議事録は重要事項や確認事項を共有し、関係者の認識を統一するために欠かせないドキュメントです。業務によっては納品することになるので、要点を押さえてわかりやすく作成することが求められます。
最近では、ZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議の録音・文字起こし機能や、ChatGPTをはじめとしたAIツールの登場により、議事録の作成が無料かつ簡単にできるようになってきました。それでも、「共有すべきポイントをどう整理すればいいか」「書き方の基本を押さえたい」という悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
本記事では、わかりやすい議事録の書き方から、無料ツールを活用した効率的な作成方法、すぐに使えるフォーマットやテンプレートまで、実務に役立つ情報をまとめました。これから議事録を取る方はもちろん、業務効率化を図りたい方にもおすすめの内容です。議事録の見本・例やフォーマットを探している人もぜひ参考にしてみてください。
議事録を取る目的からわかる、良い議事録の4つの条件とは
議事録は、ただ会話を記録するだけのものではありません。会議の要点を整理し、業務の進行をスムーズにし、関係者との認識をそろえるための重要なビジネスツールです。
さらに、問題が発生したときの証明としても機能するため、事実に基づき、会議を俯瞰して客観的な目線で記載することが重要です。
最近では、オンラインミーティングツールでの録画や文字起こし機能、ChatGPTなどのAIツールを活用することで、議事録の作成自体は手軽に行えるようになってきました。だからこそ、単なる記録ではなく、「あとで見返したときに誰もが理解しやすく、実務に活かせる内容」であることが求められます。
ではあらためて、議事録を作成する主な目的を確認しておきましょう。
目的1.会議の備忘録として「記録の正確性」を担保する
議事録は、業務の進捗確認や事実確認の際に参照される公式な記録です。「誰が」「何を言ったか」「どんな結論が出たか」を明確に記載することで、会議後の「言った・言わない」問題の防止にもつながります。
文字起こしツールでベースを作成する場合でも、内容の取捨選択と整理は人の手で行う必要があることを意識しましょう。
目的2.チームや関係者との「情報共有」する
議事録は、会議に参加できなかったメンバーや、他部署・外部パートナーなど関係者全体への情報共有ツールとしても機能します。議題・決定事項・変更点・確認事項などを過不足なく整理し、誰が読んでも理解できる形にまとめることが重要です。
目的3.次回までのTODO・タスクの明確化する
「誰が」「いつまでに」「何をするのか」が不明確なままだと、次回の会議で再確認が必要になり、非効率です。次の会議までに決めなくてはいけない事項や確認事項がある場合、「誰に確認してもらうか」「誰が担当するか」「次回までに誰が何をするか」の担当者・期限・確認先などの具体的なアクションを明確に記載しておきましょう。責任者や担当者が明確に示された議事録は、業務の円滑な進行を手助けします。
目的4.相互認識のすり合わせ
その場ではお互いに納得しているようでも、言葉だけでは意図した内容が伝わっていなかったり、合意の範疇が異なっていたり、前提が食い違っていたりなど、互いの認識が異なる場合もあります。このような認識のズレはミスやトラブルを引き起こす可能性や、作業効率の低下につながります。
打ち合わせ後に議事録を共有することで、参加者間の理解に相違がないかフォローや確認も合わせて行いましょう。
議事録の例|OK例とNG例を比較
議事録は共有することを前提に作成すると説明しました。作成に慣れていないと、時系列の記録になってしまうので注意しましょう。変更点や確認事項、決定事項を分けてまとめることで、会議で重要だった点は何か、次回までに誰が何をするのか、ひと目見て理解できる構成で作成します。
わかりにくい議事録と理想的な議事録の例を見て、わかりやすく書き改めるにはどのようなポイントを押さえるべきか、参考にしてみてください。
わかりにくい議事録の例
まずは、わかりにくい議事録のNG例を紹介します。
2022/07/04
新商品広報計画について
日時 :202*/〇〇/〇〇 13:00~
参加者: 佐々木 / 清水/ 佐藤 / 太田 / 泉 / 大西 / 小林
新商品発表会について
→発表会は9月下旬を予定。詳細な日程はわかり次第共有
→いつまでに確認するか
→発表会を担当するPR会社を外注するため、A社とB社にオリエン済み、見積もりをもらい事前に共有済み
→PR会社選定のために、A社とB社と打ち合わせを設定してほしい
発表会以外の施策
→商品サンプリングを実施したい。佐藤部長にはすでに確認をいただいている
→サンプルの確認が必要。サンプリング先を選定してから数を決めたい
次回までに
・サンプリングの実施について、佐藤部長に確認をしてもらい、実施が決定しています
・インフルエンサー施策については泉と清水さんに次回会議までに報告いただく
①発言者や責任者を明記していない
誰が判断した(言った)かが明記されていないと、振り返ったときに「言った」「言わない」「聞いていない」問題の原因になります。また、責任や担当が宙に浮いた状態にならないように、発言者や担当者を記載することが必要です。
②フォーマットや言い回しが統一されていない
議事録は簡潔な表現で記載します。敬語や「です・ます調」は文章が長くなるので、「だ・である調」や体言止めで統一するほうが好ましいでしょう。
③5W1Hが明確になっていない
文章の基本である5W1Hは要点を簡潔に伝えることができます。いつまでに何をすべきかをわかりやすく伝えるために、意識して活用しましょう。
④意見と事実が区別されていない
議事録は事実確認の資料でもあるため、基本的には事実のみ記載します。会議中で話されなかった主観的な意見や提案は区別して記載しましょう。
⑤項目ごとにまとまっていない
会議の流れに合わせて時系列で記載してしまうと、重要なポイントや決定事項が埋もれてしまう可能性があります。議題や確認事項、決定事項を区別してまとめ、誰が見ても要点が理解できる構成で作成しましょう。
理想的な議事録のサンプル例
上記の「わかりにくい議事録の例」として紹介したものを、理想的な議事録の書き方に修正したものを紹介します。
202*/〇〇/〇〇 執筆担当者:泉
新商品広報計画について
日時 :202*/〇〇/〇〇 13:00~13:45
場所 :A会議室
参加者 :広報部・佐々木部長 / 清水/ マーケティング部・佐藤部長 / 太田 / 泉
宣伝部・大西部長 / 小林
参考資料:202*年下期広報計画
新商品に関する資料
<1.前回確認事項の進捗確認>
▼新商品の発表スケジュールに関して
・9月下旬を予定。詳細な日程について引き続き確認中:太田
進捗結果:進行中
▼新商品発表会の外注依頼について
・新商品発表会をPR会社のA社とB社に依頼。オリエン実施済み
6月29日に見積もりを共有済み:清水
進捗結果:完了
<2.議題について>
▼PR会社の選定について
・6月27日にA社B社にオリエン、見積もりをいただく
→見積もりを基に広報部、マーケティング部を交えた打ち合わせ開催
▼サンプリングについて
・商品サンプリングを実施したい:小林
→佐藤部長には確認済み
→発表会前にサンプルがいくつ用意できるか確認:泉
→サンプリング先を選定:清水
<3.本日の会議まとめ>
▼決定事項・サンプリング実施を決定:佐藤部長承認済み
▼確認事項
・インフルエンサー施策について:泉
・サンプリング先メディアライターの選定:清水
→次回会議までにリスト共有
・サンプル数の確認:泉
→本日中に確認。数がわかり次第、清水に共有
議事録の基本的な書き方とは?基本の構成と記載項目のポイント
議事録を作成する際に大切なのは、「過不足なく、簡潔に、統一された形式で記載すること」です。記載すべき項目をあらかじめ定めておくことで、会議中のメモ取りも効率化され、共有後の理解度も高まります。
議事録は「情報を整理して埋めていくフォーム」として考えると、誰でも再現性高くわかりやすい議事録を作成できます。以下に基本的な構成と記載内容を紹介します。

①見出し・タイトル
会議名、プロジェクト名、クライアント名などを記載します。
【例】〇〇プロジェクト進捗会議ー第3回目ー/営業部 月例ミーティング|25年7月 など
②日付や場所、参加者などの会議情報
実施日時、会議の実施方法(対面 or オンライン)、開催場所(会議室名など)、所属や役職名とともに参加者を明記します。
欠席者がいる場合はその旨も記載すると丁寧です。
③アジェンダ・サマリー・議題
議題ごとに下記項目を記載します。アジェンダ単位で議論のプロセスとアウトプットをセットで記録することがポイントです。
── 議題に対する意見・疑問
── 議題に対する発言・意見・疑問や懸念点
── 議題に対する決定事項・ネクストステップ
── 未決定事項や保留点
④会議の決定事項・確認事項
決定事項や確認事項を分けてまとめることで、会議後の共有や実務への落とし込みがスムーズになります。
議事録を書くのに必要な3つの事前準備
会議の内容を正確かつ効率的に記録するには、事前準備が欠かせません。
準備不足のまま会議に臨むと、話の流れを追うだけで手一杯になり、重要な発言や決定事項を見落とす原因にもなりかねません。
次に、議事録作成をスムーズに行うために押さえておきたい準備のポイントを紹介します。
①議事録のフォーマットを用意する
議事録作成をスムーズに進めるには、共通のフォーマットを用意しておくことが基本です。すでに紹介したような議事録に必要な項目をまとめた共通のフォーマットを用意することで、議事録作成を効率的に行います。
また前回の議事録を確認しながら、事前にわかっている議題やアジェンダを記載しておくと、会議中に焦らず記録できます。
②会議の目的と参加者の役割を把握しておく
会議の目的や参加者から会議をイメージして、議題の優先事項や裁決者(議題決定者)を予測しておくことで、議事録作成は格段に楽になります。
特に、目的や論点、意思決定者(裁決者)を確認しておくことで、発言の優先度を判断しやすくなります。
③ AIの活用も選択肢に
近年では、会議内容をリアルタイムで文字起こしするAI議事録ツールも充実しています。ZoomやGoogle Meetと連携できるものや、日本語に強いツールも多数あります。議事録担当者は、AIの文字起こしを「下書き」として活用し、要点整理や表現の調整に集中するというハイブリッド運用がおすすめです。AIを導入することで記録漏れの防止や、会議直後のスピーディな共有が実現できます。
会議前に、自社が使用しているツールと併用できるAIツールを試してみて、実際に活用できるのか検討してみてはいかがでしょうか。
わかりやすい議事録の書き方3つのポイント・コツ
議事録の目的は「情報の共有と意思決定の記録」です。誰でも齟齬なく理解できるように、わかりやすさを意識することが大切です。特に社内外の関係者に共有する場合、冗長な表現や曖昧な言い回しは、誤解や手戻りの原因になりかねません。
次に、わかりやすい議事録を書くための3つのポイントを解説します。
ポイント1.簡潔な文章で書く
議事録は文字起こしではなく、「業務の意思決定や進行を記録するもの」です。一言一句漏らさずに書くのではなく、わかりやすく簡潔にまとめることが基本です。
文章は5W1Hを意識し、会話で欠落しがちな主語を補うことで「誰が何をする」を明確に記載するとわかりやすくなります。敬語や「です・ます調」は文章が長くなりがちなので、「だ・である調」で簡潔にまとめるほうが良いでしょう。
ポイント2.箇条書きで書く
議事録は文章ではなく、1文に1情報を原則とし、箇条書きで記載すると、視認性が向上します。発言内容や決定事項、確認ポイントを分けて書くことで、読み手が必要な情報をすぐに把握できます。
ポイント3.必要に応じて図やリンクなど、非テキスト情報も活用する
必要であれば文章以外の表現も活用しましょう。会議の様子、ホワイトボードの図示、メモを撮影して添付したり、会議で出てきた参照元のWebサイトのURLや過去にやりとりした資料を引用することで、伝達力は格段に高まります。
必要に応じて、図や表なども併用し、「わかりやすく伝える」ことを第一に構成しましょう。
議事録の見本・フォーマット・テンプレート
議事録のベースとなるフォーマットやテンプレートを活用したい方は、以下からダウンロードしてお使いください。
議事録のメモが追いつかない人が知っておきたいメモの取り方のコツ
議事録作成には、効率的に素早く、わかりやすいメモを取ることが不可欠です。要点を押さえたメモは、後から見返したときに、修正・編集作業を円滑に進めます。
リアルタイムでの記録に不安がある方は、以下のポイントを意識してみてください。

コツ1.数字・キーワードを逃さずを押さえる
会議中の言葉を一言一句聞き逃さないことは、長時間の会議や参加者の多い会議では難しいものです。まずは会議中の「重要な単語」や「数字」を聞き漏らさないようにし、それらを起点にまとめるようにメモを取りましょう。数字や具体的な名詞は後から構成を作るうえでの軸になります。
コツ2.記号・装飾・略語を活用する
記号や装飾を活用することで、会議中の書き起こし作業を簡略化します。例えば、決定事項や意見への賛成を「○」、中止や意見への反対を「×」と書くなど、ルールを決めておくと、会議後の修正・編集作業が効率的に進められます。
何度も出てくる単語や、サービス名などは略語を作っておくのも方法です。
コツ3.議題決定事項をセットにして記載する
議事録でもっとも重要な「決定事項」は、質問(議題)と結論を矢印でつないで、関係を明確にしておきましょう。メモを取っている間は時系列に記録することになるので、見返したときに議題と決定事項のつながりがわかるように可視化することが必要です。
特に決定事項は、発言者や承認者の名前も明記することで、責任の所在が明確になります。
議事録の作成を補助するおすすめのツールやアプリ
議事録は鮮度が大切です。会議参加者の記憶が新しいうちに確認してもらい、共有する必要があるためです。そのため、作業の効率化を図り、共有まで迅速に行えるようにしましょう。
最近は文字起こしや要約を補助するAIツールやクラウドサービスが充実しており、議事録作成のハードルは大きく下がっていますが、どんなに精度の高いツールを駆使しても最終的な編集・確認は人間の目で行うことが前提です。
次に、議事録作成の効率化に活用できるツールやアプリの一例をご紹介します。
①録音・文字起こし機能を活用する
会議の内容をできるだけそのまま残しておきたい場合には、ZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議ツールの録音・自動文字起こし機能も活用価値があります。
②ChatGPT・GeminiなどのAIチャットツールを活用する
ChatGPT(OpenAI)やGemini(Google)などのAIチャットツールは、議事録の下書きを整えるのに非常に有用です。
例えば以下の使い方ができます。
- 会議メモや文字起こしデータと、議事録のフォーマットを貼り付けて、「フォーマットの内容にあわせて議事録を作成してください」と依頼する
- 書いた議事録を貼り付けて、「より簡潔に・ビジネス向けに表現を整えてください」と依頼することで、清書の質を向上できる
多くの基本機能は無料プランでも利用可能です。
③AI議事録生成サービスを活用する
議事録を自動で作成してくれる以下のようなサービスを活用するのも方法です。
オンライン会議をリアルタイムで文字起こし、画像キャプチャを行い、会議の進行をわかりやすく記録してくれるサービスです(無料・有料プランあり)。
会議を録音しながら、同時編集が可能なエディタを利用し、複数人でメモを取ることができます。録音音声・文字起こし結果と会議中のメモを活用して、フォーマットに合わせた議事録を作成することが可能です(無料トライアルあり。有料)。
リアルタイムで高精度な文字起こしができるだけでなく、音声ファイルのインポート、複数デバイスでシンクロなど記録に役立つさまざまな機能を搭載。議事録担当者も会議へ集中できるようサポートしてくれるサービスです(無料・有料プランあり)。
議事録の作成でAIツールを利用する場合の注意点
AI文字起こしや自動要約ツールを活用すれば、議事録作成の効率は大きく向上します。実際、多くの企業でAIツールが導入されています。
しかし、AIの活用には一定のリスクや注意点も存在します。次に、AIを議事録作成に活用する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
1. 誤変換や認識ミスの確認が必要
AIによる音声認識や文字起こしは100%正確ではありません。専門用語や固有名詞、話し手の発音によって誤変換が起こることもあります。特に重要な会議内容については、人の目での確認・修正が前提と考えましょう。
対策の例:
- 話者ごとに話し方の癖を把握し、誤変換されやすい語句をチェックする
- 必要に応じて録音と照らし合わせながら修正する
2. 要約精度に依存しすぎない
AIによる要約は便利ですが、話のニュアンスや背景、文脈を汲み取るのはまだ難しい場合があります。
特に、意思決定に関わる内容や微妙な合意形成などは、人の判断で補うことが重要です。
3. セキュリティ・情報漏えいに注意
AIツールの多くはクラウド上で動作します。企業秘密や個人情報を含む会議内容をアップロードする場合、情報管理体制が整っているツールかどうかを事前に確認する必要があります。
<確認したいポイント>
- データの保存期間、サーバーの所在(国内・国外)
- ツール提供企業のプライバシーポリシーや利用規約
- 社内のセキュリティポリシーに照らした利用可否
4. 社内でのルール整備を行う
AIツールの導入は便利である一方、「誰がどのツールを使ってよいか」「どのように記録・保存するか」といったルールを明確にしておくことが大切です。
特に複数人が議事録を扱うプロジェクトでは、運用ルールが曖昧だとトラブルの原因になります。そのため、以下のような運用ルールを決めておきましょう。
- 使用するAIツールを統一する(例:音声の書き起こしはGoogleMeet、要約はChatGPTなど)
- 自動生成した議事録は、必ず人がチェック・承認するフローを設定する
議事録作成において、「人が最終的に判断・編集する」ことを前提にAIを活用することで、より精度の高いアウトプットが実現できます。AIに任せきりにせず、適切なバランスで取り入れる姿勢が重要です。
箇条書きのメモを卒業して、業務を前に進める議事録を作成しよう
議事録は、慣れないうちは「箇条書きのメモ」になりがちです。しかし、本記事で紹介したような議事録を作成する目的意識を明確にして作成することで、業務効率化を進める資料として重宝されます。
本記事で紹介した議事録の書き方のポイントやテンプレートを参考に、共有することを前提に、読み手が理解しやすくわかりやすい議事録作成を意識しましょう。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
議事録に関するQ&A
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