「音好きが集まり、みんなでものづくりする」コミュニティから、日本初のイヤホンが誕生。ヒットの裏側を語る

ヒットの裏側

2023年5月23日 13時00分ベタベタ

株式会社ベタベタは、オーディオ評論家の野村ケンジとユーザーと一緒に、音にこだわったものづくりに挑戦していくコミュニティ「#オトモノ」を運営しています。

第一弾商品として、低歪みが特長の平面駆動型のドライバーを搭載したインナーイヤー型のイヤホンを発表し、好評を博しました。そして、今回はクラウドファンディングサイト「Makuake」にて「結 -yui-　Makuakeバージョン」として新商品の先行販売予約を開始しました。

「#オトモノ」がものづくりにおいて大切にしていること、本製品に込めたこだわりや開発の裏側を、ベタベタ代表の安藤よりお伝えします。

音にこだわったモノを考え商品化するコミュニティ「#オトモノ」

株式会社ベタベタは、元々メーカーにて商品企画と広報PRを担当していた安藤が2022年7月に設立した会社です。ヘッドホンなどのレビューを中心に幅広いジャンルで活躍するAVライター・野村ケンジのサポートの元、「#オトモノ」コミュニティを運営しています。「#オトモノ」は、「すべての人に音モノづくりの楽しさを！」というミッションを掲げ、音にこだわったモノ（イヤホン）をみんなで考えて商品化するコミュニティです。「#オトモノ」の活動のなかから最初に生まれたのが、インナーイヤー型の平面駆動（プラナー）ドライバー「結 -yui- （ゆい）」です。

市場に存在しない「インナーイヤー型＆平面駆動型ドライバー」イヤホンを開発することに

元々レアなドライバーである「平面駆動型ドライバー」を使ったイヤホンを作る計画があったものの、2022年10月に「#オトモノ」メンバーのひとりから「カナル型イヤホンは耳が痛くなって苦手」という声を聞いたことがきっかけとなり開発がスタートしました。マーケットでは需要のないプロダクトでも欲しいという声があれば挑戦する、そんな姿勢でものづくりをしたいと常々考えているため、新メンバーの「意見」はすごくありがたい声でした。その後、急遽インナーイヤー型の平面駆動ドライバーを採用したイヤホンのサンプルを工場へ依頼します。

※インナーイヤー型イヤホン：耳にイヤホンのパーツをひっかけて装着するタイプ。

カナル型イヤホン：耳栓のようなイヤホンパーツを耳の中に入れて装着するタイプ。

平面駆動ドライバーは、超低歪みで広い周波数応答範囲にわたって高度にクリアな音を提供することが可能です。また、出力に一時的なエラーがほとんどまたはまったくない、非常に高速な応答時間を提供するハイエンドなドライバーです。そのため非常に高価格なイヤホンでしたが、近年技術革新がありお手頃な価格帯でも販売されるようになりました。

インナーイヤー型で平面駆動型のドライバーを搭載しているイヤホンというのは大変珍しく、検索しても出てきません。欲しい人がいるなら作った方がいいなという気持ちで取引先の中国工場にお願いしたところ、少量でも安価に商品化が実現。100個作ってもらえることになりました。

中国工場と交渉の末、小ロットでの商品化が実現

通常、100個という数でOEMでイヤホンを作るのは難しいことです。そこで今回のイヤホンを作るにあたって中国工場と一緒に「Initial A（イニシャルエー）」というブランドを作ろうという企画を提案します。日本でのマーケティングや音に関することなど、日本人の好みに合わせてイヤホンを作ることに関しては「#オトモノ」コミュニティを通すことで、より良い商品作りができると提案した所、中国工場が協力してくれ、実現できました。

また３Dプリンターでカスタムイヤホンを作る技術も高い工場なので、試作から量産まで

も小ロットで作る事ができる点も今回のキーポイントとなりました。

開発・製造にあたって大変だったこと、こだわった点など

通常円の形のイヤホン部分の形状なのですが、より耳にフィットするように突起を作る工夫をしました。これは普段カスタムイヤホンを作っている工場からの提案で加えたアイデアだったのですが、耳から落ちやすいという方からも落ちにくいとレビューをいただきました。また素材もカスタムイヤホンなどで使われるレジンを採用し、色は年始におみくじで紫が吉と出たので素材と色にこだわりました。

試作は形状を決めるのに３回以上少なくとも３Dプリンターで制作して、今の形状になるまでに３Dデザインで何回もやり直しをして、最終的に出来上がったサンプルの音質も数回やり直しがあってやっと完成したイヤホンです。

クラウドファンディングで完売後、パワーアップして正式商品化

そんな挑戦を重ねて完成した「結 -yui-」はクラウドファンディングサイトにて100個を完売、正式に商品化が決まりました。複数のAVメディアにもプロジェクトを取り上げていただくなど、話題になりました。

このようなヒットを経て、2023年4月より、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて先行販売予約を開始しました。「結 -yui-　Makuakeバージョン」として、イヤホンのカラーをブラックに変更し、ケーブルにはマイクを搭載することでテレワークなどでも普段使いしやすくしています。

イヤホンで音楽を聴きながら家で仕事をしている時、自宅のドアベルが鳴っても気が付かず、不在伝票が入っていて申し訳ない気持ちになったことがありました。周囲の音が聞こえるインナーイヤー型なら音楽を聴きながら仕事していてもドアベルの音に気づくのではと思い、テレワークにも便利なマイクを搭載することになったのです。