川崎市多摩区にある、生田緑地ばら苑は、多摩丘陵の樹木林に囲まれた360度のパノラマと緑の中にある「秘密の花園」として親しまれています。1958年に小田急線開業30周年記念事業として遊園地内に開苑し、当時は「東洋一のばら苑」と称されました。2002年の向ヶ丘遊園の閉園に伴い、ばら苑の存続を求める多くの市民の声に応え、川崎市が引き継ぎ今に至ります。毎年春と秋の年2回開苑し、ばら苑では珍しく入苑無料で運営しています。春には805種類3,296株、秋には625種2,916株（2018年）のバラが咲き誇り、昨年（2019年）の来場者数は、春と秋、合わせて、80,856人を誇りました。

現在、生田緑地ばら苑は150人以上のボランティアの方々により運営されています。年間を通じて除草とバラの手入れを行い、開苑中は受付や苑内ガイドも務めています。この時期、（夏）秋剪定、除草など秋の開苑に向けた準備を行っています。

今年の春は新型コロナウィルス感染拡大の影響により、開苑中止となってしまいました。今年の秋こそはと秋の開苑に向け、現在、ボランティアの方々が日々奮闘しています。今回、当時の心境や、秋の開苑に向けた意気込みを、ボランティア会会長 前島誠一さんはじめボランティアの方々にお話を伺いました。

―現在、新型コロナウィルス感染が拡大していますが、ボランティア作業に何か影響がありましたか？

（会長）4月8日～6月1日までボランティア活動は休止でした。例年実施しているボランティア総会や懇親会も中止になりました。例年どおりのスケジュールで作業ができず、また7月の悪天候により作業が遅れ、急ピッチで進めています。

―今年の春は新型コロナウィルス感染拡大により開苑中止となってしまいました。その時の心境をお聞かせください。

（会長）コロナ期間中は、ボランティア活動は一切中止でした。そのため、それまで丹精込めて栽培したバラの様子や、咲き誇った際のゴージャスなばら苑を見ることができず大変残念でした。毎年来苑いただいている方々からも残念という声が多く聞かれ、大変心苦しかったです。

（ボランティア歴10年目の女性）大変残念でした。活動自粛期間だったこともあり、自分は見ることができなかったのですが、職員の方から例年より綺麗に咲いていたと聞きました。お客さんに見られることなく、枯れてしまったバラがとてもかわいそうです。是非皆さんにも見てほしかったですね。

（ボランティア歴2年目の男性）春は、咲くバラの数が多くとてもゴージャスなので、是非春こそ多くの人に見てほしかったです。また、自分が剪定したバラの開花具合を見届けることができず、大変残念でした。

―今年の秋の開苑に向けた意気込みや、皆さんへのメッセージをお願いします。

（会長）昨年の秋の開苑は台風対策が功を奏して、バラの色や香りを皆様にお褒めいただき嬉しかったです。その勢いで私たちボランティアも、春の開苑目指して冬の作業を行ってまいりましたが、結果、春のバラを見ていただくことができず、残念でした。6月から、ようやくボランティア活動が復活して、バラの手入れを続けてきました。10月中旬以降にバラが一斉に開花するように（夏）秋剪定を始めました。なんとか秋は開苑できるようにと、ボランティア皆さんが精を出して作業しています。

バラは私達の心を癒やしてくれます。先行きが見通せない今だからこそ、香り豊かな秋バラにふれ、元気に、笑顔になっていただきたいです。ぜひ秋バラを鑑賞しに、ご来苑ください。

（ボランティア歴11年目の女性）コロナのような出来事は初めてで、残念な気持ちも大きかったですが、春来れなかった分、秋に行きたいと思っている人も多いと思うので、そのような人のためにも情熱を持ってやっています。

（ボランティア歴5年目の男性）無事に開苑できることを祈るばかりです。開苑できた際には、是非多くの方に見に来ていただきたいです。

（ボランティア歴2年目の男性）春に自分の手入れしたバラを見届けることができなかったので、秋こそは自分の剪定した花がどのように咲くか楽しみです。

（ボランティア歴2年目の女性）秋は春のゴージャスさと違い、色が濃く香りも引き立ちます。春とは違う様子を見せる秋のバラを是非楽しんでほしいです。

生田緑地ばら苑ボランティアには、退職された方、現職の方、学生の方など20代～80代の幅広い年齢層の方が参加しています。バラを中心に園芸好きな方、体力維持、人と交流する等様々な目的の方が日々奮闘中です。経験年数も違いますが、技能や知識が豊富な方も数多くいます。また、以前に比べ、昨今の園芸ブームや、新型コロナによる外出自粛の影響により、学生など若い方の参加も増えてきました。

現在は、新型コロナウィルス感染予防対策として、検温、消毒、マスク着用、うがい・手洗いを徹底し、ソーシャルディスタンスを保ちながら作業しています。

ボランティアは年間を通し募集しています。ボランティアを対象に月３回講習会が開かれていますので、年間を通じて、一日おきのボランティア活動日に月２回以上参加でき、バラに関心のある方は是非ご参加をお待ちしております。

【生田緑地ばら苑　秋の一般開放】

開催日程 ：10月15日（木）~11月8日（日）

時間 ：平日 10:00~16:00　土日 9:00~16:00（最終入苑 15:30）

住所・TEL ：川崎市多摩区長尾2丁目8番1号　044-978-5270

交通アクセス：（徒歩）小田急線「向ヶ丘遊園駅」南口から徒歩20分、

JR南武線「宿河原駅」から徒歩23分、

（バス）小田急線「向ヶ丘遊園駅」南口から川崎市市営バス、

             東急バス「藤子・F・不二雄ミュージアム」バス停下車、

　　　　東急田園都市線「梶が谷駅」から東急バス「藤子・F・不二雄ミュージアム」バス停下車

入苑料：無料

公式サイト :http://www.ikuta-rose.jp/

※今年は、新型コロナウイルス感染拡大防止により、入場者数の制限、3密（密閉・密集・密接）対策の実施、来場時の検温・連絡先記入など、対策を徹底し開苑します。また、例年開苑にあわせ開催していたミニコンサートや講習会は中止、苑内での食事は禁止とさせていただきます。詳細は、上記公式サイトをご確認ください。