うつ病の夫を支えながらの育児・介護・大学生活。ピンチをチャンスに変えた、鎌田めぐみの生き方

うつ病

2023年8月22日 14時30分はぴねす・ラボ

『気になる人が90 ％「ほぼうつ」だと思ったら。』著者の鎌田めぐみと申します。私は重いうつ病の夫の看病と同時に育児、そして両親の遠距離介護をしてきました。まさに看病、ワンオペ育児、介護の三重苦でしたが、私はその苦難の時期をチャンスと捉え、なんと大学に通いながら資格取得にも挑戦し、スキルを身につけていきました。なぜそこまで頑張れたのか。「人生捨てなければ何とかなる」と私は思います。厳しい局面での生き方に焦点を当てた私のストーリーは、うつ病をサポートする人のみならず、多くの人々に勇気を与えるはずです。

2023年7月現在の鎌田めぐみ

鎌田めぐみ（カマダ　メグミ）

1973年愛知県出身。1998年結婚を機に東京に上京、二人の子を出産。2005年夫がうつ病を発症。夫の看病と同時に育児、愛知東京間で両親の遠距離介護。その傍ら2008年より武蔵野大学で心理学を学び、認定心理士・産業カウンセラー取得。そして同時に勉強を進めていた行政書士試験にも合格。2022年相模女子大学大学院社会起業研究科・社会起業修士取得（MBA）。現在「はぴねす・ラボ」を立ち上げ、うつをはじめ“つらくなっている誰か”を支えている方のサポートを通し、カウンセラー・セラピストとしても活動している。

二児の子育ての最中、夫がうつ病に。病院を転々とするも良くならない日々

子供が3歳と6歳の頃、夫がうつ病を発症しました。家の近くのメンタルクリニックでは診察できないほどの重症だったので、大きな病院を紹介してもらい入院に至りました。半年後に退院しましたがギリギリの精神状態での闘病生活でした。

投薬治療をしてもなかなか改善しない症状。並行しながら催眠療法や舌癒着手術などの民間療法も試すも改善せず、最後に辿り着いたのが鍼灸でした。

先生は「よく来てくれたね」「大丈夫、治るよ」と、うつ患者である夫、そして夫を支える私、双方に言葉をかけてくれました。立場上、「治る」とはなかなか言えないはずですが、見るに見かねてそう言ってくれたのでしょう。当時、いっぱいいっぱいの状態だった私は、その言葉に励まされたのを覚えています。

結果的に夫のうつの症状はだいぶ良くなり、職場復帰ができました。

とは言え寛解にはほど遠い状態。いつまで続くか分からない自宅での看病。同時に、遠方に住む両親の介護も重なって、限界を感じていました。

愛娘２人と（夫がうつになった頃）

うつ病の夫を支えながら始めた大学生活と行政書士の勉強

そんな心身ともに休まらない毎日を過ごしていたある日、友人に「行政書士にならない？」と誘われました。それどころではなかったのですが、その友人の誘い方がとても上手かったのです。「行政書士になれば先生って呼んでもらえるよ」と。高卒の専業主婦だった私は、そうしたインテリな職業に憧れがあったのです。おそるおそる夫に相談してみると、「やりたいなら、やれば良いんじゃない」と応援してくれました。いま思えば、看病や介護、育児だけでない、自分だけの生活が欲しかったのかもしれません。

しかし、いざ勉強を始めてみると、夫の看病・育児・看護も並行してというのは、想像以上に厳しいものでした。「もう無理」とくじけそうになったこともありましたが、「ここまで来たらやるしかないよ」という夫の後押しもあり、見事行政書士試験に合格しました。そして、同時期に心理学を学ぶために通っていた武蔵野大学も無事に卒業。そうです、看病・育児・看護・受験・大学生、５足のわらじを同時にはきこなしたのです。

大変でしたが、最大の原動力は「夫を支えてあげたかった」から。私が稼げるようになれば夫を休ませてあげられるからです。偶然と呼ぶべきか必然と呼ぶべきか分かりませんが、この行政書士試験に合格し、大学を卒業したあたりから、夫の体調も良くなってきたのです。

2022年48歳で大学院を卒業

夫を支えるために始めた勉強。しかし、逆に夫に支えられた

行政書士だけでなく、大学での学びを活かして心理カウンセラーと産業カウンセラーの資格も取得しました。夫のうつ病がなければ挑戦しなかったかもしれない大学生活や行政書士の勉強。そのおかげで人との繋がりができ、今ではキャリアを築くこともできています。「あんなに大変なことがなかったら、あんなに大変な勉強はできなかった」と今になって思うのです。最大の危機は最大のチャンス。私はそう思うことで前向きになれました。諦めたくなることもたくさんありますが、人生捨てなければ何とかなるものです。

思い返すといつも家族の笑顔に支えられていました

誰かを支えている人をサポートする「はぴねす・ラボ」の活動

大学卒業後は、某企業に正社員として働く傍ら、うつをはじめつらくなっている誰かを支えている方をサポートする「はぴねす・ラボ」という活動もしています。マインドフルネスをはじめとした、心を落ち着かせる時間をもつ企画があります。そして、私の体験をもとに『気になる人が90 ％「ほぼうつ」だと思ったら。』（以下「ほぼうつ」）を2023年4月に出版しました。

「ほぼうつ」の出版から人の輪が広がり、2024年には自主映画の制作も決まっています。

映画の内容はノンフィクションで、夫がうつの闘病時に受けた催眠療法の一つである前世療法の内容を取り入れる予定です。ゆくゆくは私自身も前世療法を習得し、皆様の相談を受けられるようにする予定です。

はぴねす・ラボ〜and feel Happiness〜で悩める全ての人の支えになりたい

ワークショップの様子。気兼ねなくご参加・ご相談ください。

たくさんの人達の助けによって、人生最大のピンチを乗り越えた私。今後はカウンセラー・セラピストとして、同じような境遇の人たちの役に立ちたいと思っています。

カウンセリングと聞くと敷居高く感じてしまう方が多いのですが、気軽に相談していただきたいです。思い悩んでいること、心の中でモヤモヤしていること、日常のつまずき、何でも構いません。ぜひお気軽に「はぴねす・ラボ」を通じてご相談下さい。もちろん悩んでいる本人だけでなく、サポートする周りの方からのご相談もお待ちしております。私の経験がきっと皆さまのお役に立つと思います。