少子高齢化や人口減少、相続問題など複数の要因が絡み合っている「空き家」問題。多くの自治体が抱えるこの課題に対して、ユニークな施策で解決を目指しているのが埼玉県草加市です。
さまざまな事情を抱え放置された物件を「わがままハウス」と名づけ、使い手を探す新事業「わがままハウスプロジェクト」を今年7月にスタート。空き家や空き店舗を活用し、新たな価値の創出へと乗り出しました。
この取り組みを伝えるプレスリリースは、社会とのつながりを表現し深めることに最も貢献したプレスリリースに贈られる「ソーシャル賞」を受賞。自治体の堅苦しいイメージを覆すやわらかい文体とおしゃれなデザインが好評でした。
【受賞プレスリリース】【埼玉県草加市】 全国初の新事業「わがままハウスプロジェクト」始動!!
【受賞理由】
様々な事情を抱え放置された空き家・空き店舗を条件付きで貸し出し、市が利用希望者とマッチングする、という仕組みだが、物件の所有者や利用希望者に広く認知・共感してもらうべく、「わがままハウス」というキャッチーなネーミングを選んだり、プレスリリースの内容も効果的にビジュアルを活用しながら平易でわかりやすい表現を使っていたり等、多くのステークホルダーを巻き込み、地域課題を解決していこうという市の姿勢が感じられる。他の自治体にも好意的な影響をもたらす可能性も期待できる。(矢嶋 聡)
柔らかい文体とカラフルなデザインを用いて、自治体が出すプレスリリースの堅苦しいイメージを覆している。親しみやすいワード選びにも工夫があり、深刻な問題をポジティブに解決しようという思いがいい。空き家問題は全国に広がっており、解決する手段として他の自治体への影響力もある。(小林 史憲)
自治体発表のプレスリリースらしく、堅実な文章と内容に信頼性が高いという印象を受けた一方、すてきな写真が複数掲載され、おしゃれな内容にもなっていると思います。(関根 和弘)
埼玉県草加市:ソーシャル賞受賞
──空き家問題が全国に広がる中で、深刻な問題をポジティブに伝える姿勢が審査員からも好評でした。今回のプレスリリースはどのような背景や目的で配信されたのでしょうか。
草加市の新たな空き家物件活用の取り組み「わがままハウスプロジェクト」の開始を告知するために行いました。
「売りたくない」「愛着がある」などの理由で市場に流通しにくい空き家や空き店舗、空き地を「わがままハウス」と称し、所有者の条件や思いを登録しマッチングするという仕組みを取り入れたプロジェクトです。これまで産業振興課が行っていた「リノベーションまちづくり」の取り組みと、住宅政策課の「空き家対策」を掛け合わせ、市域全体で空き家などの利活用促進と価値創造を目指しています。
この行政主導の取り組みを広く認知させ、地域内外の市民や団体、潜在的な物件オーナー、借り手、媒介事業者などを巻き込み、利用促進と新たな地域づくり活動のきっかけを創出する狙いから、プレスリリースで広く告知しようと思いました。
──反響はいかがでしたか。
プレスリリース配信後には注目度が向上しました。新聞やWebニュースなど多くのメディアからも取材していただき、空き家所有者や地域団体、NPOなどからの問い合わせも多数寄せられ、協業の可能性も広がったと思います。
市民からの問い合わせが増えただけでなく、ほかの自治体などからも反響があり、地域外への波及効果も実感しました。
──プレスリリースの作成に際し、どのような点を工夫されたのでしょうか。

今回のプレスリリースでは、物件の所有者や利用希望者に共感してもらう必要があるため、硬すぎず親しみやすい言葉選びとトーンを工夫しました。「わがまま」という言葉を前向きに定義することで、キャッチーさとインパクトを与えつつ、その先に納得感をもたらし共感を生み出すことも意識したポイントです。画像は、「そうかリノベーションまちづくり」の案件の写真を使用することにより、「想いをつなぐ」ことや「幅広い可能性」を表現しました。
また、「読んでもらう相手を意識する」こともプレスリリース作成に際して大切にしています。メディアの方だけでなく、市民やほかの自治体の方などが目にすることもあります。そのため、わかりやすさとインパクト、おもしろさ、新しさなどを意識して作成。そういった工夫をすることで、草加市の魅力を内外に広く伝えていくことが、私たち行政職員の使命だと思っています。
また、作成したプレスリリースは市の公式LINEやSNSなどでリンクを貼り、拡散に努めています。せっかくの情報も届かなければ意味がないので、「どうすればできるだけ多くの方に見ていただけるのか」ということも常に考えていますね。
まとめ:多様なステークホルダーを巻き込み、課題解決を
埼玉県草加市は、増大する空き家問題に対し、「わがままハウスプロジェクト」という全国初の取り組みで新たな解決策を提示しました。所有者の「わがまま」を前向きに捉え尊重しながら、地域とつなぐ仕組みは、さまざまなステークホルダーを巻き込み、共感を生む発信として高く評価されました。
柔らかなトーンと洗練されたデザインで自治体広報の枠を超えた本プレスリリースは、地域課題をポジティブに伝える力を示すとともに、情報発信が社会を動かす可能性を感じさせる好例に。空き家問題が進む自治体はもちろん、多様なステークホルダーとの共創が必要となる広報PRの方にとって参考になるお話でした。
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