取引先に送った入金前の請求書情報を登録すると、報酬を即日受け取ることができるフリーランス向け報酬即日払いサービス『先払い』。『先払い』の提供をするyup株式会社は、フリーランスの方がより働きやすい社会環境を実現するために、様々な課題に向き合いながらサービスを提供してきました。

昨今、新型コロナウイルス感染症の影響により、資金繰りに困っている方への資金調達の支援がより一層必要とされている中、『先払い』を開発した想いやここまでの道のりを、yup株式会社 代表取締役社長の阪井優へのインタビューを通じてお伝えします。

●「先払い」とは

まず、サービスについて教えてください。

「先払い(https://yup.jp/ )」とはどのようなサービスですか？

取引先に送った入金前の請求書情報を登録すると、報酬を即日受け取ることができる「フリーランス向け報酬即日払いサービス」です。2019年9月にリリースを開始しました。

手続きはすべてオンラインで完結し、面談や書面でのやり取りは一切不要です。審査は最短60分で完了し、会員登録をした当日からご利用を開始できます。また利用状況を取引先に知られることもありません。

圧倒的な手続きの簡単さと報酬受け取りまでの早さを理由に、ご利用者様の内、70%以上の方がリピートで利用していただいております。

利用者さんからはどういった声がありますか？

利用者さんの声は毎日積極的に収集しています。

サービスを利用していないフリーランスの方にもヒアリングを行い、サービス改善に活かしています。

まず利用者の現状からお話すると、利用者の9割がフリーランス・個人事業主の方で、残り1割が中小企業の法人です。利用者の業種別で見ると、最近多くなっているのは動画作成などをしているクリエイター、その他にはエンジニア・デザイナー・ライターの方で6,7割を占めています。

利用者さんにヒアリングをすると、クライアントから報酬を受け取るまでの期間が長く、その間にも外注費などで手元のお金が出ていくため、資金繰りが大変といった悩みを挙げられる方が多いです。

そのため、独立して間もない方からは「独立前までは決まった日に給料が入っていたのに対し、独立してからは受注してから振り込みまでの間に時間が生まれてしまい、資金繰りに困っていたので、このようなサービスがあって助かっている」という声を多くいただいています。

『先払い』は「借りない資金調達」という側面もあり、カードローンやお金を「借りる」ということに良いイメージがない方や情報登録の不安がある方からは、借りずに事前に報酬を受け取ることができる点でも喜んでもらっています。

また、他のサービスと比べても「簡単」で「早い」というところは利用者さんからも高く評価していただいている実感があります。

●『先払い』誕生のきっかけ

そもそも『先払い』誕生のきっかけはなんでしたか？

大きく分けて2つあります。

1つめは、僕が大学時代に友人の父親が経営している中小企業でアルバイトをしていた時のことです。そこは卸業だったのですが、独自性の高い事業を行っており、受注はひっきりなしにありました。しかし、材料の仕入れなどで自転車操業であったため、経営者が苦労している状況を間近で見ていました。

その経験が、日本の仕事を提供するタイミングと報酬を受け取るタイミングのずれに違和感を感じ始めるきっかけとなりました。

2つめは、前職でクレジットカード決済のサービスをやっていたのですが、そこで個人事業の方や中小企業で商売されている方と話していると、実際に振り込みされるまでに1ヶ月以上時間が空いてしまうという実態があり、クレジットカードも請求書も振り込まれるまで遅くて困っているという悩みを問題視していました。

この2つの経験をきっかけに、資金繰りで困っている方の悩みを解決したい、と思ったのが創業のきっかけです。

そこから、フリーランスの方が周りに多くいたので話を聞いていくと、独立時は資金繰りが大変だった、という声を多く聞き、カードローンでお金を借りた、親などの周りの人からお金を借りた、と話す人もいました。そこで、お金を借りる以外の“もう一つ選択肢”を用意したいと思ったのが開発のきっかけとなりました。

●開発までの道のり

開発を進めていく中でぶつかった壁はありますか？

僕自身、新しくゼロからサービスを立ち上げた経験がなく、さらにフリーランスの経験がなかったので、最初は手探りでした。

早くこのサービスを世に出したいという思いがあったので、開発期間は１ヶ月半位だったのですが、その期間、人員的リソースもなくノウハウもないという手探り状態の中で開発を進めていたので、とても大変でした。開発途中は、流行らないんじゃないかな、という不安もありました。

そこからどのように壁を乗り越えたのですか？

利用者さんの話をこまめに沢山聞いたことで不安を取り除くことができたと思っています。結果として、実際にリリースしたサービスに対して大きな反響をいただきました。

僕自身フリーランスの経験がなかったのでフリーランスの現状を知りませんでした。でもこのままだとフリーランスの方に満足してもらえるサービスは作れないと思ったので、周りの友人や、フリーランスの方を紹介してもらって、沢山ヒアリングをしていきました。

最近でも、多くの利用者さんの声を聞き、管理画面のリニューアルを行いました。登録までの入力画面を半分近く減らすなど、利用者さんの手間がかからずに「簡単」に「早く」報酬を受け取ることができることを第一に考えたサービス作りをしています。

この、利用者さん目線でサービスを作り、改善し続けてきたことが、今利用者さんから満足の声をいただけている理由だと思います。

●yup(ヤップ)のこれから

今後、フリーランスの動向はどのようになっていくと思いますか？

日本でもフリーランスの方は増えてはいますが、まだ外国に比べると多くないと思います。

ですが昨今、コロナウイルス感染症の影響で、これからは在宅で働きたいと思っている方が段々と増えていると思っています。この先も、いきなりではなくても、週末に副業を始めたり、徐々に独立に向けた働き方をする方が増えてきて、そんな働き方が一般的になってくるんじゃないかと思っています。

yup社が目指す未来・展望はなんですか？

お金がいつ入ってくるのか考えて動く時間や請求書周りの作業って意外と手間や時間がかかっていると思っていて、その時間は本来の仕事の業務とは関係のないことなので、時間がもったいないと思っています。

請求書作成や入出金確認といった、フリーランスや中小企業の方からすると手間になる作業がまだアナログなところがあるので、そこを改善して効率化できるサービスを、今やっている『先払い』というサービス以外でも作り続けていきたいです。

そして、資金繰りに悩む時間を、付加価値を作り出す時間に変え、仕事に集中できる環境を支援していきたいです。

将来的には、もっと気軽に、登録すればすぐにお金が受け取れる形を作っていきたいです。そして、僕たちのサービスからお金を受け取ることで、次の投資に回せるような効率化を目指しています。

今はフリーランスメインになっていますが、将来的にはフリーランスのみではなく、個人事業主や中小企業などのスモールビジネスをされている方々の商売をシンプルにしたいという思いが強いので、長期的にはなりますが、そこに集中して良いサービスやプロダクトを生み出していきたいと思っています。

●プロフィール

阪井 優（さかいゆう）

yup株式会社　代表取締役社長

1989年大阪府堺市生まれ。

智辯学園高等学校、大阪教育大学卒業後、NTTドコモ、コイニー（2018年に「hey」のグループ化）を経て、2019年2月にyupを設立。友人のフリーランスの資金繰りの大変さに衝撃を受けたことを原体験として、フリーランス向け報酬即日払いサービス『先払い』の開発を行っています。「TechCrunch Tokyo 2019」ファイナリストに選出。

資金調達実施のリリースはこちら：

● yup株式会社

社名：yup株式会社

代表者：代表取締役社長  阪井優

本社所在地：東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル3階

設立：2019年2月4日

事業内容：インターネットビジネスの企画・開発・運営

URL ：https://yup.jp/company