「アンチ・ドーピングでアスリートを支えたい」ドーピング防止専門の薬剤師の強い思いから始まったドーピング禁止物質分析事業の現在地

アンチ・ドーピング

2023年11月8日 10時00分合同会社イルホープ

合同会社イルホープは、アスリートやアスリートをサポートするスタッフ、アスリート向けのサプリメントや化粧品を販売する企業向けに、アンチ・ドーピング施策を行う会社です。アスリートやスタッフ向けにはドーピング防止専門の薬剤師によるドーピング防止相談やアンチ・ドーピングに関する知識を向上させるための講演等を行っています。

企業向けには、サプリメントや化粧品に含まれる可能性の高いドーピング禁止物質の分析サービスを提供しています。

私たちの事業は、ドーピング防止に特化した薬剤師の強い思いから生まれました。今回は創業までのストーリーについてご紹介したいと思います。

「安全にサプリメントを服用できるようになりたい」というアスリートの声を受け、ドーピング禁止物質の分析サービスを立ち上げ

2010年。この時期からサプリメント由来によるドーピング違反者が国内でも散見されるようになりました。当時は、サプリメントやスポーツ飲料等に対するドーピング禁止物質の分析は一部の企業のみしかできない状態でした。アスリート自身も、体力づくりの際に気軽にサプリメントが取れない状況で、どうしたらよいかと困惑していました。

そういった声を聞いていたのが、日本アンチ・ドーピング協会（JADA）公認のスポーツファーマシストの資格を持つ、ある薬剤師でした。その当時、その薬剤師は調剤薬局を経営しており、薬局の仕事をしながら、スポーツファーマシストとしてアスリートやアスリートを支えるスタッフや企業の様々な相談にのっていました。

「もっと安全かつ気軽にサプリメントを服用できるようにならないか」

色んな相談にのるうちにそんな思いをいだくようになり、分析サービスの立ち上げを思い付きました。

そこでイルホープの前進となる会社で、自身だけでなくドーピング防止の専門家、分析機関の研究者にも相談し、苦労の末、分析サービスを立ち上げました。

第三者認証サービスに特化した企業を設立

会社にとっては新規事業ではありましたが、立ち上げ2年で多くの方から受注が来るようになりました。その後は、分析だけでなく、認証機関により生産施設審査が行われ、生産工場においてドーピング禁止物質が混入しない体制であるかどうか審査まで行う「第三者認証サービス」の提供まで行うようになりました。この頃には業界全体で、アンチ・ドーピングの流れが生まれ、アスリートもサプリメントの安全性に配慮するようになり、実現したいと考えていた社会に近づきつつありました。

一方で、生産施設審査まで行う第三者認証サービスに関しては、中小規模のサプリメント企業においてはコストが高く、導入を敬遠するような会社も増えてきていました。

「何もしないのはよくないものの、認証までは取れない」

そんな声が増えてきたことに加え、会社の母体事業の事情も加わり、アンチ・ドーピングに特化した会社「合同会社イルホープ」を一から作ることにしました。

サプリメントに混入する可能性の高いドーピング禁止物質に特化して分析

（同）イルホープでは、第三者認証サービスは提供せず、サプリメントや化粧品等に混入する可能性の高いドーピング禁止物質の分析のみを提供しています。

サービスを作るにあたっては、なるべく多くのお客様に採用いただくことを前提に考え、手頃かつ安全性の高いサービスとなるように議論を重ねました。

まず分析品目に関しては、WADA（世界アンチ・ドーピング機構）の規定するドーピング禁止リストなどをもとに、サプリメント等に混入する可能性の高いドーピング禁止物質をドーピング防止の専門家とともに選定し、99品目のドーピング禁止物質を分析する形にしました。

そして、分析結果を外部に公開することを承諾することで、アスリートやその関係者が安心してサプリメントを使用することができるようにもしました。加えて2022年からは、分析の結果、陽性反応が出なかった製品に対しては分析済みを表す「ＡＤＡ（アンチ・ドーピング・アクション）」マークを作り、希望する企業に対して付与する取り組みも始めました。

分析品目と安全性、そしてコストとのバランス。結果の外部公開によるメリットやデメリット。

サービス設計をするにあたり、何を採用すべきか難しい場面もありましたが、このサービスは何のためにあるのかという原点を忘れないようにすることで、今のサービスが出来上がりました。

ドーピングの専門家が国内で対応する、安心のサービス。分析結果の公表も可能

特徴1:ドーピング防止専門の薬剤師を中心に運営

本サービスはドーピング防止専門の薬剤師や、ドーピング問題の研究家を中心に運営しています。サプリメントや化粧品に対するドーピング物質分析サービスの他にも、アンチ・ドーピング講習や、ドーピング防止相談窓口の代行など、ドーピング防止の専門家がいることゆえの様々な対応が可能です。

特徴2：申し込みから分析まで国内で完結

申し込みから分析まですべて国内で完結できます。分析機関については、検査に精通した要員による、安定した検査結果が出せる機関を指定しています。また、各分析機関に対しては、ISO/IEC17025ないしそれに準じた検査レベルであることを要求しています。

※当サービスは、JADAが設置した、サプリメント認証枠組み検証有識者会議により発行された「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン」に準じた運営体制を取っています。

特徴3：分析結果の公表が可能。分析済みマーク「Anti Doping Action」も発行

分析結果に関しては、ホームページ等で結果の公開が可能です。また分析を行い、当社の規定するドーピング禁止物質が混入していないことが証明された場合は、ADAマーク＝Anti Doping Action（アンチ・ドーピング・アクション）を発行いたします。マークはwebサイトでのPRはもちろん、商品への印字も可能です。