スマートドライブのCTOが見据える、モビリティの新たな世界

#CTO  #モビリティ  #MaaS

2020年8月11日 08時45分 株式会社スマートドライブ

今なお続く新型コロナウィルスの猛威により、人々の移動は大きく変容しました。今後どのように「移動」の価値感が変わるのか、エンジニアリングでどのように関わることができるのか。「ハードウェア+ソフトウェア」によって新たな世界観の創造を目指すCTOの岸田に、インタビューを行いました。


ハードウェアがあることの難しさと可能性


2020年3月にCTOとして入社されましたが、スマートドライブにおけるCTOの役割や特徴について教えてください。


入社した動機でもあるのですが、スマートドライブのビジネスの面白いポイントは、アプリやウェブサービスだけで完結せず、ハードウェアのセンサーも含めたトータルコーディネートで全体を見なければいけないというところです。

2010年代は、利用者視点ではある意味スマートフォンやPCの画面のみでサービスが成り立つ時代でしたが、2020年代はモノとサービスが組み合わさり、「より手ざわり感のあるもの」が事業化していく時代だと思っています。宇宙分野のSpaceXのように、既存のハードウェアベンダーではないところから「ハードウェア+ソフトウェア」として次の産業が生まれているように、発想の起点が違う所から新しい事業が生まれてくると考えています。

私自身のチャレンジとしても「ハードウェア+ソフトウェア」が垂直統合されて手触り感のあるものに昇華させ新しいビジネスやプロダクトを作り、スマートドライブをその中核を担うポジションにしていきたいと思っています。


スマートドライブは創業時からハードウェアを開発していますが、ハードウェアが絡むと難易度は高くなるのですか?


やはりコスト管理やエンジニアのリソース管理などにはシビアになります。ソフトウェアの場合は単純に管理するのは人に関する部分だけですが、ハードウェアは開発費がものすごくかかりますし、売れなければ、在庫を大量に抱えることになります。ですので、なかなか新たにハードウェア開発に踏み出せる会社は少ないですよね。コスト面以外の視点では、開発がソフトウェアだけで解決しないためサービスのPDCAを回す部分も格段に難しくなります。この部分に挑戦できる環境は少ないなと思っていて、そこに挑戦しているスマートドライブは面白いと思っています。そのあたりは自分としてもチャレンジしていきたい所です。


エンジニアリングチームについて


エンジニアリングチームを今後どのようにしていきたいと考えているのでしょう?


スマートドライブにはウェブサービスやゲーム、ハードウェア開発など様々なバックグラウンドを持ったエンジニアが集まっているので、サービス改善のサイクルをモビリティビジネスに応用するというのがミッションだと思っています。「作って終わり」とか「言われたものを作る」のではなくて、世の中の想像を上回るようなモノを生み出して行けると最高ですね。このように「サービスを改善するPDCAのループを回し続け、ユーザーが触り、さらに改善して世に出す」というサービス開発の視点をハードウェアを抱えながら行える会社は少ないと思うので、これを実現できるエンジニアリングチームを作りたいです。我々はセンサーの情報を集めるだけでなく、可視化してインサイトを提供するというところまで期待されていますので、エンジニア組織はこういった要望に答えられるような形にしないといけないのです。


さらに付け加えると、何でも課題解決できるプラットフォームは目指していません。この領域においてはスマートドライブに相談しようと思われるプラットフォームになるべきだと思っています。あれもこれもやるのではなく、これだ!という課題の共通項を見つけて、それを自社のサービスに反映することが重要だと思っています。各社の課題はそれぞれ異なりますが、企業課題もロングテールみたいになると思っていますので、多くの企業で課題になっている所でブロッカーになっているところを一つずつ解決することで、他の企業の課題も解決できていたみたいなのが理想的ですね。そのプロセスで課題解決エンジンとなっていくというか「特定の課題に向かっていたら気づいたら多くの方の悩み事や課題が解決されてた」というような世界観を目指しています。


CTOの立場として、上記の世界観への取り組みは始まったばかりでしょうか?


そうですね。そして、もう一段階ブレイクスルーが必要だと思っています。ここ半年くらいスマートシティやMaaSなどのプロジェクトにお声をかけていただく機会が増え、会社として見えてくる景色が変わってきました。プロジェクトに対しての体制の組み方や、サービスの構築などが求められていて、我々も変化していかなければならず、いい意味での進化が必要だと認識しています。

また、現在のスマートドライブが提供しているサービスだけでは足りない部分もあると思っていて、そこを昇華する役割を担っていきたいです。今まさにサービスのPDCAをしっかりと回している最中ですが、スマートドライブのサービスを使い続けることで、ドライバーだけなく、企業も一緒に成長を感じられるようなレベルまで到達したいです。

そのために、まずはセールス部門やビジネス開発とエンジニア組織全体がカチっと噛み合うようにしていくように整理する必要がありますので、組織の整備を行っているところです。



CTOから見たスマートドライブの特徴とは?


スマートドライブのチームの特徴を上げるとすると、どういった点でしょうか?


前述したように様々な背景が集まった方々がいるというのが強みではないでしょうか。それ故に、様々な課題を解決できる可能性を秘めています。一方で色々できる可能性があるので発散しがちなのが欠点とも言えますが(笑)。課題発見から、そこからのエンジニアリングの組み立てができるというのが強みで、そこがなければ、ただ「システム開発ができる企業」のようになってしまうと思います。データをどう料理するか、どう見せるか。そこが会社としての強みであり、差別化要因だと思います。

モビリティサービスはまだ明確な答えがない領域だと思っていまして、ある意味「チャレンジした人が勝つ」フェーズだと思ってます。我々には既存の車両管理システムSmartDrive Fleetや、家族の運転見守りサービスSmartDrive Familiesなどを既に提供しています。やみくもにチャレンジするのではなく、チャレンジするベクトル決めも大事だと思っていて、こういったプロダクトをベースに「どこを叩いたら顧客が喜ぶだろう?」と、仮設を立てて動いていくとが打率を上げる上で大事だと思っています。そういったことに、エンジニアやビジネスチームが取り組めるような環境が用意できたら、より強みが活かせると思います。


Mobility Transformation 2020の登壇で、『今のモビリティサービスはインターネットサービスの黎明期と同じ段階』といった話をされてました。そういったフェーズだからこそ、様々なことに果敢にチャレンジしていくと。


10年後から今の我々を見ると「まだ、そこなの?」と思われるのではないでしょうか。まだまだ始まったばかりの領域で「ここが勝ち筋だ」というのを見つけるためには、ある意味SFのように未来から今の世の中を想像した上で、様々な取り組みをすることが大切かと。

また、新たなことに取り組む時には、ワクワクするのがエンジニアリングに大切な要素だと思っています。「来年これができたらすごいよね。世の中変わるよね。」というようなことをチーム一体となって感じられるようにしたいです。

Afterコロナの時代に求められるエンジニアとは?


Afterコロナの時代にエンジニアに必要なものは、何だと考えていますか?


コロナ禍は、変化をもたらすための外的要因だと、前向きに捉えるようにしています。新型コロナウイルスで世の中が強制的に大変化しましたが、こういった環境の変化によってエンジニアリングとの相乗効果で世の中が進む部分もあると思っています。

例えば、「満員電車を無くす」というのは様々な方が過去からアイディアとして持っていたと思います。ですが、それが技術ではなく新型コロナウイルスがキッカケで密状態が解消されたり、新しいビジネスが生まれていたりします。エンジニアリングで大事だと思っていることは、技術だけで何かを解消するのではなく、技術と社会的に求められるものを兼ね合わせることが進化だと捉えています。

ですので今後は、社会変化を想定して取り組める人やチームが重要になってくると思います。日本は保守的だと言われていますが、これまで「こんなに変化させて大丈夫なの?」と思っていた方も、今回のコロナによってだいぶ商習慣や常識が変わったのではないでしょうか。ですので、我々はもっと変わってもいいし、挑戦してもいい。まだまだ社会は変化していけると思っていますので、テクノロジーの力で世の中を変えることは、このコロナ禍においては、技術的進化の事例の一つとして、ポジティブに捉えていますし、まだまだ世の中は進化しなければならないというお題を与えられたんだと思っています。。


新しいチャレンジはモビリティ視点に囚われなくてもいい…くらいにお考えですか?


そうですね。コロナによって「移動」というのはよくも悪くも変化が分かりやすく起きました。これまでは「移動はもっと増える」という前提がありましたが、今後は移動の効率化、工夫という視点がもっと強くなっていくと捉えています。「データを活用してどう効率化したらいいだろう?」と思われる方が増えてきている現状は、スマートドライブにとってもチャンスだと捉えています。


元々私は大学時代、映像伝送や音声伝送、センサーネットワークの活用などに関する研究を行っていました。研究していたのは20年ほど前ですが、技術はあっても価格やネットワーク帯域などがボトルネックとなって、実際にビジネスとして立ち上げることは出来ず、研究の中だけでしか実現できないような状態でした。

その後、様々なセンサーデバイスにかかる費用も安くなり、ネットワークも当時より各段に良くなってきました。今はこれらを「どうつなげ、どう見せるか」といった部分が重要になっています。データが集まってきてどうするのか?というところは今も昔も変わっておらず多くの企業もチャレンジしてきたがブレイクスルーを出せていない分野です。それがこの時代でどうアレンジできるか、改めてチャレンジしたいポイントなのです。


これからもチャレンジを続けていきましょう!ありがとうございました。