「育休コミュニティMIRAIS（ミライズ）（以下MIRAIS）」は、「なんとなく育休」をなくそうをミッションにオンラインで活動する産育休中のメンバーのコミュニティです。

　MIRAISは、産育休者（以下育休者）のためのワーク型手帳『MIRAIS PLANNER』を作成しました。この手帳を製本し多くの育休者の手に届けるために、2021年1月20日よりREADY FOR（https://readyfor.jp/projects/miraisplanner）にて開始したクラウドファンディングは、20日という短期間で、90万円の目標金額を達成しました。現在はネクストゴールの達成を目指し、クラウドファンディングを継続中です。

　この『MIRAIS PLANNER』は、MIRAISの手帳作成プロジェクトのメンバー全員が一度も対面で会わずに、全てオンライン上でコミュニケーションをとりながら完成させました。

　「手帳作り」というモノづくりを、メンバーが一度もリアルに集まらずにどのようにして進めたのか、『MIRAIS PLANNER』がどのようにして誕生したのか、その裏側を、MIRAIS手帳作成プロジェクトリーダーで徳島在住の紅露(こうろ)香織(以下紅露)に聞きました。

＊手帳作成プロジェクトリーダー紅露香織

◆『MIRAIS PLANNER』手帳作成プロジェクト立ち上げのきっかけ

育休者のニーズに合った、育休者のための手帳を作りたい

　現状、育休を取得した女性の約8割が、想像していた生活との身体的・精神的な負担のギャップや社会からの疎外感・孤立感を抱いています。※1

　実際、紅露自身も第一子の育休に入ったときに、社会からの孤立感を抱きました。

　－育休に入った途端、急に白紙になる手帳のスケジュール欄。

　－今まで積み上げてきた仕事での実績が育休中に忘れ去られてしまうのではという不安。

　－何か資格でもとらないと置いてけぼりになってしまうのではないかという焦り。

　ー社会から切り離されてしまったような漠然とした孤独感。

　ー初めて経験する予定通りにならない子どもとの時間。

上記は、育休を経験した多くの人から聞こえてきた声です。

「育休中という、自分のことや家族のことを考えるのに良い時期に、書くことで気持ちを落ち着かせたり、思考の整理や振り返りができる紙の手帳を作りたい。」

「母子手帳や育児日記ではなく、自分が主役になれる、自分のやりたいことなどを自分でコントロールしていく手帳を作りたい。」

　このように、紅露は、育休者向けの手帳を作りたいという想いを募らせていました。

　そして、この想いを実現するには多くの人を巻き込むことになるため、どのような場で誰と手帳を作るか、紅露は約２カ月間悩んだ末

「素敵な人が多く安心感もある大好きなMIRAISで、同じ育休者の意見を取り入れて、みんなで手帳を作りたい。」

と、MIRAISで手帳作成プロジェクトを立ち上げることを決めました。

　紅露は、当初、徳島に住んでいるという地理的距離から、何もチャレンジできないと諦めていました。しかし、MIRAISというオンラインでの活動の場で様々な挑戦をしている仲間の姿に刺激を受けて、

「子育て中でも、どこに住んでいても、やりたいことに挑戦してもいいんだ」

と思うように変化していきました。

「いま挑戦しなかったら後悔する、挑戦しないで後悔をしたくない。」

という想いから、決断に至りました。

◆『MIRAIS PLANNER』誕生秘話

　 手帳作成プロジェクトリーダー紅露の想いに賛同し、全国からオンラインのつながりだけで集まったMIRAISのメンバーと、2020年7月から手帳作りが始まりました。

直面した最大の危機

　メンバー内でたくさんのラフ案を作成し、育休中の人に取り組んでもらいたいワークはどのようなものなのか、スケジュール部分はどの形だと最も使いやすいのかなど、話し合いを何度も繰り返しながら進めていきました。

　仮製本を控えた8月半ば、1か月間練った手帳の構想を印刷会社に納品できる状態にする段階で、当初のスケジュールでは間に合わないことが発覚。

　－気になる点があり修正したいけれど、グラフィックデザインツールを使った作成は外部に依頼しており自分達ではできず、スケジュールが間に合わないので仕方がない。

　メンバーの一部からは、妥協する声もあがりました。また、紅露も、時間がなく作業も逼迫しているなか、何が最良なのか葛藤し、当初納期である9月末までに仮製本せずデータ版として完成させる、という妥協案も頭をよぎりました。

　しかし、紅露は、

「一人ひとりが残念な気持ちを抱えたまま、納期に間に合わせる必要があるのか。」

と疑問を感じ、全員に連絡をとり、8月下旬の夜に緊急会議を開きました。

－妥協したくない。入れたい内容を全部入れ、質の良い手帳を作りたい。

　－細かいところまでこだわりたい。

　－でも、9月末には仮製本版を完成させたい。

　会議では、妥協したくないというメンバーの本当の気持ちに触れ、紅露は仮製本への想いを強めました。それと同時に、メンバーの気持ちもひとつとなりました。

　当初の計画とは違うグラフィックデザインツールでの作成に切り替え、全員で手分けして修正作業を行いました。全員で話し合いを重ね、プロジェクトメンバー全員の想いをひとつにまとめたことで、納期にも無事間に合い、クオリティもより一層高まりました。

　この緊急会議を機に、メンバー全員の気持ちは一気に加速。

　そして9月末、プロジェクト始動から87日目に、『MIRAIS PLANNER』の仮製本版がついに完成したのです。

納得できるものをつくりたい

　その後、仮製本版を約2カ月間使用した16人のモニターからの3回にわたるアンケート結果および座談会での意見をふまえ、180°パタンと開く書きやすさ、紙質、サイズ感などの仕様の変更や各ワークシートなどを改良しました。

また、復職した後も継続して使うことができるよう、さらにコンテンツを充実させました。

　「納得できるものをつくりたい。」

度重なる改良を重ね、紅露そしてプロジェクトメンバー全員の想いが詰まった、現在の『MIRAIS PLANNER』ができたのです。

＊画像は試作中のデザインのため、実物とは多少異なります。

◆育休中のママによるオンラインでのプロジェクト進行の苦労

　全国各地にいるプロジェクトメンバー全員、実際に会ったことは一度もなく、プロジェクトは全てオンラインで進めています。

「住んでいる場所、仕事内容や生活環境も違う初対面の育休者たちが、オンラインのつながりだけで手帳を作ることが本当にできるのだろうか・・・」

紅露は、プロジェクト開始当初、ワクワクと同時に不安を抱えていました。

メンバーの想いに寄り添う

「メンバー全員の能力を発揮してもらうことができているのだろうか・・・」

紅露は、悩みました。

　紅露は、まず、メンバー各々に対して、挑戦したいこと・得意なこと・苦手なこと・プロジェクトへの想いなどをじっくり聞きました。

そして、得意なこととやりたいことは異なるかもしれないと考え、メンバーが既にもっているノウハウや知識だけを見て役割や作業を依頼しないように心がけていました。

　時には、メンバーそれぞれのストレングスファインダー®︎の資質をふまえて、一人ひとりに合わせたコミュニケーションをとりました。

　プロジェクトとして大きな判断をする際には、ミーティングで発言が少ないメンバーに対して、個別に想いを確認するなど、メンバーの想いを常に大切にしていました。

　このようにメンバー一人ひとりの想いに寄り添い、積極的にコミュニケーションをとることで、メンバーそれぞれが自分事として考え、プロジェクトへの熱意と一体感が生まれました。

メンバーの状況を思いやる

「全員が育休中という無理がきかない状況のなかで、どう作業を分担したらいいのだろうか。」

紅露は、考えました。

　個々の力をかけあわせてプロジェクトとして大きな力を発揮できるよう、5チームに分けて作業を細分化した上で、メンバー全員の強みや挑戦したいことをふまえて役割分担を決めました。

「できる人が、できる時に、できることをやっていこう！」

　紅露は、メンバーの体調や家庭環境、他活動状況もふまえながら、メンバーに伝え続けました。

　このように、紅露は、育児や家事の負担にならないように、チャットやオンラインミーティングツールを活用して、メンバー一人ひとりの想いに寄り添いながらコミュニケーションを大切にし、プロジェクトを効果的に進めていきました。

＊授乳・オムツ替えをしつつ、時には子どもの声が入ったりしながら、楽しく話しています。

◆手帳作成プロジェクトが目指す未来

「育休に入るとき、漠然とした不安を抱えてしまったとしてもそんな育休者を応援し、傍にいて、育休をワクワク・充実したものにさせてくれる存在でありたい、復職後も迷ったときに開きたくなる手帳になってほしい。」

この想いで今日まで作ってきました。

　紅露そしてプロジェクトメンバー全員が、育休者が『MIRAIS PLANNER』を使うことで有意義な育休を過ごすことが出来るよう願っています。

　また、『MIRAIS PLANNER』が育休から始める手帳として社会に広く認知されること、そして、育休は白紙ページ（ブランク）の期間ではないと、社会の認識を変えていきたいと考えています。

　コロナ禍によりますます孤独になりがちな育休期間。

充実した育休を過ごし、家族が増えたことを前向きに捉えられるように、この手帳をたくさんの育休者に届けたいと思っています。

【参照元】

※1：「8割の女性、出産前とのギャップに身体的・精神的負担と社会からの疎外感・孤立感」       

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000047003.html

【プレスリリース】

育休を白紙（ブランク）にしない　育休から始まる未来図を描くワーク型手帳のクラファン開始

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000047003.html

【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】

育休コミュニティMIRAIS 広報：林、金澤

メール：ikukyu.community@gmail.com