• ストーリーをシェアする

コロナ禍の日本にどうしても伝えたかった、イタリアから届いた校長先生のメッセージ

#ウィズコロナ  #イタリア  #書籍

2020年6月10日 09時47分 株式会社世界文化ホールディングス

2020年5月1日、イタリアの校長先生からのメッセージを収録した書籍『「これから」の時代(とき)を生きる君たちへ』が刊行しました。現在、発売1ヶ月で3刷の重版となり、多くの方々から反響をいただいています。(2020年6月9日時点)


×




刊行までわずか2ヶ月、オンライン取材という初の試みで完成した1冊。そこには、未曾有の事態に直面した日本に「生きる力を与える言葉」を伝えたいという編集担当者・原田敬子さんの想いがありました。


●書籍化しようと思ったきっかけ。

 2020年月3月2日、朝日新聞社などが配信したイタリアの記事が、大きな話題を呼びました。『休校の今、皆さんに伝えたいこと イタリアの校長が話題』(朝日デジタル) 2月24日、イタリア、ミラノのあるロンバルディア州では、新型コロナウイルスが急速に蔓延し、休校措置がとられました。ミラノの理科系名門校「アレッサンドロ・ヴォルタ高校」(以下、ヴォルタ高校)では、学校のホームページにスキラーチェ校長先生が休校を伝える“手紙”(Lettera agli Studenti)を掲載。イタリアの文豪マンゾーニの『いいなづけ』の一節を紹介しながら、「社会生活や人間関係が毒され、人間らしい行いができ なくなることが“大きな危機だ”」と説き休校中の心構えを説いた強いメッセージは、生徒のみならず世界中の人々の心を勇気づけました。



折しも日本では、3月2日から全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校となり、またデマによってトイレットペーパーの買い占めが問題になっていたとき。イタリアは世界中でも感染者数、死亡者数ともに多く、医療崩壊が始まっていました。死亡者数が100人を超えた3月4日には、国内のすべての小学校から大学までを休校にしています。これらの状況を見て、日本でも今後、同様のことが起こり得る、と思いました。この手紙の内容は、日本にも通じる普遍的なもので、本にして届けたらきっと多くの人の役に立つ、そう考え、出版を企画しました。

●リモート取材  日本とイタリア、遠く離れてもつながっている


 本作りにあたってはまず、スキラーチェ先生に英語でメールを送りました。手紙を読んで感動し、日本の多くの人が勇気づけられたこと、これを出版させてほしい、という内容です。すぐに内諾をもらい、イタリア語で企画書を送って内容を検討してもらいました。企画書には「“追伸”という形で、日本の子どもたちに新しいメッセージをいただきたい」ということも盛り込みました。というのも、状況は刻々と変わっていました。3月上旬から中旬にかけてのイタリアは、世界最悪ペースで感染者、死者数が増えていたのです。そんな状況にあって、学校では何を行なっているのか、子どもたちの学習へのモチベーションをどう保っているのか、さらに教育者として、休校を実際に経験した子どもたちにどんなメッセージをかけることができるのか……、日本でも休校が現実として突きつけられていた当時、そんな思いが募りました。執筆依頼にあたっては、対話して思いを分かち合いたく、ビデオ会議(Skype)の方法を採りました。初めてモニターを通じて顔を見たときの感動は、忘れられません。距離がぐんと近くなり、まるで隣町にいるような不思議な感覚でした。


今回の取材で分かったのは、縮めるのは物理的な距離ではなく、心の距離だということ。どんな状況でも、どんな形でも、人と人とのコミュニケーションがとれれば、できることはたくさんあることに気づきました。今後も、この働き方は加速し、スタンダードになると感じています。

● 『「これから」の時代を生きる君たちへ』で伝えたかったこと


新型コロナウイルスのピークは過ぎたものの、世界中で予断を許さない状況です。この経験は私たちに多くの課題と気づきを遺しました。この本の著者、ドメニコ・スキラーチェ校長はアフターコロナについて下記のように語っています。


「 アフターコロナは、以前と同じ生活をすることはできません。これまで以上に必要なのは、人への責任感を持つこと、人を尊重する生活をすることです。 これまで人間は、自分たちが何でもできると思い込み、地球の資源や自然を、絞り取れるだけ絞り取れると考えていたかもしれません。まるで、レモンを果汁が出なくなるまで絞り取るように。しかし、それがもたらす結果を私たちは考えていませんでした。森林破壊が進み、気候変動が起こる。それによって動物と人間の距離が、本来よりも近しく密接になる。それによって、動物から人間へ感染する可能性が高まったかもしれません。

ですから、私たちは地球資源を無節制に消費しない、自分のことを守る、他人のことを守る、人への思いやりを学びながら、ゆっくりと私たちは生活を戻していけるとよいと思います。」(2020年5月20日)


※新型コロナウイルス感染症と最前線で闘う医療従事者の皆様に心より敬意を払い、新型コロナウイルス感染症の治療及び感染拡大防止活動を行っている医療機関へこの本の売上金の一部を寄付させていただきます。