、どのグループも入学後半年とは思えない見事なプレゼンテーションで講師を驚かせました。

発表中の様子

　全ての発表終了後、地田氏は今回の講義全体に対して次のようにコメントしました。「とてもレベルの高い発表ばかりで大変驚きました。日本は、デジタルトランスフォーメーションが遅れていると言われていますが、今後、この分野ではますます若い力が必要とされていくと思います。今回授業で学んでいただいたことが、少しでも皆さんの発想力の糧となり、より良い未来の実現に力を発揮していただければと思います。」

　その後、地田氏から最優秀グループが発表されました。最優秀グループに選ばれたのは、テレワークや巣ごもりに伴う一般家庭の電力消費量増加、節電意識の高まりを受けて、フルワイヤレスで、一戸建て住宅における電気代や水道代を管理し、ＡＩを通じて節約効果を可視化できる「一戸建て家族のための節約アプリ」を発表したグループ。「ジョンソンコントロールズの事業内容をはじめ、市場環境がよく調査されており、データに基づいたしっかりしたプレゼンテーションであった」というのが、最優秀に選ばれた理由です。

「ビルのオートメーションに関する知見を得られました」

最優秀グループのメンバーに、インタビューを行いました。

ー：今回のアイデアを思いついたきっかけは何ですか？

メンバー：もともと自分の母が節約家で、僕がよく電気を点けっぱなしで家を出てしまって、「電気代すごいことになってるよ」とか「水道代すごいことになってるよ」とか言われた経験がありますが、実際にどれくらい削減したらいいのか分かってなかったので、こうしたニーズは多いのではないかと考え、このアイデアを思いつきました。

ー：デジタル・ビジネスコースの授業の感想はいかがですか？

メンバー：本当にどの授業も内容が濃くて、色々な企業の方も来て下さるため学びが多いです。特にジョンソンコントロールズさんの講義では、これまで知らなかったビルのオートメーションに関する知見を得られましたし、今回のプレゼンテーションを通して、とても勉強になりました。

「自分達の働いている場所や住んでいる場所をよりよくすることができる会社」

　また、3回の講義を担当したジョンソンコントロールズの地田氏にも、インタビューを行いました。

地田清和氏

ジョンソンコントロールズ株式会社 デジタルソリューション推進室 プロダクトマネジメント担当

ー：3回の講義を終えてのご感想はいかがですか？

地田氏：学生の皆さんは非常に志が高く、彼らに当社のノウハウや技術、最新事例を教材として提供できたことをうれしく思います。

発表内容のレベルが高く、当社のソリューション展開においてもヒントになりそうな発表内容もあったので、若い方のフレッシュなアイデアとして非常に参考になりました。また、私自身、日頃やらない講師という立場で、改めて自分のビジネスを見つめ直すいい機会になったと思っています。

当社ではビジネスを通じて、省エネや効率化、サスティナビリティの実現に取り組んでいますが、気候変動への関心の高まりを受け、今後ますます重要な役割を担っていくと自負しています。当社のようなビジネスを一人でも多くの若者に知っていただき、関心を持っていただく機会を創っていくことが、ＤＸ人材育成につながるほか、より良い未来の実現に向けた社会貢献活動につながっていくと考えています。

ー：最後に若い方へのメッセージをお願いします。

地田氏：建設業界というと建物を設計したり、建設したりというイメージを持たれる方も多いかと思いますが、実は当社のようにＡＩやＩｏＴといった先端技術を活用しながら、建物自体を次世代レベルへと進化させ、より良い空間づくりを通じて、持続可能な未来を実現しようと取り組んでいる企業もあります。どうしたら人々の暮らしや働き方をより良いものにできるか、を考えるには、次の世代を担う皆さんの価値観や発想力、アジリティ（敏捷性）が欠かせません。今後ますます重要な役割を担う業界ですので、一人でも多くの方に知っていただき、私たちと一緒により良い未来を創ってくださる仲間をお待ちしています。