事業にかける強い想いと組織改革により、危機を乗り越え企業成長したリハビリ型デイサービス『リハプライド』

企業成長の裏側

2021年6月28日 10時00分リハコンテンツ株式会社

　『リハプライド』は、リハビリに特化した“リハビリ型デイサービス”です。従来のデイサービスは、日中高齢者をお預かりし、お食事や入浴のお世話や、レクリエーションをするスタイルが一般的です。それに対して『リハプライド』は、リハビリトレーニングに特化し、介護状態の改善・身体機能回復のためのトレーニングを行う、新しいスタイルのデイサービスです。

　現在フランチャイズで全国200店舗を展開している『リハプライド』ですが、運営しているリハコンテンツ株式会社は、過去に業績悪化による経営の危機を迎えたことがあります。そこから業績回復を果たした裏側には、事業にかける強い想いと理念による組織改革がありました。当時の背景や経緯を、創業者であり代表取締役社長である山下哲司がお伝えします。

～順調に店舗数が増えるも、とあるきっかけで業績悪化～

―約5年で全国100店舗突破と、順風満帆だった業績が一時悪化してしまった原因は何だったのか。

「2009年7月に創業し、2010年9月の1号店オープンから約5年で全国100店舗突破と、最初は順風満帆でした。店舗数増加にともなって業績も右肩上がりの状態だったので、株式上場を目指して準備を始めましたが、その準備がうまくいかなかったことが原因でした。上場に必要な体制作りのための間接経費が膨らんだことで、財務状況が悪化してしまったのです。結果として、上場準備はいったん保留にしました。また、財務状況の悪化にともない、“この会社に希望は持てない”と、去っていってしまった社員もいました。今振り返ってみると、当時はまだ社歴7～8年で組織として未熟であり、上場を目指すには時期尚早だったのだと思います。

　私は、リハビリに困っている人がいるという現実を目の当たりにし、従来の“お世話型”の介護ではニーズが満たせない方がたくさんいらっしゃるという現状を知って、このリハビリ型デイサービス事業を始めました。世の中には、まだまだリハビリする場所に困っている方が大勢いらっしゃいます。だから、プライベートカンパニーのまま、会社と従業員だけが満足してやっていればいいということにとどまらず、もっとリハビリができる環境が世の中に広まっていくことの一助に当社がならなければいけないと思っています。　　　　　“もっと多くの方にこのリハビリ型デイサービスという事業を知っていただきたい”、“リハビリ型デイサービスをもっと社会に普及していきたい”という強い気持ちは、創業当初から今に至るまで全く変わっていません。」

～業績回復のため、組織改革に取り組む～

―悪化してしまった業績を回復させるために、どんなことに取り組んだのか。

　「このリハビリ型デイサービス事業がどんなに良い事業でも、きちんと利益をあげて安定して経営できなければ、社会に普及していくことはできません。日本全国の介護で困っている方のためにリハビリ型デイサービスを広く普及させるには、業績回復は急務でした。そこで、業績の回復を目指して社内総力をあげて取り組んだのは、“組織改革”でした。

まず、経営方針を明確に定め、会社として目指すべきところを全社員に共有し、社員の意識統一を図りました。当社は千葉県船橋市にあるフランチャイズ本部だけでなく、北海道から九州まで日本全国の直営店舗にも多数社員がいますが、これによって全国の社員全員が志を同じくして、一丸となって業務にあたることができるようになりました。

また、業務の効率化や経費削減などのスリム化、社内ルールの確立などにも取り組みました。今まで漫然と行われていた業務の流れや使っていた経費を見直したことで、無駄な経費や時間などの削減をすることができ、結果として財務状況の大幅な改善にもつながりました。そして、社内ルールが確立されたことで、業務効率や経費に対する社内全体の意識が高まりました。おかげで、コロナ禍においても安定して利益を出せるようになりました。

社内全体にルールを浸透させ、緩んでいた部分を引き締めなおすのは大変でした。しかし、業績悪化をきっかけに組織改革に取り組んだことで、結果として組織としての基盤をしっかりと固めることができたと思っています。おかげさまで、業績もV字回復することができてきました。私自身も、以前は比較的自由に経費を使って行動していましたが、今では社内ルールに基づいて、予算や経費の削減に率先して取り組むようになりました。一番変わったのは私かもしれません。（笑）」　

～今後の展望について～

―組織改革によって組織力が高まってきた今、『リハプライド』の本部として、今後はどのような方向を目指していくのか。

「『リハプライド』の創業当初から、私たちはリハビリを通じて高齢者の皆さまに誇り(プライド)を取り戻していただく”プライドメーカー”である、ということを理念に掲げてきました。組織としての基盤固めをより一層進めながら、改めて、この”プライドメーカー”という理念に立ち返ることが必要だと考えています。

2021年の今は介護保険制度も少しずつ“科学的介護”や“自立支援介護”といった方向性に切り替わろうとしている時期であり、やっと我々が目指していることが制度の中にも取り込まれようとしています。今一度、しっかりと理念に立ち返り、リハビリによって高齢者の皆さまに自立を再獲得していただくという成果をあげること、そして、通いたい人が全国で通えるような店舗展開をしていくことを目指していきます。

そして、そのためには“人財”がすべてだと思っています。理念をしっかりと理解して、それを行動に落としこんでいくことができる人財を育て、地域の方々にまた元気を取り戻していただく。こういったことをしっかりと実現していきたいと思います。

その上で、全国に2000店舗を展開するという“2000店舗構想”を、ぜひとも達成したいと考えています。そのためには、業務の改善やシステム化など、様々な課題に取り組んでいくと同時に、組織の在り方も変わっていくべきだと思っています。そういったことも、しっかり社内で議論し、時代にあわせて変化しながら成長していきたいと思います。」

リハコンテンツ株式会社

代表取締役社長山下哲司

国際医療福祉大学大学院修士（自立支援介護学）

【プロフィール】

1986年中央大学商学部卒。専攻は経営学。国際医療福祉大学大学院博士課程修士（自立支援介護学）。（一社）日本フランチャイズチェーン協会理事。マクドナルドを日本でフランチャイズ展開したベンチャー経営者の祖である藤田田氏より直接薫陶を受け、自身も数々のFC展開で実績をあげる。また、日本の少子高齢化を社会的課題ととらえ、高齢者介護の問題解決のために学術研究の道に進む。医学博士が40年の歳月をかけて構築した、世界的にも類のない医学的エビデンスが豊富で信頼性の高い理論に基づいたリハビリ・プログラムを採用してFC化、認知症の改善や身体機能の改善のために水分摂取を積極的に指導して、多くの成果を上げている。現在、医師も加盟する店舗数ナンバー1の介護を改善するデイサービス『リハプライド』をFC展開し、日本全国で“介護の改善” を実現している。

●著書紹介

「なぜ水を飲むだけで「認知症」が改善するのか」株式会社KADOKAWA

「介護で会社を辞める前に読む本」ダイヤモンド社

「イラストでわかる! 介護がいらなくなる驚異のリハビリ」宝島社