生活の中にスポーツを、スポーツ庁の目指すSport in Lifeとは～2020年「スポーツの日」～

スポーツの日

2020年7月24日 10時00分スポーツ庁

「体育の日」から「スポーツの日」へ、スポーツ庁の考えるスポーツとは？

－スポーツ庁鈴木大地長官（ソウルオリンピック100ｍ背泳ぎ金メダリスト）に、スポーツ庁の目指す「Sport in Life」、その思いを伺いしました。

　今年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、スポーツ界でも大会やイベントの延期や中止などが相次ぎました。また外出制限などによりスポーツをする機会も減少したことで、運動不足やストレスを感じ、これまで運動やスポーツが日常生活に潤いを与えてくれていたことを再認識した方も多かったのではないでしょうか。

　一方で、在宅勤務が中心となりこれまで通勤に充てていた時間をスポーツの時間に充てられたというポジティブな意見もありました。スポーツは体の健康はもちろんですが、メンタルヘルスにも良い影響があり、元気が出てきます。これからしばらくはwith コロナの生活が続くことが予想されますが、新しい生活様式においても、スポーツは日常生活に外せないものと思ってもらえるように、スポーツの価値を感じていただきたいと思います。

オールジャパンで推進するプロジェクト

　スポーツ庁では第2期スポーツ基本計画の中で、成人の週1回以上のスポーツ実施率を65％程度まで引き上げるという目標を掲げ、2019年から「Sport in Life プロジェクト」に取り組んでいます。一人でも多くの人がスポーツを楽しみ、スポーツを行うことが生活習慣の一部となる、そのような社会を目指したプロジェクトです。

　国と地方公共団体、スポーツ団体、企業などスポーツの振興に携わる関係機関と一緒にオールジャパンで推進していくため、2020年2月には「Sport in Life コンソーシアム」を設立しました。現在、趣旨に賛同いただく団体を随時募集しています（2020年7月22日現在、436団体が加盟）。コンソーシアム加盟団体の取組や、団体間の連携を促進することで、国民の皆様がスポーツを「やりたいな」、「してみようかな」と思った時に、それぞれのライフステージや嗜好、レベルに応じて参加することができる環境を、身近なところ（生活の中）にたくさん作っていきたいと考えています。

※ Sport in Life プロジェクトHP：https://sportinlife.go.jp/

「スポーツ」の語源は「気晴らし」とか「楽しみ」「遊び」

「スポーツ」という言葉は、部活動や競技大会での印象から、激しい運動や勝敗を競うことと捉えている人も多いと思いますが、「スポーツ」の語源は「気晴らし」とか「楽しみ」「遊び」という意味が含まれる、ラテン語のDeportare（デポルターレ）と言われています。過大な負荷をかけなくても、上手くなくても、楽しみながら体を動かすことが「スポーツ」なのです。

はじめての「スポーツの日」

　1964年の東京オリンピックを記念して、その開会式が行われた10月10日が「体育の日」と定められました（1966年）。その体育の日の名称が、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催を機に、「スポーツの日」に改められ、その意義は「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」とされました。2020年7月24日、2020年東京オリンピック競技大会の開会式が予定されていたこの日は、初めての「スポーツの日」です。

2020東京大会のレガシーへ

　前回の東京大会では、開催に合わせて高速道路や新幹線といった交通網が整備されるなど、当時の日本の高度経済成長を一気に加速させました。では、成熟した日本となった今回の大会では何を遺すのか。スポーツ庁では東京大会で多くの国民がスポーツの魅力に触れて、刺激を受けて、「じゃあ、次は私もやってみようかな」とスポーツを「する」人が増える、また、興味を持ってスポーツを「みる」とか、「支える」人が増える、そのような社会を実現し、健康寿命を延伸して、将来的には国民医療費の抑制につなげていきたいと考えています。オリンピック・パラリンピックの開催には大変な時間や労力、費用がかかります。数週間のイベントだけで終わらせるのはもったいないのです。

　2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、これからの「スポーツの日」は皆さんが日常の中でスポーツを楽しむ日、Sport in Life のきっかけとなる日にしていただきたいと思います。