競争が激化するキャッシュレス業界で、いま求められている「人材」とは？三井住友カードの「新インターンシップ」への挑戦

企画の裏側

2022年2月16日 10時00分三井住友カード株式会社

三井住友カードでは、2021年に新たに「プレミアムインターンシップ」「データインターンシップ」の2種のプログラムを開始。

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プレミアムインターンシップではイノベーター人材を、データインターンシップではデジタルアナリスト人材を募ることを想定。いずれも、これまでの採用活動でリーチが難しかった層です。

こうした人材を求める背景には、まず、キャッシュレス業界は他業種からの参入が激化し、大きな転換期を迎えているということがあります。企業のDX化が加速する中、キャッシュレスのリーディングカンパニーとして、三井住友カードも環境と整えるだけでなく「人」から変化していかなければならないという課題に直面しているのです。

そこで新たに立ち上げたインターンシップ企画の裏話や三井住友カードの現状について、人事部の福本、楠田へのインタビュー形式でご紹介します。

左から：人事部・福本、楠田

◆時代の変化に対応していくために、新しいインターンシップを立ち上げよう／採用チームのチャレンジ

―新しいインターンシップ「プレミアムインターンシップ」と「データインターンシップ」について、それぞれ概要を教えてください。

福本：プレミアムインターンシップは、これまでの三井住友カードではアプローチが難しかった、いわゆる「尖った学生」に参加してもらいたいという目的で開催しています。実際に当社が直面している経営課題を若手社員と”一緒に考えてもらう”という自由度と視座が高いコンセプトのプログラムです。

楠田：データインターンシップは、デジタル思考でデータ分析に長けた人材との接点創出を目的に開催しています。当社が保有するキャッシュレスデータを活用したデータ分析支援サービス「Custella」について、ケーススタディを通して、その意義や実際の業務を、肌で感じてもらうということをコンセプトにしました。

福本：開催期間は「プレミアムインターンシップ」がオフラインで3日間、「データインターンシップ」オンラインで2日間です。

―新たに立ち上げることになった背景についてお聞かせください。

福本：キャッシュレス業界は転換期を迎えており、競合企業にも変化が訪れています。それは就活生の目線でも同じで、以前までは他のカード会社と比較していたのが、最近ではIT系企業との比較になってきました。

時代の変化に対応しようと、三井住友カードでは服装の自由化や副業解禁、脱・年功序列を含む人事制度改定など、新しい施策を実行してきました。そうして環境を整える中で、「人材」においても発想が柔軟なイノベーター人材を増やしていくべく、新たなインターンシップの開発が始まりました。

また、依然として、就職活動市場では三井住友カードに対して”安定・保守的”、”重厚長大”という先入観が消えず、実態とかなり乖離した印象を持つ学生が多いことも事実です。そのズレを正しく埋めるためにも、新しいインターンシップで、今の三井住友カードが求めている人材像を打ち出し、学生たちに“今の”当社の雰囲気を知ってもらいたいと考えました。

◆これまでにリーチできていない層に、どう「三井住友カード」を知ってもらうのか

―2つのインターンシップを開発するのに、どういった苦労がありましたか。

福本：プレミアムインターンシップでは、コンセプト作りと現場社員のアサインに苦労しました。特にコンセプト作りが大変でしたね。これまでのターゲットとは全く別の、新たな分野で活躍できそうな学生に来てほしいわけですが、前例がないゆえに「（学生が）魅力を感じてくれるファクトは何なのか」を知るために、自社を見つめ直すことから始めました。

特に重視していたのが、「三井住友カードに入社するベネフィット」が何かを特定することです。

つまり、当社に入社するとどんな体験ができて、どんなキャリアを築くことができるのか、企業視点ではなく学生視点で突き詰めることです。

「大手基盤を活用して挑戦できる環境」や、「生活への影響力が強いキャッシュレス」「右肩上がりの成長でやれることが広がりそう」「副業OK・フレックスタイムが選択できるので働きやすい」「若手のうちから責任ある仕事を任せてもらえる」といった要素を洗い出して整理。その上で、「大きな転換期に差し掛かっているキャッシュレス業界で、若手の内からアイディアをフル活用できる」ことが学生にとって入社するベネフィットになると考えました。

キャッチコピーは「U30代表社員の“右腕”、求む」。

イノベーター人材に届くように、あえて”キャッシュレス”といったワードは使っていません(笑)

2つ目は現場社員のアサインです。

インターンシップには採用担当から社員に協力を依頼するのが通例ですが、社員に積極的に関わってもらうため、本インターンシップでは社員から有志を募りました。

その結果、「推進中のプロジェクトに関する質問をされたら、どのような伝え方をすればいいか」など、事前準備の段階から社員も積極的な姿勢で臨んでくれました。

インターンシップへ自ら手を挙げて参加した現場社員

楠田：データインターンシップでは、デジタル・データ人材にたいして何を訴求ポイントにするのかという他社との差別化と、インターンシップで使う疑似データをどう作成するのかの2点に苦労しました。

まず1点目は、同じような人材を求める大手IT企業と正面から戦っても、学生からの認知度が低く、勝てないと考えました。

そこで、当社は「ビジネス×データ」として、データを”ビジネスに活かす”ことで、他社インターンシップとの差別化を図りました。具体的には疑似データをもとに、とある企業の課題発見からソリューション提案までをしてもらいました。「分析が出来るだけではダメ」という点を意識し、ビジネスインテリジェンスをしっかりと求めました。

苦労したもう一つ、疑似データの制作は、実際にCustella運用やデータ分析を行っている、データ戦略部の協力を得て実現することができました。昨年度は、セキュリティ面の問題で、疑似データの使用ができなかったんです。結果として、一般に出回っているオープンデータを使用して実施しましたが、実際の仕事の雰囲気を体感してもらうのはやはり難しかったです。だからこそ、今年度は、データ戦略部に協力を仰ぎ、実際の業務と近い形で体験できる疑似データの制作が実現しました。データ戦略部も、未来の仲間を迎える準備として快く協力してくれました。

―インターンシップの結果をお聞かせください。

福本：インターンシップは夏に参加者が集中しがちなので、12月開催のプレミアムインターンシップは「応募者は300人くらいかな」と想定していました。

しかし、実際のエントリー数はなんと1,000人を軽く超えるほどに！

そこから選考の上、学生34人に参加頂きました。これだけの方からご応募があったのは、前述の当社に入社するベネフィットを上手くキャッチコピーで表現することができたからだと考えています。

楠田：データインターンシップは、昨年度の「情報工学や統計学など、関連する分野学んだことがあればOK」という条件を、今期はより厳しく、「プログラミングスキルを有しているか」に変更しました。そのため、応募人数は前回より減りました。しかし、具体的な条件を指定したことで、より当社が求める人物像に近い方に参加いただき、現場社員からも高く評価されました。

―参加した学生からはどういった感想が寄せられていますか。

福本：プレミアムインターンシップでは、「社員の熱量や優秀さに惹かれました」と言ってくださる学生が多かったです。

事業や業務面への感想が多くなるのではと考えていたので、社員に対するポジティブな感想が多いのは図らずも嬉しい結果でした。社員自身が本インターンシップで扱うテーマを自分事と捉えて、先輩として「上からアドバイスする」というのではなく、同僚として「一緒に考える」といったスタンスで関わった結果だと思います。

楠田：データインターンシップにおいては、「データを分析するだけじゃなく、ビジネスに繋げていくことが大事だと実感しました」という声が多かったです。

実際、80％以上は満足・大変満足というアンケート結果も出ており、前回からのアップデートを踏まえた結果だと自負しています。

プレミアムインターンシップの1コマ：ディスカッションに熱が入る参加学生

◆「今の三井住友カード」への解像度を上げ、求める人材の採用に繋げたい

―振り返ってみて、お二人の感想はいかがでしょうか。

福本：個人的な学びは、コンセプト作りの重要性を再認識できたことですね。

採用領域ではターゲットが抽象的になりやすいので、定量的なサーベイや、定性的なインタビューを通して徹底的に言語化することを意識しました。

そして彼ら/彼女らが当社に抱いている先入観を捉えた上で、「伝えたいコト」をゴリ押しするのではなく、彼ら/彼女らにとって「当社で働くベネフィット」を体験してもらうことが大切だと考えています。

また、当社社員の受容性の高さも改めて感じることができました。

というのも、今回のインターンシップは先にお話しした通り、尖ったコンセプトだったので、メンター社員が受け入れてくれるか少し心配していたのですが、実際は学生の奇抜なアイディアに対しても「じゃあ、どうすれば実現できるんだろう？」と前向きにディスカッションしていました。

採用だけではなく社員ひとりひとりが、人材の多様性を求めていることを実感しました。

楠田：データインターンシップは、いまだに人が集まるのかどうか不安が拭えないのが正直なところです。当社はデジタル・データ人材からの認知度がまだまだ低いという自覚があるので、今後も認知度を高める活動を続け、採用に繋げていくことが課題であり目標ですね。なお、昨年はインターンシップから5人採用に繋がりました。通常、インターンシップでは0～1人の採用が平均ですから、これはいい結果だと思います。

今回はよりターゲットを絞ったので、どうなるか未知数ですが、数名でも採用に繋がれば嬉しいですね。

―あらためて、伝えたいメッセージをお願いします。

福本：冒頭でも申し上げたように、キャッシュレス業界は転換期を迎えています。また、キャッシュレス決済は生活に密接なサービスであり、社会構造の変化の影響を受けやすいものです。

その中で、三井住友カードは時代の潮流を敏感に読み取り、消費者・事業者にとって最善であるサービスを生み出すことに努力を惜しまない、挑戦することに意欲的な会社です。これは、会社が長年培ってきた基盤だけでなく、社員一人一人がつくり続けている“カルチャー”があるから。インターンシップは、会社のカルチャーに触れられる貴重な機会だと思っています。会社のカルチャーを存分に体感してもらうためには、企業からの一方的な思いだけでなく、一緒に面白いことをやりたいという思いの上で一緒に作り上げていくものだと考えています。今後もこの思いでインターンシップを企画開催してきたいですね。

楠田：データ事業を語る際、食材に例えることがあります。三井住友カードにはキャッシュレスデータという高級食材がありますが、それを調理する人がまだまだ足りない。データ事業は始まったばかりで、無限の可能性を秘めています。自ら舵を切り、いい食材を自由に調理してみたいという意欲的な方は大歓迎です。

近視眼的にならずに様々な業界に目を向けて、自分自身の可能性や活躍フィールドが多く広がっていることを知ってもらえると非常に嬉しく思います。