ホラーとファッションを掛け合わせるアパレルブランド「UNREASONED Clothes（アンリーズンドクローズ）」が“創作”にかける想いとその魅力とは

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#ホラー #ファッション #アート

2023年12月22日 13時44分 UNREASONED

2023年11月、ホラーとファッションを掛け合わせたアパレルブランド「UNREASONED Clothes（アンリーズンドクローズ）」が本格始動しました。

日々の想像からホラーな世界を創造するクリエイティブプロジェクト「UNREASONED」におけるアパレル事業として展開されましたが、なぜ一般的には近寄り難い「ホラー」というジャンルをブランドコンセプトとして掲げているのでしょうか。

この記事では、「ホラー」と「クリエイティブ」を基軸に、UNREASONED Clothesの開発にかける想いと商品に込められた魅力を、5つのポイントに絞ってお伝えします。

【① なにをやるのか？】ホラーな物語を原作から作り上げ、グラフィックデザインとして洋服に落とし込む

UNREASONED Clothesは、普段生活をしていて漠然と感じる恐怖や不安、ある事象から連想してしまう怖い想像をもとに物語を書き上げ、グラフィックデザインとして洋服に落とし込むアパレルブランドです。

1つ1つのデザインの裏側にストーリー、キャラクター、舞台設定などの原作が作られており、それをもとにデザインされているのが特徴です。

グラフィックデザインが際立つよう、基本的にモノトーンでシンプルな商品展開をしており、現在アクセサリーを含む全20点の商品を販売しています。

デザインのシリーズ分けとして、イラストレーションを主軸にした「Bare Series」とグラフィック・コラージュを主軸にした「Delusion Series」の2つのシリーズがあります。

【② なぜホラー？】生物としての生存本能と深く関連するクリエイティブの源泉

私たちがブランドのコンセプトとしてホラーを選んだのは、生物の生存本能に基づく危機管理能力に着目したからです。

生物は生存本能を持ち、第六感や危険を察知する能力を本能的に備えています。本能に従うようなクリエイティブを作ることで、誰しもが持つ生き物の本質的な側面に訴えかけることができると考えています。

なぜこの考えに至ったのか、それは幼い頃から見えないものに対する恐怖を感じる原体験がもとにありました。

きっと大丈夫なはずなのに、漠然と、

「あそこから、何かが自分を見ている」

「誰もいないのに、誰かがいる」

「これより先に進んだら、もう戻ってこれない気がする」

といった妄想や連想を止めることができず、毎晩眠れなくなったり、何も無いはずの空間に嫌悪を感じて逃げるように走り出してしまったりした経験が、子供の頃にはよくありました。

そこで私たちは、見えないものを想像したり、それを体感している瞬間こそが生物として最も本能的かつ感覚が研ぎ澄まされている「クリエイティブな状態」だと考えました。

この恐怖や想像力が生み出す特有の感覚を探求し、その本質をブランドのコンセプトに取り入れることで、誰もが持つ本能的な感覚に対する深い共感と共鳴を生み出すことができると考えています。

UNREASONEDは、ブランドを象徴するスローガンとして「Follow your Gut.（直感に従え）」というメッセージを掲げています。ホラーな世界観を通じて、恐怖や想像力という根源的な感覚にアプローチし、その感覚が生み出すクリエイティブなエネルギーを形にすることで、ブランドを体現していきます。

【③ なぜアパレル？】クリエイティブの寿命が短い消費社会でも、長く日常的に愛してもらえる物に

ホラーを軸に創るクリエイティブをなぜアパレル商品に展開したのか、その理由は創作物が短命で消費される現代社会に対する懸念から生まれました。

日常的に目にする映画や音楽、書籍などのクリエイティブなコンテンツは、生活の隙間時間を埋めるように、明らかに短時間で消費されることが多くなりました。ショート動画や倍速機能などの形態が増え、作品の内容はAIに要約させ考察までもが受動的になりました。

人生における時間は有限です。時間を短縮してより多くの情報を処理していくことは確かに発展的ですが、果たしてこれは豊かなのかと疑問を抱くようになりました。

トレンドや人気作品は短期間で切り替わり、新しい情報が次々と求められます。このようなことを考えている私たち自身も、この消費社会を発展させている一部であり、作品をじっくりと味わう時間が減っていることに気づいたとき、複雑な感情を抱きます。

このような現状において、少しでも長く深く愛してもらえる作品を生み出すにはどうしたらいいのかと考えたとき、昔から毎日どこでも肌身に付けている洋服の存在に気がつきました。

日々の生活に密着し、必然的に愛用される可能性が高い洋服を起点に、私たちの作品を感じてもらいたいと考え、アパレル事業から展開することに決めました。

【④ なぜ1つ1つのデザインと世界観を作り込む？】初めて出会ったお客様は、作品を噛み締めるように楽しむ人たちだった

UNREASONED Clothesの特徴は、1つ1つのデザイン全てに物語があり、原作が作られている点です。デザインをする前にまずは物語から書き始め、ストーリー、キャラクター、舞台設定など、まるで映画の脚本を描くように世界観を作り込みます。

なぜここまで各デザインの世界観を大切にするのか、それは2023年5月にテスト販売として出展したデザフェス（DESIGN FESTA）vol.57で出会ったお客様からいただいた反響に理由があります。

初出展となるイベントには、フォロワー0人の作りたてのSNSアカウントで気持ちばかりの告知のみを行い、それ以外の集客を全く行わずに臨みました。

全9種類の商品を持ち込み、開場時間を迎えると、すぐに女性のお客様にご来店いただきました。「このデザインが欲しい」と、目当てが出るまでアクリルキーホルダーのガチャを回していただけました。その後すぐ、「このデザインに一目惚れした」と即決でTシャツを購入いただけました。

その後、続々とお客様にご来店いただき、

「この世界観に一目惚れした」

「今日買わないとなんか後悔すると思ったから買います」

「今日の予算は使い切ってしまった。でも欲しいからパンフレットだけでも」

「別のお店の服と迷ってたけど、戻ってきました」

「このデザインの意味が自分にぴったりだ」

など、今日初めて出会ったはずのたくさんの人々から反響をいただき、結果的に完売とはいかないまでも、一部在庫切れになるほど多くのお客様にご来店いただきました。

なぜ初見でこのデザインを気に入ってもらえたのか、なぜ立ち止まってくれたのか。

お客様と話しているうちに、ただ見た目が気に入っただけではなくて、デザインの裏側にある意味や世界観に強い興味を持ち、魅力を感じてくれたということがわかりました。

そんな反応を目の当たりにして、「このお客様たちがもっとハマれるコンテンツをちゃんと作りたい」と考え、ブランドの在り方からデザインの作り方までを考え直し、本格的に動き出すことを決めました。

【⑤ なにを目指す？】五感を通して第六感を感じる体験を提供し、最も創造的な瞬間を共有できるブランドを作り上げたい

日常的に作品を愛用してもらえる手段として洋服を選びましたが、それだけでは作り込まれた作品を伝え切ることは難しいです。また、デザインの裏側に魅力を感じてくれるお客様を楽しませることはできないと考えました。

そこで、アパレル事業に加え、「UNREASONED Books」と「UNREASONED Records」の2つのプロジェクトを始めました。コンテンツを跨ぐことで、1つ1つの作品をじっくり楽しめる仕掛け作りを行い、日々の生活の好きなシーンで好きな作品に没入できる体験を提供します。

UNREASONED Booksでは、洋服の各デザインの原作となった、舞台やキャラクターの設定や、描かれているシーンやアクション、そしてどんな感情をもちなぜそんなことが起きたのかという物語を読むことができます。

そのデザインには何が映っているのか、そしてあなたがなぜそのデザインに、ホラーに、そして恐怖を感じるなにかに魅了されたのかについて、向き合ってみてはいかがでしょうか。

本記事の公開に合わせ「2023 1st Collection」の6つの作品をWebサイトにて無料公開しますので、是非デザインと一緒にお楽しみください。その他作品も順次公開していきます。