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四季から五季へ。「まだなつ」提案で気候変動を身近な話題に。プレスリリースで協業拡大につなげる|味の素【プレスリリースアワード2025】

次に紹介するのは、うま味調味料『味の素®』や和風だしの素『ほんだし®』といった、数々のロングセラーブランドを持つ味の素株式会社。

今年5月にスタートした「五季そうさまプロジェクト」立ち上げを専門家の知見や独自調査などとともに伝えたプレスリリースが、受け手の心を動かし共感を育むことで最も飛躍した発信に贈られるエンパシー賞を受賞。社会課題を「自分ごと化」させる工夫が高く評価されました。

【受賞プレスリリース】今年の夏も猛暑予報!日本は四季から「五季」へ。新しい季節「まだなつ」が出現 夏の長期化による暮らしのモチベーション低下や、料理のマンネリを解決!味の素㈱「五季そうさまプロジェクト」発足

【受賞理由】
タイトルにあるプロジェクト名や「まだなつ」という季節の呼び名から、従来とは異なる視点の新たな提案であることが分かります。さらに夏の長期化が及ぼす影響を、調査や専門家のコメントを交えて整理し、なぜこのプロジェクトを立ち上げるのか、という背景をストーリー立てて伝えています。独自レシピはポイントを絞って紹介。他企業との連携や食領域以外の展開といった今後にも触れ、広がりを感じさせる内容です。(浦野 有代)

まだまだ厳しい残暑が続きそうだ。こうした中、日本の四季を「五季」と再定義し、新しいマーケティング活動を始めた味の素。異常気象下でのマーケの未来を提示している。(中村 勇介)

「まだなつ症」という独自の言葉を切り口に、生産現場と家庭における問題解決の取り組みを体系的に紹介してる点が印象的です。背景となる問題提起や現状調査、専門家の知見に加え、レシピの提示も含めることで、多角的な情報提供を行い、プロジェクト全般への理解を深める設計になっています。(河 炅珍)

夏の長期化を「まだなつ」と名付け、社会的な共通認識を創り出そうとする試みは非常にユニークです。「まだなつ症」といった共感ワードも巧みで、社会課題を自分ごと化させる優れた設計です。企業のマーケティング活動が、社会現象に新たな名前を与え、生活者の行動変容を促す力を持つことを示しています。(星野 貴彦)

味の素株式会社 食品事業本部 マーケティングデザインセンターコミュニケーションデザイン部 コミュニケーション戦略グループ PR担当

山﨑 誠也 (Yamazaki Seiya)

2013年に味の素株式会社に入社。入社後、名古屋での家庭用営業を経て、事業部にて「勝ち飯Ⓡ」「丸鶏がらスープ™」「Cook Do®香味ペースト®」等のブランドマネージャーを経験。その後、現職に至る。

味の素株式会社:エンパシー賞受賞

──「プレスリリースアワード2025」の受賞、おめでとうございます。最初に、受賞したプレスリリースを配信した背景や目的について教えていただけますでしょうか。

気候変動により夏が長引き、9月から10月にかけても猛暑が続く時期を「まだなつ」と名付け、新たな季節として提唱。生産現場の旬ずれなどの課題や、食欲・調理意欲の低下や栄養不足(まだなつ症)への対応として始動しました。

「ほんだし®」を活用した暑くても食べやすいレシピを料理家と開発し、公開。今後は他企業や自治体、生活者を含む多様なステークホルダーと連携しながら、季節の変化に寄り添う新たな食の習慣づくりを目指したい、と活動しています。そのような思いを多くの方に伝えるべく、プレスリリースで発信しました。

「五季そうさまプロジェクト」プレスリリースより

──プレスリリースの配信後には、どのような反響がありましたか。

本プレスリリースは通常よりもとても高い反応がありました。PV数は伸び続け、7月時点で18,000PV超を記録。これは、タレントを起用した当社CMリリース以上のビュー数です。複数のメディアからの問い合わせや掲載にもつながり、多くのステークホルダーとの連携を目指した狙いに対して、効果を発揮することができたと思いますね。

今後の展開に向けた強い追い風になったと思います。

──「まだなつ」「まだなつ症」という独自の共感ワードを巧みに使い、社会的な共通認識を創り出そうとする試みが審査員からも好評でした。プレスリリースを作成するにあたってこだわった点について教えてください。

「まだなつ」「まだなつ症」など生活者目線の共感ワードを打ち出すことで、気候変動を「自分ごと化」できる構成になるようにこだわりました。

課題の提起だけでなく、企業や専門家との共創レシピや今後の展望までを丁寧に記載し、多くのステークホルダーと共に取り組む姿勢を明確に伝えたことも工夫したポイントのひとつです。

また今回の施策では、一度のプレスリリース配信に留まらず、継続的に取り組みを発信していくことを意識しました。本プロジェクトでは、レシピ本の出版や生活者向けイベントの実施などもプレスリリースで発信しています。継続的に情報を届けることで、メディアの方や生活者の方々の意識や態度に変化をもたらすことができるのではないでしょうか。

3月のプレスリリース以降は、毎回の発信を楽しみにしてくださるメディアの方々に、意図した形で情報を届けられたことが特に良かったと感じています。

参考:味の素㈱「五季そうさまプロジェクト」のレシピ本 出版決定!  「何もしたくない日のまだなつレシピ」を8月20日(水)より発売開始

参考:“秋の味覚”が、夏の定番“冷やし中華”に登場?!味の素㈱「まだなつ食堂」by五季そうさまプロジェクト9月22日(月)・23日(火・祝)表参道に期間限定オープン!

──受賞したプレスリリースに限らず、プレスリリースのユニークな活用方法があれば教えていただけますか。

今回のプロジェクトは、世の中に新たな当たり前を生み出す取り組みであり、当社だけでは成し遂げられないと考え、多くのステークホルダーの協力を得ることを意識しました。

その協業を申し込む際に活用したのがプレスリリースです。企業として正式に発表している文書であるため信頼性が高く、私たちの真摯な姿勢を効果的に伝えられたと感じています。その結果、バーミヤンさんや大丸東京店さんをはじめとする多くのパートナー企業が、本プロジェクトに参加してくださいました。

プレスリリースを活用して直接相談に行ったことが、大きな効果につながったのだと思います。

──受賞が決まり、周囲からはどのような声がありましたか。

自社ブランドの訴求に留まらず、「新しい当たり前」を創出し、生活者のより良い生活に貢献したいという想いで始めたプロジェクトだったため、受け手の心を動かし共感を育むプレスリリースに贈られるエンパシー賞という賞をいただけたことは、非常に光栄です。プロジェクトメンバーにも受賞を共有し、取り組みが評価されたことを喜び合いました。

また、今回の受賞は単年度の施策の成果にとどまらず、中長期的に世の中の捉え方を変えていきたいという私たちの思いをさらに後押ししてくれる励みになりました。

──ありがとうございます。あらためて、おめでとうございました!

まとめ:“自分ごと化”させるアプローチで共感、そして意識変容を

味の素株式会社は、気候変動の影響で長引く夏に着目し、五番目の季節「まだなつ」を提唱。「五季そうさまプロジェクト」を通じて、季節の変化に寄り添う新たな食文化の創出に挑みました。プレスリリースでは、生活者の共感を得る「まだなつ」「まだなつ症」といった言葉を用い、専門家や企業との共創姿勢を明確に発信。

社会課題を“自分ごと化”させるアプローチが高く評価されての、エンパシー賞受賞です。継続的な発信によって共感を広げ、社会全体の意識変容を促す好例といえるでしょう。

この「五季そうさまプロジェクト」については、以前の取材時にもこだわったPR施策としてお話されています。語りたくなるブランドを目指す同社の広報PR活動について、あわせてご覧ください。

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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