川崎市多摩区役所では、2011年から「音楽のまち・かわさき」の取組の一環として、「音楽でつながる」ことを目指した『たま音楽祭』を年１回開催しています。

　『たま音楽祭』は、多摩区内やその近郊で音楽活動を行っているミュージシャンや団体に、日頃の成果を発表する場を提供するとともに、音楽で多摩区を盛り上げようという、区民による手づくりの音楽祭で、子どもから大人まで幅広い世代の方々に音楽を楽しんでいただくことを目指すとともに、音楽を通じた地域交流、多世代交流を図っています。

多摩区総合庁舎内に設置された複数の音楽ステージをツアーのように巡り、入場無料で様々なジャンルの音楽を楽しむことができます。音楽を聴くだけでなく“楽器作り”、“珍しい楽器の演奏”“ダンスワークショップ”等の体験ができることも特徴の１つです。

　今回は、音楽祭の立ち上げからかかわっていらっしゃる、斉藤純さんに『たま音楽祭』の魅力に関してお話を伺いました。

『たま音楽祭』は、2011年度からスタートしたとのことですが、どういったきっかけでスタートしたものでしょうか。

川崎市は、2004年に市民が愛着と誇りが持てるまちづくりとまちのイメージアップを図るため「音楽のまちづくり」をスタートさせました。それまでも多摩区では、音楽イベントを実施していましたが、「音楽のまちづくり」をより一層推進し、「多摩区民の皆さんが一緒に楽しめる音楽祭を！」ということで2011年の東日本大震災の年に区の声掛けで、区民の方々による実行委員会を中心に企画・運営する音楽祭がスタートしました。

第１回は大ホールと１階アトリウム（区役所ロビー）だけだったのが、第９回には、全７会場での実施と毎年規模が大きくなっているようですね。

最初は区役所としては多摩市民館の大ホールを使い地域の大学や学校の音楽サークル、音楽家を推薦、招いて行うコンサート風な音楽祭をイメージしてスタートする予定だったようです。しかし、第１回の実行委員の皆さんの活発な活動により、現在にも続く音楽祭の理念“音楽でつながる”の下、様々なジャンルのミュージシャンを推薦・公募で参加いただき、音楽のジャンルに合った複数の会場で行う音楽祭の形ができあがりました。

初回は２ステージでしたが、年々応募してくるミュージシャン等の団体数が増え、ステージ数も３、４、５と増え、昨年（2019年）にはなんと庁舎のキャパシティ限界の７ステージとなりました。

出演者数も年々増え、昨年は27団体（応募総数63団体）、ミュージシャンだけで300名以上の参加と、文字通り大型の音楽祭となりました。これまでの出演団体数は延べ186組です。

これまでで一番印象に残った回やステージなどありましたら、教えてください。

異なったジャンルのミュージシャンがコラボすることで、各人の音楽活動に新しい感性の音楽が生まれることが印象的でしたね。

第５回『たま音楽祭』の記念ステージとして、東京音楽大学を主席で卒業され、今では若くして日本作編曲協会の理事を務めている、当時音大生の岩城直也さんにアレンジしていただいた、東日本大震災のチャリティーソング『花は咲く』を出演者の皆さんにコラボしていただいたステージは本当に素晴らしく、最も印象に残っています。また、私個人としての大きな喜びは、『たま音楽祭』を通じて知り合ったミュージシャン、区民の方々と音楽面だけでなくいろいろな場面で一緒に遊び、語り合えるようになったことです。

音楽祭は様々なジャンルの音楽を一度に楽しめるという醍醐味があるかと思いますが、どのような方々が来場されていますでしょうか。お客様からはどのような感想をいただいていますでしょうか。

区役所主催の音楽祭ということでやはり50代以上の年配の方が多いですね。それでも学生の実行委員が主体となって、子どもも楽しめる音楽体験型のワークショップ等を見事に企画し行っていますので親子での参加者も年々増えています。

また、ライブハウス風のバンドステージを作り、ロック等の音楽で20代、30代の方にも多く来場していただけるようにとＳＮＳでＰＲするなど毎年工夫しています。しかし、やはり区の音楽祭のイメージが強く、“若い人にももっと来てもらいたい！“ということが今でも大きな課題ですね。

来場者のアンケートでは、「無料で素敵な音楽を聴けるなんて最高です。」「あったかい音楽祭でした。」「小学生から各年代で楽しんでいるのが良かった。」といった温かい声を毎回いただいています。一方で「音楽祭に来てみたら良い音楽、楽しいステージが満載なのに事前の宣伝、広報が足りないのでは？」といった言葉を毎年多く聞きます。若い世代にも伝わるよう各種ＳＮＳを利用したイメージ宣伝が必要と実感しています。

今年は新型コロナウイルス感染が懸念される中での開催となりますが、現在企画している内容をお知らせください。

従来、区の総合庁舎内の複数の場所（昨年は７か所）にステージ等を設けて行っていましたが、今回はコロナ感染拡大防止の為、来場者を把握出来る多摩市民館大ホールのみ１か所での開催とし、入場人数も約半数に制限して行う予定です。

例年、出演者は公募をしていましたが、今回は、過去に出演いただいたミュージシャンや団体に個別にお声かけをして出演をいただく予定です。さらに特別記念ステージとして、多摩区ゆかりのジャズ界で著名なアーティストを招いたステージ、初回から毎年のように素晴らしい演奏を披露していただいた音楽大学のクラシック演奏家グループ（今は各人プロアーティストとして活躍中です）とのジャンルを超えたコラボ演奏も企画しています。

音楽祭当日のステージ模様は、オンライン生配信で区民以外の多くの人にも観ていただけるよう準備を進めています。また、過去の開催でお世話になったミュージシャンの方にお願いし、オンラインコラボ演奏動画を作成し、当日のステージスクリーンでの放映やオンライン配信も企画しています。

今回は直接会場に来ていただける方々に加え、“おうち観客”の方々もオンラインで楽しめるように、手作り楽器制作などのオンラインワークショップや、SNSを通じて出演ミュージシャンやスタッフと繋がりが持てるような工夫を凝らしていく予定です。

地域の多くの皆様の心に残り、今後も益々応援をいただけるものとなるよう、実行委員一同意気込みを持って準備しています。

今後の音楽祭の展望などありましたら、お知らせください。また、最後にこのページをご覧の方にメッセージを

『たま音楽祭』は、手づくりで、皆さんに愛される素晴らしい音楽祭となるよう今後も進化、発展していきます。

遠路お越しのお客さんも大歓迎です。とにかく一度、多摩区の大型音楽祭『たま音楽祭』を楽しんでみてください。

皆さんと一緒に“音楽の大きな輪“を作って行きませんか！！

第10回たま音楽祭は、2021年２月６日（土）、７日（日）開催予定です。

ぜひ多くの方にご覧いただければと思います。

お問合せ：多摩区役所地域振興課　TEL 044-935-3131