マイクロドローン撮影という新しい撮影手法をご存知でしょうか？近年では、TVCMやハリウッド映画をはじめ、飲食店やホテルの屋内映像紹介にも使われるなど大きな話題を呼んでいます。

◯【ドローン撮影】ドトールコーヒーショップ高知帯屋町店

https://www.youtube.com/watch?v=GBlF30n2-A0

このように流れるように空間を移動し撮影した動画を私たちは「マイクロドローン動画」や「フライスルー動画」と呼んでいます。店舗の雰囲気、表情が嘘なく表現されているのが特徴です。

株式会社ドローンエンタテインメントは2019年1月の設立から、ドローンを用いた映像制作やイベント企画運営を行ってきました。既製品のドローンではできないような特殊撮影やTV番組企画など、他にはないオリジナルな企画演出に特化しているのが特徴であり、いつでも起点となるのは、オリジナル開発している「自作のマイクロドローン」です。

そして、この自作のマイクロドローンを撮影だけでなく、その他の社会課題にもっと活用できるはずと考え、様々な実験を繰り返しながら人材育成を行う「YDL」というドローンラボを設立しました。

ドローンレースが生んだ小型化技術

FPVゴーグルを装着し、ドローンに搭載されたカメラを見ながら、時速150kmを超えるドローンを操り、正確に、そして高速スピードでコースを周回する競技がドローンレースです。株式会社ドローンエンタテインメント代表の横田は、元々ドローンレースの日本代表経験のあるドローンパイロットでした。その高い操縦技術と、目的に応じて小型軽量のドローンを1から製作するノウハウを掛け合わせて、上記の店舗内の『マイクロドローン撮影』を実現させることができました。

ドローンの企画開発を始めた2019年、国内のTVCMで初めてFPVマイクロドローン撮影を行う機会がやってきました。人の腕の間をすり抜けたり、走るハードル選手の足元を追いかけたり、シンクロナイズドスイミングの選手たちがプール上でアーチを作る中を通り抜けたりと、これまで私たちが見たことの無い視点が映像作品として広く見られて、多くの反響を得ました。

しかし、当時のマイクロドローンは耐久性を極力排除し軽量化に特化していたために、非常に壊れやすく、テスト撮影をするたびに接触不良を起こしたりパーツが故障してしまうことが頻繁に起きていました。撮影現場で「REC（録画状態）が途中で止まってしまった！」なんてことは何度もありました。数年経った現在でも完成品は存在しませんが、一つひとつのパーツの品質が向上し、製作技術や運用ノウハウが蓄積されたためにかなり導入しやすくなってきています。

手のひらにすっぽりと収まる、わずか100gのドローンで空間を縦横無尽に動き回り、4K撮影が行えるということは、すなわち私たちが普段見ることのできなかった世界を観ることができるということです。歩く視点・座ったときの視点ではなく、ミツバチやトンボ、ツバメや鷹など動物の視点で世の中を見た時、見る人に新しい発見や想像を生むと私たちは考えています。

動画の嘘が簡単に見破られる時代

飲食店の口コミサイトや、賃貸物件の写真を見てから実際に訪れてみたら、想定していたものと全然違う。という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか？

最近ではSNSが普及し、「映え」を意識するあまり、本来の内容とは大きくかけ離れた写真や映像があふれています。画角を切り取り、照明をたくさん設置し環境を作り込むことで、いくらでも美しい、綺麗な映像を撮ることができる時代ではありますが、果たしてその価値は本当に必要な人に届くのでしょうか。

PRとして作った動画によるイメージと実際に訪れた印象が大きくかけ離れてしまったとき、消費者の期待値が大きく変化することに注意が必要です。そうした「映像の作り込み」とは大きく異なる特徴を持つのがマイクロドローン映像です。

通常動画の10倍以上の情報量、嘘をつけないマイクロドローン映像

小型軽量で4Kの高画質で撮影できるマイクロドローンは、リズミカルで流れるような空間の移動が特徴的です。写真の数倍の情報量がある動画に対して、マイクロドローン動画はさらにその10倍以上の情報量があり、その動物的で立体的な視点移動から観る人を飽きさせずに、しっかりと情報を伝えることができます。

◯【迫力映像】新横浜駅構内のマイクロドローン飛行映像を公開

https://www.youtube.com/watch?v=10YQbmBpEv8

また、大きな特徴として大広角レンズを用いるため、見える物全てを写します。お店であれば店内の照明や家具、スタッフの属性や雰囲気、広さや狭さがそのまま表現されるのです。反対に言えば、見せたくないものでも見せてしまうため、お客様に見せたくない情報がある場合は、この撮影手法自体が向きません。

希少性の高い技術を、さらなる応用へ

この新しいマイクロドローン撮影は、小型軽量した自作ドローンの製作ノウハウと高い操縦技術を必要とするため、ちょっと始めてみたいと思い立っても数週間で技術を習得することは不可能であり、それゆえ希少な撮影手法となっています。また航空法や電波法などの法律にも大きく関係するため一般に広く普及していないのが実情です。

小型軽量で安全、そして高い機動性を持ったドローンが、縦横無尽に空間を動き回る。これに撮影用カメラを搭載したのがマイクロドローン撮影ですが、私たちは他にももっと活用方法があるはずと考えています。

・照明をつけて配管の中を照らす調査ドローン

・ピザやコーラを乗せてテーブルの上まで配膳する配送ドローン

・木々が立ち込める間をすり抜けて遭難者を見つける捜索ドローン

など、通常の大きな既製品のドローンやロボットでは実現できない活用方法が自作のマイクロドローンにはあるのです。これらに取り組む人が増えれば増えるほど、その可能性はもっと無限に広がるはずです。

新しい可能性を押し広げるドローンラボ

マイクロドローンをゼロから作り、高い操縦技術をもった人材が課題解決を加速させるために株式会社ドローンエンタテインメントは、相模原市の廃墟をリノベーションしてドローンの開発拠点として『YDL』というドローンラボを設立し、技術ノウハウを継承して広く活用方法を提案できる人材を育成するためのプログラムを2023年8月よりスタートしました。

通常のドローンスクールのように資格を取ることがゴールではなく、本質的な課題解決を実現するために実践的なドローンの企画開発プログラムと初学者に対する徹底的なサポートを行える環境を提供しています。マイクロドローン撮影をプロフェッショナルレベルで遂行できる技術を”最低限のスキル"として身につけ、課題の発見・提案・解決、またエンタメを起点に新しい企画開発を並行して行います。

すでに１ヶ月で第一期ラボメンバーの全員が自作ドローンを自らで作り、マイクロドローンを屋内外で操縦できるようになりました。これからその技術をどう発展させるかが重要です。様々な分野で活躍する方たちが、この自作ドローンの技術を組み合わせることで、エンタメ活用然り、さらには社会課題の解決ができると考えています。空間を自由自在に操る強みを生かした課題解決、そして、プロフェッショナルなマイクロドローン技術を習得したいと考える方は是非一度ご相談ください。

YDLは事前審査を経てジョインしていただく少数精鋭のプロジェクトチームです。現在、建築物の室内外をドローンでアーカイブするプロジェクトや、地域店舗を活性化するためのプロジェクトも並行して実施しています。神奈川県相模原市に第一開発拠点をおいているため、その恩返しとして地域の飲食店や宿泊施設、商業施設のプロモーション活動にも取り組んでおります。

受講生を大量に募集し、スクール事業を拡大運営する予定はありません。想いをもつメンバーが日本全国で増えることで、新しい価値を社会にどんどん生み出し、最終的にはドローンラボが各地を訪れることで地域経済に良い効果を生み出せる新しい組織を展開していきたいと考えています。

◯YDL『ドローン実験ラボ』

https://ys-drone-lab.com/