わたしたちenstolは、京都・宇治でオリジナル家具やオーダーメイド家具の製作、 家具の修理やリメイクを行なっている小さな家具店です。

2020年と2021年のApril Dream企画では、「スタッフが思い描くそれぞれの”enstolの夢”、すべて叶えます」という夢を発信しました。

あれから2年。大きな夢を掲げたことで起きた変化や、実現に向けて取り組んできたを道のりを振り返ります。

スタッフ全員で考えた「enstolの夢」

“4月1日を、世界で一番、夢があふれる日にするプロジェクト”「April Dream」。2020年に始動したそのプロジェクトを初めて知ったとき、enstolはスタートしてまだ2年目でした。

2020年4月といえば、コロナ禍が急激に広がり出した頃。世界が困難に直面するなかで、わたしたちもまた漠然とした不安や無力さを感じていました。

そんなときに出会った「April Dream」の企画。「夢が自分のこれからを、そして世界を変えていく。」という言葉に力をもらった気がしました。

でも「夢」ってなんだろう？

わたしたちは

『ものづくりを通じて、人々の暮らしにひとときのわくわくする瞬間を生み出す』

という想いで日々家具をつくり、直しています。それは、enstolをはじめる時にスタッフみんなでどんなことがしたいかを話し合った結果生まれた、大切な想いです。

そこで、あらためてスタッフ全員の思い描く”enstolで叶えたいこと＝夢”を出し合うことに。

すると、想いを具象化したそれぞれの夢が出揃いました。

それならこの際、スタッフが思い描くそれぞれの”enstolの夢”をすべて叶えよう！

こうして2年前の4月1日、わたしたちのことを広く知ってもらい、「ものづくり」を通じて多くの方にわくわくする瞬間をお届けできればと願って、夢を発信するに至りました。

夢を発信したことで生じた変化

enstolでは家具職人、デザイナー、広報、管理部門など、それぞれのスタッフが異なる専門分野で各々の業務に取り組んでいます。

ひとつひとつの仕事を遂行するために日々コミュニケーションは欠かせませんが、とはいえお互いがどんな夢を描いているかは、普段の仕事のなかではなかなか知る機会がありませんでした。

• 「enstolを通じて、心の豊かさや温かさをひとりでも多くの人に届ける」
• 「家具職人を目指す人に憧れを持ってもらえるような店になる」
• 「enstolの家具がドラマやCMで起用される」
• 「enstolのものづくりが全国に広がり、想いや職人の技術が受け継がれていく」
• 「"家具は修理しながら使うもの”という概念が日本のスタンダードとして定着する」
• 「enstolがずっと続く」
• 「森の中に、家具の修理＆リメイクができる工房兼ミュージアムをつくる」

これらはすべて、スタッフそれぞれの”enstolの夢”です。

自分以外の夢を知ったとき、嬉しさや心強さを感じたことを今でも覚えています。

それぞれの夢を可視化し全員で共有したことで、日々異なる業務に就きながらも、「みんなで一つの夢を追っている」という一体感が生まれました。

自分の仕事が誰かの夢を叶えることに繋がるということは、大きな励みにもなります。

また外に向けてわたしたちの想いを広く発信したことで、少しずつ取材依頼をいただくように。

webメディアをはじめ新聞や雑誌など、さまざまな媒体でご紹介いただくことが増え、お問い合わせ件数が飛躍的に伸びました。

夢の実現の前に現れた壁

とはいえ、ウッドショックや原油価格の上昇など取り巻く環境は厳しく、コロナ禍以前同様には難しい状況に。木材や張り生地、さらには接着剤や塗料の価格高騰が止まらず、価格面においてお客様のご期待に沿うことが厳しくなってきました。

そんな中、ある時ダイニングテーブルのリメイクのご相談を承りました。

数年使用しているダイニングテーブルの天板の塗装の剥がれが目立ってきたため、天板を無垢材で作り変えたいとのこと。「無垢材なら多少傷や汚れがついてしまっても、お手入れしながら長く使えそうだから」とのことでした。

テーブル全体が深みのあるブラウンカラーで塗装されていたため、既存の脚の色にあわせて天板を製作するとなると、無垢材ならウォールナット材が一番適しています。

ところがウォールナット無垢材を使用した場合の見積額を算出したところ、天板製作費だけで早々にお客様のご予算を超えてしまいました。

リメイク費用には他に、取り外しや取り付けの工賃、配送費なども必要です。

なんとかご予算内に納められないかと知恵を絞り、代替案を考えつく限り出しました。木材のグレードを下げる、木材の樹種を変えて塗装する、既存の天板の上に突板材を取り付ける、既存天板の上に無垢天板を取り付ける、等々。

しかしどの案も、残念ながらお客様のご希望にお応えすることはできませんでした。

コロナ禍以前、原材料費が高騰する前だったら、ご予算内でリメイクを承ることができたかもしれません。

これまで無理難題と思えるようなご相談を承っても、「なんとかしよう！」と俄然奮起してお客様のご希望を形にしてきたわたしたちの前に、どうしようもない壁が立ちはだかったような気がしました。

けれど、そのお客様から

「今回は予算を大幅にオーバーしたのでリメイクは断念しますが、今後もしテーブルを買い換えることになったら、次こそは無垢材のものを選ぼうと思います。色々とやりとりをするなかで、長く使い続けられる家具がどんなものか、よく知ることができて感謝しています。」

とおっしゃっていただき、たとえすべてのお客様のご希望に応えることができなくても、これからも変わらずできる限りのことをやり尽くしていこうと心を新たにしました。

夢はまだまた続きます

現在、夢のなかには、叶いそうなものもいくつかあります。

「enstolの家具がドラマやCMで起用される」

→enstolでは法人・個人問わずさまざまな家具修理のご依頼を承ってきましたが、最近、テレビ用小道具をたくさん修理させていただく機会がありました。

正確にはenstolの「つくった」家具ではなく、enstolが「修理した」家具ではありますが、わたしたちが丁寧に直した家具がいつかたくさんの人の目に触れるかもしれないと思うと、とてもわくわくします。

「enstolを通じて、心の豊かさや温かさをひとりでも多くの人に届ける」

→難しいご相談でも、みんなで知恵を出し合い、工夫し、お客様のご希望に応えられるよう努力しています。それゆえ、一つの案件でもやりとりだけで数週間かかることが多々ありますが、そこで築けた信頼関係のおかげで、リピーターのお客様やご紹介のお客様の数が格段に増えました。

「家具職人を目指す人に憧れを持ってもらえるような店になる」

「enstolのものづくりが全国に広がり、想いや職人の技術が受け継がれていく」

→夢の発信以降、家具職人希望の問い合わせが増え、この春からいよいよ職人希望のスタッフが入社予定です。いつかは地元に戻って独立する夢があるとのことで、enstolでの経験を活かし同じ思いを持つ家具職人が全国に広がれば、enstolの夢もまたひとつ実現するのではと考えています。

「enstolがずっと続く」

→スタートして4年目、今のところenstolは続いています。

ずっと続くために必要なことは、丁寧な仕事を、日々続けること。

enstolが続く限り、「スタッフそれぞれの”enstolの夢”を叶える」という夢は続きます。

[株式会社エンストル 会社概要]

・オリジナル家具の製造・販売

・オーダーメイド家具製作

・家具の修理・リメイク

〒611-0041

京都府宇治市槇島町月夜3-7

TEL 0774-25-3490

webサイト https://enstol.co.jp

instagram https://www.instagram.com/enstol_kyoto/