古いが新しい！先人の知恵の暦“ 七十二候 ”をお香のサブスクで体験する

お香

2021年5月20日 10時50分株式会社　菊谷生進堂

一定額一定期間で商品のサービスを受けられるサブスク（サブスクリプション）。お香や線香、香木など、香りにまつわる商品を製造販売する(株)菊谷生進堂は、4月からお香のサブスクを開始しました。

新型コロナウィルスの拡大によって長引く自粛生活で、「四季を感じられない」「時間の感覚がおかしい」というお客様の声から生まれたサービス。お香のサブスクでは一体どんな体験ができるのか、(株)菊谷生進堂代表取締役社長であり調香師でもある菊谷勝彦に話を聞きました。

◆お香の世界を旅する人々のための案内人（コンシェルジュ）

新型コロナウィルスによる外出自粛やリモートワークが推奨されて一年。家の中にいる時間が増えたことで、四季を感じる機会が少なくなっているのではないでしょうか。私どもは「香源」という屋号の店舗を運営しているのですが、そこには“お香の世界を旅する人々のための案内人（コンシェルジュ）”がおります。彼らはこの一年、「四季を感じられない」というお客様からの相談を多くいただき、その時々にあった香りをご案内してきました。実はお香にはたくさんの季節の香りがあるのです。お香文化の歴史は2000年になります。四季のある日本に暮らす先人たちが、四季折々の自然を香りに表現してきた賜物だと思います。

◆先人の知恵の暦「二十四節気」と「七十二候」

今のようなカレンダーがなかった時代、日本人は月の満ち欠けで日を数えていました。つまり旧暦です。しかし、約29日が12回巡って1年になる旧暦では、太陽と地球の位置で生じる季節とは、どうしてもズレが出てきてしまいます。そのため先人はそれを補うために、太陽を基準にした「二十四節気」、さらにはそれを3分割した「七十二候」を併用し、季節を理解していたのです。

四季を表現してきたお香と、季節を感じるために生まれた暦。この先人から受け継いだ２つのギフトを、季節を感じられなくなった今の私たちに活かせたら…、そう思ったのです。

◆お香のサブスク誕生まで

二十四節気（冬至、小寒、大寒、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪）。一年を24等分に、約2週間の季節の移り変わりを2文字で表しています。この二十四節気をもとに、「二十四種香」を製作しました。たとえば、冬至（12月22日～1月4日ごろ）には、新年にふさわしい伽羅を基調としたお香を。立春（2月4日～2月18日ごろ）には、厳しい寒さの中に咲く梅の香りを。折々の季節を感じる24種類の香りです。これは香りの暦ですから、「香源」からの季節のお便りにしなくてはなりません。私たちはこれを定期便サービスとして、毎月2種類のお香を届けられる商品にしました。いわゆるサブスクです。

◆案内人（コンシェルジュ）、さらに上をめざす

お香のサブスク「二十四種香」の製作過程で、「香源」の案内人（コンシェルジュ）から、「もっと自分達は季節の香りを提案できるのでは？」という意見が出始めました。七十二候の存在は知ってはいましたが、24種類の香りを製造するだけでも大変な作業。なのに、途中からプロ魂に火がついたのです！そこから同時進行で「七十二候香」への挑戦もはじまりました。

七十二候とは二十四節気をさらに細かくし、約5日単位の季節の変化を短文で表現したものです。たとえば、1月では「芹乃ち栄う」「水泉動く」「雉始めて鳴く」「蕗の華さく」「水沢氷つめる」「鶏始めて乳く」の６つの自然現象で表しています。1ヶ月に6種類、1年で72種類の香りの「七十二候香（R）」の製造も、同時進行することになりました。

◆先人のバトンを今に

私たちの生活はコロナ禍で、リモートワークや外出自粛など家で過ごすことが多くなりました。また、異常気象によって極端に春や秋が短くなるなど、季節の移り変わりを感じることが難しくなっています。日本人にとって四季を味わうことは大切な文化。経営理念である「お香文化をすべての人々へ、そして未来へ」を胸に、先人達が残してくれた季節を楽しむ知恵を、新しいカタチで受け継いでいきたいと思います。

◆毎月届く香りの暦

毎月2種類の季節ごとのお香を定期便でポストにお届けします。

・「二十四種香」