【JACOB&CO. STORIES】Vol.16:物語を、機械に。──映画『ゴ ッドファーザー』を腕元で再演するという挑戦
革新と芸術性を体現してきたジェイコブ&コーの歩みを、シリーズ形式でご紹介する「JACOB&CO. STORIES」。第16回では、映画「ゴッドファーザー」と共鳴するアートピースの本質に迫ります。

なぜ、ジェイコブ&コーは『ゴッドファーザー』を時計にしたのか
1972年に公開された映画『ゴッドファーザー』。
家族、権力、忠誠、裏切り、そして世代を超えて受け継がれていく意志。
その映像、音楽、台詞、人物像は映画という枠を超え、半世紀以上にわたってファッションや音楽、アートを含むさまざまな文化に影響を与えてきました。
そして『ゴッドファーザー』は、創業者ジェイコブ・アラボ自身にとっても特別な作品です。
ウズベキスタンからアメリカへ渡ったばかりの、まだ少年だったジェイコブ。彼がアメリカで初めて映画館で観た作品が『ゴッドファーザー』でした。
だからこそ、ジェイコブ&コーにとってこの作品は、単に知名度の高い映画とのライセンス・コラボレーションではありません。
ジェイコブ自身の記憶と深く結びついた作品なのです。
パラマウント・ピクチャーズとの正式なパートナーシップによって、『ゴッドファーザー』の名称、ビジュアル、物語、そして音楽を時計に使用することが可能になりました。
しかし、ジェイコブ&コーが目指したのは、映画のロゴを文字盤に載せることではありません。
人物も、音楽も、物語も、本当に動く機械式時計としてつくること。
その発想から生まれたのが、「オペラ ゴッドファーザー」です。
オペラ ゴッドファーザー ── 映画を“見る”時計から、“体験する”時計へ


「オペラ ゴッドファーザー」の特徴は、『ゴッドファーザー』の象徴を単なる装飾として置くのではなく、時計そのものの動きや音へと変えていることです。
49mmのケース内部には、椅子に座るドン・ヴィトー・コルレオーネのミニチュア彫刻、映画ポスターを象徴する人形遣いの糸、ピアノ、そしてバイオリンをかたどったクランクなど、映画を想起させるモチーフが立体的に配置されています。
その中心となるのが、658個の部品から構成される手巻きキャリバーJCFM04。
搭載された3軸フライングトゥールビヨンは、球体状のケージそのものが3つの異なる軸で回転します。
さらに、ミュージックボックスを作動させると、トゥールビヨン、オルゴールのシリンダー、彫刻を含むムーブメント全体がケース内部でゆっくりと回転。
その一方で時刻表示は反対方向へ回転し、常に正しい向きを保ち続けます。
そして、もう一つの主役がミュージックボックスです。
2本のシリンダーとコームによって、ニーノ・ロータによる映画の「愛のテーマ」を約30秒間演奏します。
つまりこの時計では、
3軸トゥールビヨンが動く。
ムーブメント全体が回転する。
そして、映画の音楽が実際に流れる。
時計を見るだけではなく、ボタンを押し、その動きと音を楽しむ。
映画とのコラボレーションを、ここまで機械式時計として成立させたことに、「オペラ ゴッドファーザー」の面白さがあります。
映画の記憶を、本当に動く機械にする。
それは、ジェイコブ&コーだからこそ実現できた時計表現です。
映画公開50周年──13の名場面を一本の時計へ




2022年、『ゴッドファーザー』公開50周年を記念して、「オペラ ゴッドファーザー 50周年記念モデル」が発表されました。
49mmのホワイトゴールド製ケース側面には、フェムトレーザーによって映画を象徴する13のシーンを刻印。さらに、ミュージックボックスのシリンダーには作品を代表する13の台詞が刻まれています。
映画の音楽やモチーフだけでなく、名場面や言葉まで時計の細部に残すことで、『ゴッドファーザー』へのオマージュをさらに深めたモデルです。
特別仕様の万年筆とクリスタル製デキャンタも用意され、“ドンの書斎”を思わせる世界観まで表現されました。
二つの“音”を、一つの時計に
オペラ ゴッドファーザー ミニッツリピーター


「オペラ ゴッドファーザー」には、さらに複雑機構を発展させたモデルも存在します。
それが、「オペラ ゴッドファーザー ミニッツリピーター」です。
通常モデルに搭載されるミュージックボックスに加え、現在の時刻を鐘の音で知らせる高度な複雑機構、ミニッツリピーターを搭載。
この一本には、異なる役割を持つ二つの“音”が存在します。
時刻を告げる、ミニッツリピーターの音。
物語を奏でる、ミュージックボックスの音。
『ゴッドファーザー』にとって、ニーノ・ロータの音楽は映像と切り離すことのできない重要な要素です。
だからこそジェイコブ&コーは、音楽を単なる着想源にするのではなく、時計そのものから実際に鳴らすことを選びました。
映画の音と、機械式時計の音。
その両方を一つの腕時計の中で成立させたモデルです。
『ゴッドファーザー』から、別の物語へ
スカーフェイス、 マルーマ—拡張するシネマティック‧ ユニバース


映画を機械式時計として表現するという発想は、『ゴッドファーザー』だけにとどまりません。
ユニバーサル・ピクチャーズとの正式ライセンスによって誕生した「オペラ スカーフェイス」では、Operaの立体構造、3軸トゥールビヨン、ミュージックボックスという特徴を受け継ぎながら、映画『スカーフェイス』の世界を時計の中に再構築しました。
さらに、その表現は映画から一人の人物の物語へも広がっています。
世界的アーティスト、マルーマのために製作されたワン・オブ・ワンの「オペラ ゴッドファーザー」では、ブラックDLCチタンにパープルのアクセントを組み合わせ、通常モデルとは異なる表情を実現。
ミュージックボックスが奏でる音楽も、彼自身の世界観と結びついた特別な仕様とされています。
映画の物語を再現することもできる。
一人のためだけの物語をつくることもできる。
Operaは、一つの完成された複雑時計であると同時に、
物語、音楽、色、人物の個性を、機械式時計へと変換する“舞台”
でもあるのです。
時計から書斎、空間へ――世界観は生活へ浸透



『ゴッドファーザー』の世界は、腕時計の中だけにとどまりません。
50周年記念モデルで登場した筆記具は、その後「ゴッドファーザー ペン」としてコレクション化。
赤い薔薇やリボルバーなど、映画を象徴するモチーフが筆記具の構造やディテールへと落とし込まれています。
さらに、クリスタル製のゴッドファーザー デキャンタも展開。
時計、ペン、デキャンタを一つの空間に置くことで、『ゴッドファーザー』の世界は腕元からデスク、そして書斎へと広がっていきます。
そして2025年、その発想はさらに大きなスケールへと発展しました。
発表されたのが、「ゴッドファーザー スカルプチャー テーブル」です。
オペラ ゴッドファーザーの中に存在していたバイオリン、ピアノ、機械構造、そしてミュージックボックス。
それらの要素を、今度はインテリアというスケールで再構成しました。
単に時計を巨大化したのではありません。
時計、彫刻、音楽、家具という異なる領域を、一つの作品として成立させる。
腕元で『ゴッドファーザー』を楽しむところから、
デスクへ、書斎へ、そして空間そのものへ。
ジェイコブ&コーにとって『ゴッドファーザー』は、一つの時計のモチーフではなく、さまざまな形へ展開できる“物語の世界”へと広がっているのです。
映画世界を纏うという選択
ジェイコブ&コーは、映画という“物語そのもの”を複雑機構の中へと編み込み、ウォッチメイキングの枠を大きく拡張してきました。映画の象徴を立体化した造形、テーマ曲を奏でるミュージックボックス、ミニッツリピーターとの融合、他作品への広がり、そしてライフスタイル領域へと及ぶ世界観。これらすべてが、ブランドの理念である“Inspired by the Impossible”を体現しています。
ゴッドファーザーウォッチを纏うということは、単なる映画とのコラボレーションを超え、物語、価値観、美学を自らの時間の上に宿すという選択です。半世紀を超えて愛される映画の力が、いま腕元で豊かに“再演”される――その体験こそが、ジェイコブ&コーがこのシリーズに込めた本質なのです。
*Next Chapter*
【JACOB&CO. STORIES】Vol.17:パレイシャル クラシック――クラシックの異端、ジェイコブ&コーの異端
【The Latest|新たな一歩】
ジェイコブ&コーは、絶えず進化を続けています。
ここでは、ジェイコブ&コーの最新の動きをお届けします。

アレクサンダー・ズベレフ、ジェイコブ&コー「エピックX スケルトン」を着用
ドイツを代表するトップテニスプレイヤーであり、ジェイコブ&コーの公式アンバサダーであるアレクサンダー・ズベレフが、「エピックX スケルトン」を着用。
世界の第一線で戦い続けるズベレフのダイナミックな存在感と、建築的かつ大胆な構造美を備えるエピックX。その両者が自然なシナジーを生み出し、コート内外を問わず印象的な存在感を放ちます。
スポーティさとラグジュアリーを兼ね備えたエピックXは、あらゆるシーンで着用者の個性を引き立てます。

◆JACOB&CO.銀座ブティック
〒104-0061
東京都中央区銀座6-7-9丸喜ビル1階
営業時間11:00〜20:00
Tel:03-6281-4777
Email:info@jacobandco.jp
◆JACOB&CO.について
1986年に設立。当初は高級ジュエリーを取り扱い、宝飾業界で高い地位を確立し、2002年に時計業界へ本格的に参入しました。世界中のセレブリティを中心に一世を風靡したファイブタイムゾーンウォッチから始まり、これまで不可能と言われてきた複雑機構「アストロノミア」、「ツインターボ」、「ブガッティ シロン」などの開発に成功し、時計業界に技術革新を起こし続けています。現在、ジェイコブは超高級車メーカー「ブガッティ」やサッカー界のスター選手「クリスティアーノ・ロナウド」などとパートナーシップ契約を結び、「不可能を可能に」というコンセプトのもと革新的な作品を生み出し続けています。スイス最高峰の時計製造技術と宝飾業界で培った高い芸術性とノウハウを兼ね備え、時計業界の最先端を行くブランドとして、世界中で多くのファンを魅了し続けています。
◆JACOB&CO. STORIESについて
2022年4月、JACOB&CO. JAPAN(代表取締役 福田魁)が設立されました。
今年、設立から3年目という節目を迎えるにあたり、改めてブランドの軌跡を深く掘り下げ、その本質に迫る連載企画「JACOB&CO. STORIES」を始動します。
本企画では、ブランドの創業から現在に至るまでの歴史、世界的なパートナーシップ、そして珠玉の現行コレクションを、全24回にわたってご紹介予定。
なお、本連載は毎月第2・第4月曜日に公開を予定しております。
ジェイコブ&コーの軌跡を、定期的にお届けしてまいります。
*Archive*
Vol.1:ブランドの原点──ジェイコブ・アラボ、ブランド誕生の物語
Vol.2:“ジュエラーの反逆”──スイスに拒まれた男が作った革命のタイムピース
Vol.3:新章開幕──ファイブタイムゾーンから“機械芸術”へ、Jacob & Co.革命の瞬間
Vol.4:ブランドの現在地──時計を超えて芸術へ、Jacob & Co.が描く革新の形
Vol.5:“唯一無二”の共鳴──時計の概念を超えて広がるJacob & Co.の世界観
Vol.6:世界のセレブが夢中になるジェイコブ&コーの真価──“本物”の証は腕元に宿る
Vol.7:JACOB&CO.のラグジュアリー革命──時計を超えた究極のライフスタイルとは
Vol.8:Epic Xの革新譚──ラグジュアリーの再定義、“X”が導く革新
Vol.9:“X”が象る魂と構造──スケルトン、ブリッジ、CR7が紡ぐエピックXの真髄
Vol.10:“X”が切り拓く美と革新──拡張し続けるエピックXの表現領域が導く、ラグジュアリーの新たな地平
Vol.11:アストロノミアという革命児──宇宙を凝縮した“心を奪う回転機構”。その先に待つものは──。
Vol.12:アストロノミアの深化──10分から1分、三次元から四次元へ。その先に広がるものは──。
Vol.13:アストロノミア、その先へ──遊び、音、彫刻、デジタルへ広がる表現の世界
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