コーチング技術を取得したVTuberとの会話でポジティブなコミュニケーションを促進したい。VTuberコーチングサービス「トモエナ」の開発秘話

開発秘話

2023年9月11日 10時00分株式会社イクリエ

株式会社イクリエは、『想造力で身近な人を笑顔にする』という企業理念のもと、2010年12月設立し、主にキャラクターコンテンツを取り扱っている制作会社で、ゲームPVなどの映像制作、イラスト制作、フィギュアの原型制作、グッズの企画提案までを行っております。

2023年5月イクリエから新規事業としてVTuberコーチングサービス「トモエナ」をリリースしました。「トモエナ」とは、コーチングスキルを身に着けた4名のVTuberがコーチとしてユーザーの話したいことを引き出す1対1の対話サービスです。サービスインしてから約3カ月が経ち、それぞれのVTuberにファンがつきはじめ、今まで以上に活動に真摯に向き合っていかなければならなくなりました。

このストーリーでは、新規事業としてコーチングサービスを開始するに至った経緯や思いをお伝えします。

コロナ禍で「誰かと繋がる」ことの重要性を再認識

2020年から始まったコロナ禍は我々の生活スタイル、ビジネスのかたちに大きな影響を与えました。

街からは人々が消え、人とのコミュニケーションはとても限定的になってしまいました。

人との関係が断絶された社会で、改めて私たちは「誰かと繋がる」ことはとても大事な社会形成の一つであり、それによって私たちもまた自己の存在を認識して生きているということを考えさせられた時代であると思います。

ただその一方で、SNSの発展に伴い世界中の人々と広く、簡単に繋がることができるようになったものの、どうしても深度は限定的であり、だからこそ心無い言葉が世界をめぐり誰かを傷つけてしまう歪な社会がインターネット上に形成されていきました。

ただそれでもそのツールを手放せないのは、その奥底には「誰かと繋がる」という本能的な欲求があったのかもしれません。

オンラインツールやVTuberの勃興によりサービス環境の土台が成熟

トモエナの企画はもともと2019年頃に発足しました。

自宅と職場や学校の往復だけで、誰かとコミュニケーションを取りたくても取りづらい環境にある方々に気軽にお話しできるパートナーがいれば、より活力ある毎日を提供できるのではと考えて立案したのですが、当時「オンライン上でバーチャルキャラクターと話す」という企画はどこに行っても、あまり相手にはされなかったことを思い出します。

その後、先述のコロナ禍に伴い、オンライン上でのビデオ会話やバーチャルキャラクター、所謂「VTuber」の勃興によって、私たちの考えるサービス環境の土台は皮肉なことに熟成されていき、2023年となった現代では誰しもが当たり前のように認知・享受しているツールやコンテンツに成長していきました。

どのキャラクターを選んでもサービスの質が均一になるように

サービスの設計にあたりやはり類似のサービスが存在している事は認識しており、サービスの性質的にどこで差別化を行っていくかという課題がありました。

他社様ではキャラクターを前面に押し出した雑談系のサービスを提供しており、あくまでキャラクターの持ちうる会話力を押し出した展開を行っているのを頻繁に目にしておりました。

もちろんユーザーが好きになったキャラクターであれば、ただ話していて楽しいという体験を提供することは可能だと思いますが、サービス全体で見るとキャラクターごとにサービスの質に差が出てしまい、極端な話し一人のキャラクターに依存してしまうサービスは長期的な運用の観点から見るととてもリスキーであると感じました。

そのため、後発の私たちは、まずはサービスの質の均一化を考えるところから始めました。

つまり、どのキャラクターを選んだとしても一定以上の会話サービスを提供することを前提に据えたサービスの基礎を構築していったのです。

とは言うもののいたずらに雑談力を上げて会話を引き延ばすことは建設的ではないと考えており、限られた時間内でユーザーがポジティブな感情となり何か一つでも学びを持って帰れるような会話スキルが必要となりました。

そこで私たちは昨今ビジネス界隈で浸透し始めている『コーチング』を取り入れる事を選択しました。

会話スキル『コーチング』は物を教えるティーチングと異なり、あくまでコーチングを行うコーチは会話の補助的な役割でユーザーの話したいことを話させる案内人の役割となります。

あくまでユーザー自身が気づき考えることが重要で、だからこそ、その先にある「学び」に深い感動が伴うのです。

このサービス理念の構築にあたり、コーチング業界の日本の第一人者である林健太郎先生にご協力頂き、4名のVTuberがVTuberの活動の傍らコーチングの技術を習得しました。

コーチングの技術を用いた対話スキルを一度堪能してもらえれば、その違いに感動します。

サービスインしてから約3カ月程度が経過しましたが、それぞれのVTuber（私たちはVコーチと呼んでおります）にもファンが付き始めていることはたいへんうれしい限りです。

もちろんキャラクターとしてエンターテインメントを追求しながら、コーチとしての一線級のサービス提供をしているその真摯な姿がファンの方、これからのユーザーへ刺さり始めているのでしょう。

トモエナでのコーチングもさることながら、いちVTuberとしてのキャラクター活動を是非応援してあげてください。